日経平均株価が再び3万8000円台に下落しました。

ほとんど方向感がなくボックス圏での推移が続いています。目立った下落がないので、ポジティブに見れば、株価水準を下げることなくしっかりと現状維持できていると考えられます。

しかし、ネガティブに見るとこの方向感のなさは株価変動が小さいことを意味しますので、短期売買を好む個人投資家にとっては困る展開でしょう。

先週時点では、今週に本格的な上昇トレンドの入口になる可能性も考えられましたが、その判断がとても難しいところにきています。

政治的な側面もサプライズなく終わったことから、良く言えば株価が安定に向かい、悪く言えば、期待での株価上昇はないということでしょう。

このように現状はポジティブとネガティブのどちらで見てよいか、そしてこれから上昇があるのかないのかなど、様々な分岐点にいると考えられます。

その分岐点を日本株市場は、これからどのように展開することが予測されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2024/10/31〜2024/11/14の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”連動している週”でした。

ただし、今週の株式市場は年間でも見ることがないほどの「変則的な連動」だったと考えられます。

そのポイントになるのが空売り指数の動向です。今週は日経平均株価も株式市場全体も、この空売り指数に握られていたと考えられます。

そのようなこともあり、両者に連動性はありましたが、日経平均株価だけを基準に相場分析する人と私たちのように株トレンド指数も含めて相場分析する人では「現状の捉え方に差異が生じた週」だったと考えられます。

大まかに言うと、日経平均株価だけを基準に見ると「方向感がなくほぼ横ばい」でしたので、引き続き「よくわからない動きをしている」状態だったでしょう。

相場状況を分析しようにも「引き続き横ばい」のような一言で片付けるしかなかったでしょう。もしくは、方向感がない状態が依然として続いていますので、人によってはストレスになったかもしれません。

一方、株トレンド指数を見ると、日経平均株価がそのような動きをしている裏で「株式市場全体は上昇しようとしている」と読み取ることができます。

天井指数の水準は下がってきているものの、空売り指数は上昇にブレーキを掛ける役割です。つまり、上昇をしているからブレーキを掛けられるので、株式市場全体は上昇しようとしていると考えることができます。

そのようなこともあり、今週はこの空売り指数のブレーキの強弱によって左右された週でした。

詳細を見ると、週初め11/11は先週末の流れのまま日経平均株価は横ばいでした。そして、空売り指数も同程度の水準でした。他の指数もほぼ同水準であったことも考慮すると、日経平均株価と株式市場全体は連動していました。

11/12は日経平均株価は小幅下落しましたが1%未満の変動でしたので、やはり横ばいでした。また株トレンド指数も全指数が前日とほぼ同水準でした。前日同様、ここから日経平均株価と株式市場全体は連動していました。

そして、やや変化があったのが11/13です。日経平均株価は1.66%の下落を見せました。この変動率はとても低水準ですが今週の中では最も大きな変動でした。

株トレンド指数の状況を見ると、空売り指数はやや水準を下げたものの、あまり変化は見られませんでした。しかし、天井指数には変化がありました。

完全に上昇傾向が失速はしていないものの、空売り指数によるブレーキが続き過ぎたのか、11/5以来20以下の水準になりました。

このように日経平均株価と株トレンド指数には変化がありました。しかしながら、動きはどちらも同じ状態でしたので、ここも連動していました。

11/14は日経平均株価は1%の小幅下落で、株トレンド指数のどの指数も前日とほとんど変わらない水準でした。ここからも日経平均株価と株式市場全体が連動していたことが分かります。

このように、今週の株式市場は空売り指数によって動かされているような週でした。これが10以下の水準で起きていたなら、株式市場は無風状態で日経平均株価は横ばい状態になったと考えられます。

ですが、現状は空売り指数がそれなりの水準であったことから、空売り指数の本来の役割の通り、株式市場全体は上昇しようと動いているが、それにブレーキを掛けたと考えられます。

そして、この動きにより日経平均株価を基準に分析する人たちと、私たちのように株トレンド指数も使って分析する人たちでは差異が生じたと考えられます。

日経平均株価をだけを見ている人は「方向感がない」「横ばい状態」の言葉に尽きるでしょう。ですが、株トレンド指数を見ている私たちは、空売り指数によってブレーキを掛けられているので、株式市場全体は上昇しようとしていると判断することができます。

また、このブレーキの掛かり具合によっては、上昇しようとしている動きがなくなり、再び方向感なく動き出すか、下落方向に動くかもしれないと考えることができるでしょう。

このように、単に「方向感がない」「横ばい状態」と見たままの情報で捉えるか、それとも内訳を知りながら株式市場を見るかで、ずいぶんと取れる情報が変わったと考えられます。

週明け再上昇の可能性は?

直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、引き続き9月下旬から上値は4万円、下値は37,000円台後半あたりのボックス圏を推移していると読み取れます。

もしくは、引き続き少々範囲を狭め上値は3万9500円、下値は38,000円前後のボックス圏を考えても良いかもしれません。

先週に続ききれいにボックス圏の中に収まっていることから「ほぼ横ばい」と言ってよい推移でしょう。

一方、株トレンド指数を基準に見ると、引き続き動きがあることが分かります。ただし、その動きの主役が天井指数から空売り指数に変化しています。

その点を考慮すると、次の展開がとても読みにくい状況であることが分かります。

空売り指数の役割は上昇傾向にブレーキを掛けることです。通常は上昇トレンド時にその終焉を知らせるように水準が上がり天井指数が静まっていきます。

しかし現状は上昇トレンドが発生していない状態で空売り指数が主役になっています。そうなると、次に考えるのはあらゆるパターンになってしまいます。

例えば、このまま株式市場全体の上昇勢いがなくなり再び無風状態になることや、無風状態ではなくトレンドの転換になり、そのまま下落方向へ進むなどです。

もしくは、今の状況は統計にはでないイレギュラーなことで、特に何もないまま以前の状態に戻るなども考えられます。

このようにあらゆるパターンが想定されるので、次の展開を読むのがとても困難な状況です。だから、これらのデータを見る限りでは、むしろ「現状維持を続け方向感なく推移する」と想定したほうがリスクが小さいかもしれません。

全体として何らかの分岐点であることは分かりますが、何の分岐点か分からないので次の展開を読みにくいというのが、現状の難しさでしょう。

補足として、株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:若干の売り → やや買い
・個人投資家:ほぼ中立 → 明確な売り
・日本の機関投資家:やや買い → やや買いを維持

三者をまとめると全体の需給バランスは「やや売り優勢」です。先週時点では、今週天井指数が伸びる可能性があるように見えましたが、それを個人投資家が阻んでしまったようにも見受けられます。

そういった意味では、外国人投資家と日本の機関投資家が現状を維持し、個人投資家が買いに転換すると、本格的な上昇トレンドが発生するのでしょう。

株トレンド指数も含めて考えると、今週は上昇にブレーキを掛ける空売り指数の水準が全体的に高かったので、タイムラグはあるものの個人投資家の動きが影響していたのかもしれません。

これらの指標だけでは不明点も多いですが、このような状況もふまえると、今の株式市場全体は「上昇したいがブレーキを掛けられた状態」なのかもしれません。

しかしながら、依然としてボックス圏を推移していますので、あくまでも楽観的に見るとそうなるという視点で捉えておくと良いでしょう。

繰り返しになりますが、リスクを小さくする視点で見ると、「次の展開が読めないので、ボックス圏での方向感ない推移を想定」し、楽観的に見ると「ブレーキの状態によっては上昇の展開も想定できないことはない」と見ておくのが良いかもしれないでしょう。