日経平均株価 が6/27前場中に4万円を突破しました。
4万円に回復するのは1月以来です。これでようやくボックス圏を上抜けしたと考えても良いところまできました。
場中ですので、終値でどうなるかが分からないところはありますが、4万円回復の節目を迎えたことで状況が変わる可能性もあります。
一方で、これまで4万円には到達するものの失速し、再びボックス圏に入ることも繰り返してきました。
今回の4万円到達は、このままボックス圏の上抜けを維持し上昇を続けるのでしょうか。それとも、これまでと同様失速しボックス圏に戻ってしまうのでしょうか。
そのような状況の日本株市場ですが、来週の日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
こちらをご覧ください。こちらは6/13〜6/26の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長
今週の株式市場は、先週と同様、日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。
よって、先週に続き日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では、あまり差異がなかったでしょう。
ただし、今週の上昇は両者で差異がある部分もありました。日経平均株価は4日間で約3%上昇し、6/27の終値が4万円を維持すると4~5%上昇したことになります。
仮に5%ですと、それなりの上昇ですが、まだ本格的な上昇トレンドと判断する水準ではありません。
また、日経平均株価の変動を円単位で見ると4日間で約1180円上昇しました。6/27の終値が4万円を維持すると1700円程度の上昇になる可能性があります。
このように日経平均株価を変動率で見れば、本格的な上昇と捉えるまでにはいきません。
ですが、円単位では約1180円の上昇や1700円程度の上昇なので、本格的な上昇トレンドと錯覚してしまう人もいるでしょう。
その点、株トレンド指数では、まだ本格的な上昇トレンドの入口と判断できます。
現時点では実際の損益に影響はないとは思いますが、今後こういった判断の差異が損益に影響してくるでしょう。
日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較
では、詳細を見てみましょう。週初め6/23は日経平均株価が-0.13%下落しました。先週末とほぼ変動なしです。
株トレンド指数を見ると、下落傾向を示す底値指数以外は、横並びのような水準でした。ただし、ここで特筆すべきことがあります。
この日に押し目買い指数が「19」まで上昇しました。押し目買い指数は、なかなか10を超えることがありません。
それを先週後半から10以上になり、6/23に19に到達しました。これは、その名の通り「押し目買い」の動きをする可能性が高まっていることを示します。
つまり、この日は今が一時的な下落で、ここから上昇を目指す動きが高まったと考えられました。
実際に、そのような動きになっているか6/24を見てみましょう。日経平均株価は436円上昇しました。1.14%上昇ですので、それほど大きな上昇には感じない水準かもしれません。
株トレンド指数を見ると、先週末から水準が下がりつつあった天井指数の水準が再び上がりはじめました。
6/25は日経平均株価は0.39%上昇しました。前日とほぼ変わらない水準です。
株トレンド指数は、上昇傾向を示す天井指数の水準が上昇し「30」に到達しました。これは先週の3万8000円台を確実にした緩やかな上昇時と同じ水準です。
そして6/26の日経平均株価は1.65%上昇しました。今週の中では最も大きく変動しました。
株トレンド指数は、上昇傾向を示す天井指数の水準がさらに上がり「50」に到達しました。
50に到達するのは5/9以来です。このときは、日経平均株価が3万6000円から3万7000円台に入る上昇を見せました。
つまり、日経平均株価でみると、それほど大きな上昇ではありませんでしたが、株式市場全体は上昇しつつあることがわかります。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント
このように今週の株式市場は、週初め6/23に押し目買い指数が19まで上昇した通り、そこから再上昇のような動きを見せました。
日経平均株価もそれに連動して上昇しました。そのようなこともあり、日経平均株価で見ても、株トレンド指数で見ても状況はそれほど変わりないかもしれません。
しかしながら、日経平均株価の上昇率よりは、株式市場全体が上昇しているとも捉えられます。
よって、今週の株式市場は大まかに言えば、日経平均株価で方向感を捉える人も、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では、あまり差異がなかったと考えられます。
ですが、株トレンド指数から読み取れる内容の通り、日経平均株価で把握できない内訳がありました。そういった点を考慮すると、細部に差異があったとも考えられます。
では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。
日経平均株価 の動向を徹底分析する
日経平均株価を基準に見ると、先週まで続いたボックス圏を上抜けしたと考えられます。
これまで推移していたボックス圏は「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」でした。
ただし、厳しめに見ると完全な上抜けとは言えません。あくまで円単位の数字上での上抜けと捉えておくのが良いでしょう。
日経平均株価が3万9000円程度の水準に到達すると難しいことがあります。それは、同じ1%の変動率でも、円単位の数字が大きくなるからです。
言い換えると、円単位では上抜け、変動率で考えると「完全な上抜けとは言えない」という状況です。
一方、株トレンド指数を見ると、先週に続き株式市場を牽引するような上昇傾向ではありませんが、小さな上昇傾向を維持しています。
ただし、先週と違ってメリハリのある動きになりつつあります。先週までは上昇傾向を示す天井指数が断続的に小さな上昇を続けていました。
ですが、今週はいったん天井指数が下がってから、段階的に上昇しています。この2ヶ月間の中で天井指数の水準が最も高いわけではありませんが、ようやく上昇の期待ができる動きになってきました。
来週の日経平均株価の予想シナリオ
このように両者をふまえると、まだボックス圏を完全に上抜けと判定はできないものの、本格的に上昇しようとしている動きが見られます。
推測ではありますが、これまで上昇したいが上昇できない状況が続く中で、地政学リスクが発生しさらに上昇できない状況になったのが良かったのかもしれません。
ボックス圏は長ければ長いほど、上下に抜けるときは大きく抜ける傾向があります。その傾向をふまえると、このタイミングで上抜けに向かっているのは良いのかもしれません。
そのようなこともあり、ここからポイントになるのは、今週の上昇が”完全な”上抜けになるのか、それとも一時的な上昇になるのかです。
もし完全な上抜けになれば、4万円付近の水準にとどまることなく、すぐに4万1000円、4万2000円と上昇するでしょう。
反対に、4万円付近にとどまるのであれば「上値:4万円付近・下値:38,500円前後」のボックス圏に落ち着くでしょう。
なお、日経平均株価はこの水準になると、同じ1%でも円単位の変動が大きくなるので、すぐに4万1000円、4万2000円と上昇していきます。
そして、上昇するほど同じ1%でもさらに変動が大きくなるので、加速度的に円単位の水準が上がります。
反対に言えば、一週間のなかで変化がなければ、それは天井を意味すると考えられます。
今は、これらのシナリオのどちらになるかの分岐点です。日経平均株価4万円到達は楽観的に見れば好材料ですが、ここからさらに上昇するかは、まだ分かりません。
楽観的にいきたい部分ではありますが、こういった側面もありますのでここからの日経平均株価と株トレンド指数の動きをよく見ていきましょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。現状は以下の通りです。
・外国人投資家:買い越し → 買い越しやや弱まる(→)
・個人投資家:わずかに売り越し → 売り越し強まる(↘)
・日本の機関投資家:買い越し → わずかに買い越し弱まる(→)

三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「均衡状態」です。
注目は、国内外の機関投資家と私たち個人投資家が反対のポジションを取っていることでしょう。
外国人投資家の売買動向
まず、外国人投資家です。外国人投資家はわずかに買いが弱まりました。ですが、依然として買いを継続しています。
これで12週連続買いです。ただし、一時よりはポジションが減りつつあります。特にこのフラフの2週はポジションが、それ以前よりも1桁マイナスになっています。
今週の日経平均株価が順調に上昇していることをふまえると、ここから再び買いポジションが増えている可能性もあります。
そうなると、再び日本株市場を上に押し上げるきっかけになります。また、もしかすると地政学リスクが回避され、今週は外国人投資家が買いポジションを増やしているのかもしれません。
もし、そのような動きがあるならば、株式市場の需給バランスを押し上げるきっかけになりますので、株式市場全体は上昇するでしょう。
個人投資家の売買動向
次は、私たち個人投資家です。売りポジションが一気に大きくなりました。6月2週は、ほぼニュートラルポジションでしたが、そこから一気に売りに転換です。
もしかすると、これは地政学リスクが影響しているのかもしれません。機関投資家は、このようなときポジション調整はしますが、いきなり大きく引くようなことはありません。
その点をふまえると、地政学リスクに過度に反応した結果が、このような状況を招いたと考えられます。
日本の機関投資家の売買動向
最後に日本の機関投資家を見ると、買いポジションは弱まっているものの、引き続き買いポジションを維持しています。
違う角度で見ると、個人投資家が売りになったものの株式市場全体が下落傾向に入らなかったのは、この機関投資家のおかげかもしれません。
一方で、株式市場全体を動かすようなポジション量ではない事実もあります。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
このように三者の状況をまとめると、やはり地政学リスクが影響していたと考えられます。個人投資家は一気に弱気になり売り越し、国内外の機関投資家はポジションを調整する動きをしました。
それをふまえると、今週株式市場が上昇し始めているのは、この三者のポジションが大きくなるか、買い越しが全体的に増えているのかもしれません。
ただし、この需給バランスで考えると、まだ本格的な上昇には届いていません。そのようなこともありますので、ここから日経平均株価4万円で止まるのか、それとも上がりつづけるのかで、今後の展開が変わるでしょう。
来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は、地政学リスクが上手く作用したのかボックス圏を一時的に上抜けしています。
まだ完全に上抜けとは判断できませんが、株トレンド指数で見ると上昇の入口のようにも見受けられます。
一方で、もし日経平均株価が4万円から4万1000円、4万2000円と上昇しなければ「上値:4万円付近・下値:38,500円前後」のボックス圏に落ち着くことが想定されます。
週明けはこのような分岐点になると考えられます。ぜひ、こういった視点を持ちながら、週明けの動向を見ていきましょう。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2025/6/26(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ6/27前場中のデータを含みます)。予めご了承くださいませ。