日経平均株価が再び3万7000円を割りました。

週初めは3万7000円台で始まったものの、そこから3日連続で3万6000円台に突入しました。何とか、週末3/14には3万7000円台に回復したものの失速が見受けられます。

しかし、その一方で2週連続で金曜日に円単位で見ると1000円下落するなど不穏な動きがありましたが、3週連続で起こることはなく無事に終えた週でもありました。

とはいえ、今の流れでは日経平均株価の水準は一時4万円付近にあったものの、そこから段階的に3万9000円、3万8000円、3万7000円と下がりそうな動きを見せています。

直近の日本株市場は米国大統領の方針発表と、それに関連した為替の動きに振り回されているようにも見えますが、ここからどうなるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2/28〜3/13の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。

しかも、これまでは日経平均株価の裏側で株式市場全体はどちらかと言うと、ポジティブな動きをしていましたが、ここに来て”中立よりはネガティブに転換”したと言えます。

ただし、まだ株式市場を動かすようなトレンドが発生したわけではないので、あくまでもボックス圏の推移の中でのネガティブ転換だと考えられます。

詳細を見てみましょう。週初め3/10は日経平均株価が小幅上昇し再び3万7000円台に回復しました。週末3/7に約2%の下落で3万7000円を割ったものの、これで辛くも維持しました。

株トレンド指数は、この3/10に転換を迎えたと読み取れます。前週半ばまでは上昇傾向を示す天井指数の勢いが残っていましたが、それが3/7と3/10で消滅しました。

むしろ、下落傾向を示す底値指数の水準が上がるようになり、下落への不安が高まる状態に変化しました。

この状態が前週末から続いたことで、今週の株式市場は全体的に下落方向へ動くことが決まったといっても良いかもしれません。

そして、3/11になると、今度は日経平均株価が小幅下落しました。株トレンド指数では、下落傾向を示す底値指数の水準が少し上がり、反対に上昇傾向を示す天井指数の水準が下がったことで、少しずつ下落への勢いがついてきていると考えられます。

ただし、まだ下落トレンドを発生させるような勢いではなく、これまでは上昇傾向と下落傾向が均衡状態でしたが、その綱引きに下落が勝ち始めてきたような状況です。

3/12になると、日経平均株価も株トレンド指数もほぼ水平状態のような動きを見せました。大きな変化はないものの、下落方向に株式市場全体が動く準備をしているようにも見受けられます。

週末3/13も両指数が水平状態に推移し、同じような状況が続きました。ただし、ここで注目すべき部分もあります。

こちらは3/14の株トレンド指数のデータが出てからでないと明確に判断できませんが、3/13の株トレンド指数の水準を見る限り、再び流れが変わる可能性もあります。

週全体で見ると、これまでと違って株式市場全体がネガティブに動き始めたようにも見えますが、局部的に見ると、まだそうとも言い切れない要素になるのが、この3/13です。

そのような点もふまえると、日経平均株価3万7000円割れなどの印象ではこのまま下落方向へ動きそうに見えますが、まだこのまま下落が続くかは分からないと思われます。

一方で、段階的に下落が進みボックス圏の水準が下がっているのも事実ですので、ここから週明けの株式市場の動向がどうなるかで、ある程度方向が見えるかもしれません。

また、連動はしていたものの「下落リスクの捉え方」には差異が生じた週でした。なぜなら、日経平均株価だけを基準に見ると、どちらかと言えば下落リスクが高まっていると体感したと考えられるからです。

改めて今週をまとめると、悲観的に見ればここから弱い下落が続く可能性もあるでしょう。ただし、それは悲観的ですので中間で見れば、再び上昇に転換する可能性も考えられます。

楽観シナリオは発想ができない状況ですので、雰囲気としては嫌な感じはしつつも、そこまでリスクを考えるような状況ではないと考えるのが良いかもしれません。

日本株来週の見通しは?

日経平均株価を基準に見ると、これまでは約2ヶ月間変わり映えしない状況が続いていましたが、ここにきて緩やかに下落方向へ動き出しています。

ただし、前週時点で目安にしたボックス圏の範囲「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」で考えると、引き続き下値付近をギリギリで保っているように見えます。

前述のとおり、株トレンド指数の下落傾向を示す底値指数の勢いがそれほど大きくないこともふまえると、日経平均株価は引き続き現状付近の水準をフラフラと動くかもしれません。

やはり、データの範囲を広げて見ても、まだ悲観的になるような下落ではなく、ここから転換もありうる状況であることが分かります。

対して、株トレンド指数を見ると、前週の時点では上昇傾向を示す天井指数の勢いがありましたが、それが今週に入りなくなったことが分かります。

ここからも、日経平均株価が今週は上昇することなく3万7000円付近をフラフラと推移していた理由が分かります。

また、今週だけ見ると下落傾向を示す底値指数の水準が上がっているように見えますが、期間を広げて見ると、それほど勢いがあるような状況ではないことが分かります。

日経平均株価でも見た通り、あくまでもボックス圏の下値付近でフラフラと動く程度の底値指数の発生で、株式市場全体を下落方向へ向かわすような下落でもないと分かります。

このように、期間を広げて日経平均株価と株トレンド指数を見ても、下落リスクがあるような状況ではなく「方向感を失った状態」または「ボックス圏の下値付近をウロウロしている状態」という表現が適切かもしれません。

もちろん、これまで段階的にボックス圏の水準が下がったように再び水準が下がる可能性もあります。

ですが、その判断は日経平均株価が3万6000~6500円付近で定着しない限り判断は時期尚早だと考えられます。

そのような状況ですので、ここからはボックス圏の水準が段階的に下がる方向に動くのか、それとも再びボックス圏の中心に向かって動くのかをポイントに動向を見ていくと良いでしょう。

需給バランスから見た来週の見通しは?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは以下の通りでした。

・外国人投資家:売り越し → わずかに売り越しに変化(↗)
・個人投資家:買い越し → 売り越しに変化(↘)
・日本の機関投資家:わずかに買い越し → 大きく買い越しに変化(↗)

参考:トレーダーズ・ウェブ『投資主体別売買動向』

三者をまとめると全体の需給バランスは以下のグラフのように「やや買い優勢」もしくは「わずかに売り優勢」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り日本株の下地は「多少買い気味の中立」に近い状態を維持しています。

また、前週データと比較すると、前週のほうがより中立に近いことが分かります。それを考慮すると、株式市場全体はやや上昇しようとしていることが分かります。

ただし、こちらはタイムラグがあるデータですので、これは前週まで発生していた天井指数の状況を示しているのかもしれません。

よって、ここから株式市場がどう動くかはさらに最新のデータが全体としてどう動くかがポイントになるでしょう。

もしこれが全体として上方向へグラフが動けばボックス圏の上値方向に動くことが予測されます。反対に下方向へ動けば下値付近に動くことが予測されます。微妙な変化であれば、引き続き現状維持になります。

このように方向感が需給バランスによっても変わりますので、最新のデータが発表されましたら、すぐに確認しておきましょう。

なお、ここで一つ特筆すべきことがあります。三者の動きの変化です。三者とも明確にポジションチェンジしました。

特に気になるのが日本の機関投資家です。直近数年間の日本の機関投資家は、年間を通じてそれほど大きく変化することがありません。

しかし、この年度末にきて大きく買い越してきました。年度末であることを考慮すると、ここで利益確定しそうですが、全く反対の動きをしています。

それをふまえると、この3月は決算期でもありますので、決算予測をふまえて先に動いていることも想像されます。

個人投資家と機関投資家が反対の動きをするときほど、株価に何かあるときですので、もしかすると上のグラフの最新データの動きが、今後の変化になる可能性もありそうです。

ワンポイントアドバイス

このように今週の日経平均株価、株トレンド指数、需給バランスを見る限り、まだ方向感が決まっていないのは明確です。

一方で、悲観的に見ると段階的に日経平均株価の水準が下がる可能性もありますが、このままボックス圏の下値付近を推移する可能性と、ボックス圏の中心に再上昇する可能性があります。

現状のデータでは、まだどのシナリオになるかの判断はできませんが、考えられるシナリオはこのような方向性になるでしょう。

そうなると、週明けの株式市場では「このシナリオになるではないか」という一択の予測がリスクを大きくするでしょう。

今の状況で、もし予測されるシナリオを当てたとしても、利益への影響はそれほどないと思われます。

万が一、ここから再上昇するとしても、予測されるのはボックス圏の中心に戻る程度の上昇です。

その程度の上昇では株価の変動率が低く、利益に影響するような動きにはならないと考えられます。

そういった状況ですので、次のシナリオを一択で予測し当てることよりも、複数のシナリオを用意して、動向に合わせて柔軟に動くことが求められるでしょう。

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/3/13(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ3/14時点のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。