日経平均株価がようやく3万5000円まで回復しました。

暴落前水準の3万5500円も射程圏まで上昇し、4/25前場時点で一時その水準に到達しています。

引き続きアメリカ大統領の方針によって株式市場がイレギュラーな動きをしているものの、そろそろ落ち着きを見せてきたようにも見受けられます。

そして、その現れとして日経平均株価も大きな上昇はありませんが、小幅上昇を重ねて緩やかに上昇しています。

一方で、依然として投資家が最も嫌う先行き不透明になっている状況は否めません。それもあり、日本株も大きな変動なく小幅変動が続いているのでしょう。

加えて、落ち着きを見せてきてはいるものの、まだ完全に通常の動きに戻っていないこともあり、今後の予測が難しい状況も続いています。

はたして、週明けの日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは4/11〜4/24の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週と違って日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。

また、今週はこれまで全く見られない状況が4/24に発生しました。それは上昇傾向を示す天井指数と下落傾向を示す底値指数の両指数の発生が「0」であったことです。

これまで長年株トレンド指数を使って相場分析をしてきましたが、両指数が「0」になることははじめてです。

私たちがデータを取れない期間まで遡ればあるのかもしれませんが、少なくともこの10年間には見られませんでした。

これまであったのは、どちらかの指数が「0」になるケースでした。例えば、直近に発生した暴落時は上昇傾向を示す天井指数は「0」になりました。

反対に上昇トレンドが発生すると、天井指数は発生しているが、下落傾向を示す底値指数は「0」になるというケースもあります。

いずれも、株式市場全体が明確に上昇傾向、下落傾向となると、反対の指数が「0」になることはありましたが、両者が「0」ははじめてです。

他にも、例えば日経平均株価が水平状態で推移するようなもみ合い状態でも、両者は「0」になることはなく、両者が発生し均衡状態に近くなるのがセオリーでした。

そのようなこともふまえると、この4/24はとても特殊でありイレギュラーな状況であることが読み取れます。

そして、これが米国大統領によりイレギュラーに動かされる証拠でもあると読み取れます。

データに直結していませんので推測ではありますが、同日未明に加藤勝信財務相と米首都ワシントンでベセント財務長官の会談を控えていた影響と思われます。

米国大統領によるイレギュラーな株式市場が収束に向かっているところでしたが、この会談次第で状況が一変する可能性がありました。

ただ、これが従来のある程度先の読める会談ではなく、フタを開けなければ結果が全く分からないということで、投資家たちはパタッと様子見に切り替えたのでしょう。

実際に4/24の押し目買い指数は「15」まで上昇しています。押し目買い指数は、なかなか2桁まで上昇しません。

それをふまえても、投資家たちが「ここから上昇する可能性が高いだろう」と先を読んでいるが「会談の結果次第もあるから様子見」と一時停止しているように見えます。

また、上昇にブレーキを掛ける役割である「空売り指数」も今週は19〜28の水準を推移しています。

4/24も今週の中では最も低い水準ではありますが、それなりの水準を維持しています。

こういった状況からも、投資家たちが「上昇の可能性はあるが会談次第」という見解をしていると見受けられます。

このように今週は、背景を予測できるものの4/24にとても珍しいことが起きました。

念のため詳細も見ていきましょう。週初め4/21は先週半ばから発生した小さな上昇の流れにのり上昇傾向を示す天井指数が上昇しました。

日経平均株価は1.3%下落しました。この水準であれば1.3%下落はほぼ変動がない下落ですが、円単位で見ると450円でしたので大きく下落したと感じた人もいるかもしれません。

そのようなこともあり、この日は日経平均株価と株トレンド指数に連動性がありませんでした。

4/22も天井指数の勢いが保たれたことで、株式市場全体は上昇傾向でした。日経平均株価は水平に推移しました。よって、この日はほぼ連動していたと考えられます。

4/23は引き続き天井指数の推移が保たれたものの少々失速しました。日経平均株価は1.89%上昇し、円単位で見ると648円上昇しました。

下落時と同様1.89%の変動ではそれほど大きな上昇ではありません。しかし、円単位で見てここを大きく上昇と感じてしまった人もいるでしょう。

しかし、株トレンド指数では前日に近い状況だと読み取れます。よって、株トレンド指数では先週から続く小さな上昇を維持した状態、日経平均株価は上昇と読み取れます。

つまり、日経平均株価だけでなく株トレンド指数も基準にして株式市場を見ると、今週は小さな上昇を維持した週だったと読み取れます。

一方、日経平均株価だけを基準に株式市場を見ると、結果として緩やかに上昇はしているが、方向感をつかみにくい週だったと読み取れます。

だから、今週は日経平均株価と株トレンド指数が、あまり連動していなかったと考えられます。日経平均株価だけを基準に株式市場を見る人にとっては、とても展開を読みにくい週だったのではないでしょうか。

来週の日経平均の見通しは?

日経平均株価を基準に見ると、今週の緩やかな上昇で暴落前水準までほぼ戻っていることが分かります。

ただし、このように期間を広げて見ると、さらに前は3万9000円付近のボックス圏を推移していましたので、まだ物足りない回復です。

G20の会談でネガティブなサプライズがなかったことをふまえると、まだ物足りないものの、これから回復に向かうシナリオも描けそうです。

一方、株トレンド指数を基準に見ると、暴落から落ち着きを取り戻しつつあることが分かります。

4/24はイレギュラーな動きをしていますが、それ以外の日は通常の株式市場の動きに戻りました。

むしろ、今週は小さな上昇ではあったものの、それなりの上昇を見せていることから、株式市場全体は上昇しようとしているのではないかとも見えます。

もちろん、米国大統領によるイレギュラーな株式市場が沈静化していませんので、楽観的に見た場合の話にはなりますが、ようやくデータからこのようなことが読み取れる状況になってきています。

以上が2ヶ月間のデータを見て分かることです。これらをふまえると、必ずしも日経平均株価と株式市場全体が連動するわけではありませんが、株式市場全体は上昇の下地があることから、日経平均株価も緩やかに上昇していくのではないかと予想されます。

需給バランスから見た来週の見通しは?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは以下の通りでした。

・外国人投資家:わずかに買い越し → ほぼ変動なし(→)
・個人投資家:わずかに売り越し → 売り越しが強まる(↘)
・日本の機関投資家:買い越し → 買い越しが弱まる(↘)

参考:トレーダーズ・ウェブ『投資主体別売買動向』

三者をまとめると、先週よりは弱まっていますが、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り日本株の下地は「買い優勢」が続いています。

また、今回のデータで特長的なのは、私たち個人投資家だけが「売り優勢」ということです。

株トレンド指数を見る限り、先週半ばから小さな上昇傾向がありましたので、暴落後の上昇で利益確定の売りが強いのかもしれません。

前週と比較しても最新データでは売りが強まっているので、そのような可能性を読み取れます。

そして、もう一つ特長的なものが「外国人投資家」の動きです。前週と最新データがほぼ変わりません。例えば、日本の機関投資家は買いが弱まっています。

そのような変化がほとんどないことを考慮すると、引き続き米国大統領の発信次第で自国の先行きも不透明になることから、ポジション維持にとどめているのかもしれません。

ここからも、米国大統領のことは、海外だけではなく自国の投資環境にも影響していることが分かります。

余談ですが、このような状況が続いてしまうと、米国株式市場が崩れてしまいます。そうなると、このイレギュラー状態を続けることは得策ではなくなるでしょう。

一部の方から「この状況はどうなるのか?」というご質問をいただくことがありますが、その答えは「待てばイレギュラーが終わり、セオリー通りに戻る」です。

これまでの株式市場をみる限り、イレギュラーがセオリーになったことはありません。実際にG20の会談に「為替のことはなかった」という事実に対し「そもそも市場原理があるのに介入できるわけがない」と述べる専門家も多数いました。

株式市場も同様です。イレギュラーが続くことはこれまでありませんでしたので、ここで原理原則が変わらない限り、待てばセオリー通りの株式市場に戻るでしょう。

ワンポイントアドバイス

このように今週の株式市場は、4/24にこれまでない天井指数「0」底値指数「0」の状況になりましたが、それ以外は通常運行に戻りつつあります。

また、その4/24もイレギュラーとはいえ、背景が見える動きでもあります。

そして、今の日本株市場が株トレンド指数や株式市場の需給バランスを見る限り、上昇の度合いは小さいですが、「上昇の下地が整っている」状況であることが分かります。

そのようなことをふまえると、再び米国大統領による誰も想像できない方針発表などがなければ、緩やかに日経平均株価や株式市場全体が上昇するのではないかと考えられます。

暴落もイレギュラーであったことで、暴落前水準に戻るには時間が掛かるのではないかと思うところもありました。

加えて、イレギュラーであることからデータ分析には限界があり、データ上でも先行き不透明が強い状況が先週まで続きました。

しかし、それが今週の相場分析のように、セオリー通りに近い中で分析をできるようになったことから、投資家が最も嫌がる先行き不透明から脱しつつあるのではないかと思われます。

そうなると、投資すべきところに資金が流れ込み、株価水準が少しずつ元通りになるのではないかと予測されます。

今は、その変わり目のようなタイミングですので、少々難しい場面もあるかもしれませんが、もう少しで状況が変わると期待しても良いでしょう。

そうなれば、イレギュラー状態から抜け出し、これまでの感覚で動向を判断できます。

それまでには、まだ少々待つことになりますが、待つことが今取れる最善策だと思われますので、もう少しだけ積極的な動きは待ちましょう。

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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/4/24(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ4/25前場時点のデータを含みます)。予めご了承くださいませ。