日経平均株価 がついに4万3000円台に突入しました。

これまで4万円を突破してもテンポよく上昇せず失速していましたが、今回は違います。

変動率は大きくても2%程度にとどまっていますが、同じ変動率でも円単位での水準が上がったことで、円単位ではテンポよく上昇しています。

株式市場全体も上昇トレンドに入っていることもあり、上昇勢いを保ったまま推移しています。

このように上昇傾向のある日本株市場ですが、一方で心配されるのが「天井はいつか?」ではないでしょうか。

それとも、その心配が取り越し苦労に終わり、更に上昇するのかの見極めが難しいところでもあります。

そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

先週の市場動向と 日経平均株価 の変動

こちらをご覧ください。こちらは8/1〜8/15の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

株トレンド指数から見る先週の日本株市場の特長

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。

先週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”やや連動がない週”でした。

ただし、引き続き日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では”差異”が生じた週だったと言えるでしょう。

なぜなら、日経平均株価と株式市場全体では「上昇勢いが違っていたから」です。

大まかに言うと、先週の株式市場は、日経平均株価は上昇していますが、横ばいと言えば横ばい状態でした。

反対に株式市場全体は、先々週ほどの上昇勢いはありませんでしたが、引き続き上昇トレンドを維持していました。

つまり、日経平均株価だけを基準に方向感を捉えている人にとっては「横ばい=方向感を捉えるのが難しい」状態で、株トレンド指数も含め方向感を捉える人にとっては「短期的な上昇トレンドを維持」と判断したでしょう。

片方は「横ばい=方向感が難しい」、片方は「短期的な上昇トレンド維持」これは大きな違いです。

しかしながら、損益に大きく影響を及ぼすような違いではないので、その点は差異がなかったと考えられます。

一方で、日経平均株価だけを見ると、上昇トレンドが続いているか判断が難しい状況でしたので、とても迷いがある週だったとも言えるでしょう。

よって、損益には影響がないものの、今の状態をどう捉えるかに差異があり、次の展開が起きたときには、損益に差異が生じるでしょう。

日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較

では、詳細を見てみましょう。週初め8/12の日経平均株価は2.15%上昇し4万2000円台に上昇しました。円単位では897円上昇です。2%以上の変動は7/23以来です。

株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の水準が前週末よりも、やや下がったものの引き続き上昇傾向を維持していることが分かります。

上昇の天井よりはやや落ちた水準ですので、前週末が上昇のピークであったと読み取れます。

そして、ここから一旦上昇が収まり、再上昇の展開になることが予測できる日でした。

8/13の日経平均株価は1.3%上昇しました。円単位では556円上昇です。1%程度の変動ですので、ほぼ動きがないと言えば、動きのない変動でした。

ちなみに、この4万円を超えた水準では、円単位で変動幅を捉えると錯覚しやすくなります。同日は556円上昇しても変動率は1%程度です。

このように、この水準では同じ1%でも円単位の幅が大きくなります。だから、円単位で「大幅上昇」と思っても、実際には大幅上昇ではないので、ここからはより注意が必要です。

同日の株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の水準が下がりました。日経平均株価とは連動性がありませんでした。

日経平均株価も1%程度の上昇ですので、それほど大きな影響はありませんが、ここで株式市場全体の上昇勢いが落ちてきたことが分かります。

なお、可能性は低いと思いますが、日経平均株価だけを見ると、ここを大きく上昇だと錯覚したかもしれません。

6日続伸の最終日でしたので、勢いが続き、このまま上昇すると考える人もいたでしょう。

ですが、実際は株式市場全体の上昇が落ちましたので、それは誤りだったことが分かります。

8/14の日経平均株価は1.45下落しました。円単位では625円下落です。ここは反対に円単位で捉えることで「大幅下落」と読み取ってしまった人もいたでしょう。

実際は、変動幅の通り1.45%下落ですので、そこまで大きな下落ではありません。4万2000円台に戻りましたが、悲観的な下落ではありませんでした。

ですが、円単位で捉えてしまうと状況が全く違っていたと考えられます。

株トレンド指数を見ると前日よりも更に天井指数の水準が下がりました。結果論ではありますが、この日がこのまま上昇勢いがなくなるか、それとも再上昇するかの分岐点だったと考えられます。

次の日8/15の天井指数がどうなるかで、再上昇するか、それとも上昇が終わってしまうか決まると考えられます。

ちなみに、これは結果論ではなく傾向ではありますが、直近の状況を見る限り、この上昇勢いのなくなり方は、再上昇の可能性が高いものでした。

いずれにしても、ここも日経平均株価だけでは読み取ることができない部分でした。

8/15の日経平均株価は1.71%上昇しました。2%には届かなかったものの、週初め以来の幅の上昇です。

円単位では729円上昇しました。もし、この上昇を円単位で捉えると、大きな上昇と捉えていたでしょう。しかし、実際は変動率の通り小幅上昇でした。

ここも変動率ではなく円単位の変動幅で見ると、錯覚を起こしやすいタイミングでした。

株トレンド指数は、上昇傾向を示す天井指数が再上昇しました。前日の2倍以上の水準です。これにより、上昇トレンドが続いていることが確定しました。

そして、この日は注意がありました。日経平均株価は4万3000円台に突入し、高値を更新しました。加えて円単位でみると729円の大幅上昇に錯覚する水準です。

対して、天井指数は前日の2倍以上まで上昇したものの、勢いのある上昇ではなく、再上昇の入口の水準です。

一方は高値、一方は再上昇の入口と、見方が違っています。現時点では損益に大きな影響はありませんが、両者で上昇の捉え方が違っていたでしょう。

先週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント

このように先週の株式市場は、随所に日経平均株価と株式市場全体の連動性が見られますが、全体を見ると連動性があまりない週でした。

また、日経平均株価を変動率で捉えていれば、まだ良いですが、円単位で捉えてしまうと、右往左往する週だったでしょう。

そして、株トレンド指数を見れば、8/15で再上昇が確定したことで「ここが天井ではない」と読み取れました。

ですが、日経平均株価だけを見ると、上下はするものの、結果的には横ばいに近い動きでしたので「ここが天井ではないか」と不安な週だったかもしれません。

特に今は、アベノミクス相場のように、経済政策の後押しのある上昇トレンドではなく、自然発生の上昇トレンドです。

そのような背景もふまえると、日経平均株価だけで天井を判断するのはとても難しく不安がつきまとう状況だったかもしれません。

日経平均株価 の動向を徹底分析する

では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、ボックス圏を上抜けしていることが分かります。

当初はボックス圏の水準を上げる上昇にとどまったのではないかと心配されましたが、これで上抜けと言って良いでしょう。

ただし、推移を見る限り、日経平均株価が上昇トレンドに入ったような上昇勢いはまだ見られません。

これをポジティブに見れば「まだ上昇余地がある」と判断し、ネガティブに見れば「再び失速し、横ばい状態に入る」と判断できるでしょう。

今のところ、どちらになる可能性が高いのか分かりませんが、日経平均株価だけを見るとこのような状況だと読み取れます。

補足すると、日経平均株価だけでは上昇勢いを確認するのが難しいので「ここが天井」と捉えてもおかしくない状況です。

一方で、日経平均株価だけではこういったときに株式市場全体の動きを把握できない良い例でもあります。

まさに、玄人だけが読めたり、チャートリーディングに長けた人だけが天井を判断できる状況です。

それくらい、日経平均株価だけでは状況を捉えるのが難しい良い例ですので、ぜひこの場面を覚えておくと良いでしょう。

株トレンド指数を見ると、引き続き上昇トレンドの勢いが続いていることが分かります。

8/14に上昇傾向を示す天井指数の水準が下がったものの、8/15に再上昇したことで上昇トレンドが続くと分かりました。

ただし、ここから判断が難しいのが、8/8をピークにした上昇トレンドで終わるのか、それとも更に大きな上昇トレンドが発生するかの判断です。

セオリーで見ると、半々の状況です。当たり前の話にはなりますが、もし8/8がピークの上昇にとどまると、今週発生する上昇はそれよりも小さな上昇にとどまります。

反対に、それ以上の上昇を控えている可能性もあります。8/8ピークの上昇が天井指数のピークを迎えていないことを考慮すると、更に大きな上昇があってもおかしくありません。

一方で、上昇には常にダマシがありますので、上昇する確率40%で考えると、微妙な判断になります。

いずれにしても、「ここが天井」と判断するのは、まだ数日早いと考えられます。今週の株式市場がどうなるか次第で、天井かどうかを判断するのが良いでしょう。

今週の日経平均株価の予想シナリオ

このように今週の株式市場は、期間を広げても、日経平均株価だけでは状況を読み取るのが難しいことが分かります。

先週だけを見ると、高値更新が続いたことから上昇しているように見えますが、実際は高値圏で横ばい状態です。

これが調整局面であれば、ここが天井ではなく再上昇を期待できますが、それも日経平均株価だけでは読み取れません。

ですが、株トレンド指数を加えると、天井指数の動きから、上昇トレンドの動きをしているので、調整局面とは判断できません。

このように、株トレンド指数を加えれば状況を読み取れますが、日経平均株価だけでは、諸々の判断が難しいと言えます。

また、今後の展開を考えると、先週末の上昇で再上昇のシナリオは堅いですが、それが8/8をピークにした上昇が終焉に向かう上昇か、それとも8/8をピークにした上昇よりも大きな上昇かの分岐点にいると考えられます。

これ次第で、今が天井なのか、それともまだ上昇余地があるのかが分かるでしょう。

そのようなこともありますので、今週は日々天井指数の動きを監視し、この上昇がどちらの上昇なのか見極めていきましょう。

なお、8/8をピークにした上昇は、天井指数の基準である「170」付近で上昇が終焉には届いていません。ここだけ読むと、まだ上昇余地があります。

これをふまえると、今週の株式市場で、この天井指数が再び150付近まで上昇すれば、170付近まで上昇するものになるでしょう。

反対に100~120程度の水準に留まるなら、それは8/8がピークで、そのまま上昇トレンドが終焉するでしょう。

このような目安を持ちながら、引き続き株式市場を見ていくと良いでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。

・外国人投資家:売り越し → 小さな売り越しに転換(↗)
・個人投資家:わずかな買い越し → 売り越しに転換(↘)
・日本の機関投資家:小さな売り越し → 小さな売り越しを維持(→)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスはグラフのように「売り越し」です。特筆すべきは個人投資家だけが売り越しで大きくポジションを取っていることです。

国内外の機関投資家は、売り越しではありますが、お盆休みに向けたポジション整理だと考えられます。

また、ここで少々難しいのが、三者の需給バランスでは完全に売り越しですが、日経平均株価は小幅上昇していることです。

これは「日経平均株価=株式市場全体のトレンドではない」と言ってしまえばそれまでですが、それを表した良い例とも言えます。

ただし、今回は株トレンド指数から読み取れるトレンドとも違っていますので、とてもイレギュラーなときであることが分かります。

では、各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家の売買動向

まず、外国人投資家です。最新週ではわずかに売り越しです。ただ、これくらいの売り越しですと、ほぼニュートラルポジションと変わりありません。

お盆の日本株市場は出来高が小さくなることで、負担は反応しないような材料でも上下のどちらにも反応することから、下にいくリスクを回避した動きかもしれません。

いったんニュートラルポジションに近づけ、お盆明けに買い戻すシナリオも想定されます。

個人投資家の売買動向

次は、私たち個人投資家です。三者の中では、最も大きく売りポジションを取りました。これもお盆休暇の影響だと思われます。

もしくは、ここにきて上昇してきたので、天井と判断し利益確定を大きくしてきた可能性も考えられます。

実際に、日経平均株価が高値更新など節目を迎えたときの個人投資家は、利益確定をする動きが見られます。

例えば、直近で多いのが4万円に到達したタイミングなどです。これまで何度もこの水準で失速しているを見ていると、ここを手仕舞いタイミングと考えている人が多いのかもしれません。

今回は、さらに上昇したものの、後から後悔するよりは良いなどと考え、ここで一気に手仕舞いに入ったと考えられます。

こうなると、難しいのが次の展開です。お盆明け8/18は前場時点で日経平均株価が高値更新しています。

ただ、一般的な個人投資家が日経平均株価でトレンドを捉えていることを想定すると、ここが天井なのではないかと、消極的になるシナリオも想定されます。

もし、そうならず個人投資家も買い戻しに動けば、株式市場全体は8/8がピークの上昇トレンドよりも更に上昇するでしょう。

日本の機関投資家の売買動向

最後に日本の機関投資家です。ポジションが前週からほぼ変わりませんでした。こうなると、お盆明けに買い戻しをするかがポイントになるでしょう。

ただ、買い戻しというほど売りがあるわけではもありません。そのことをふまえると、日本の機関投資家は、次の展開でのポイントになるプレイヤーではないかもしれません。


国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し

以上が三者の状況です。お盆を迎える直前のポジションということもあり、国内外の機関投資家はポジション整理をしていた印象です。

その中で、個人投資家だけは日経平均株価の上昇に伴い利益確定して売りが先行した印象です。

そうなると、このお盆明けに注目のプレイヤーは「外国人投資家」だと考えられます。しばらく買い越しが続いていた中で、2週連続で売り越しに転換しました。

ただし、これはお盆が関連している可能性があるので、8/18以降に買い戻しがあるかがポイントでしょう。

もし、外国人投資家が積極的に買い越しで動くのならば、ここから大きな再上昇を期待できます。反対に、買い越しがそれほど大きくなければ、ここが天井になるでしょう。

いずれにしても、今はその分岐点にいると考えられます。引き続き、三者の中でも外国人投資家の動きに注目し、次の展開を読むと良いでしょう。

今週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス

このように今週の株式市場は、上昇トレンドが途切れることなく続き、場合によってはここから本格的な上昇トレンドに入る可能性も出てきました。

ただし、これは日経平均株価では読み取ることが難しい展開です。高値更新は続いているものの、まだ勢いのある上昇には見えません。

むしろ停滞するか、方向感がいまいちない状況が続いています。そういった状況をふまえると、直近の株式市場は日経平均株価だけを見るか、それとも株トレンド指数も含めて見るかで状況の捉え方が変わってくるでしょう。

そして、ここでポイントになるのが「今が天井」なのか、それとも「更に上昇」するかです。

8/14時点までのデータを見ると、8/8が天井であった可能性が高いですが、お盆明けの状況をみると、更に上昇する可能性もあります。

流動的にはなってしまいますが、今週の株式市場の天井指数が150付近まで上昇すれば、さらなる上昇への期待が高まります。

ただ、さらなる上昇があった場合は、そこが天井だと想定されます。

反対に、そこまで届かない勢いであった場合は、8/8が天井で今週の上昇は終焉に向かう上昇だと想定されます。

このどちらになるかは今週の株式市場を見ないと分からないので、日々天井指数を監視していきましょう。

>>来週の日本株が上がるか?下げるか?知りたい人は他にいますか?
より詳しい分析結果も読むには、こちらをクリック(note)<<

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/8/15(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ8/18前場時点のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。