日経平均株価が場中ではりますが、一時4万円を回復しました。
これは10月中旬以来のことです。終値を基準に見ると、7月中旬以降まだありませんが、一時でも回復したのは良い材料でしょう。
こうなると期待したいのは、まずは終値で4万円に到達し、そのまま4万1000円、4万2000円、4万3000円と勢いよく上昇することではないでしょうか。
その一方で私たち個人投資家の頭を悩ませるのは、依然としてトレンドらしいトレンドが発生しない中で、日経平均株価の水準だけが上昇していることでしょう。
今週も最大の変動率でも12/12の1.2%で、その他の期間は全て1%未満の変動にとどまっています。
はたして、今週の一時4万円到達の上昇は、これまでの状況を打破し、週明けに本格的な上昇が発生する入口なのでしょうか?
それとも、これまで通りトレンドが生じない小幅上昇になってしまうのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/11/29〜2024/12/12の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週に続き日経平均株価と株式市場全体が”週単位で上昇している面では連動し、細部ではやや連動していない週”でした。
どちらとも取れる表現ではありますが、これが今週を表すのに適した表現でした。詳細を見る前に週単位で改めて見てみましょう。
今週は前述の通り日経平均株価も株式市場全体も上昇傾向でした。ただし、上のグラフの通り、上昇傾向を示す天井指数の水準が、先週よりも上がっていないことが分かります。
ここからも、今週の上昇には勢いがなかったと読み取ることができます。そして、その勢いのなさを示すのが日経平均株価の推移でした。
結果的に日経平均株価は上昇を続けているものの、12/12を除いては1%未満の上昇が続き、ようやく12/12に1%以上の上昇になりました。
このように週単位で見ると、天井指数の発生が先週よりも低水準であることと、日経平均株価の上昇率が小さいことが連動しています。
よって、全体感としては、このような捉え方をするのが良いと考えられます。
では、詳細を見てみましょう。週初めの12/9は日経平均株価と株トレンド指数が連動しない日でした。
上昇傾向を示す天井指数は先週末よりも2倍以上の水準になったものの、日経平均株価はほぼ変動がない0.18%上昇にとどまりました。
12/10は一転して連動しました。天井指数の水準が今度は半分以下の水準になり、前日の上昇勢いがなくなりました。
ただし、株トレンド指数の中で最も水準が高かったのが天井指数ということもあり、株式市場全体が下落するような状況ではありませんでした。前日の水準を維持する発生状況にとどまりました。
それを示すように、日経平均株価も0.53%上昇と、ほぼ前日と変わらない状況を維持しました。
12/11になると、今度は日経平均株価と株式市場全体の連動性がなくなりました。日経平均株価は、ほぼ変わらない0.01%上昇でした。
一方、株トレンド指数は上昇傾向を示す天井指数が再上昇し、週初め12/9に近い水準まで戻りました。
そして、12/12は日経平均株価と株式市場全体が、再び連動しました。上昇傾向を示す天井指数は週初め12/9よりもわずかに高い水準に到達しました。
日経平均株価も今週の中では最も大きい1.21%上昇を見せました。勢いは、まだ小さいもののこの水準に到達していることもあり、場中には一時4万円に到達する場面もありました。
このように今週は細部を見ると、株式市場全体と日経平均株価が連動したり、連動しなくなったりを繰り返していました。
ですが、結果として週単位で見ると、日経平均株価も上昇し、株トレンド指数の指標である上昇傾向を示す天井指数も途切れることなく発生を続けました。
それにより、両者とも大きな上昇があったわけではありませんが、下落リスクが現れることなく、順調に上昇したと考えられます。
しかし、ここで問題があります。これは週単位で見たら”結果的にこうなっていた”という話に過ぎません。
今週の日経平均株価と株式市場全体を見る限り、結果的には上昇したが「上がるのか、上がらないのか、良くわからない」状態が続いた週だったとも考えられます。
例えば、人によっては「もう少し上がれば仕掛けられるのに…」などと、その日その日では思いつつ結果的に上昇したことが分かり損した気分になりかねない状況だったでしょう。
言うなれば「真綿で首を絞める」という表現や「茹でガエル」という表現がありますが、気がついていたらこうなっていたという表現が適した株式市場だったのが、今週でしょう。
そのようなことをふまえると、今週の中で短期売買を仕掛けるのは難しく、よほど運良く銘柄を見つけない限りというくらい難解だったでしょう。
週明けの日本株どうなる?
直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、一時4万円に到達したものの、終値で到達していないこともあり、約2ヶ月間変わり映えしない状況が続いています。
ボックス圏の範囲も「上値:3万9500円・下値:38,000円前後」で推移しているように見受けられます。
強いて挙げるなら、12/12の上昇によってボックス圏を上抜けしようと、緩やかに上昇しようとしているようにも見えます。
しかし、ボックス圏を上抜けするには勢いがある上昇ではないので、そのように見えるという程度に留まるでしょう。
このように見ると、上向きに見えるのでさらなる上昇を期待したいですが、現状を見る限り再度ボックス圏の上値付近をウロウロしているうちに、跳ね返される可能性が高いでしょう。
株トレンド指数を見ると、株式市場全体を牽引するようなトレンドではないものの、引き続き上昇勢いが少しずつ出てきているように見えます。
ただし、そう見えるだけで今の時点では、ここから上昇するような勢いがあるようには見えません。
最低でも12/3の天井指数の水準程度に上昇しないと、いくら天井指数の発生が続いても、明確なトレンドが発生するような上昇は難しいでしょう。
このように両者を見ると、全体として言えるのは「今のところ下落リスクが発生していない」ことと、株式市場全体は「上昇しようとしているが勢い不足」というところでしょう。
せっかく日経平均株価が一時4万円回復という良い材料がありましたが、勢いが不足しているので、スパッと上がるような上昇ではなく、上昇するとしてもジワジワと上昇することになるでしょう。
また、そのようなジワジワな状況ですので、再びこのボックス圏の上値付近を方向感なく推移する可能性があります。
いずれにしても、トレンドが発生するのは、まだお預けのように見受けられます。
需給バランスから見た週明けの日本株は?
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。
・外国人投資家:売り → やや買い
・個人投資家:やや買い → 売り越し
・日本の機関投資家:やや買い → 買い越し
先週のデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「中立よりやや買い」です。
今回のデータでは動きがありました。国内の投資家たちが明確なポジションに変化しました。しかし、お互いに全く反対の動きをしています。
そこに外国人投資家は中立よりは買い越し程度の買いにとどまっているので、今の株式市場が示す通り下落はしないが、ジワジワとしか上昇できない環境になっていることが分かります。
日本の機関投資家は、10月週目以来の動きです。それ以降、ほとんど動きがなかったので急に動き出しました。
しかし、なぜか個人投資家はその動きと反対に、ほぼ同じ大きさで売り越しに変化しています。
ここから年末にかけて本格的な上昇をするには、日本の機関投資家が売り越すことなく、個人投資家が買い越しに戻ってくる必要があるでしょう。
それが週明けであれば、現状からは予測が難しい状況ですが、来週以降上昇する可能性が高まります。
反対に、日本の機関投資家が、急に利益確定などで売りに回ってしまうと、この状況が崩れ、下落リスクが高まるでしょう。
とはいえ、これはタイムラグのあるデータですので、ここから変化している可能性もあります。その点と現状をふまえると、次のデータが出てくることを待ちつつ、この需給バランスは株トレンド指数の天井指数と底値指数のバランスにも似ているので、それらの指数に着目するのも良いでしょう。
この12月は上昇傾向があることから、上昇を期待している方も多いかもしれません。しかし現状を見る限り、まだそのタイミングではないことが分かります。
その一方で、今年は暦のバランスが例年と違うので、ここから上昇傾向に入る可能性もあります。いずれにしても、日本株市場にはまだ上昇勢いが不足しているのは正しい理解だと考えますので、日経平均株価の一時4万円到達を大きな好材料にすることなく、引き続き厳しめに見ていくと良いでしょう。。