日経平均株価が膠着状態に近い状態に陥っています。

日経平均株価の水準自体は、この数年で万単位で変化していますが、結果的に水準が上がっただけで、トレンドらしいトレンドが発生することなく現状に至っています。

そして、今週もそれを象徴するかのように、日経平均株価は大きくても週初めの-1.09%にとどまり、他は1%未満の変動と、株価がほとんど動いていないという状況です。

先週の時点で、次の展開が読みにくいということをお伝えしましたが、この膠着状態により、更に展開が読みにくい状況に陥っているとも考えられます。

このような状況の日本株市場ですが、読みにくい中でも、これからどのような展開になることが予測されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2024/11/8〜2024/11/21の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”連動しているとも連動していないとも言えない不思議な週”でした。

この中心的な理由は、やはり「空売り指数」によるものだと考えられます。先週時点で、空売り指数が年間でもなかなかない水準を維持した状態でしたが、その状況が続いていると考えられます。

ただし、先週は空売り指数の変動に合わせて日本株市場が動く連動性を見せていましたが、今週は膠着状態ということもあり、空売り指数の水準に左右されたと言えばされたと思われますが、違っていたと言えばそうなると思われる曖昧な状況でした。

いずれにしても、この曖昧になるのは株価が膠着状態に近い状態になっていることが理由の根源だと考えられます。

今週は、この空売り指数の動きと膠着状態で分析が完了してしまうような状況ではありますが、詳細も見ていきましょう。

まず週初めの11/18です。この日は、今週の中で最も日経平均株価が変動しました。ですが、その変動幅は1.09%であることをふまえると、あまり株価が動いていないと考えられます。

株トレンド指数を見ても、先週末から空売り指数の水準が下がったものの、大きく下がったわけでもありません。それをふまえても、今週の中では変動した日だったとはいえ、全体として見れば誤差に近いような変動だったでしょう。

次に11/19ですが、日経平均株価は、ここから週末に掛けて1%未満の変動しかしていません。空売り指数は、ほぼ水平状態です。

強いているなら、上昇傾向を示す天井指数が多少上昇しました。この日の日経平均株価が小幅上昇していますので、もしかするとこの影響だったかもしれません。

そして、11/20、11/21は、日経平均株価もほとんど変動せず、株トレンド指数もコピーしたようにほぼ同じ水準でした。

この2日間も強いて挙げるならではありますが、11/20は天井指数が前日よりも下がりました。11/21は空売り指数が若干下がりました。

それを考慮すると、この2つの動きが日経平均株価の小幅下落を示していたのかもしれません。

しかし、今週は全体的に日経平均株価を見ても、株トレンド指数を見ても「株価が動きにくい週」であったことを示しています。

これらの詳細はあくまでも、そのような中で変化を見るならば、このような変化があったという程度に捉えておくと良いでしょう。

先週は空売り指数が株式市場全体の動きを左右するという異例の動きをしていましたが、今週は「膠着状態」という年間でも珍しいタイミングに入ったと考えられます。

「変化がほとんどない」今週は、この一言に尽きるかもしれません。そういった意味では、比較的短期売買による利益を期待する私たち個人投資家にとっては、厳しい週だったでしょう。

また、変化がほとんどないものの、私たちのように株トレンド指数も使って相場分析していれば「空売り指数が異例の動きをしている」「各指数にほぼ変化がない」という情報から膠着状態だと読み取れることができたでしょう。

ですが、日経平均株価だけを見て相場分析している人にとっては、よく分からないけど膠着状態だと考えるしかなかったでしょう。

すでに私たちは株トレンド指数の情報を見てしまっていますので、想像しにくいかもしれませんが、もし日経平均株価だけを見ていたら、今週はこの膠着状態にイライラしたかもしれません。

いずれにしても、ここまで株価が動きにくいと、株式市場に参加する投資家たち全員が自分がどう動いて良いか分からない悩ましい週だったでしょう。

週明けの日本株どうなる?

日経平均株価を基準に見ると、引き続き9月下旬から上値は4万円、下値は37,000円台後半あたりのボックス圏を推移していると読み取れます。

約2ヶ月間変わり映えしない状況です。特に今週は先週に少々株価水準が下がってから、さらに変化がない推移を続けています。

なお、先週まではボックス圏の範囲を更に狭め、上値は3万9500円、下値は38,000円前後のボックス圏を考えても良いかもしれないと考えていました。

この判断ですが、11/21時点でギリギリ38,000円にとどまったことを考慮すると、週末11/22の日経平均株価が37,000円台に突入するか、それとも38,000円台にとどまり、再び上昇するかで決まるでしょう。

もし、踏みとどまり再上昇することがあれば、週明けは再びボックス圏の中心付近まで上昇する可能性もあるかもしれません。

とはいえ、狭い範囲でのボックス圏ですので、大きく見れば横ばいになることが予測されます。日経平均株価の推移を見る限りでは、まだ上抜けや下抜けなど明確なトレンド発生は難しいでしょう。

一方、株トレンド指数を基準に見ると、引き続き空売り指数が目立っていることが分かります。

もし、これが1週間などの短期間で終わり、今週に動きがあればトレンド発生の前兆だったでしょう。

しかし、今週も同じ状態が続いてしまうと、これは長期的に見てイレギュラーな発生状況だと考えたほうが良いかもしれません。

下落傾向を示す底値指数が先週から多少目立っていますが、そこも株式市場を牽引するような動きでもありません。他の指数も目立った動きがありません。

やはり、ここからも日経平均株価の膠着状態が示すように、株式市場全体の動きも無風状態とは違いますが、動きがない状況に陥っていると考えられます。

あえて良い方向で捉えれば、この2ヶ月間では株トレンド指数の発生水準が上がっているので、ここから動きがある可能性もあります。

反対に厳しめにみると、一度膠着状態してしまうと、次に動き出すときは大きなパワーが必要になるので、引き続き膠着状態が続いてしまうのではないかと考えられます。

いずれにしても、全く方向感が出ていないので、「週明けはこのような方向に動き出す」などの予想は立てずに、この膠着状態の行方をいったんは見守っていくのが良いでしょう。

補足として、株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:やや買い → やや買いを維持
・個人投資家:明確な売り → 中立に変化
・日本の機関投資家:やや買い → やや買いを維持

三者をまとめると全体の需給バランスは「わずかに買い優勢」もしくは「ほぼ中立」です。

タイムラグのあるデータではありますが、わずかに買いというのは、あくまでもほぼ中立より買いのイメージですので、今週の膠着状態を示しているのでしょう。

前回のデータでは、個人投資家だけが明確な売り状態でしたが、それが今週は中立に変化しました。

言うなれば、この動きで株式市場のプレーヤーが中立に集約してしまったので、引き続き株価が動きにくい状況が続くと考えられます。

株トレンド指数の発生が低水準の無風状態ではないものの、この需給バランスは今の株式市場の難しさを示しているでしょう。

こうなると、ここから難しいのは、週明けどう動くかよりも「何が材料になって株価が動き出すか」です。

日本株は12月に上昇傾向が見られます。それを考慮すると、傾向通り上昇を期待したいところです。

ですが、もしそれが本当になっても、今のような膠着状態を壊すようなパワーには至りません。

過去には、明確な上昇トレンドが発生する場合もありましたが、そういった上昇よりも通常の上昇が続き、結果として上昇していたと判断できるような上昇が多いです。

反対に下落する年もあることを考慮すると、この傾向に頼って膠着状態が崩れることはないでしょう。

しかしながら、今の日本株市場には株価を上下のどちらにも動かすようなパワーのある材料が少ないでしょう。

そのようなことも考えると、膠着状態は改善されるとしても、全体としては横ばい状態が続くと考えておくのが良いでしょう。