日経平均株価 が方向感を失っています。

週初めは4万2000円を維持したものの、週半ばで4万2000円を割りました。そこから週の後半に入ると再び4万2000円を回復しています。

変動幅もこれまでと違い1%以上の変動率が増えたことで、円単位での変動も体感上では大きく見える動きをしています。

そのようなこともあり、乱高下という状況ではありませんが、円単位で方向感を捉える投資家にとっては、右往左往する状況かもしれません。

こうなると判断が難しいのが、依然として高値圏を推移はするものの、このまま停滞してしまうのか、それとも再上昇があるのかでしょう。

そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

こちらをご覧ください。こちらは8/22〜9/4の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長

今週の株式市場は、先週に続き日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。

そのようなこともあり、日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と株トレンド指数も使って方向感を捉える人では、差異が生じたでしょう。

また、場合によっては”思ったのと反対方向に株価が動く”可能性も高かったので、損益にも差異が生じた可能性もあります。

まだ、大きな損失になるような動きではありませんでしたが「日々の株価の動きに振り回された」投資家もいたかもしれません。

日経平均株価だけでは、それくらい日々の株価の動きに振り回されるような環境だったと考えられます。

ちなみに、今週の捉え方をシンプルに言うならば、日経平均株価だけを見ている人は「乱高下」または「方向感なし」と捉え、株トレンド指数も見ている人は「上昇勢いが継続中」と読み取ったでしょう。
そのようなこともありますので、損益だけでなくメンタル面でも差異が生じたと考えられます。

日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較

では、詳細を見てみましょう。週初め9/1の日経平均株価は1.24%下落しました。円単位では529円下落です。

何とか4万2000円台を維持したものの、先週末から640円近い下落です。下落率は小さいものの、円単位のイメージを持つと、随分下落したと錯覚したかもしれません。

株トレンド指数を見ると、先週でいったんおさまった上昇トレンドですが、完全に上昇勢いが止まるような状態ではなかったことが分かります。

週初め9/1の株トレンド指数は、水準が低いものの上昇傾向を示す天井指数が最も高い水準でした。

もし、ここで下落傾向を示す底値指数の水準が上がれば上昇トレンドの終焉を示しましたが、そこには至りませんでした。押し目買いの水準も通常よりは高い状況を保ちました。

これらの状況から、日経平均株価は下落したものの、株式市場全体は引き続き上昇勢いを保っていることが分かります。

9/2の日経平均株価は、0.29%上昇しました。円単位では121円上昇です。円単位で見ると多少上昇していますが、変動率の通りほぼ水平の推移でした。

一方、株トレンド指数は、これまで押し目買い指数で蓄積された分なのか、天井指数が急上昇しました。

突発的な上昇の可能性もありますが、再び株式市場全体が上昇しようとしていることが分かります。

もしここで、天井指数が前日よりも小さな水準になれば先週収まりつつあった上昇勢いがなくなる可能性がありましたが、これにより再燃しました。

ですが、日経平均株価は水平状態です。株式市場全体と全く違う動きをしています。そういった状態ですので、特にこの日は日経平均株価だけを見ている投資家と、株トレンド指数も見ている投資家では差異が生じたでしょう。

日経平均株価だけを見ている投資家にとっては”ネガティブな状況”、株トレンド指数も見ている投資家にとっては”ポジティブな状況”と全く反対の捉え方をしていたと考えられます。

週半ば9/3は、日経平均株価が0.88%下落しました。円単位では371円下落です。約0.9%の下落ですが、そこまで強い下落ではありません。

前日のただし、日経平均株価だけをみると日替わりで上下しているので、とても方向感が捉えにくい状況だと読み取れます。

株トレンド指数をみると、やはり株式市場全体の上昇勢いが続いていることが分かります。

上昇傾向を示す天井指数の水準が上昇していることを示しています。同時に押し目買い指数も上昇しています。

これらを考慮すると、上昇勢いを保った中での押し目買い指数の発生ですので、ここから再上昇が期待できそうです。

もしかすると週の後半や週明けに再上昇が期待できるかもしれません。

週の後半9/4の日経平均株価は1.53%上昇しました。円単位では641円上昇です。変動率はそれほど大きくはないものの、円単位で捉える人にとっては大きな上昇と錯覚したでしょう。

ただ、この上昇は週初めよりも高い水準なので嬉しいには嬉しいのですが、日経平均株価に方向感が全くないことを示した上昇でもありました。

変動率でみるとそれほど大きな変動ではありませんが、円単位での推移をみるとこの水準まできていますので、一見すると乱高下のような動きをしています。

日によって全く違う動きをする”難しい相場”に捉えられたでしょう。また、この動きにより「思った方向に株価が行かない」など、そういったことも発生したと考えられます。

株トレンド指数をみると、この日経平均株価の動きには関係なく、引き続き上昇傾向を示す天井指数の水準を維持しました。

この日だけみると、日経平均株価と天井指数は連動しています。しかし、実際には前日までの流れがありますので、日経平均株価だけでこの状況を捉えるのは難しかったでしょう。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント

このように今週の株式市場は、日経平均株価の推移をみると、方向感を捉えるのがとても難しい状況でした。方向感がないのか、場合によっては乱高下しているのか、何なのか難しい状況だったでしょう。

一方、日経平均株価を外し、株トレンド指数だけをみると、状況はシンプルでした。いったん上昇トレンドは終わったものの、引き続き上昇勢いは続いていることが分かります。

また、押し目買い指数の発生が続いていることから、再上昇も期待できる状況であることが分かります。

このように、どちらの指数を見るかで株式市場の捉え方が全く違ったのが今週の株式市場でした。

また大きな損益には影響しないものの、今の状況をポジティブに捉えるか、それともネガティブに捉えるかで、次の展開への乗り方が変わると想定されます。

なお、ここからの日経平均株価の推移は予測が難しい状況です。株トレンド指数との連動性がない状況は、それほど長く続かないことをふまえると、ここから再上昇の可能性があります。

ただし、その再上昇がどこまで勢いのあるのもかは不明です。今も天井指数がそれなりの水準に上昇していますが、株式市場全体を牽引するような水準ではありません。

しかし、上昇勢いは保っていますので、今後の日経平均株価は上昇しないとしても、崩れにくいまま小さく上昇または現状維持をするのではないかと予測されます。

日経平均株価 の動向を徹底分析する

日経平均株価を基準に見ると、8月上旬までのボックス圏を上抜けしたものの、再びボックス圏に入ったと読み取れます。

一時は、再上昇の可能性があったので、再び上昇トレンドが発生する期待がありましたが、今の時点ではボックス圏に入ったと読み取れます。

「上値:4万4000円~下値:4万2000円」がボックス圏の目安だと考えられます。

これまでのように週単位で見るともう少し変動があるように見えましたが、2ヶ月単位で見ると、あまり変動がありません。

それをふまえると、ここから再上昇があったとしても、8月上旬~中旬のような上昇トレンドが発生しない限り、このボックス圏を上抜けするのは難しいでしょう。

つまり、もしここから日経平均株価が上昇するとしても、4万4000円を上抜けするような上昇ではなく、ボックス圏の上値目安に届くような上昇にとどまると想定されます。

一方、株トレンド指数を見ると、先週でいったん上昇トレンドが終わりましたが、株式市場全体には、まだ上昇勢いが残っていることが分かります。

ただし、8月上旬~中旬に発生した上昇トレンドには届かない水準なので、あくまでボックス圏の中での上昇にとどまる可能性が高そうです。

しかしながら、押し目買い指数の水準が高いこともありますので、これまでにはない動きで再上昇する可能性もあります。

順張り戦略を基準に考えれば、40%が再上昇で、60%がボックス圏の上値目安に向かう上昇といったところでしょう。

ぜひ40%の確率の再上昇を願いますが、ここは冷静に60%の確率のボックス圏にとどまることもシナリオとして想定しておきましょう。

来週の日経平均株価の予想シナリオ

このように今週の株式市場は、週単位と2ヶ月単位では随分と状況が違うことが分かります。

週単位では週明けの上昇が期待できますが、2ヶ月間で見ると、その上昇は大きなものではなく、ボックス圏の上値目安に届く程度である可能性が高いと考えられます。

もちろん、上昇勢いがつき上抜けを期待したいですが、日経平均株価がボックス圏に入っていることを考慮すると、このシナリオを考えておく必要があるでしょう。

なお、もしここで本当にボックス圏にとどまる場合は、岸田政権以降の特長的な株価の動きから抜け出せないことを意味します。

8月上旬~中旬は、短期的な上昇トレンドがしっかり発生しましたが、直近数年は長いボックス圏が続き、突如上昇するもボックス圏の水準を上げる上昇にとどまり、再びボックス圏という動きを繰り返してきました。

株価の変動が小さいボックス圏がダラダラ続き、何の前触れもなく突然上昇し、またボックス圏に入ることを繰り返しています。

もし、ここで再び株価変動が小さいボックス圏になると、この傾向に逆戻りです。

これは私たち個人投資家泣かせの動きですが、場合によっては、このような動きになることも想定しておきましょう。

国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。

・外国人投資家:売り越し → 売り越しが強まる(↘)
・個人投資家:買い越し → 買い越しが強まる(↗)
・日本の機関投資家:売り越し → 売り越しが強まる(↘)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスはグラフのように「売り越し」です。8月3週と今週は特徴的な動きをしています。

それは、国内外の機関投資家と個人投資家が反対の動きをしていることです。

このような動きをすると、よく耳にするプロ投資家が私たち個人投資家の動きを逆手にとって利益を上げているようにも見えます。

ただし、今回は個人投資家の買い越しもそれなりに大きい状況でした。これにより、そこまでの話はなかったと推測されます。では、各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家の売買動向

まず、外国人投資家です。外国人投資家は8月3週から最新週にかけて、売り越しが強まりました。3月4週以来の大きさですが、悲観的な大きさではありません。

むしろ、4月から買い越しが続いていたことや日経平均株価が上昇したことをふまえると、ここは調整局面や利益確定のタイミングだったと予測されます。

まだ、気にするような売り越しではありませんので、再び買い越しになることを期待したいところです。

個人投資家の売買動向

次は、私たち個人投資家です。私たち個人投資家は、国内外の機関投資家と反対方向の動きをしました。もしかすると、株価が思ったのと反対方向へ動くことに直面した人もいるかもしれません。

一方、ポジティブに見ると、機関投資家とは違った動きをしましたが、個人投資家が買い越したことで、日本株市場が一気に下落することがなかったとも読み取れます。

そういった意味では、ここで反対の動きをしたことが良い材料になったと考えられます。

そして、こうなると難しいのが今後の動きです。個人投資家は、直近の動きを見る限り3週連続で買い越しになることがなかなかありません。

3週連続で買い越したのは、今年の年初以来です。それをふまえると、このまま買い越しが続くことは想定しにくい状況です。

日経平均株価が上昇すれば、その流れに乗って買い越しが続くと考えられますが、直近の日経平均株価の停滞を見ると、買い越しが続くことは想定しにくいでしょう。

日本の機関投資家の売買動向

最後に日本の機関投資家です。8月3週に比べ売り越しが強まりました。1桁水準は違いますが、この水準は3月4週以来です。

日本の機関投資家は、他の2者に比べ動きが読みにくい投資家です。一方で、それほど大きく変動しないのも特長です。

その点を考慮すると、このまま売り越しが強まることは想定しにくいでしょう。ただし、ここから買い越しになってもそれほど大きな買い越しは期待できません。


国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し

以上が三者の状況です。全体として売り越しが強いものの、まだ下落方向へ方向感が出るような需給バランスにはなっていません。

また、日本の機関投資家の動きは年間を通じて小さいことを想定すると、次の展開のカギになるのは私たち個人投資家と外国人投資家になるでしょう。

とはいえ、個人投資家は直近で買い越しが3週連続で続くことがありませんでした。その点もふまえると、ここからは再び日本株市場を外国人投資家がどう見るかで決まるかもしれません。

4月から買い越しが続く期間がありましたが、そこまでとは言わないものの、再び買い越しがに回れば、日本株市場は再上昇が期待できるでしょう。

反対に、引き続き今回のようなバランスが続けば、日経平均株価が崩れることはないものの、方向感を失った横ばい状態が続くでしょう。

今回のデータは、まだその分岐点だと考えられます。次に発表されるデータもなるべくタイムリーに確認して、この需給バランスを把握しましょう。

それにより日経平均株価や日本株市場に再上昇があるか別れますので、ぜひ注目していきましょう。

来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス

このように今週の株式市場は、週単位と2ヶ月単位では見え方が違うことが分かりました。

具体的には、週単位で見ると再上昇が期待できますが、2ヶ月単位ではボックス圏の上値付近に近づく上昇にとどまる可能性が高いと考えられます。

その場合は、「上値:4万4000円~下値:4万2000円」のボックス圏が想定されますので、直近の天井付近4万4000円に向かう小さな上昇になるでしょう。

一方で、押し目買い指数の動きを見ると再上昇する可能性もあります。完全に上昇勢いが失速していないだけに、何とも判断が難しい状況でもあります。

そのようなこともありますので、前述の通り40%の確率で上昇トレンドが発生して再上昇、60%の確率でボックス圏の上値付近に近づく上昇にとどまると考えておくのが良いでしょう。

違う見方をすると、8月に上昇を見てしまった中での直近の動きを見たり、日経平均株価が4万円を超えてきたことで天井ではないかとネガティブに考えてしまうこともありますが、今は崩れにくい状況だとも言えます。

そのようなことをふまえると、仮にボックス圏の中で上昇するとしても、ネガティブなことではありません。

ポジティブに言えば「底堅い」のが今の日本株市場だと思いますので、引き続き複数のシナリオを想定しながら、日経平均株価や株式市場の動きを見ていきましょう。

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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/9/4(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。