5日続落で日経平均株価が3万9000円を割りました。

先週は場中に4万円到達することもありましたが、そこから一転して下落が止まりません。円単位で見ると、先週末から約1000円値下がりしました。

その一方で、変動率で見ると合計でも約2.6%の下落ですので、下落トレンドと判断するような下落ではないとも考えられます。

値動きが小幅なのでジェットコースターのような乱高下の動きではありませんが、あまりに小幅な変動が続くので、気がついたら上に行き、気がついたら下に行くという状態が続いています。

特に今週は1%未満の下落が5日続きましたので、日々「これくらいの下げか」と思っていたら、いつの間にか一時4万円の水準から離れてしまったという感覚かもしれません。

今の日本株市場は、なぜこのように小幅下落が続いてしまっているのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向、今後の展開や今週の5日続落の理由について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらは2024/12/6〜2024/12/19の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、11月中旬にあったように変則的な状態で”両者が連動している週”でした。

変則的な状態の理由は、今週の株式市場は上昇・下落傾向を示す天井・底値指数の動きによって株式市場が動いたのではなく「空売り指数」によって株式市場が動いていたからです。

つまり、結論から言うと、今週の株式市場は通常の動きではなく「イレギュラー」な動きをしたので、動きを捉えにくい状況が続いたでしょう。

詳細を見ると週初めの12/16は空売り指数が天井指数と、ほぼ同水準まで上昇しました。先週末12/13時点でも同じ状況でした。

12/12時点では、ここから株式市場が上昇しないとは言い切れないという分析でしたが、この12/13と12/16に天井指数と空売り指数が同水準になったことで、その可能性がなくなったと考えられます。

空売り指数は株式市場全体の上昇にブレーキを掛ける役割です。このブレーキの水準が上昇傾向と同じになったことで、上昇の動きが打ち消されたと考えられます。

それを示すかのように日経平均株価も0.03%下落と、ほぼ横ばい状態で推移しました。

12/17は空売り指数の水準が天井指数よりも大きくなりました。これにより、今度は株式市場全体が上昇しようとする動きは、完全に止められたと考えられます。

日経平均株価も上昇を止められた状態が続いたので、この日も0.24%下落で、ほぼ横ばい状態で推移しました。

そして、12/18も依然として天井指数よりも空売り指数が大きい状態が続きました。ただし、前日よりも両者の発生水準が小さくなり、無風状態に近づいていきました。

前日までは空売り指数でブレーキを掛けられていただけでしたが、そもそもの発生水準が下がったことで、ここで更に勢いがなくなったと考えられます。

日経平均株価もそれに連動するように、前日までは横ばい状態でしたが、少し変動幅が大きくなり0.72%下落しました。

12/19も同じような状況が続きました。日経平均株価も同じように0.69%下落しました。

そして、今週は全体を通じて、上でもお伝えした通り「空売り指数」が各日とも高水準だったので、年間でも珍しい変則的な週でした。

セオリー通りに行けば、空売り指数が天井指数よりも高水準になると、その後突発的な上昇が起きやすい傾向があります。

ですが、高水準の日が続いてしまうと、今回のように変則的な状況になり気がついたらいつものような動きに戻る特長が見られます。

なお、カンの良いあなたであればお気づきだと思いますが、年間でも珍しいと言いつつ、11月中旬にも同じような状況がありました。年間でも珍しいことがこの2ヶ月間で起きています。

それをふまえると、2021年10月以降、従来のパターンとは違うイレギュラーな動きに入っている可能性が出てきます。もしくは、新しい傾向が出来上がる入口です。

私たちのデータ分析による判断では、2021年10月以降「本格的なトレンドが発生していない」と考えています。

日経平均株価の水準は上がっているので、超長期的に見れば上昇トレンドと捉えることもできるかもしれません。

しかし、その内訳はボックス圏の水準がジリジリと上がることで起きた結果的な到達に過ぎないと分析できます。

このような動きは、これまでの株式市場では見ることができませんでした。だから、2021年10月以降の動きと、直近の空売り指数が高水準になる動きはイレギュラーなことが続いているのか、もしくは新しい傾向の始まりだと考えられます。

まだ、どちらなのか判断できませんが、2021年10月以降の動きを脱しない限り、週単位で見てもイレギュラーな動きをする可能性があると考えておくと良いでしょう。

週明けの日本株どうなる?

直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、先週時点では緩やかな右肩上がりになりかけていますが、今週の5日続落で元に戻ってきました。約2ヶ月間変わり映えしない状況でもあります。

ボックス圏の範囲も、今週の動きがあったことで変化はなく「上値:3万9500円・下値:38,000円前後」で推移しているように見受けられます。

先週の段階で上昇勢いがないのでボックス圏の上値で跳ね返される可能性があると読み取りましたが、やはりそのような動きになりました。

こうなると、引き続きよほどの材料がない限りボックス圏を上抜けする力が足りず、上抜けを狙っては跳ね返される状態が続くでしょう。

引き続き、上記のボックス圏をウロウロしつつ、ボックス圏上値にいったり下値にいったりを繰り返すと考えられます。

株トレンド指数を見ると、先週時点では株式市場全体を牽引するようなパワーではないものの上昇勢いがありましたが、今週でいったんリセットされたと読み取れます。

やはり、日経平均株価が終値で4万円を維持していないこともあり、あの一時4万円回復は上昇の勢いをつける材料にはならなかったと考えられます。

加えて、先週よりも株トレンド指数全体の発生水準が小さくなっています。今年も残り1週+大納会であることを考えると、このまま発生水準が上がることなく、無風状態に近づいていくかもしれません。

両者の状況を見ても分かる通り、今の日本株市場は勢いを失っています。ここから株式市場を動かす大きな材料が発生することも考えにくいです。

また、毎年早めに休暇をとる個人投資家の方が年末に売買を重ね、それが株式市場に影響することもありますが、それも難しいでしょう。

あまり願いたくない動きではありますが、上のグラフのようにボックス圏を上抜けすることもなければ、下抜けすることもなく、ウロウロとボックス圏を推移したまま大納会を迎えるかもしれません。

日経平均株価5日続落の理由は?

テクニカル分析をメインにする私たちが考える理由は「ボックス圏の上値で跳ね返された」です。

当たり前のような話ではありますが、直近のボックス圏の範囲は前述の通り「上値:3万9500円・下値:38,000円前後」と想定されました。

しかし、先週時点でそこを逸脱し、場中ではありますが日経平均株価が一時4万円に到達しました。ただ、その到達は偶然性によるもので、トレンドが発生したものではありませんでした。

そうなるとボックス圏の上抜けは難しく、仮に今回のように一時に逸脱しても、再びボックス圏の中心付近に戻されてしまいます。

その戻される動きの一つが、今週の下落の理由だったと私たちは考えます。5日続落と言っても合計で約2.6%の下落です。これは上がりすぎた分を戻されたと考えるのが妥当でしょう。

いったんボックス圏の中心付近に戻れば、またボックス圏の上値付近まで上昇することもあります。反対に、今度は下値付近に向かって動き出すこともあります。

そのような中で、また1%前後の続伸・続落があるかもしれません。そのようなときは、理由という理由はなく、ボックス圏の中での動きはこういうものだと考えておくと良いでしょう。

需給バランスから見た週明けの日本株は?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:やや買い → 売り越し
・個人投資家:売り越し → 売り越し
・日本の機関投資家:買い越し → やや弱まるが買い越しを維持

先週のデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「中立よりは売り越し」です。

外国人投資家に動きがありました。推測ではありますが、これは年末休暇に入る前のポジション整理だと考えられます。

このタイミングに入ってしまうと、ここから年末に掛けて外国人投資家が買い越しに転じるのは難しいでしょう。

もし、今年残りの株式市場が上昇するならば、私たち個人投資家が買い越しに転じる必要があるでしょう。

もちろん、これは日本の機関投資家が買い越しを維持することが前提ですが、彼らも年末休暇に迎えてポジションを整理する可能性もあります。

ここから大納会にもし株式市場が動くならば、日経平均株価や株トレンド指数があの状況ですので、株式市場の材料というよりは、この需給バランスで動くかもしれません。

ただし、ここも大きく変動することはなかなかないことをふまえると、やはりこのままの状況か、多少変化した状況で大納会を迎えるかもしれません。

日経平均株価の推移、株トレンド指数、需給バランスのどれを見ても、なかなか動き出す要素が見つかりません。

大納会までに一波乱というのも想定しにくいのが現状です。もし何か材料が出ても、よほどの大きさでない限り現状維持の可能性が高いと考えられます。

そういったことをふまえながら、大納会の前週である週明けを見ていくと良いでしょう。