日経平均株価 が4万4000円を突破しました。

先週は、方向感を失っていましたが、今週は緩やかに上昇し順調に高値圏を推移しています。

一方で、週初め9/8は1.45%上昇したものの、9/11の1.22%上昇を除いては、それほど大きく上昇していないとも読み取れます。

ここから、現状は円単位で4万4000円を突破しただけで、まだ本格的な上昇に入ってはいないのでしょう。

こうなると考えてしまうのが「ここが天井」なのか、それとも「上昇が続く」のかでしょう。

日経平均株価4万4000円突破は、嬉しいニュースではあるものの、私たちにとっては何とも判断が難しい局面とも言えます。

そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

こちらをご覧ください。こちらは8/29〜9/11の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長

今週の株式市場は、先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。

そのようなこともあり、日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と株トレンド指数も使って方向感を捉える人では、あまり差異が生じない週でした。

ただし、体感として差異が生じた可能性はある週です。なぜなら、株式市場全体はそれほど上昇していないが、日経平均株価だけは上昇しているように見えたからです。

現首相の退陣の影響かは定かではありませんが、9/7にこのニュースが発表され、株価が再び動き出したように見えます。

日経平均株価を円単位で捉える投資家たちからは「退陣を市場が好感」「退陣によって大きく株価上昇」などの表現が見られました。

実際は、そこまで大きく上昇せず9/8~9/11で3.12%の上昇にとどまっていました。大きく上昇というより「緩やかに上昇」が適切でしょう。

このように今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体に連動性はあったのですが、何を基準に考えるかで判断に差異が生じたと考えられます。

日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較

では、詳細を見てみましょう。週初め9/8の日経平均株価は1.45%上昇しました。円単位では625円下落です。

この日は今週の中で最もポイントだったでしょう。前日、現首相が退陣することがニュースになりました。

株式市場が現首相を、どのように評価していたかは明言できませんが、9/8の日経平均株価の動きを見て「退陣発表により大幅上昇!」などの言葉がメディアにでました。

しかし、変動率は1.5%に満たない上昇です。この程度であれば、通常の変動と見て良いでしょう。

むしろ、本当に退陣が好感されたのであれば、もっと変動率が高くなっても良かったと考えられます。

そのようなこともありますので、実際の損益には影響しないものの、ここでの状況の捉え方は、今週のポイントになったでしょう。

株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数が「100」まで上昇しました。上昇トレンド時であれば、まだ余力がある水準です。

ですが、これは8月に発生した短期の上昇トレンド以来の水準です。それをふまえると、先週まで押し目買い指数が蓄積されていた動きによる反発だと判断できます。

つまり、この週初め9/8は日経平均株価の円単位ほど上昇していませんが、株式市場全体は、それ以上に一時的に反発していたと考えられます。

結果的には、日経平均株価を円単位で捉える人の感覚と、株トレンド指数の動きは一致していますが、次の日からは差異が生じたと考えられます。

翌日9/9の日経平均株価は-0.42%下落しました。円単位では184円です。どちらの変動を見ても、1%未満の下落ということもあり、ほぼ変動がなかったと読み取れます。

株トレンド指数を見ると、前日100まで上昇した天井指数の水準が「29」まで一気に落ちました。よって、ここからも前日の上昇は押し目買いの動きだったと考えられます。

8月に発生した短期の上昇トレンドは落ち着きましたが、完全に上昇勢いはなくならず、その期間が押し目買いの動きである一時的な下落だったのでしょう。

そのようなこともあり、この日は前日の上昇が続かず、いったん上昇が収束しました。とはいえ、引き続き上昇勢いを保っています。

週の中盤9/10は日経平均株価が0.87%上昇しました。円単位では378円上昇です。変動率で見ると1%未満ですので、ほぼ横ばいです。

一方、円単位で見ると、一部のメディアでも表現されていましたが「反発」と捉えることもできるかもしれません。

しかし、実際は反発というほどの反発ではなく、ほぼ水平状態の中での上下の変動にとどまっていると読み取れます。

株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の水準が前日とほぼ変わりありません。ただ、押し目買い指数は再び水準を上げています。

押し目買い指数は、なかなか10にも到達しない指数ですので、前日の10から16に水準を上げたのは、大きな変動です。

それをふまえると、日経平均株価や天井指数ではほぼ水平状態ですが、その裏側で再び押し目買いの動きをする準備をしているのかもしれません。

週の後半9/11の日経平均株価は1.22%上昇しました。週初め以来の変動率です。円単位では534円上昇し、4万4000円台を突破しました。

週初めもポイントでしたが、今の状況を考えるとこの日は週初めに次ぐポイントでしょう。

この日は「現首相の退陣を株式市場が好感し、4万4000円突破」などの言葉を目にしました。

この言葉と日経平均株価の円単位での上昇を見ると、あたかも大きく上昇しているように見えます。

しかしながら、実際は1.22%上昇ですので、退陣の影響はあるのかもしれませんが、それほど大きく上昇していません。

単に、日経平均株価がこの水準まできたことで、同じ1%でも円単位の変動が大きくなっているだけです。

そういったことをふまえると、損益に直接影響は出ていないと思いますが、同じ日経平均株価でも変動率と円単位のどちらで見るかで現状の捉え方が変わります。

株トレンド指数を見ると、天井指数の水準は前日と変わりありません。押し目買い指数はやや下がるものの、引き続き高い水準を維持しています。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント

このように今週の株式市場は、日経平均株価4万4000円に到達していますが、そこまでの過程を見ると、勢いよく上昇するのではなく”緩やかに上昇”して辿り着いています。

また、メディアでは「現首相の退陣を好感して株式市場は上昇」のような表現を目にしますが、実際はこれと株価には、それほど相関性がないことが分かります。

もちろん、どこかに影響はあると思いますが、これが材料になった日本株市場が動き出したと判断するのは早いでしょう。

あくまで、先週まで蓄積された押し目買いのパワーによって反発し、そこからは勢いよく上昇するのではなく、経済原理の通り緩やかに上昇していっているイメージです。

メディアで様々な話がある通り、個々の気持ちはあると思いますが、株式市場は退陣のこととあまり連動性がないと分析できます。

むしろ、今週で連動性がなかったということは、今後も連動性がないと予測できますので、現首相の退陣と株式市場は別枠で見ていくと良いでしょう。

今のところは、ここから再度上昇トレンドが発生することはなく、週初めに発生したような押し目買いの動きによる上昇が発生する程度だと捉えておくことをオススメします。

日経平均株価 の動向を徹底分析する

日経平均株価を基準に見ると、再びボックス圏に入りましたが4万4000円突破により、また上抜けした可能性があると読み取れます。

もちろん、可能性ですのでボックス圏の上抜けは確定ではありません。先週時点で想定されたボックス圏の目安は「上値:4万4000円~下値:4万2000円」です。

4万4000円を突破したものの、想定されるボックス圏からは1%程度しか上昇していません。

この点を考慮すると、一見上昇しているように見える今週ですが、引き続きボックス圏を推移していると判断できます。

後付けのような話にはなりますが、だから今週の日経平均株価は緩やかな上昇だったとも言えます。

もしボックス圏を完全に上抜けするならば、最低でも8月のような短期の上昇トレンドが必要です。

それがない直近の状況ですので、日経平均株価だけを見ると、引き続きボックス圏を推移しそうに見えます。

一方、株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数は上昇しているものの、8月の上昇トレンド時よりも水準が低いことが分かります。

ここからも日経平均株価が4万4000円を突破したというほど、株式市場全体が上昇していないことが分かります。

むしろ、株式市場全体を牽引するような指数がないことから、ボックス圏の中で小さな上昇傾向が発生しているのが今週だと読み取れます。

ただ、これはネガティブな話ではありません。8月の上昇トレンドはいったん終わりましたが、株式市場全体に上昇勢いは残っています。

ボックス圏とはいえ、上昇に向かう動きをしているボックス圏だと判断できるので、ここから再上昇を期待したいところです。

来週の日経平均株価の予想シナリオ

このように今週の株式市場は、週単位で見ると緩やかに上昇していましたが、2ヶ月間で見ると依然としてボックス圏を推移していることが分かります。

ただし、引き続き上昇勢いが途切れていないことから、ボックス圏の上抜けは難しいですが、ボックス圏上値付近を推移する展開が予測されます。

反対に言えば、ここから天井指数を中心に再び水準が上がらない限り、ボックス圏の上抜けは難しいと考えられます。

また、そうなるには何か大きな材料がなければ難しいです。これから首相の交代などを控えていますので、場合によってはそれが材料になるかもしれません。

もしくは、特段大きな材料にならない可能性もあります。内閣や政権と株式市場は
必ずしも連動性があるわけではないので、そこは冷静にみる必要があります。

まとめると、日経平均株価4万4000円の響きほど日本株市場は上昇していません

依然としてボックス圏を推移していますので日経平均株価の「上値:4万4000円~下値:4万2000円」を目安に動向を見ていくと良いでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。

・外国人投資家:売り越し → 小さく買い越しに転換(↗)
・個人投資家:買い越し → 買い越しが弱まる(↘)
・日本の機関投資家:売り越し → 売り越しが弱まる(↗)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスはグラフのように「均衡状態」です。今回は、外国人投資家と個人投資家、国内の機関投資家で違う動きをしました。

そのような中、特徴的なだったのは全体の動きです。8月4週と比較して、全体的な需給バランスが小さくなりました。

これは日経平均株価が4万3000円に到達した頃の動きです。日経平均株価がわずかに上昇しているが、横ばいに近い状況のときなので、それを表しているのでしょう。

外国人投資家の売買動向

まず、外国人投資家です。外国人投資家は8月4週に売り越しでしたが、最新週ではわずかに買い越しになりました。

買い越しに転換するのは8月2週以来です。ただし、明確な買い越しではないので、ここからどう動くかがポイントでしょう。

直近の日経平均株価の推移を見る限り、大きく買い越しの展開は考えられません。反対に大きく買い越しも考えにくいでしょう。

そうなると、ここから買い越しが大幅に増すことはないですが、現状維持か微増の買い越しかもしれません。

個人投資家の売買動向

次は、私たち個人投資家です。8月4週と比較して買い越しが小さくなりました。

単なる予測になってしまいますが、日経平均株価が一度4万3000円を上抜けし、そこから多少下落したので、ここが天井と考えてしまったのかもしれません。

一方で、再上昇があるのではないかという迷いも見えます。そのような判断が難しいタイミングをだったので、中立に近づき買い越しが小さくなったと予測されます。

こうなると、ここから日経平均株価が株価が上昇していますので、個人投資家の心理がどうなるかです。

円単位で見る人はポジティブ、変動率で見る人は中立、株トレンド指数ふまえて見る人も中立のスタンスが予想されます。

その点を考慮すると、思ったよりは買い越しが強まらず、それほど変わりないかもしれません。

日本の機関投資家の売買動向

最後に日本の機関投資家です。8月4週と比較して売り越しが弱まりました。いつも通り日本の機関投資家は、他の2者に比べ動きが読みにくい投資家です。

ただ、売り越しが弱まっていることを考えると、いったん日経平均株価が多少下落したところで利益確定に入っているのかもしれません。

第2四半期の締めが9月ですので、そこに向けて何か調整していることもありそうです。

違った角度で見ると、もしここから彼らも買い越しに転換すると、再び上昇トレンドが発生するでしょう。

そうなると、彼らの次の動きは次の首相が誰になり、その首相が経済を伸ばすような政策を打つかなどが、カギになってくるかもしれません。

そこまでは目立った動きはなく、おおよそ目処がついたら動き出すのかもしれません。


国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し

以上が三者の状況です。今は全体として均衡状態です。ただ、一人ひとりを見ていくと、全体として”様子見”しているようにも見受けられます。

このデータは日経平均株価が4万4000円を突破する以前のものですが、今の時点でもそれほど株式市場に勢いがないことを考えると、まだ均衡状態だと考えられます。

そうなると、やはり次にこの需給バランスが動き出すのは次の首相と政策だと予測されます。

反対に言えば、その目処がたつまではしばらく今のような状態が続き、全体としてはあまり動きのない状態が続くかもしれません。

そうなると、やはりこれまでの分析の通り日経平均株価は、しばらくボックス圏を推移する可能性が高いでしょう。

来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス

このように今週の株式市場は、週単位で見ると緩やかに上昇していますが、期間を広げると依然としてボックス圏を推移していることが分かります。

週初めの日経平均株価の上昇を見たときは、思わず「上抜けか?」という雰囲気でしたが、その後の推移を見ると、ボックス圏の上値付近に緩やかに上昇したものだと分析できます。

引き続き、日経平均株価は「上値:4万4000円~下値:4万2000円」を推移すると想定しておくと良いでしょう。

そして、もう一つ考えておかなければならないのが「天井」です現状で言えるのは「今が天井ではない」ということです。

今週は緩やかに上昇したものの、ボックス圏の上値付近までの上昇にとどまっています。

もし、ここが天井であれば、まず天井指数の水準が下がってきます。同時に、下落傾向を示す底値指数の水準も上がります。

そこから、上昇と下落のどちらになるのかが分からないトレンドがリセットされた状態になり、最後に下落方向に向かいます。

ですが、直近の動きはまだそれに該当していません。むしろ、ボックス圏を推移しながら上昇勢いを保っています。

ということは、ここから株式市場を動かす材料次第で、更に上昇する可能性があることを示しています。そういったことを考慮すると、まだ天井ではないと分析できます。

日経平均株価の水準が上がるほど、不安を煽るように暴落論のようなものが出てきますが、少なくとも今はそのような状況ではなく、まだ天井ではありません。

天井は私たちが決めるものではなく、株式市場自身が決めるものです。少なくとも、今の株式市場はそういった動きが見られませんので、まだ上昇余地があると判断して良いでしょう。

ここからは上昇余地があると考えつつ、日経平均株価に上昇が見られてもボックス圏の上値付近にとどまる上昇か、それとも上抜けするかの判断がポイントになります。

引き続き、そういった視点をもちながら、週明けの動向を見ていくと良いでしょう。

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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/9/11(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。