総選挙を終え日経平均株価は小幅上昇を続け3万9000円台に回復しましたが、11/1前場時点で再び3万8000円台まで下落しました。
これまで総選挙の結果を見据えて様子見が続き、ほぼ無風状態になっていた株式市場ですが、選挙結果をふまえて株式市場が再始動しました。
そして、そこから日経平均株価は3万9000円台を回復したものの再び3万8000円台に戻っています。
この背景には、総選挙後も与党が過半数に達しなかったこともあり、どの党が政権を取るか確定していないこともあるかもしれません。
このように依然として方向感が定まらない日本株式市場ですが、これからどうなるのでしょうか。
そこで「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/10/18〜2024/10/31の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
これらの指数をふまえると、今週の株式市場は日経平均株価と株式市場全体が”連動している週”でした。
ただし、全体的に無風状態を脱した程度の中での話ですので、連動性による影響は少なかったでしょう。
しかしながら、詳細を見ると日経平均株価だけを基準に相場分析する人と、私たちのように株トレンド指数も含めて相場分析する人では、些細なところで差異が生じたでしょう。
些細ではありますが、最も差異を生んだのが選挙明けの10/28です。10/28は上記のグラフの期間で日経平均株価が最も大きく変動しました。
変動幅は1.82%ですので、それほど大きな変動ではありません。円単位で見ても、前週の日経平均株価が3万7900円台だったところから3万8600円台まで上昇したに過ぎません。
ですが、これまで選挙結果の様子見による無風状態が続いたことから、人によってはこの上昇を、上昇トレンドの入口と錯覚してしまう可能性もあったでしょう。
実際、その後の日経平均株価は10/30まで上昇しています。まだ政権が固まっていない段階ですので、あまり錯覚する人は少ないと思いますが、無風状態での様子見が長かっただけに、そういった視点で見た方もいるかもしれません。
これに対して、株トレンド指数を見ると、この10/28は上昇傾向を示す天井指数がほとんど上昇しませんでした。
それこそ、これまで続いた様子見の無風状態の中で、時々発生した上昇傾向の水準にとどまっています。つまり、この日はあくまでも日経平均株価に採用される銘柄が小幅上昇しただけで、株式市場全体は様子見が続いていたと考えられます。
そして、10/29以降は10/28と状況が変化してきます。これ以降、日経平均株価は1%未満の変動が続きましたが、上昇傾向を示す天井指数の水準は少しずつ上昇しました。
しかし、これも直近の中では水準が上がったと判断できるだけで、株式市場全体を牽引するようなものではありません。全体として目立った動きがないまま今週を終えようとしています。
よって、今週の株式市場は選挙明けの10/28だけ些細ではありますが両者に差異が生じました。ただし、この程度の差異ですので、両者とも影響はないと考えられます。
また、この動きにより株式市場としては、選挙結果にサプライズはなく、今度は「政権を獲得するのは与党か野党か」の結果が出るまで様子見が続きそうに見えます。
加えて、まだ前場時点の上昇ではありますが11/1の日経平均株価が下落したことをふまえると、依然として方向感のない”ボックス圏”を推移していることがわかります。
株トレンド指数の発生水準を見た時点で上抜けするような勢いは見られませんでしたが、下抜けの下地が整っているわけでもないので、引き続き方向感のないボックス圏の推移が続いているのでしょう。
ボックス圏はいつまで続く?
直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、10/15をピークに下落が続いていましたが、選挙結果にサプライズがなかったこともあり、下落前水準までほぼ回復しています。
ただし、前述の通り11/1の前場時点で下落していることをふまえると、引き続き上値は4万円、下値は37,000円台後半あたりのボックス圏を推移していると考えられます。
もしくは、もう少々範囲を狭め、上値は3万9500円、下値は38,000円前後のボックス圏を考えても良いかもしれません。
株トレンド指数を基準に見ると、今週は日経平均株価が一時3万9000円台に回復したとはいえ、全体として無風状態よりは風が吹いてきた程度であることがわかります。
週の半ばにかけて上昇傾向を示す天井指数が上昇していますが、小さな上昇トレンドとも言えない水準です。
よって、日経平均株価と株トレンド指数の状況をふまえると、選挙前の様子見がまだ続いていると考えられるでしょう。
うえでもお伝えした通り、まだ政権が固まっていないので、もし動き出すとしたら与党がそのまま政権を維持するか、それとも野党が政権をとるかで動きが変わるかもしれません。
そういった意味では、今の株トレンド指数で分かることは「まだ様子見」であり、その様子見の理由は政権がどうなるか分からないということでしょう。
この相場解説では、できるだけ株トレンド指数などの数値分析だけで判断することを目的にしていますが、前週よりも以前も含め、今の株式市場は政治に左右されていると考えられます。
そして、その政治の方向性がまだ定まっていないので、それに連動するように株式市場も方向性が定まるまで様子見を決めているように見受けられます。
補足として、株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグはありますが最新の 「投資主体別売買動向」を見ると、需給バランスは、以下の通りでした。
・外国人投資家:若干の売り → 中立
・個人投資家:若干の買い → ほぼ中立
・日本の機関投資家:やや買い → やや買いを維持
三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」です。このような需給バランスですので、現状のような方向感の定まらない株式市場になっているのでしょう。
さすがにこうなってしまうと、次の展開を予測するのは難しいです。ほぼ動きがない中ですので、株トレンド指数をふまえても「完全なるニュートラル・ポジション」をとるのが最適ではないかと考えます。
特に今の状況は、与党と野党のどちらが政権を獲得しても、次のシナリオが見えてきません。その点をふまえると、どちらに政権が行ってもすぐに株式市場が動くことは想定しにくいです。
場合によっては、どちらかに決まっても「政策が明確になるまで様子見」になり、引き続きこの方向感のない株式市場が続くかもしれません。もしくは、全く別の要素で突然動くことも想定されます。
悲観的な先行き不透明とまではいきませんが、先行き不透明といえば不透明ですので、ここは中立的なスタンスを崩さないのが良いでしょう。
そして、株式市場が明確に動き出すまでは中立で我慢し、上下のどちらに向かっても良いように戦略を計画を練っておくと良いでしょう。
もし、完全に方向感が出て来てからそれからそのトレンドに乗っても遅くはありません。直近の動向を見る限り、ここで先走って動くほうがリスクが高いと考えられますので、ここは慌てず中立を崩さないようにしていきましょう。