日経平均株価がほとんど動きません。
今週も先週に続き、週初め月曜日以外は1%未満の推移にとどまり、株価がほとんど変動しませんでした。
1%以上の変動を見せた月曜日も、こちらも先週同様1.3%ですので、一週間単位で見たらほとんど動いていないのと同じでしょう。
”膠着状態”に近いではなく、”膠着状態に突入”という言葉が適切になったのが今週でしょう。
こうなると困るのが私たちのような個人投資家です。長期投資を軸にしている方は、この直近2ヶ月間のほぼ水平状態も待ちの期間でしょう。
しかし、ある程度の短期売買で利益を狙う個人投資家にとっては、直近2ヶ月間はほとんど株価が動いていないうえ、今週に至っては膠着状態に突入です。
ここまでくると、「どうやったらこの膠着状態が変わるのか?」「いつまで膠着状態が続くのか?」など、とにかく膠着状態が早く終わり、株価変動がある状態になって欲しいと願うばかりでしょう。
このように膠着状態に陥っている日本株市場ですが、週明けに動き出す可能性はあるのでしょうか。それとも、まだ膠着状態が続き耐え抜かないといけないのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/11/15〜2024/11/28の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。
ただし、週全体としては、ほとんど株価が動いていない状態の中の話ですので、この連動の有無が何か変化をもたらすようなものではないでしょう。
むしろ、全体として先週よりもトレンドの発生がなくなり、再び「ほぼ無風状態」に戻ってしまったことのほうが問題でしょう。
詳細を見ると、週初め11/25は日経平均株価が1%以上の変動を見せました。しかし、1.3%の変動にとどまっていることから、日経平均株価自体は、それほど上昇しませんでした。
対して、株トレンド指数は先週末からの流れが少々変わり、空売り指数優位の状態から上昇傾向を示す天井指数優位の状態に変化しました。
結果論ではありますが、このまま次日も天井指数が上昇することがあれば、今週は株式市場全体が上昇に向かう週になったでしょう。
ですが、実際は11/26に一気に「ほぼ無風状態」に変化しました。日本株市場は、ここで完全に勢いを失ったと考えられます。
これまで空売り指数優位など珍しいトレンドの状態が続いていましたが、結果としてはこれが異常値になり、そのトレンドが完全に終焉してしまいました。
これでトレンドが完全にリセットされ、これから上昇する可能性も、下落する可能性も、そして横ばいで推移する可能性も全てが出てきてしまいました。
そういった意味では、週明け以降の動きは、この11/26のほぼ無風状態で決まったと言っても良いでしょう。
11/27、11/28ともに日経平均株価は1%未満の変動でした。株トレンド指数も目立った動きはなく、その指数もほぼ無風状態の中で強弱がある関係でした。
まさに「方向感を完全に失い、膠着状態になった」ことを決定付けるような両日でした。
こうなると、長期投資を狙いつつ、短期売買を好む私たち個人投資家にとっては、困る相場状況に陥ったと考えられます。
週明けの日本株どうなる?
直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、約2ヶ月間変わり映えしない状況です。特に今週は先週に少々株価水準が下がってから、さらに変化がない推移を続けています。
もし、日経平均株価そのものを売買するなら、短期売買を使うなら、どうすれば利益を狙えるのか不思議なくらいの水平状態です。
仮にデイトレ戦略などで利益を狙おうとしても、日々どちらに方向感が出るか分からない状況が続いているので、結果として「売買したが利益は±0円」もしくは若干のプラス、若干のマイナスなど、売買してもしなくても変わらない状況だったと考えられます。
先週まではボックス圏の範囲を「上値4万円・下値37,000円台後半」のパターンも考えていました。
しかし、今週の状況をふまえると狭めたパターンの「上値:3万9500円・下値:38,000円前後」と考えても良いかもしれません。
これが過去にあった日経平均株価1万円未満のときや、1万円前半台であれば、この程度のボックス圏の範囲でも、それなりの変動率があり短期売買に適したでしょう。
ですが、今は水準が上がり3万円台です。この水準での上下合わせて1500円程度のボックス圏の範囲は、ほぼ水平で膠着状態と変わりません。
このような状況ですので、日経平均株価自体は、よほど大きな材料がない限り、再び上下のどちらからに動き出すことが難しくなっているでしょう。
また株トレンド指数を見ても、同じような状況だと読み取れます。11月は空売り指数を中心にトレンドが発生していました。しかし、そのトレンドは株式市場を牽引するようなものではありませんでした。
10月に至っては、ほぼ無風状態が続き、株価も動きようがない状態だったと見受けられます。そして、今週は10月よりは若干水準が高いものの、再びほぼ無風状態に突入しています。
やはり、ここからも日経平均株価と同様に、よほど大きな材料がない限り、再び上下のどちからに動き出すことは難しいでしょう。
よって、この2ヶ月間の状況をふまえると、今週単独のほうが株価が動いているように錯覚するくらい、水平で膠着状態に陥っていることが分かります。
では、ここでこの状況を作る根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。
・外国人投資家:やや買い → 売りに変化
・個人投資家:中立 → やや買いに変化
・日本の機関投資家:やや買い → やや買いを維持
三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」です。加えて、三者の売買の大きさも株式市場全体を動かすような大きさではありません。
タイムラグのあるデータではありますが、このようなデータから、今の株式市場は株価も動きようがないと考えられます。
なお、この需給バランスで少々気がかりなのは「外国人投資家」の動向です。まだ、大きな売り越しではないのですが、直近2ヶ月間の中では目立つ売り越しです。
現状の株式市場を見る限り膠着状態なので、ここから更に売り越しになることは想定しにくいですが、万が一のリスクとして考えておくと良いでしょう。
もし、ここから株価が動くならば「外国人投資家が、更に売りを強めることで短期的下落トレンド」ということをシナリオの1つとして持っておくと良いかもしれません。
反対に、短期的上昇に向かうには、外国人投資家の売り越しが弱まり、私たち個人投資家や日本の機関投資家が買いを強めない限り、その状況は考えにくいでしょう。
そういった背景からも、膠着状態は続く可能性が最も高いですが、目立った材料がない今、こういった需給バランスによる変動があるかもしれません。
このように今週は、膠着状態になったことで、相場解説をしようにも「ボックス圏の中での膠着状態」としか言えないような状況になりました。
ただ、ここで重要なのは日経平均株価だけを見ても膠着状態なのは分かりますが、その裏側で起きている情報を今の時点で把握しておくことでしょう。
「需給バランスは中立だが、外国人投資家の動き次第で短期的下落もあり得る」「株トレンド指数では、よほどの材料がないと株式市場全体は水平で膠着状態になる」など、このような把握なく現状を見ても、何も考えられないのが現状でしょう。
そのようなことがありますので、日経平均株価だけを見て「ほとんど動かないな…」と考えるよりも、現状に対して多くの情報をつかむことができたでしょう。
まずは、このような情報を持ちながら「改めて株式市場を見る」ことをしてしましょう。結果的にはこの相場解説と同じでも取れる情報の質が変化しますので、ぜひ実践してみると良いでしょう。