日経平均株価が3万9000円台に回復しました。10月中旬以来です。
これまで日本株を動かす次の要因は政権与党がどうなるかの決定後だと考えられましたが、その前のアメリカ大統領選で株価が動き出しました。
ただし、ここで難しいのはやはり日本自身の要因ではないので、過去に起きたトランプ・ショックのように突発的な変動である可能性があることでしょう。
日本株の根本的な要因ではないこともあり、トランプ氏がほぼ当選すると報道されたときは日経平均株価が上昇し3万9000円に上昇しましたが、その変動幅は約2.6%にとどまりました。
その後は、1%未満の小幅下落にとどまり、株式市場全体は引き続き政治的な側面がどうなるかを様子見しているようにも見受けられます。
しかしながら、そうは言っても日経平均株価が3万9000円台まで回復したことで、動きが変わる可能性もあるでしょう。
そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/10/24〜2024/11/7の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
今週は営業日が少ないので参考データにはなりますが、これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”多少連動している週”でした。
言い換えると、日経平均株価だけを基準に相場分析する人と私たちのように株トレンド指数も含めて相場分析する人では「差異が生じた週」だったと考えられます。
そういった意味では、今週の営業日は少ないものの、今週の動きをどう捉えるかで次の展開の予測の精度が両者で変化するところだったでしょう。
大まかに言うと、日経平均株価だけを基準に見ると、冒頭でお伝えしたように「足踏み状態」もしくは「方向感が分かるような、分からないようなという状態」だったと考えられます。
一方、株トレンド指数を見ると、日経平均株価がそのような動きをしている裏で「上昇に向けて動いている可能性がある」と読み取ることができます。
もしくは上昇する確率は40%程度の話ですので、冷静に「上昇は期待できるがダマシの可能性もある」と読み取ることができます。
その理由を見る意味でも、今週3日間の詳細を見ていきましょう。週初めの11/5は日経平均株価が約1.1%の上昇を見せました。
先週末の流れだと日経平均株価が3万8000円割れしそうでしたが、この小幅上昇により流れに乗らず耐えられたと考えられます。
株トレンド指数を見ると、依然として”無風状態”が続いていました。上昇傾向を示す天井指数の水準が多少上がりましたが、株式市場全体を牽引するようなトレンドからは遠い状況でした。
このように両者ともこの日は先週の流れを組みつつも、そのままズルズルいかないように耐え抜いた日にも見受けられます。
そして、急に流れが変化したのが11/6です。日経平均株価は2.6%の上昇を見せ3万9000円台を回復しました。一時は3万7000円になったことを考えると、この上昇は嬉しいものだったでしょう。
ただし、ここで注意したかったことがあります。それが同じ日経平均株価を基準にしていても「変動率」と「円単位」のどちらで捉えていたかです。
変動率で捉えているならば2.6%ですので、それほど小幅上昇の範囲だったでしょう。しかし、円単位で捉えていると約1000円の上昇を見せたことから「大きな上昇と錯覚」した人もいるかもしれません。
また株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の水準が直近の中では大きく上昇しました。しかし、まだ大きな上昇とは言えず「直近の中では上昇した」という範囲に収まっています。
よって、この11/6は日経平均株価も株トレンド指数も上昇を示したものの、その内訳は株式市場を牽引するような上昇ではなかったことが分かります。
しかしながら、日経平均株価を円単位で捉えていたら、その体感ほどは上昇していないので実際のトレンドと差異が生じたでしょう。
この11/6の流れがあった中で迎えた11/7はどうだったのでしょうか。この日は、今週の中で日経平均株価を基準にする人と株トレンド指数も含めて相場分析する人で”最も差異が生じた日”でした。
なぜなら、日経平均株価は小幅下落しましたが、株式市場全体は前日よりも上昇傾向にあったからです。
上昇傾向を示す天井指数の水準が前日よりも上がりました。前日までは株式市場全体の上昇は見込めませんでしたが、これにより更に流れが変化しつつあります。
もちろん、この天井指数の水準が更に上がらないと株式市場全体が上昇することは難しく、この日の上昇はダマシになります。
しかし、この水準まで天井指数が上昇したのは3月以来であることをふまえると、ダマシの可能性を考えつつ、上昇の可能性を考えて良いと判断できるでしょう。
このように、今週の株式市場は日経平均株価だけを見ると、いったん上昇して止まっているように見えますが、株トレンド指数を見ると上昇に向かって動き出しているように見受けられます。
ただし、上昇する確率は40%程度であることを考慮すると、動き出しつつあるがダマシの可能性はあります。
とはいえ、日経平均株価だけを見ても、このような動きを読み取れないことから、日経平均株価だけを基準に相場分析する人と、私たちのように株トレンド指数も含めて相場分析する人では差異が生じたと考えられます。
特に今週の動きは、株式市場全体が日経平均株価だけでは全く見えない動きをしていますので、どちらのデータを元に分析するかで次の展開の予測の精度が変わると考えられます。
経験とカンと思い込みのような予測をし、結果的に当たれば自分が正しかったと思い、外れたら残念がるか、それとも株トレンド指数を元に複数のシナリオを想定して動向を見るかで今後の動きが変わってくるでしょう。
週明け上昇の可能性は?
直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、9月下旬から上値は4万円、下値は37,000円台後半あたりのボックス圏を推移していると読み取れます。
もしくは、先週に続きもう少々範囲を狭め上値は3万9500円、下値は38,000円前後のボックス圏を考えても良いかもしれません。
いずれにしても、きれいにボックス圏の中に収まっていることから「ほぼ横ばい」と言ってよい推移でしょう。
一方、株トレンド指数を基準に見ると、今週に入りようやく株式市場に動きがでてきたと読み取れます。自民党総裁選時に、期待感から株式市場が動いたとき以来の動きです。
ただし、動きが出てきたと言っても、まだ上昇トレンドと言えるような水準には達していないことも分かります。
このように両者をふまえると、日経平均株価が横ばい状態である裏側で、株式市場全体は上昇しようと少しずつ動き出していることが分かります。
まだ明確に上昇があるとは言えない状況ですが、自民党総裁選後から続いた様子見による無風状態に変化が起きているのでしょう。
この相場解説では、できるだけ株トレンド指数などの数値分析だけで判断することを目的にしていますが、引き続き日本株市場は政治で左右されている印象です。
株トレンド指数を見る限り上昇への準備をしているように見えますが、仮にこれがアメリカ大統領選の影響であれば単発で終わる結果的にはダマシで終わります。
その一方で、ここから日本の政治の与党がどうなるかの結果が見えてくるタイミングも考慮すると、その結果次第でこのまま流れに乗る可能性もあります。
いずれにしても、これまで様子見による無風状態でしたが、株式市場全体が政治への期待感で動き出す下地ができつつあると考えられます。
その結果がどう転ぶかは現時点では分かりませんが、少なくとも現状を見る限りでは「上昇への期待」が出てきています。
補足として、先週と同じデータにはなりますが株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。
・外国人投資家:若干の売り → 中立
・個人投資家:若干の買い → ほぼ中立
・日本の機関投資家:やや買い → やや買いを維持
三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」です。最新のデータがどうなるかである程度、需給バランスが見えると思いますが、現時点では全く見えない中立です。
株トレンド指数は、この需給バランスの詳細を示しているようなものでもあります。もし、今後このバランスが「買い」に変化すると、週明けの天井指数は更に伸びるかもしれません。
ただし、現時点では直近のデータがないのであくまでも予想の範囲です。とはいえ、この需給バランスが日本株市場の根源でもありますので、引き続き見ていきましょう。