日経平均株価が一時3万7000円を割りました。

3/7前場は37,008円と何とか一時的な割り込みで耐えていますが、後場にどうなるかは分かりません。

米国株下落が影響しているとの話も一部でありますが、前日のNYダウは約1%の下落にとどまっていることを考えると、日本株のほうが反応してしまっているのかもしれません。

先週も週末金曜日に約2.9%下落し、今週も3/6まで約1.5%上昇していましたが、この金曜日に下落しそうな雰囲気を見せています。

このような下落が続き、日経平均株価が一時3万7000円を割るとなると、そろそろ「下落トレンドに入ったのではないか?」とリスクを感じるところかもしれません。

果たして、日本株はこのまま下落トレンドに入り、下落が進んでしまうのでしょうか。そして、来週の日経平均株価はどのように動くことが予想されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2/20〜3/6の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”連動している週”でした。

ただし、一言で表現すると「方向感を捉えるのが難しい週」だったと言えます。特に日経平均株価だけを基準に相場の流れを捉えていた人にとっては難しい週だったでしょう。

また、連動はしていたものの「下落リスクの捉え方」には差異が生じた週でした。なぜなら、日経平均株価だけを基準に見ると、どちらかと言えば下落リスクが高まっていると体感したと考えられるからです。

反対に、株トレンド指数も踏まえて相場分析すると、下落リスクがありそうには見えるが、実際には「株式市場が上昇しようとしている中で何かが重しになって上昇できない状態」と読み取ることができたからです。

なお、その「重し」とはお察しの通り米国大統領の発言によるものだと考えられます。これにより、日経平均株価は下落リスクがある雰囲気の中で方向感なく推移しました。

しかし、その裏側では前述の通り株式市場全体は上昇しようと動き出していました。その詳細をみることを目的に、個別の状況を見ていきましょう。

週初め3/3の日経平均株価は、先週末に約2.9%下落した流れが止まり1.7%上昇しました。完全回復まではいきませんでしたが、この上昇により下落への流れが止まったと読み取れます。

株トレンド指数を見ると、先週末2/28に下落傾向を示す底値指数が16まで上昇し、上昇傾向を示す天井指数の水準が下がったことで下落方向に進みましたが、それもこの日に解消されました。

天井指数の水準が再び上がり、底値指数よりも優位になったことで、先週末にあった下落リスクは、ここで止まったと考えられます。

つまり、どちらの指標を見ても、先週末の流れが止まったと分かりましたので、ここで下落リスクは取り越し苦労であることが分かりました。

しかし、3/4は下落リスクが再燃することはなかったものの、再び下落傾向を示す底値指数の水準が上がりました。

ただし、あまり乖離することなく上昇傾向を示す天井指数も水準を保ったことで、株式市場全体が下落方向へ進むことなく、小幅下落にとどまったと考えられます。それを示すように、日経平均株価も1.2%下落にとどまりました。

3/5になると、再び状況が変化しました。今後は、下落傾向を示す底値指数の水準が下がり、再び上昇傾向を示す天井指数の水準が上がりました。

底値指数の水準は前日とそれほど変わらなかったものの、この動きにより株式市場全体は上昇に向け動き出したと考えられます。

3/6には、その天井指数の水準が更に上がりこの2週間では、最も高い水準まで上昇しました。日経平均株価は1%未満の上昇でしたが、株式市場全体は上昇しようとしていることが分かります。

このように今週は全体として捉えると日経平均株価と株トレンド指数が連動していました。しかし、毎日状況が変化していたので、方向感を捉えるのが難しかったでしょう。

そして、何よりも難しくしたのが米国大統領の発言です。日経平均株価も株トレンド指数も、この発言次第で右往左往していた印象です。

もしあなたが、株トレンド指数も見て相場分析しているのであれば、方向感を捉えるのが難しい状況でしたが「まだ下落リスクが高まった状況ではなく、むしろ株式市場全体は上昇しようとしている」と読み取ることができたでしょう。

反対に、株トレンド指数の情報はなく日経平均株価だけを見て相場分析していたのなら、株式市場の実態に関係なく、米国大統領の発言次第による「何となくの下落リスク」を感じながら、右往左往していたでしょう。

このように、どちらの指標を見ても方向感を捉えにくい状況が続きましたが、どちらの指標を見ているかで「下落リスク」の判断が違っていたのが今週の株式市場だと考えられます。

そして、そのような流れの中で、3/7前場で日経平均株価の一時3万7000円を割れがありました。これを悲観的に捉えるか、それとも「あくまで一時的な下落」と捉えるかは、どの指標を見るかで変わってくる部分ではないでしょうか。

日本株来週の見通しは?

日経平均株価を基準に見ると、約2ヶ月間変わり映えしない状況が続いているようにも見えますが、緩やかに下落方向へ動き出しているようにも見えます。

ただし、ある程度の変動幅で上下しながら下落しているのではなく、ギリギリのところで耐えながら下落方向へ進んでいるので、まだ下落方向へトレンドが発生していないことも分かります。

週末3/7の後場でどうなるかの部分はありますが、今の時点ではボックス圏の範囲を引き続き「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」で見ておくと良いでしょう。

先週末の日経平均株価が下落しなければ、前週時点でのボックス圏を保っていましたが、下落したことで、ボックス圏の水準が下がりました。

そして、実際に3/7前場時点では、その下値目安の付近で推移しています。万が一、これを大きく割る水準まで下落すると、更にボックス圏の水準が下がります。

しかし、この水準を保ったままであれば、引き続き上記のボックス圏を推移すると考えられます。

対して、株トレンド指数を見ると、直近の日経平均株価の推移からすると想像できませんが、再び天井指数の水準が上がり、上昇しようとしていることが分かります。

この2ヶ月間を見ても、天井指数の水準がそれなりにありますので、ここからも株式市場全体は上昇しようとしていることが分かります。

ただし、こうなると難しいのが来週の予測です。先週同様、この週末に日経平均株価が下落していることをふまえると、やはり3/7の日経平均株価がどのような水準で終わるかがポイントになるでしょう。

そして、万が一下落が進むことがあっても、今週のように週明け3/10にその流れを止め、再び同じような動きをする可能性もあります。

または、日経平均株価と株式市場全体が違う動きをし、日経平均株価は下落するが、株式市場全体は天井指数を伸ばし上昇しようとする可能性があります。

そういった状況をふまえると、この3/7と週明け3/10の日経平均株価と株トレンド指数の動きがどうなるかで、今後の状況が読み取れるでしょう。

同時に、これまで何となく下落リスクがあると感じていた部分も、本当にそうなるのか、それとも今週の株式市場のように日経平均株価採用銘柄だけがそのような状態で、株式市場全体は違うということになるのかが判断できるでしょう。

ぜひ、そのような点をふまえながら、3/7と週明け3/10の日経平均株価と株トレンド指数を見ていきましょう。

需給バランスから見た来週の見通しは?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは以下の通りでした。

・外国人投資家:売り越し → 売り越しが強まるに変化
・個人投資家:買い越し → 買い越しが強まるに変化
・日本の機関投資家:わずかに買い越し → わずかに買い越しを維持

三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」もしくは「わずかに売り優勢」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り日本株の下地は「中立」に近い状態を維持しています。

そして、今週のデータには特徴的なことがありました。それが「外国人投資家の動き」です。

国内は、私たち個人投資家も機関投資家も「買い越し」を強めました。これに対して「外国人投資家」だけが一方的に「売り越し」を強めています。

個人投資家と機関投資の両者で動きが変わることは多いですが、今回のように国内外で動きが変わることは珍しい状況です。

やはり、これは直近の米国大統領の関税に関する発言と実行によることが外国人投資家を消極的にさせていると考えられます。

そして、これが今の日本株が株式市場全体は上昇しようとしているが止められている状況なのでしょう。

大きく言えば、今の日本株市場は米国大統領や外国人投資家に握られてしまっているのかもしれません。

外国人投資家が米国大統領の動きを考慮し、日本株への投資をどうするかによって、今後の日本株の動きが決まると言っても良いでしょう。

また、この需給バランスを見る限り、更に外国人投資家が売り越しを強めたり、国内の投資家が売り越しにならない限りは、下落トレンドの進む可能性は低いと考えられます。

反対に言えば、国内の投資家が外国人投資家の動きに乗ってしまうと、一気に下落トレンドに入り、下落が進むリスクが高まります。

そのようなことを考慮すると、この需給バランスは直近の日本株市場を左右するデータにもなり得ますので、引き続き最新のデータを確認していくようにしましょう。

また、データはなくとも、何らかの情報で外国人投資家の動きがわかった場合は、それが日本株市場の動きに影響する可能性が高いと考えられます。

そのような動きにも着目しながら、引き続き日本株市場の動向を見ていきましょう。

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/3/6(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ3/7前場時点のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。