日経平均株価 が6/18に3万9000円目前まで上昇しました。

先週は一時3万7000円台まで下落したものの3日続伸でジリジリと水準を上げてきました。

しかし、本格的な上昇トレンドが発生していないこともあり、勢いが感じられません。

今のところ直接的な影響は小さいですが、急遽発生した地政学リスクにより、上がろうとしているが上がれない印象も受けます。

一方で、先週までは「上値が重たい」展開でしたが、今週に入り地政学リスクがなければ、上昇する展開も望めたかもしれません。

引き続き、明確なトレンドが発生していないので、つかみにくい状況は続いていますが、地政学リスクを除けば良い流れになってきているようにも見受けられます。

そのような状況の日本株市場ですが、来週の日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

こちらをご覧ください。こちらは6/5〜6/18の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
今週の市場動向と日経平均株価の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長

今週の株式市場は、3日間のデータですので参考データではありますが、先週と変化し日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。

よって、先週に続き日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では、あまり差異がなかったでしょう。

ただし、日経平均株価は3日間で約2.7%上昇と、それほど大きな上昇ではなかったので、日経平均株価だけを基準にしても、状況をつかむのは難しかったかもしれません。

週初め6/16は1.26%上昇しましたが、その後が1%未満の上昇だったこともあり、その場その場では想定よりも難しかった可能性が高いでしょう。

このように、今週の株式市場は実際の損益に影響はないかもしれませんが、日経平均株価だけを見るか、それとも株トレンド指数も見るかで、このような違いはあったとも考えられます。

日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較

詳細を見てみましょう。週初め6/16は日経平均株価が1.26%上昇しました。

円単位で見ると、477円上昇です。先週末に3万7000円台に下落しましたが、これにより再び3万8000円台に上昇しました。

直近は1%未満の変動が続いていましたが、5/29の1.88%上昇以来の上昇幅でした。そのようなこともあり、日経平均株価を円単位で見る人にとっては、大きな上昇と錯覚したかもしれません。

株トレンド指数を見ると、先週の天井指数よりも水準が上がりました。30台に到達したのは5/29以来です。

引き続き下落傾向を示す底値指数も上昇していないことから、株式市場を牽引するような上昇ではないものの、少しずつ上昇傾向が強まっていることが分かります。

6/17の日経平均株価は0.59%上昇しました。円単位では225円の上昇です。変動率は小幅ですが、円単位で見る人の中には、それなりの上昇と受け取った人もいるかもしれません。

しかし、日経平均株価がこの水準まで上昇すると同じ1%の変動でも円単位での変動幅が大きくなります。

特に、日経平均株価が3万8000円をこえてくると、円単位での変動幅が大きくなりやすくなります。

そういったことを考慮すると、変動率の通りそれほど大きな変動はありませんでした。

株トレンド指数を見ると、前日同様、上昇傾向を示す天井指数の水準が維持されています。2日連続で30以上を保つのは、5/12~13以来です。

同様に下落傾向を示す底値指数も水準が低いままですので、株式市場全体が上昇傾向を維持していることが分かります。

なお、この日は日経平均株価が小幅変動でしたので、日経平均株価だけを見て方向感を捉えている人の中には、この上昇傾向を維持していることを読み取りにくかったかもしれません。

大きな差異ではありませんが、株トレンド指数も見て方向感を捉える人とは、ここから多少の差異が生じた可能性もあります。

6/18は日経平均株価が0.9%上昇しました。円単位で見ると348円上昇です。前日よりも日経平均株価の水準が上がったことで、同じ1%未満の変動率でも円単位での幅が大きくなってきました。

3万8000円台でも円単位の変動幅が大きくなりますが、それが3万9000円目前まで来ると、より大きくなってきた印象です。

反対に言えば、やはりこういった場面では、日経平均株価だけを見て方向感を捉える人の中には錯覚を起こす人もいたでしょう。

株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数が3日連続で30以上を保ちました。引き続き底値指数も上昇していません。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント

このように今週の株式市場は、日経平均株価は「週初めに1%以上の上昇をしたのちは横ばい」状態でした。

対して、株トレンド指数で見ると「先週まで続く小さな上昇の水準が一段上がった」状態でした。

まだ本格的な上昇トレンドが発生したわけではないので実際の損益への影響は小さいと思います。

ですが、このように見ると日経平均株価は、結果的に上昇しているが方向感をつかみにくい状況でした。反対に株トレンド指数は、先週よりも一段高い水準での小さな上昇傾向でした。

冒頭でお伝えした通り、大まかには両者が連動していましたが、細部を見ると少々違っているのが今週の特長といえるでしょう。

では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。

日経平均株価 の動向を徹底分析する

日経平均株価を基準に見ると、引き続きボックス圏を推移していることが分かります。

そして、今週の上昇で、ようやくボックス圏の水準が暴落前の「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」に戻ったと考えられます。

まだ確定ではありませんが、ここから地政学リスクなどで大きく下落しない限りは、戻ったと考えて良いでしょう。

ただし、依然としてボックス圏を抜けきれていない状況です。ボックス圏の水準は戻りましたが、ボックス圏を上抜けしたわけではありません。

そういった意味では、まだ方向感をつかみにくい状況が続いていると考えるのが妥当でしょう。

一方、株トレンド指数を見ると、先週に続き株式市場を牽引するような上昇傾向ではありませんが、小さな上昇傾向を維持しています。

また、先週よりも天井指数の水準が上がっていることが分かります。このように期間を伸ばすと全体的には横ばい状態ではありますが、ボックス圏の中で上昇傾向であることも分かります。

つまり、今週の株式市場で発生した小さな上昇傾向は、ボックス圏の上値付近まで上昇するためのものだったと考えられます。

ただ、ここで問題なのが上値付近まで上昇はするものの、ここから上抜けがあるかです。現状を見る限り、上昇勢いが不足しているのは明確です。

よって、株式市場全体に小さな上昇は続いているものの、ここから上抜けするにはまだ時間が掛かると現時点では考えられます。

そして、時間が掛かりすぎると、今度はボックス圏の中心や下値付近に向かう動きになる可能性が高いと考えられます。

そのようなこともあり、ここからはどれくらいの期間で上抜けするような上昇勢いを天井指数が作れるかがポイントになるかもしれません。

来週の日経平均株価の予想シナリオ

このように今週の株式市場は、市場全体が小さな上昇傾向を保ち、その水準が一段上がったことで、暴落前の「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」のボックス圏まで戻ったと考えられます。

しかし、ここからさらに上昇しボックス圏を上抜けするのは、明らかに天井指数の勢いが不足しています。

そのようなこともふまえると、来週の日経平均株価は引き続き「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」のボックス圏を推移する可能性が高いでしょう。

また、どちらかといえば、今の状況であればボックス圏の下値付近を推移するよりも上値付近を狙って推移する動きになると想定されます。

円単位では上下に比較的大きく変動すると思いますので、3万8000円~3万9000円の範囲を、いったりきたりすることも想定されるでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。最新データが更新されていないので先週と同じデータではありますが、現状は以下の通りです。

・外国人投資家:買い越し → 買い越し弱まる(↘)
・個人投資家:売り越し → わずかに買い越しに変化(↗)
・日本の機関投資家:売り越し → わずかに売り越し弱まる(→)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」です。

ただし、それほど大きな買い優勢ではないので、上昇トレンドが発生するような状況ではないこともわかります。

また、今週の状況もふまえて予測すると、このデータよりは買いが優勢になったかもしれません。

外国人投資家の売買動向

まず、外国人投資家です。外国人投資家は5月5週よりも買いが弱まりましたが、2023年以来の「10週連続買い」を記録しました。

今週の株式市場を見る限り、定かではありませんが、もしかすると外国人投資家が再び買いを強めたのかもしれません。

もし、そうなれば「11週連続買い」です。こうなると、やはり外国人投資家にとって、今の日本株市場は期待の市場と考えているのでしょう。

一方で、2023年のようなポジションの大きさはないので、日経平均株価は2万8000円台から3万3000円台まで上昇し「3万4000円」に到達するのではないかという上昇の勢いは想定できない背景もあります。

言い換えれば、ここから日経平均株価が上抜けするには外国人投資家単独もしくは他の投資家と合わせて、2023年のような勢いが必要になります。

天井指数の水準が上がることも重要ですが、その根底にある需給バランスが大きくなることも重要ですので、この点も着目しながら今後の動向を見ていくと良いでしょう。

個人投資家の売買動向

次は、私たち個人投資家です。個人投資家は売り越しから、わずかに買い越しに転換しました。8週振りの買いポジションです。
今週の株式市場の動きを見ると、外国人投資家がポジションを大きくしていなければ、個人投資家がポジションを大きくした可能性もあります。

個人投資家の動きは未知数な部分がありますが、先週に続き個人投資家が買いポジションを大きくすると、日経平均株価の上昇が期待できるでしょう。

日本の機関投資家の売買動向

日本の機関投資家を見ると、売り越しがやや弱まりました。細部を見ると多少違う部分もありますが、4月中旬以降外国人投資家と反対のポジションをとっている印象です。

そうなると、最新データで買い越しに転換するのは少々想定しにくいかもしれません。日本の機関投資家は、ここから4半期のポジション整理などをする可能性もありますので、引き続き消極的な可能性が高いでしょう。


国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

このように三者の状況をまとめると、ここから日経平均株価や日本株市場が上抜けするには、外国人投資家と個人投資家のポジションが上がることが条件だと考えられます。

どちらか一方でも上昇する可能性は高いですが、上抜けには届かないと考えられます。

2023年の日経平均株価が「3万4000円」を見えるところまで上昇した勢いは、外国人投資家が単独で作りました。

しかし、そのポジションは今の2倍程度です。ここから急激にそこまで上がることは想定しにくいので、やはり個人投資家と両者でこれと同等の上昇勢いを作る必要があるでしょう。

外国人投資家が維持し、個人投資家が追随すれば、日本株市場が上昇し日経平均株価も上昇する可能性が高まり、外国人投資家が転換すれば反対のことが起きる。

また、上抜けするには外国人投資家と個人投資家のポジションが大きく上がることが条件である。

そのようなことを想定しながら、動向を見ていくと良いでしょう。

来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス

このように今週の株式市場は、日経平均株価ではそれほど大きな変化はありませんでしたが、株式市場全体は上昇傾向の水準を一段上げてきました。

それによりボックス圏の水準も暴落前の「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」に、戻ったと考えられます。

一方で、このボックス圏を上抜けするには、明らかに上昇勢いが不足しています。需給バランスから見ても、上抜けするような買いポジションがありません。

このような状況ですので、冷静に現状を見ると、引き続き日経平均株価「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」のボックス圏を推移することが想定されるでしょう。

もちろん、上昇し上抜けを期待したいところですが、需給バランス・天井指数の動向から見て難しい状況にあります。

突如何らかの材料が出たら分かりませんが、現状ではこのような読み取り方が妥当だと考えられます。

なお、そのようなことは言いつつも、小さな上昇傾向が続いている事実は見過ごせません。

今の時点では難しいというだけで、この上昇水準が再び一段上がると状況は変わります。

ただし、それにはすぐにではなく少々時間が掛かると予測されます。そういった側面もありますので、上抜けには勢い不足ではあるものの、時間をかけて上昇する可能性はあると考えておくと良いでしょう。

そして、そのときは天井指数の推移がどうなるかがポイントです。ここは日経平均株価だけでは読み取ることが難しいところでもあります。

ぜひ、そういったポイントをふまえながら、引き続き動向を見ていきましょう。

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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/6/18(水)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。予めご了承くださいませ。