日経平均株価が11/12以来39,000円を回復しました。

今週だけ見ると、わずかではありますが短期的な上昇局面のようにも見受けられます。

ただし、冷静にデータ見ると、そう見えるのは日経平均株価の終値ベースの推移だけであり、変動率で見ると3%程度の上昇にとどまっています。

このように、週単位で見ると3%程度上昇しているものの、依然として変動率が最大でも約1.9%と、上昇の勢いはまだ乏しいように感じます。

むしろ、厳しめに見ると、一時ボックス圏の水準が下がったところから、再び元の水準に回復しただけで、引き続き展開が読めず停滞しているように見受けられます。

とはいえ、先週時点では膠着状態であったことを考慮すると、そこを抜け出せたのは1つ良い材料だと考えられるでしょう。

このように膠着状態を抜け出し、再び元のボックス圏の水準に戻ってきた日本株市場ですが、ここからどうなるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2024/11/22〜2024/12/5の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週に続き日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。

ただし、先週のように膠着状態の中での連動ではなく、膠着状態から抜け出し、小さなトレンドが短期的に発生した中での連動でした。

まだトレンドの水準が小さく短期的であることから、今後どうなるか分からない部分もありますが、膠着状態を抜け出せたのは良い材料だと考えられます。

詳細をみると、週初め12/2は日経平均株価が小幅上昇しました。ただし、0.8%程度の上昇ですので、ほとんど変化がなかったような上昇といえば、そうなるでしょう。

株トレンド指数では、上昇傾向を示す天井指数の水準が上がり他の指数よりも目立ちました。

発生水準は「25」なので、一時的な小幅上昇程度ではありますが、11/25以来の水準であることを考慮すると、ここをきっかけに膠着状態を抜け出せたとも考えられます。

先週時点でいったん膠着状態になり、トレンドがリセットというよりも固まってしまったことで、次の展開を読みにくくなりましたが、この日を起点に下落よりも上昇の可能性が高まったと考えられます。

12/3になると、日経平均株価は約1.9%ではありますが、今週の中で最大の上昇を見せました。株トレンド指数の上昇傾向を示す天井指数の水準も11/12以来の水準になりました。

このときの日経平均株価が3万9000円台であったことをふまえると、この水準を維持するには、天井指数が30以上の水準を保たないといけない可能性が高いことも分かります。

もちろん、3万9000円台を維持していても天井指数30未満になることはありますが、直近のボックス圏を推移するときの目安として、この水準を意識しておくと良いかもしれません。

具体的には、30を切った状態で日経平均株価が3万8000円でいる限りは、なかなか3万9000円台に回復することなく、そのままの水準を維持する可能性が高いというイメージです。

反対に、今週のように30に近づく推移があると、3万9000円に回復する可能性が高いと読み取ることができるでしょう。

万が一、再び3万8000円の水準に戻る場合は、そういったことを目安にすると次の展開が読みやすくなるかもしれません。

そして、週半ばの12/4は前日の上昇勢いがなくなり、日経平均株価は0%に近い変動を見せました。

株トレンド指数もそれに連動するように天井指数の水準が17と20以下の水準になりました。

週の後半12/5は、日経平均株価が小幅上昇はしますが、0.3%程度の変動であったこともあり、ほとんど変動していない状況でした。

株トレンド指数の中では、天井指数の水準が再び20を回復しましたが、日経平均株価と連動するように、あやまり変化のない動きを見せました。

このように今週は週の前半から半ばは先週の膠着状態を抜け出し、そこから週の後半は停滞してしまったという流れでした。

よって、日経平均株価3万9000円台回復に伴い株式市場全体も動きはありましたが、あくまでもボックス圏の水準が上がる程度の短期的な上昇にとどまったと考えられます。

週明けの日本株どうなる?

直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、3万9000円台は回復したものの約2ヶ月間変わり映えしない状況です。

もし、日経平均株価そのものを短期売買するなら、結果論では売買ポイントが見つかるものの、その場その場では方向感を捉えることができず、売買ポイントを捉えることができないのではないでしょうか。

そのような状況もふまえると、やはり日経平均株価のボックス圏の範囲は、引き続き「上値:3万9500円・下値:38,000円前後」と考えても良いでしょう。

また、この範囲が先週から変わっていないこともあり、週初めの上昇は、この範囲内でのボックス圏の水準が上がる上昇にとどまったと考えられます。

今週だけの短期で見ると膠着状態を抜け出し動き出したようにも見えましたが、このように2ヶ月間で見ると、ほぼ動いていない状況です。

短期売買を好む私たち個人投資家は、上でも下でも良いのでボックス圏を抜けてほしいところです。ですが、日経平均株価の推移を見る限り、まだ待たないといけない状況でしょう。

株トレンド指数を見ると、株式市場全体を牽引するようなトレンドではないものの、この2ヶ月間の中では、株式市場に動きが起きてきているように見受けられます。

もちろん、まだ明確なトレンド発生のような状況ではありません。しかし、先週の膠着状態が続くとどうなってしまうか分からないので、そこを抜け出せたことが重要かと思います。

また、現状を見る限り、株式市場全体に下落方向に動くパワーが蓄積された状態ではないことが分かります。

先週時点では、底値指数の状況をふまえると、やや下落リスクを想定しなければなりませんでした。しかし、その状況は脱したと考えられます。

このように2ヶ月間の日経平均株価と株トレンド指数を見ると、全体としては大きな動きはありませんが、先週考えられた下落リスクが小さくなり、再び上昇する可能性も出てきました。

ただし、その可能性はあくまでボックス圏の中での動きにとどまるでしょう。引き続き、今週のように一時的に上昇するが勢いが乏しくして停滞するか、上昇後反落し再びもとの水準に戻るなど、方向感のない展開が続くでしょう。

一方で、下落リスクがとても小さくなったことや、12月前半の日本株市場は上昇傾向が見られるので、何かの材料やアノマリーの動きで上昇する可能性もあります。

しかしながら、それが明確な上昇トレンドになるようなものは想定しにくいです。そのようなこともふまえると、今後も上昇を期待しつつ、ボックス圏を方向感なく推移することを想定しておくと良いでしょう。

需給バランスから見た週明けの日本株は?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:やや買い → 売りに変化
・個人投資家:中立 → やや買いに変化
・日本の機関投資家:やや買い → やや買いを維持

先週のデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」です。加えて、三者の売買の大きさも株式市場全体を動かすような大きさではありません。

タイムラグのあるデータですので、ここから変化している可能性もありますが、やはり株式市場を牽引するようなトレンドが発生するのは、まだだと考えられます。

なお、12月に入り今後注意したいのが外国人投資家の動向です。外国人投資家は、クリスマス休暇があることから、その前に手仕舞いをしてポジションを解消してしまうことがあります。

その動きがあると売りが強まり、需給バランスが売り方向に偏る場合もあります。反対に、個人投資家の動きが活性化され、ちょうどバランスが取れることもあります。

このように12月は年間の中でも、個別銘柄ごとの材料ではなく、株式市場の需給バランスで動くこともあります。

そういった意味でも、このバランスを把握しておくのはポイントになります。このバランスはインターネットで「投資主体別売買動向」と検索すれば見ることができます。ぜひ、こういった情報も把握していくと良いでしょう。

このように、12月に入り株式市場が動き出してきたようにも見えますが、データを見ると、まだ膠着状態を抜け出す程度の動きにとどまっています。

そのような状況をふまえると、まだここからどう動くか判断が難しい状況です。今の需給バランスが続いてしまうと、ほぼ水平状態のボックス圏が続く可能性もあります。

そのような背景がありますので、仮に週明けに上昇するようなことがあっても、想定されるボックス圏を勢いよく上抜けしない限りは、本格的な上昇トレンドになるとは考えないほうが良いでしょう。

12月の上昇傾向をふまえると、そういったことも考えたいですが、引き続き株価が動きにくい状態であることには変化がありません。

ここから何か動きがあっても決して楽観的になることなく、厳し目に判断して、株式市場の動向を追いかけていきましょう。