日経平均株価 が小幅ながらも6日続伸し、3万6000円半ばまで上昇しました。

まだ3万7000円台には届かないものの、先週の株式市場の緩やかな上昇を維持しこれでようやく暴落前水準を上抜けしました。約1ヶ月かけての回復です。

今回の暴落は、米国大統領による意図的とも言えるものだったので、セオリーとは違う部分もありますが、連休前にこの水準を回復したのは良い材料でしょう。

一方で、米国大統領の方針について決着が付いていないこともあり、依然として先行き不透明な状況が続いています。

加えて、連休に向けポジション整理する投資家が増えていることもあって、株式市場が閑散としていることで、日経平均株価は上昇しているが、方向感を感じるような状況ではないかもしれません。

そのようなこともあり、暴落前水準を回復した良い材料はあるが、まだ方向感をつかみにくく、連休明けにどう動いたらよいか迷うところでしょう。

はたして、連休明けの日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の市場動向と日経平均株価の変動

こちらをご覧ください。こちらは4/17〜5/1の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

日経平均株価の変動と今週の市場動向
今週の市場動向と日経平均株価の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

今週は祝日があった影響でデータが少ないので参考データにはなりますが、今週の株式市場は、先週と同様日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。

株トレンド指数から見る日本株市場の特長

むしろ、連動の状況よりも「なぜ、日経平均株価が上昇しているか?」「株式市場全体はどちらに進もうとしているか不明」と疑問のある状況でした。

おそらく、これにはすでに連休に入った投資家や、これから連休を控える投資家が混在したことが背景にあると考えられます。

株式市場のプレイヤーが通常よりも減ってしまったことで、株価変動が小さくなりつつも、特段悪材料も出なかったことで、こうなったのでしょう。

もし、今週の株式市場を一言で表現するなら「日経平均株価は小幅上昇が続いたが、株式市場全体は上がり過ぎの可能性が出てきている」となるでしょう。

ただし、それは慎重に見た場合です。連休明けに株式市場のプレイヤーが元に戻ったときは状況が変わる可能性も十分に考えられます。

日本株市場の動向の理由と投資家心理

個人投資家の心理としては「連休を利用して利益を狙おう」という投資家心理があるでしょう。

反対に、機関投資家は「連休中に悪材料が出たら困るのでポジションを整理したい」という投資家心理があります。

個人投資家と機関投資家で、反対の心理で動いていくのが、ゴールデンウイークやお盆、年末年始の株式市場です。

そういった投資家心理もふまえると、今週の株式市場は全体的に以下のように考えるのが妥当なのでしょう。

  • 日経平均株価は個人投資家の何となくの思惑で動き続伸した
  • 株式市場全体は機関投資家のポジション整理の影響を受けた

このように反対の心理が交錯したこともあり、日経平均株価と株式市場全体の動きが連動せず、捉えどころのない状況になったのでしょう。

日経平均株価と株式市場全体の動きを比較

日数は少ないですが、「日経平均株価と株式市場全体の動きを比較」しながら、各日の詳細も見ていきましょう。

先週の日経平均株価3日続伸の流れがあった週初め4/28は日経平均株価と株式市場全体が連動しませんでした。

ただし、日経平均株価が0.38%小幅上昇であったことをふまえると、連動したと考えても良いかもしれません。

なぜなら、上昇にブレーキを掛ける役割である「空売り指数」の水準が先週末からほとんど落ちることなく水準を維持したからです。

上昇傾向を示す天井指数も発生していましたが、この上昇を空売り指数が抑えた可能性があります。

それを考慮すると、空売り指数がブレーキを掛けたことで、日経平均株価が0.38%の小幅上昇にとどまったとも考えられます。

祝日を挟んだ4/30も日経平均株価と株式市場全体が連動しませんでした。日経平均株価は0.57%の小幅上昇でした。

株式市場は、株トレンド指数の中でも引き続き空売り指数の水準が最も高くなっています。前日よりも天井指数の水準もあがりましたが、勢い不足で空売り指数が押されたと考えられます。

よって、この日は前日よりも株式市場全体が上昇しようと試みたものの、前日同様空売り指数で押さえつけられてしまい、日経平均株価も0.57%上昇にとどまったと考えられます。

そして、5/1は日経平均株価が1.13%上昇を見せましたが、株式市場全体は引き続き上昇にブレーキを掛けていました。

上昇傾向を示す天井指数の水準は下がり、空売り指数の水準は上がっています。

この動きをふまえると、日経平均株価は上昇したものの、株式市場全体は上昇の勢いを空売り指数によって沈静化させられたように見えます。

今週の市場動向と日経平均株価の変動のポイント

このように今週の株式市場は、細部をみると日経平均株価と株式市場全体の動きを示す株トレンド指数が連動しているように見える部分もありますが、全体としては連動していませんでした。

しかも、年間でも珍しい状況「日経平均株価は続伸するが、株式市場全体は上昇を抑えられる」というものでした。

そのようなこともあり、今週の株式市場は改めて投資家心理で見ると、日経平均株価だけを基準に相場分析する投資家は「少しずつだが順調に上昇している」と判断し、プラスの心理だったかもしれません。

反対に、私たちのように株トレンド指数も使って相場分析する投資家にとっては「日経平均株価は続伸しているが、株式市場全体は上昇を抑えられている」と判断し、中立的もしくはややネガティブな心理だったでしょう。

しかしながら、現状はすでに連休に入った投資家と、これから連休に入る投資家が混ざり、プレイヤーが少ない状況です。

その背景をふまえると、今週の株式市場の捉え方の違いが、すぐに損益に直結するような状況ではないと考えられます。

ただし、連休明けの展開をどう予測するかは、日経平均株価だけを見て相場分析すると、楽観的になってしまい損失リスクを大きくするかもしれません。

日経平均株価の動向を徹底分析する

では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。

日経平均株価を基準に見ると、3万7000円台には回復していないものの、先週からの6日続伸により暴落前水準を上抜けしたことが分かります。

また、この上昇により暴落前のボックス圏の目安であった「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」まで、もう一歩のところまできていることも分かります。

こうなると、連休明けにまずボックス圏の下値目安を上抜けすることを期待したくなります。

来週の日経平均株価の予想シナリオ

ただし、ゴールデンウイークの連休後に株価が上昇する確率はデータ分析では50%をやや超える程度ですので、過度な期待はせず「結果的にそうなれば良い」くらいの中立なスタンスで見ていると良いでしょう。

株式市場全体の動向が分かる株トレンド指数を基準に見ると、やはり今週は「空売り指数」の水準が上昇していることが分かります。

また、暴落が落ち着いてから、そのまま失速することなく今週まで何らかの勢いが発生していることが分かります。

しかし、その勢いに明確な方向感がないことが、今週の株式市場のように掴みにくい状況を作り出しているのでしょう。

日経平均株価も関連させると、暴落後の日経平均株価の推移ほど、株式市場全体は順調に上昇していないと言えます。

とはいえ、それはネガティブな話ではなく、厳密に言えば米国大統領の方針に対する解決策が見出されないことで、株式市場がどう捉えてよいか分からない状況にいるのだと考えます。

もしかすると、日経平均株価3万7000円回復が一つの材料になり、小さな上昇のきっかけになるかもしれません。

ですが、株トレンド指数で株式市場全体の状況を見る限り、全体的な勢い不足から上値が重たくなると予測されます。

つまり、一気に上昇するような上昇が発生するのではなく、結果的に日経平均株価が「3万7500円前後」まで上昇していたなど、そういった上昇にとどまると考えます。

ようやくここまで回復してきたので、そろそろ楽観的に見たいところではありますが、ゴールデンウイーク前後の株価の傾向もふまえると、このような慎重な姿勢は崩さないほうが良いでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

日本株市場の根底部分として注目すべき指標である投資主体別売買動向から株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。

今週は祝日の影響でデータの更新がありません。よって、先週と同じデータにはなりますが今週の株式市場の動向をふまえながら確認していきましょう。

・外国人投資家:わずかに買い越し → ほぼ変動なし(→)
・個人投資家:わずかに売り越し → 売り越しが強まる(↘)
・日本の機関投資家:買い越し → 買い越しが弱まる(↘)

『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」ですが、日本の機関投資家の売買が小さくなっていることが分かります。

タイムラグがあるデータではありますが、ここからも日本の機関投資家は連休に向けてポジション整理をしていたことが分かります。

そして、外国人投資家は、ほぼ水平状態であることから、今週の株式市場は私たち個人投資家の資金を中心に動かしていたと推測できます。

個人投資家の売買動向

そこで今週の投資主体別売買動向を予測すると、私たち個人投資家は、もし買いに転じているのであれば、小さく買いになっているでしょう。

もしくは、買いには届かないものの、現状の最新データよりも売りが小さくなっていると予測されます。

外国人投資家の売買動向

外国人投資家は、おそらく現状からほぼ変わっていないと予測されます。

もし変化しているとしても、買いが小さくなるか、わずかに売り、または中立など極端な動きはしていないないと予測されます。

国内の機関投資家の売買動向

国内の機関投資家は、前述の通り買いが小さくなっていると予測されます。

背景も、前述の通り連休中のリスクを考慮してポジションを整理していることが考えられます。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

予測ではありますが、このように三者の動きを考慮すると、今週の株式市場のように日経平均株価は個人投資家の思惑で小幅上昇し、株式市場全体は上がり過ぎになっていることとの整合性もとれます。

よって、連休前の閑散とした株式市場であることも考慮すると、あまり楽観的に上昇することを期待しないほうが良いでしょう。

むしろ、大きく上がりもしないが、大きく下落もせず、様子見状態で細かく変動するなど、厳しめに見ておくのが良いでしょう。

来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス

いずれにしても、こういった連休前は株式市場全体の売買が小さくなり「株価がほとんど動かない」か「通常では反応しない材料で大きく動く」のが傾向です。

今回は前者の「株価がほとんど動かない」に該当しつつ、日経平均株価で見れば、それが偶然「小幅上昇」に繋がり、今の水準に届いたのだと考えられます。

そのような背景も加えると、今の日経平均株価の暴落前水準の上抜けは楽観視できるものではなく、引き続き慎重にみたほうが良いと考えられます。

よって、ここからは、まずボックス圏の下値目安である3万7000円を上抜けするかがポイントになるでしょう。

そして、もしそのときの株トレンド指数が上昇の勢いを示すものであれば、ボックス圏の中心3万8000円まで上昇する可能性があります。

反対に、上昇勢いを示すものがなく、直近のような状況を示すならば、3万7000円半ばで上昇するかがポイントになるでしょう。

株式市場全体を示す株トレンド指数をふまえて日経平均株価を考えると、連休明けはこのような段階的な目安を通過しながら上昇すると考えられます。

一方、悲観的に見ると、直近は空売り指数の水準が上がり過ぎているので、3万7000円を上抜けすることなく、3万6000円台に落ち着くことも考えられます。

このように現状からは複数のシナリオが予測されますので、1つのシナリオに絞ることなく複数のシナリオを想定しながら動向を見ていくと良いでしょう。

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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2025/5/1(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。予めご了承くださいませ。