執筆者:高橋 佑輔|株式会社SAC Technologies ストラテジスト|プロフィール詳細
(【システム戦略専門家】トレード歴12年・11年利益達成。某証券会社の運用の根幹となるルール策定経験に基づき、個人投資家が陥る危険な心理と対策を解説します。)

損切り タイミングは今です!という情報はもちろんありませんが、「今が利益確定のチャンスです!」という言葉を、マネー雜誌やインターネットの情報で見たことはありますか?

きっと、このように「売りどき」を教える情報を配信しているメディアはなかなか見かけないのではないでしょうか。

多くのメディアはこれから上昇が期待できる「狙い目の銘柄」の情報や、「今が買い!」と表現される「買いどき」の情報ばかりでしょう。

損切り しないことのリスクと重要性

利益確定後に株価が上昇してしまい「あ~、もっとタイミングを遅らせれば良かった…」という経験が、あなたにもあるかもしれません。

もしくは、上昇していた株価がいったん下落したあと「きっと、また上がるはずだ!」と思って保有を続けたのに、いつになっても上昇せず「塩漬け」にした経験があるかもしれません。

利益確定タイミングを外して「塩漬け」に転換なんてことも、個人投資家の陥りやすいことかもしれません。

だから「売るタイミングさえ間違えなければ…きっと、利益を上げていたのに…」「こんなに損失が拡大しなかったのに…」と思ってしまうのが、私たち個人投資家の心理でしょう。

特に損切りタイミングは、「損を確定させてくない」「待てば戻るはずだ」という気持ちが交錯して本当に難しいものです。

損切りをしないことのリスクとデメリット

ただ、その損切りタイミング次第で、損失を最小限に抑えて、次のチャンス銘柄で利益を狙う資金にすることも可能なので、上手くいっている人ほど、損切りタイミングを味方につけてもいます。

つまり、損切りをしないことは、いつまでも資金を寝かせてしまうことになり、次のチャンス銘柄への投資機会を奪ってしまうことになります。

場合によっては、その銘柄が業績悪化で上場廃止や倒産などのリスクも伴います。そのとき、誰か救ってきれる企業がいれば良いですが、それがなければリスクだけが残ります。

近年で言えば、日産自動車<7201>が、その例です。救済者が現れたと思ったら株価は一時的に上昇しましたが、それが破断になると泣かず飛ばずが続いています。

いいところ、半値戻しの状態です。ここで損切りすれば、次のチャンス銘柄に資金投入、損切りしなければ、資金は寝た状態が続きます。

資金に余力があれば1銘柄くらいこうなっても良いですが、もし違う銘柄に資金投入する余力がない場合は、損切りしないことは、リスクでありデメリットなのです。

個人投資家の 損切り 失敗心理と原因

私たちが個人投資家へ「投資で最も難しいと感じること」を独自に調査したところ、第1位は「損切り(利益確定)のタイミング」でした。

それを考えると、あのような経験をしてしまうのは仕方がないことなのかもしれません。株を買い付けて、思惑通りに株価が上昇するときは嬉しい気持ちでいっぱいでしょう。

しかし、その反面「いつが損切りのタイミングなのか?」は、本当に難しいとことです。

実際に、私も初心者のときは、この「損切りのタイミング」に悩みました。株価の動きは一定ではないので、目の前で動く株価にいったいいつが損切りのタイミングなのかと悩みました。

その理由として考えられるのが「損失を確定することが苦痛で、損切りすることから目を背けたい」ということがあります。

損切り タイミングを狂わせる「たった一つ」の原因

なぜ、損切りをすることに、そこまで苦痛を感じてしまうのか?その原因の1つが、「含み損を抱えたまま放置したら、偶然含み益になった経験」です。

このような成功体験がある個人投資家は「今は含み益だけど損切りせずに、そのまま保有し続ければ、そのうち含み益になるだろう」と誤解する傾向があります。

ただし、これは運任せのことでギャンブルと変わりません。だから、これを続けてしまう限り、株式投資やトレードではなく、運にあなたの利益をゆだねることになってしまいます。

システム戦略家が教える 損切り 成功のコツ

そこで私がおすすめしたいのが「いま含み損になっている銘柄を新たに買いたいと思えるかどうか?」と自問自答することです。この自問自答は、投資における『期待値』を冷静に計算し直す行為に他なりません

たったこれだけですが、これをすることで運任せのギャンブルから抜け出し、損切りのタイミングが狂うことが減ってきます。

もし、この自問自答で、実際には買う必要はないですが、もう一度新たに買いたいと思えるほどその銘柄に魅力があるのであれば、それはきっと根拠があるでしょう。

しかし、もし「買わない」を選択するのであれば、それはそこで損切りをしたほうが良いと考えられます。

たった、これだけのことですが、そのうち含み益になると信じ、そのまま塩漬けにするよりも損失を回避することができます。

結果として、それが不用意な損失の回避につながり、これまで得た利益を失わないことにつながるでしょう。

高橋佑輔のシステムトレード戦略

私はこのような方法を実践するために、株式投資やトレードを「株価のアルゴリズム」で考えるようにしています。

私にとって、株価のアルゴリズムを知らずにトレードすることは、怖くてできない行為です。あえて危険な末路に飛び込むことだと考えています。

例えば、私のシステムトレード戦略では、『仕掛けてから6営業日以降経過』や『前日終値の損益率が-10%以下』など、感情が入る余地のない明確な損切りロジックを事前に設定しています。感情に頼らない判断こそが、11年間利益を上げられた最大の要因です。

このように「株価のアルゴリズム」で考えることが根本にある結果、リーマンショックがあった2008年からトレードで一度も退場する事なく、安定的に勝ち続けていくことができています。

もし、「株価アルゴリズム」で考えて株式投資をしていなかったら、きっとこのような結果を残し続けることはできないでしょう。

最後に

この記事で解説したような「感情に流されない判断」を可能にするためには、「株価の法則=傾向」を知り、システム的に考えることが不可欠です。

大手証券会社の運用ルール策定にも携わったシステム戦略の専門家、高橋佑輔が実践する「売買のタイミング」を習得したい方は、こちらのeBook(電子書籍)『日本株再入門』を今すぐお読みください。