日経平均株価 の高値更新が続き、4万6000円も射程圏に推移しています。
今週は目立った下落がなく順調に高値圏を維持し、日本株は好調と言っても良いかもしれません。
一方で、高値更新が続いているものの、1%未満の変動が続いているので、上昇が鈍化しているようにも見えます。
印象としては高値圏を推移していますが、実態は高値更新のイメージほど上昇していない状況です。
こうなると、より考えてしまうのが「どこまで上昇するか」でしょう。
参考データではありますが、過熱感を見るテクニカル指標RSIで日経平均株価を見ると、先週よりも過熱感が増し、明らかに過熱の水準に到達しています。
これもふまえると、これからどのように推移するのか、予測が難しいところかもしれません。
そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
こちらをご覧ください。こちらは9/10〜9/25の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長
今週の株式市場も、3日間のデータなので参考データにはなりますが、先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。
ただし、連動していると言えば、連動しているとも捉えられる微妙な週でした。なぜなら、今週も引き続きボックス圏を推移していたからです。
日経平均株価は連日高値更新したものの、トレンドが発生し上昇したわけではなく、1%未満の変動が続いた中での話です。
だから、どちらで捉えるかで実際の損益には影響が小さかったと考えられます。
しかし、今週の株式市場も日経平均株価だけで方向感を捉えるか、それとも株トレンド指数を加えて方向感を捉えるかで、株式市場の読み取り方は違っていたでしょう。
端的に言えば、日経平均株価だけで捉えると「停滞」「調整」「足踏み」と、内訳は分からないが、動きが止まっていると読み取ったでしょう。
内訳が分からないことで、場合によっては「方向感なし」と判断した人もいるかもしれません。
反対に株トレンド指数も加えて捉えると「引き続き上昇を期待したボックス圏を推移」と内訳もふまえて捉えることができます。
一方は、「停滞」「調整」「足踏み」、一方は「引き続き上昇を期待したボックス圏を推移」です。
どちらの読み取り方ができるほうが、利益に近いかは一目瞭然ではないでしょうか。
日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較
では、詳細を見てみましょう。週初め9/22の日経平均株価は0.99%上昇しました。円単位では447円上昇です。
今週の中では、最も大きな変動でした。それでも約1%ですので、これが今週の株式市場の動かなさを象徴する日だったとも言えます。
また、象徴的だったのが日経平均株価がこの水準までくると、約1%の変動でも円単位で約450円変動してしまうことです。
ということは、2%程度の変動があれば、これからの日経平均株価の水準では、すぐに1000円前後変動してしまうということです。
これまでは円単位で1000円上昇するのに時間を要しましたが、2%程度の変動で1000円前後変動するということは、1日で1000円上下することもあるということになります。
つまり、この水準まで日経平均株価がくると、これまで以上に円単位での変動が大きくなるので、円単位での変動は意味をなさないようになってくるでしょう。
株トレンド指数を見ると、この日は上昇傾向を示す天井指数が「34」と、今週の中で最も上昇しました。
先週と比較すると、やや低い水準ではありますが、この動きにより引き続き小さな上昇が続いていることがわかります。
9/24の日経平均株価は、0.3%上昇しました。円単位では136円下落です。円単位では多少動いたように見えますが、変動率の通りほぼ水平に推移しました。
直近も、このような水平状態が見られますので、この水準までくると、これはよくある現象なのかもしれません。
株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の水準が「22」まで下がりました。
ですが、引き続きある程度の水準を保ちながら天井指数が発生していますので、ネガティブな変化ではないでしょう。
9/25の日経平均株価は、0.27%上昇しました。円単位では124円上昇です。連日高値更新と言われたものの、この変動率から考えると体感としては、そこまで上昇は感じられなかったでしょう。
2日連続で水平状態に推移したものの、円単位では高値更新です。ここからも、そろそろ日経平均株価は円単位で何かを読み取れる水準ではなくなってきたと考えられます。
株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数が再び30の水準に到達しました。
先週も下がって上がっての状況でしたが、今週の天井指数も同じような動きをしました。
これにより、前日の水準が下がったことに関係なく、株式市場全体は引き続き小さな上昇を継続していることが分かりました。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント
このように今週の株式市場は、日経平均株価が連日高値更新し、4万6000円台も射程圏になる水準まできましたが、円単位の数字ほど上昇していないことが分かります。
あくまで、日経平均株価の単位が上がったことで、変動率に対する円単位が大きくなったから4万6000円台も射程圏の水準まできたということです。
株式市場全体が、イケイケムードや上昇トレンドが発生したことがきっかけで上昇したのではなく、水準の変化により到達したと考えるのが自然でしょう。
ただし、その裏側で株トレンド指数は天井指数の水準が維持され、株式市場全体としては小さな上昇を維持しています。
引き続き「再上昇の環境を維持している」と読み取れます。
日経平均株価は水平状態なので、ボックス圏を推移していますが、その裏側ではしっかりと上昇の勢いを維持しているのが、今の株式市場だと考えられます。
日経平均株価 の動向を徹底分析する
日経平均株価を基準に見ると、今週の上昇でボックス圏の目安を「上値:4万5000円~下値:4万3000円」に上げても良いかもしれないという動きをしています。
ただし、前述の通りこの水準では円単位での変動が大きいので、変わらず「上値:4万4000円(誤差+1500円程度)~下値:4万2000円」でも良いと思われます。
今週の日経平均株価も、テンポよく上昇するわけではなく、結果として高値更新に至っています。
4万6000円到達も射程圏ではありますが、そこに届くには案外時間が掛かりそうです。
そのような点をふまえると、引き続き「上値:4万4000円(誤差+1500円程度)~下値:4万2000円」で考えるのが妥当でしょう。
もし、4万6000円に到達しても、それは誤差の範囲ですぐに4万5000円台に戻るイメージいると良いでしょう。
いずれにしても、まだボックス圏を上抜けしていませんので、引き続き直近の水平状態が続くと考えられます。
次に、株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の発生が先週とほとんど変わらないことが分かります。引き続き、8月の上昇トレンド時よりも水準が低い状態です。
ここからも日経平均株価が連日高値更新というほど、株式市場全体が上昇していないことが分かります。
むしろ、株式市場全体を牽引するような指数がないことから、ボックス圏の中で小さな上昇傾向が発生が続いているのが今週だと読み取れます。
来週の日経平均株価の予想シナリオ
このように今週の株式市場は、日経平均株価の高値更新には全く関係なく、依然としてボックス圏を推移していることが分かります。
ボックス圏の範囲は「上値:4万4000円(誤差+1500円程度)~下値:4万2000円」だと考えられます。
なお、ここから難しいのが、繰り返しお伝えしている通り、日経平均株価の円単位の水準があまり意味をなさなくなってきていることです。
今の時点では、グラフも円単位で見ていますが、もう少し水準が上がると、円単位ではなく「変動率」で表現したほうが良いかもしれません。
それに伴い、上記の通りボックス圏の上値目安も誤差が出てきます。2%程度の変動で1000円変化してしまう水準では、3~4%の変動があると円単位のブレがとても大きくなります。
そのようなことをふまえると、ここからの日経平均株価は、下値目安は誤差なしですが、上値目安は誤差が出てくることを前提に捉えていくと良いでしょう。
また、もう一つ考えなければならないのが、先週に続き「天井のタイミング」です。
やはり日経平均株価がボックス圏を推移していることと、株トレンド指数の天井指数の発生状況を見ると、ここは天井ではないと考えられます。
自民党総裁選の結果が悪いサプライズにならず、新首相も政権交代などのサプライズなく終えれば、再上昇の可能性があると思われます。
今は、材料がまだ動いていないので、動くまで様子見の期間だと考えられます。
その材料の結果次第で下落のシナリオもありますが、問題ない結果であれば天井指数の発生が途切れない限り、再上昇に動き出すでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。今週は営業日が少ないので、前週と同じデータです。
・外国人投資家:わずかに買い越し → 売り越しに転換(↘)
・個人投資家:わずかに買い越し → 売り越しに転換(↘)
・日本の機関投資家:売り越し → 売り越し弱まる(↗)

三者をまとめると、全体の需給バランスはグラフのように「明確な売り越し」です。最新週は、三者が同じ動きをしました。
このように三者が売り越しになるのは少なくとも直近1年間では見られません。
三者が売り越しというと、大幅下落や暴落が起きてもおかしくありませんが、それが現実にならなかったことを考慮すると、日経平均株価と株式市場全体の動きに差異があったと推測されます。
このときの日経平均株価は、4万2000円後半から4万3000円にかけて動き出すときでした。ただし、変動率で見ると大きくても1%台の変動に留まり停滞していたタイミングです。
この点を考慮すると、日経平均株価採用銘柄の値がさ株が日経平均株価を牽引し、他の銘柄は売りが先行したのではないかと推測されます。
加えて、三者が売り越しではありますが、合計の水準がそれほど大きくないことも要因になり、大きく崩れることはなかったのでしょう。
では、改めて各投資家の詳細を見てみましょう。
外国人投資家の売買動向
外国人投資家は9月1週にわずかに買い越しでしたが、最新週では売り越しに転換しました。
この水準は、3月下旬以来の水準です。この時期は、ちょうど米国大統領が関税に関する発言をしたときです。
ただし、そのときの水準には至っていないことから、直近では大きな売り越しではあるものの、株式市場を崩すような売り越しではないことが分かります。
この点を考慮すると、日経平均株価の上昇と共に、株式市場全体が一時的に上昇したことを踏まえ、利益確定の売り越しに動いた可能性があります。
本当にそうかは、次に発表されるデータを見ないと分かりませんが、次に買い越しに転じれば、外国人投資家は日本株市場に期待していると捉えられるでしょう。
一方で、自民党総裁選を控えているので、積極的に買い越しには転じず、様子見の買い越しになる可能性もあります。
いったん売り越しに転換しましたので、次のデータ次第で外国人投資家の今後の動きがより精度高く予測できるでしょう。
個人投資家の売買動向
9月1週はわずかに買い越しでしたが、売り越しに転換しました。
ただし、今回の売り越しの水準は心配するほどのものではなく、個人投資家ではよく見られる規模の売り越しです。
日経平均株価が4万2000円後半から4万3000円にかけて上昇したものの、停滞したタイミングでしたので「ここが天井ではないか」と利益確定売りに入ったのかもしれません。
個人投資家は、日経平均株価が上昇すると、その都度売り越しに転換するので、今回もその流れではないかと推測されます。
こうなると、次のデータでどのような動きをしているかに注目です。日経平均株価が連日高値更新しているものの、変動率ではそれほど動いていません。
そういった状況をふまえると、個人投資家の動きは鈍化することも予測されます。
一方で、自民党総裁選を控えているので、先に仕込んでおきたい気持ちから、買い越しの動きが活発化する可能性もあります。
反対に、総裁選の予測が難しい状況なので様子見に入ることも予測されます。
個人投資家は、その都度状況が転換しますので、引き続き動きをおさえておきましょう。
日本の機関投資家の売買動向
三者の中では最も動きがありませんでした。9月1週から売り越しが弱まっただけです。
違う見方をすると、ここで彼らも他の二者と同じような売り越しの規模になっていたら、株式市場が崩れたかもしれません。
そういった意味では、直近の株式市場は彼らに支えられているとも読み取れます。
では、彼らがここからどう動くかですが、そこは少々展開が読みにくい状況です。
しばらく売り越しが続いています。それをふまえると、自民党総裁選を控えているので、次の展開に備えて資金を準備している可能性もあります。
そのようなこともありますので、日本の機関投資家は様子見の中で売り越しや買い越しに転換するのではないかと予測されます。
国内外投資家の売買動向から見た今週の見通し
以上が三者の状況です。三者が売り越しではあるものの、詳細を見ると株式市場を崩すような売り越しではないことが分かります。
また、それぞれ動きは違いますが、自民党総裁選が実施的に次の総理大臣になる可能性が最も高いので、そこに向けて様子見していると思われます。
やはり、この自民党総裁選の結果が、ある程度見えた段階から、三者がそれぞれ方向性を決めて動き出すと予測されます。
そこまでは、一時的な変動はあるものの、均衡に近い状態が続くのではないかと、需給バランスからは見られます。
来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は、引き続きボックス圏を推移していることが分かります。
ボックス圏の範囲の目安は「上値:4万4000円(誤差+1500円程度)~下値:4万2000円」です。
そして、株トレンド指数を見る限り、ここが天井ではなく、まだ上昇余地があると読み取れます。
ただし、その背景や直近が様子見状態になっている要因として、自民党総裁選があります。
昨年もそうでしたが、流れとしては自民党総裁が首相になる確率が高いので、次の有力な首相候補が決まらない限り動けないのが、今の株式市場でしょう。
先週時点でも同じことをお伝えしましたが、今週もその動きの通りになっています。
よって、引き続き上がりもしなければ下がりもしないボックス圏での推移を想定しておくと良いでしょう。
なお、誤差の範囲での変動にとどまる可能性が高いですが、場合によっては、緩やかな上昇が続くことで、気がついたらボックス圏の水準が上がっているということも想定されます。
ただ、それはトレンドが発生した上昇ではなく、結果として上昇した場合の上昇です。加えて、ここまでくると、いよいよ円単位での読み取りに意味がなくなってくる可能性があります。
そのようなこともシナリオの一つとして想定されますので、もし上昇した場合は日経平均株価の円の変動には着目せず、変動率でどうなっているかを見ていきましょう。
自民党総裁選、新首相の決定などを抜けるまでは、円単位では多少動くが変動率ではす兵状態のような相場が続くと思われます。
動きがなくもどかしいですが、理由はこれまでの通りですので、まずは様子見を続け、次の展開を読めるタイミングになるまで、もう少々待つのが得策ではないでしょうか。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2025/9/25(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。