日経平均株価が3万8000円割れ目前まで下落しています。

2/26の終値は3万8142円と11/27に付けた3万8134円以来の低い水準に到達しました。そして、2/28の前場時点では、さらに下落し3万7100円台に到達しています。

これまで堅調に推移しボックス圏の下値付近までの下落でとどまっていた日本株ですが、急転しそのボックス圏を下抜けしようとしています。

果たして、日本株はこの2/28前場時点の流れに乗り、そのまま下落してしまうのでしょうか。そして、来週の日経平均株価はどのように動くことが予想されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2/13〜2/27の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”連動していると言えば連動し、連動しないないと言えば連動していない”でした。

どちらつかずの表現になりますが、どちらとも言えないのが今週です。ただし、今週は祝日があり営業日が少ないので、あくまで参考データとしての話になります。

また、今週は端的に言うと「上昇トレンドのダマシが決定し、いったんトレンドがリセットされた週」だと表現できます。

これまで上昇の勢いが完全に消えず、再上昇の可能性がありましたが、それが今週で完全に消えました。

その理由として考えられるのが「押し目買い指数」の影響です。押し目買い指数優位の状態が長く続くと、上昇の勢いが自然消滅する傾向があります。

上のグラフの通り、その状況が続きすぎたことで、ギリギリのところで保っていた上昇の可能性が消え、今週でリセットされたと考えられます。

詳細を見てみましょう。週初め2/25は約1.4%下落しました。円単位で見ると約540円下落しているので、大きく下落した印象があるかもしれません。しかし、実際にはそれほど大きな下落ではありませんでした。

株トレンド指数を見ても下落傾向を示す底値指数の水準がそれほど上がっていないこともあり、通常の変動の中での下落だったと考えられます。

ただし、ここで特筆すべきことがあります。それが「各指数の水準がほぼ同じ」になったことです。

この2/25の時点ではそこまで判断できませんでしたが、結果としてここで「トレンドがリセットされた」と考えられます。

続く2/26も同じような状況になりましたので、2/26の時点でトレンドがリセットされたと確定できたでしょう。

日経平均株価も2/26は小幅下落とはいえほぼ水平での推移でしたので、この2/25と2/26の動きで状況が変化したと考えられます。

そして2/27も日経平均株価は小幅上昇しましたが、ほぼ水平で推移し、株トレンド指数も同じような状況でした。

しかし、少々気がかりだったのが下落傾向を示す底値指数の水準が、各指数の中で最も目立った点です。

まだこの時点では上昇傾向を示す天井指数と、それほど水準が変わらないので悲観的になるほどではありませんが、やや気がかりな部分でした。

とはいえ、いったんトレンドがリセットされると、このような状況は誤差の範囲での話でもあります。そういったことをふまえると、次の動きがいつ始まるかがポイントになるでしょう。

例えば、その次の動きが「2/28」の可能性もあります。一方で、違うこともあります。前場時点で3万7100円台まで下落していますが、これが株式市場全体の話なのか、日経平均株価採用銘柄のみの話なのかは、今の時点では分かりません。

上のグラフの底値指数を見る限り、ここから急激に水準が上がることは考えにくいので、円単位で見るほどのインパクトはないようにも見受けられます。

また、曜日別の傾向で見ると、金曜日は下落しやすい傾向もありますので、週の半ばであればここまで下落しないにも関わらず、多少勢いがついた可能性もあります。

いずれにしても、実際のデータがでない限り正確な判断はできませんが、前場時点では暴落や急落のような水準ではありません。

ここは週明けに出る2/28の株トレンド指数のデータを元に冷静に判断するのが良いでしょう。

日本株来週の見通しは?

日経平均株価を基準に見ると、11/27以来の水準を2/27につけているものの、約2ヶ月間変わり映えしない状況が続いています。

ただし、2/28の日経平均株価の終値次第では多少状況が変わるかもしれません。

先週時点ではボックス圏の範囲を「上値:4万円・下値:38,500円前後」で見ていましたが、2/28の終値次第ではボックス圏の水準が下がり「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」に変化する可能性もありそうです。

先週までは「底堅い」と言えましたが、ここにきて一時的に崩れる可能性もありそうです。

対して、株トレンド指数を見ると、これまで断続的に続いていた上昇勢いが完全に消えたことが分かります。これによりこれまでの上昇の期待はダマシであったと判断できます。

また、上昇勢いの期待になっていた天井指数が失速したことで、各指数が横並びになりトレンドがリセットされたことも、ここから分かります。

日経平均株価の動きも踏まえてみると、これまでボックス圏の中で上昇しようと頑張ってきましたが、息切れしてしまい今度は下落方向に進む可能性が出てきていると考えられるでしょう。

しかしながら、その下落は株トレンド指数の動きを見る限り、急落や暴落のようなものではなく、引き続きボックス圏の下値付近に向かった動きだと考えられます。

一時的に下抜けする可能性はありますが、段階的下落する暴落が発生し、半値戻しになるような状況ではないでしょう。

なぜなら、株トレンド指数の発生状況にそこまで勢いがないからです。もし、ここから底値指数が段階的に上昇することがあれば、暴落の可能性は出てきます。

ですが、今の時点ではまだトレンドがリセットされただけの状態ですので、そこまで一気に進むことは難しいでしょう。

もちろん、2/28の株トレンド指数のデータ次第によっては、暴落や急落の可能性も出てきます。

その場合は、前述の通り段階的に底値指数が上昇します。そのような暴落や急落の下地ができるまでは、悲観的になりすぎることもないでしょう。

これまでの数カ月間の中では下落リスクを想定したほうが良いですが、下落トレンドに突入したわけではありません。

まだ中立なスタンスを維持できる水準ですので、2/28のデータや来週のデータを見ながら、リスク状況を判断するのが良いでしょう。

需給バランスから見た来週の見通しは?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。今週は祝日があった都合で先週と同じデータになりますが、需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:売り越し → わずかに買い越しに変化
・個人投資家:買い越し → わずかに売り越しに変化
・日本の機関投資家:買い越し → わずかに買い越し変化

三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り、引き続き日本株の下地は「中立」状態になっています。

最新のデータではないので、このバランスが実際には崩れている可能性もあります。万が一、三者が売り越しになると下落リスクのみになりますが、ここから急に三者が売り越しに動くのも考えにくいです。

もしくは、2/27までは上のような需給バランスでしたが、2/28に急転し売り越しにバランスが変化している可能性もあります。

そういった部分も2/28の株トレンド指数で判断することがある程度できます。もし下落傾向を示す底値指数の水準が急に上がることがあれば、それは需給バランスが売り越しに変化していると読み取れます。

もしそうなった場合は、暴落のような下落になるかは底値指数の水準次第ですが、下落リスクが一気に高まると想定しておくと良いでしょう。

反対に、日経平均株価は下落しているが、底値指数がそれほど変化しない場合は、需給バランスは、それほど変化していないと考えられます。

そのときは日経平均株価の構成銘柄が下落しただけで、株式市場全体はそれほど影響を受けていないと判断できます。

2/28前場時点の日経平均株価の動きを見る限り、後者の可能性が高いようにも見えますが、2/28のデータ次第では下落リスクが高まるかもしれませんので、注意して見ていきましょう。

このように今週の株式市場は2/27までは、トレンドがいったんリセットされた影響で推移していることが分かりました。

しかし、2/28前場時点だけを見ると株式市場全体が急転した可能性と、日経平均株価の構成銘柄だけが下落した可能性の2つが考えられます。

このどちらなのかは、この日の株トレンド指数のデータを見なければ判断できないところでもあります。

そうなると、例えば来週の日経平均株価は下落するが、株式市場全体はそれほど下落しないというシナリオが想定されます。

または、こうなると暴落に向かうことになりますが、日経平均株価も株式市場全体も下落するシナリオが想定されます。

いずれのシナリオになるかは、週明けの株トレンド指数の中でも「底値指数」がどのような動きを見せるかによります。

ぜひ、そのようなポイントに着目しながら、来週の日経平均株価の推移や株式市場全体の推移を見ていきましょう。

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/2/27(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ2/28前場時点のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。