日経平均株価 が4万円から上昇しきれず3万9000円台での推移が続いています。
ただし、ズルズル下がることなく3万9500円よりも上の水準を推移しているので、日本株市場は底堅く推移しているとも言えます。
一方で、6/27・6/30だけしか4万円を突破していないことをふまえると、いったん上昇の勢いがなくなっているようにも見受けられます。
ポジティブに言えば「底堅く一進一退に推移」、ネガティブに言えば「勢い不足(息切れ)」といったところでしょう。
とはいえ、まだ再上昇を狙える水準を維持していることから、一服後に再度上昇を開始しそうにも見受けられます。
そのような日本株市場ですが、次はどのようなシナリオが想定されるのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
こちらをご覧ください。こちらは6/27〜7/10の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長
今週の株式市場は、再び先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。
よって、今週は日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では”差異”があまり生じない週だったでしょう。
ただし、今週の株式市場は”天井指数”によって動かされていたので、多少の差異はありました。
大まかには、日経平均株価だけを基準に方向感を捉えている人は「横ばい」と考え、株トレンド指数も使って方向感を捉えている人は「緩やかな上昇が続いている」と考えたでしょう。
先週に続き、この段階で実際の損益に影響があるような状況ではないと思いますが、全体としては同じだったと考えられるものの、両者にはこのような差異はあったと考えられます。
他にも、精神的な面で、日経平均株価だけで方向感を捉える人にとっては、一度4万円まで上昇する過程を見ていますので、この横ばい状態にイライラがあったかもしれません。
反対に、株トレンド指数も使って方向感を捉える人にとっては、日経平均株価が横ばいの裏側で上昇傾向の動きがあるなど、気持ちに余裕のある週だったかもしれません。
日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較
詳細を見てみましょう。週初め7/7は日経平均株価が0.56%下落しました。それまで4万円に到達してからは3万9000円後半を維持していましたが、ここで3万9000円”半ば”まで下落しました。
しかしながら、前日比1%未満の下落ですので、あくまでこれは円単位の話であり、株価水準としては、ほぼ変化なしと受け止めて良いでしょう。
株トレンド指数を見ると、この日は日経平均株価の小幅下落に連動するように、天井指数の水準が下がりました。
7/3から段階的に水準が下がっていますので、いったんここで落ち着くタイミングだったのでしょう。
また、ここで天井指数が下がったこともあり、多少上昇勢いがおさまり、日経平均株価も小幅下落したと考えられます。
7/8の日経平均株価は0.26%上昇しました。引き続き1%未満の変動ですので、これもほぼ変化なしと受け止めて良いでしょう。
対して、株トレンド指数は、前日に比べ上昇傾向を示す”天井指数”の水準が上がりました。再び先週末の水準にまで戻っています。
この点を考慮すると、日経平均株価と株トレンド指数は連動していますが、日経平均株価のほぼ変化なしよりは、株式市場全体が上昇傾向であることが分かります。
週の半ば7/9は、日経平均株価が0.33%上昇しました。こちらも1%未満の変動ですので、ほぼ変化なしです。
株トレンド指数を見ると、日経平均株価のほぼ変化なしに対して、上昇傾向を示す天井指数の水準が上がりました。
6/30の水準には届かないものの、上のグラフ内では3番目に高い水準です。これをふまえると、勢いは小さいものの株式市場全体は緩やかに上昇していることが分かります。
実際の損益への影響は少ないですが、このあたりは細部として日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って捉える人では差異が出ていたとも考えられます。
最後は週の後半7/10です。日経平均株価は0.44%下落しました。これで7営業日連続で1%未満の変動です。上のグラフの通り7/2以降横ばい状態です。
一方、株トレンド指数を見ると、日経平均株価の小幅下落に連動するように、上昇傾向を示す天井指数の水準が下がりました。7/7と同水準です。
上昇傾向の勢いは小さくなりましたが、引き続き緩やかな上昇傾向が続いていることが分かります。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント
このように今週の株式市場は、全体感としては日経平均株価は「変化なし」でした。ただし、連日の上下は天井指数の水準の変化に連動していました。
よって、日経平均株価を単独で見ていると「次の展開が全く読めない」状況だったでしょう。
反対に、株トレンド指数も合わせて見ていると、日経平均株価は変化なしだが、株式市場全体は上昇傾向をまだ保っていると読み取れます。
実際の損益には影響しませんが、メンタル面では案外影響があったかもしれません。
更に深く読み込むと、日経平均株価を見ると次の展開を読めないうえ、過去のように4万円から再び3万9000円…8000円…7000円とズルズル下落することを考えた人もいるかもしれません。
まさに「ここが天井」と思い込み、いらぬ恐怖感を味わった人もいるかもしれません。
一方、株トレンド指数も一緒に見ると、緩やかな上昇傾向を保っているので、今週のような株価水準をギリギリで保つことを予測できました。
比較的ポジティブに状況と捉え「再上昇するタイミングはいつか」と、そのタイミングを伺っていたかもしれません。
では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。
日経平均株価 の動向を徹底分析する
日経平均株価を基準に見ると、ボックス圏を上抜けしたと思われましたが、実際はボックス圏の水準が上がっただけだと読み取れます。
読み取り方によっては、4万円到達を上抜けと考えて良いかもしれませんが、ここでは厳し目にボックス圏の水準が変化する上昇だったと捉えます。
そのまま4万1000円…2000円…3000円と上昇すれば完全に上抜けと判断できましたが、その流れはありませんでした。
よって、直近の日経平均株価は「上値:4万円付近・下値:38,500円前後」のボックス圏を推移すると考えられるでしょう。
ただし、上抜けはできなかったものの、引き続き”高値圏”を推移していますので、再上昇を狙う展開も期待できるでしょう。
一方、株トレンド指数を見ると、引き続き株式市場を牽引するような上昇傾向ではありませんが、小さな上昇傾向を維持しています。
ただし、先週の時点で期待された本格的上昇トレンドの入口というのは、ダマシであったと考えるのが妥当かもしれません。
やはり、上昇勢いが不足していますので、引き続き緩やかな上昇傾向は継続されるものの、ここから本格的に上昇するのは少々難しいかもしれません。
来週の日経平均株価の予想シナリオ
このように今週の株式市場は、期間を広げて見ても、日経平均株価は横ばい、株トレンド指数で見ると緩やかに上昇と読み取れます。
また、株トレンド指数を見ると、日経平均株価が4万円に上昇したタイミングは、この2ヶ月間の中では大きな上昇があったことが分かります。
その後は、緩やかな上昇が続いていることから、日経平均株価4万円到達の上昇は上昇トレンドの入口になる上昇ではなく、ボックス圏の水準を上げる上昇であったと考えられます。
こうなると難しいのが次の展開です。株式市場全体に小さな上昇はありますが、再びボックス圏を押し上げたり、上抜けするような勢いはありません。
とはいえ、ここから下がるような動きもなく、良く言えば底堅い状況が続いています。
そして、ここからは参議院選挙を控えています。海外の投資家は政権や国の代表がコロコロ代わることを嫌がるとも言いますので、結果が出るまで動きを控えている可能性があります。
もしくは、投開票日が近づきおおよその結果が見えてくると、上下のどちらかに動きを見せてくるかもしれません。
一方で、直近の選挙時もそうだったように、特に何も変化がなく何もなかったかのように過ぎることもあります。
そのようなこともありますので、ここからは参議院選挙までは様子見が続くと考えても良いかもしれません。
具体的な日経平均株価で示すと、引き続き「上値:4万円付近・下値:38,500円前後」のボックス圏を推移する可能性が高そうです。
先週までは、まだ4万円から更に上昇する可能性がありましたが、そのシナリオはいったん消えたと考えるのが妥当です。
ここからは、またガマンの日が続いてしまいますが、この狭いボックス圏が続くと想定しておくと良いでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。現状は以下の通りです。
・外国人投資家:買い越し → 買い越し強まる(↗)
・個人投資家:売り越し → 売り越し弱まる(↗)
・日本の機関投資家:買い越し → 買い越しわずかに弱まる(↘)

三者をまとめると、全体の需給バランスはグラフのように「買い越し」です。
6月4週は個人投資家が三者の中では大きく売り越していたので均衡に近い状況でした。
しかし、最新週に入り個人投資家の売りが小さくなったことで、全体としては「買い越し」に変化しました。
また、それに伴い全体的なポジションは前週よりも小さくなり、6月3週に近づいた印象です。
とはいえ、個人投資家の売り越しが弱まり、かつ外国人投資家の買い越しが強まったことで株式市場全体は、久々に上昇傾向があったのだと考えられます。
では、各投資家の詳細を見てみましょう。
外国人投資家の売買動向
まず、外国人投資家です。最新週も買い越しでしたので、これで14週連続で買い越しです。
ただし、日本株市場が本格的な上昇トレンドを迎えるような買いポジションの大きさではないこともあり、株価自体はそこまで上昇していません。
先週のように上昇するときもありますが、どちらかと言えば、今の日本株市場はこの外国人投資家のポジションによって下落することなく底堅さを維持していると考えられます。
14週の中にはニュートラルポジションに近い状況もありましたが、買い越しを強めてきています。
今後は、何を材料にこの買い越しのポジションをより大きくするかがポイントでしょう。
一つの材料は参議院選挙だと思われますが、きっかけにならないときもありますので、引き続き慎重に彼らの動きを見ていきましょう。
個人投資家の売買動向
次は、私たち個人投資家です。売りポジションが一気に小さくなりました。1/10程度まで小さくなっています。
結果論ですが、日経平均株価が4万円を突破したのは、個人投資家の売り越しが弱くなったことが理由だと考えられます。
そうなると、ここから考えられるのは個人投資家のポジションがいつ買い越しに変化するかです。
今週の株式市場の動きを見る限り、日経平均株価も株トレンド指数もそれほど動いていないので、引き続きニュートラルポジション前後を推移していると思われます。
違う見方をすれば、国内外の機関投資家は買いポジションを継続していますので、個人投資家が明確な買いポジションに転換したとき、本格的な上昇トレンドが発生するでしょう。
反対に、現状維持もしくはわずかに買い越しなどになると、引き続き今の水準でのボックス圏での推移が続くと考えられます。
あくまでも国内外の機関投資家が現状を維持することが前提ですが、ここからの株式市場は私たち個人投資家がカギになりそうです。
日本の機関投資家の売買動向
最後に日本の機関投資家を見ると、買いポジションを維持していますが、緩やかにポジションが小さくなっています。
日頃から大きく動かないのが日本の機関投資家ですので、引き続きこのようなポジションになるかもしれません。
もし売り越しになったとしても、大きく売り越すことなく小さく売り越すことが想定されます。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
このように三者の状況をまとめると、全体としては買い越ししているのが現状です。
ただし、ここから来週以降を考えると、最もカギになるのが個人投資家だと考えられます。次に14週連続で買い越しの外国人投資家です。
日本の機関投資家は、あまり大きくポジションを変更しないことをふまえると、ここからの需給バランスは「個人投資家」と「外国人投資家」次第になりそうです。
そう考えると、これまでお伝えした通り「参議院選挙」が、ポジションに変化を見せる材料になるかもしれません。
外国人投資家は政権や総理がコロコロ変わらないことを望みます。個人投資家の思惑は不明ですが、株に関する経済面を強く打ち出す政党が見当たらないことをふまえると、順当な結果を期待するかもしれません。
そのようなことをふまえると、何も変化がないシナリオもありますが、参議院選挙によってこの需給バランスにも変化があるでしょう。
そして、その結果次第で現状の結果の様子見のような動きから抜け出し、上抜け下抜けのシナリオが決まるでしょう。
来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は、以前まで続いていたボックス圏を完全な上抜けには届かず、ボックス圏の水準を上げるにとどまったことが分かりました。
また、需給バランスも見ると、どうも参議院選挙の結果が出るまで待っているようにも見受けられます。
そうなると、各分析でも見た通り、ここから株価は動きにくいことが想定されるでしょう。
前述の通り、具体的な日経平均株価は「上値:4万円付近・下値:38,500円前後」のボックス圏で推移することが想定されます。
せっかく日経平均株価が4万円に到達したので、そのまま上昇を続けてほしい気持ちはありますが、いったんここは選挙の結果待ちになるでしょう。
なお、それを裏付けとして見られるのが、これまでの分析通り、日経平均株価は横ばいだが、株式市場全体は小さな上昇傾向を継続していることです。
もしこれが継続せず上下入れ替わっていたら、参議院選挙に関係なく変動することが想定されます。
しかし、そうなることなく緩やかに上昇を継続するのは、次の材料をきっかけに上昇する可能性があるとも読み取れます。
多少楽観的なシナリオではありますが、現時点の動きを見る限り、そういったことも想定されます。
ここからはしばらく、株トレンド指数だけでなく需給バランスや選挙など、複合的な材料を見ながら、次の展開は「上抜け・下抜け・変わらず」を想定していくと良いでしょう。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2025/7/10(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。予めご了承くださいませ。