執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価 が再び5万円の大台を割り込みました。節目の5万円がなかなか定着せず、不安を感じている投資家の方も多いのではないでしょうか。

今週は先週よりもボラティリティ(変動率)が拡大。12/17のわずかな反発を除き、1%台の下落が続く「下落基調」の1週間となりました。

特筆すべきは、これまで続いていた「日経平均と市場全体の乖離」が縮小し始めたことです。日経平均の下落に引きずられる形で、日本株市場全体の上昇勢いも失速しつつあります。

しかし、独自の分析では「明確な下落トレンド」が発生したとは判断していません。依然として5万円を早期回復できる水準を維持しています。

本レポートでは、独自の「株トレンド指数」と投資家別の最新需給バランスを詳しく解説。来週の予想レンジとともに、年末相場の見通しを徹底分析します。

【株トレンド指数で分析】日経平均と市場全体が「連動」し始めた意味

こちらをご覧ください。こちらは12/5〜12/18の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

【2025年12月第3週】市場動向と 日経平均株価 の変動
【2025年12月第3週】市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

分析:今週は「連動性」が復活、方向感の乏しい展開に

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が再び変化し”ほぼ連動している週”でした。いずれの指標を見ても、方向感を捉えにくい週でした。

具体的には、先週末の流れを組み、週初めは日経平均株価と株式市場全体に乖離がありました。しかし、12/16以降は両者が連動し、乖離は見られませんでした。

ただし、日経平均株価だけを見ると、今週は4日続落に近い状況でしたので、悲観的要素が強かったと考えます。

一方、株トレンド指数を見ると、日経平均の下落基調と連動したような動きをしているものの、悲観的要素はほとんどない状況でした。

このように、全体感としては日経平均株価と株トレンド指数は、ほぼ連動しているものの、細部は連動していない週だったと分析できます。

よって、今週はどちらの指標を見て株式市場の動きを見るかで、相場状況の捉え方が変わったと考えます。

日別の動き:12/15の上昇失速から「均衡状態」へ

では、この背景をふまえて詳細を見てみましょう。週初め12/15の日経平均株価は1.31%下落し、円単位では668円下落しました。先週は1%未満の変動が続きましたが、今週は1%の変動が出てきました。

しかし、まだ1%台の下落率ということもあり、まだそれほど大きな下落ではありません。一方で、円単位で変動を捉えている人にとっては、大きく下落したと錯覚する状況だったでしょう。

株トレンド指数を見ると、日経平均の動きとは乖離し上昇が強い日でした。上昇傾向を示す天井指数の水準が「75」まで上昇しています。これは11月下旬以来の水準です。

本格的な上昇トレンドには届きませんが、直近2ヶ月間の中では比較的大きな上昇でした。

日経平均株価は下落しましたが、株式市場全体は同日に上昇傾向だったことが分かります。

12/16の日経平均株価は、1.56%下落で続落し、円単位では784円下落しました。前日と合わせると約1450円下落し、5万円を再び割りました。

円単位で変動を捉える人にとっては、この続落まるで暴落のような下落に感じたかもしれません。しかし、実際は3%に満たない続落ですので、そのような下落には至っていません。

株トレンド指数を見ると、前日から状況が一変しました。先日は75まで上昇した天井指数が、一気に失速し「9」まで下がりました。

捉え方によっては、日経平均株価の下落よりも株式市場全体の失速のほうが大きかったと判断できます。

ただし、同日の押し目買い指数が2桁の「15」まで上昇しました。この点を考慮すると、これは前日の上昇勢いが一時的に失速したと分析します。

12/17の日経平均株価は0.26%上昇し、円単位では128円上昇しました。日経平均の水準を考慮すると、前日から水平状態の推移と判断できます。

株トレンド指数を見ると、日経平均の水平状態と同様に、前日から状況があまり変わりませんでした。

12/18の日経平均株価は1.03%下落し、円単位では510円下落しました。前日は水平状態の推移でしたので、これで4日続落のような状況になりました。

これで今週は合計3.65%下落し、1835円下落しました。ギリギリのところで4万9000円を維持していますが、もし割っていたら短期的に下落トレンドに入ったかもしれません。

株トレンド指数を見ると、前日よりは多少動きが出てきました。ただし、上昇傾向を示す天井指数と下落傾向を示す底値指数の両方の水準がありました。

これは、今の株式市場が均衡状態であることを示しています。ただし、これまでと違って無風の均衡状態ではなく、上下のどちらにも引っ張りあっている状態の均衡です。

ネガティブに見れば、日経平均に連動し下落基調を加速させる可能性があるでしょう。

ですが、ポジティブに見れば、変動が出てきたことで、次の展開が起きる予兆になる可能性がでてきました。

【来週の予想】日経平均の予想レンジ(上値52,000円〜下値47,000円)

日経平均株価を基準に見ると、今週は週単位で見るほど下落していないことが分かります。

緩やかな下落基調にとどまり、ボックス圏の下値付近にも向かって推移しているわけでもありません。一時的な停滞と分析します。

日経平均株価のボックス圏の範囲は、急上昇時の上値誤差も含めて「上値:5万2000円~下値:4万7000円」と判断します。

先週時点では、下値を4万6000円で見ていましたが1000円水準を上げました。

週単位で見ると動きがあるように見えますが、2ヶ月間で見るとほとんど動きがないこともあり、下値は一段上げることにしました。

株トレンド指数を見ると、週初めは日経平均株価と乖離した動きをしたものの、それ以降は乖離がないことが分かります。

2ヶ月間で見ても、一時的に上昇傾向などの場面が見られますが、今週を含めボックス圏の範囲内での上昇にとどまっています。

予想シナリオ:年末にかけて「5万円」を巡る攻防か

このように、今週の日本株市場は、どちらの指標を見てもボックス圏を推移していると判断します。

ただし、先週と状況が違う部分もあります。先週はボックス圏の上値を目指す推移でしたが、今週はボックス圏の中心や下値を目指す推移になる可能性が出た週でした。

まだ、その方向感は出ていませんが、天井指数と底値指数が、ほぼ同水準になり上下のどちらの方向へも進む可能性が出てきています。

もちろん、引き続きボックス圏の上値に向かう推移になることもありますが、これまでと違い、下方向へ進む可能性があることには注意していきましょう。

そこで、そのボックス圏の範囲を改めて整理すると、日経平均株価は誤差を含めて以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万2000円~下値:4万7000円

日経平均株価は、この水準までくると同じ変動率でも円単位の変動が大きくなります。それを考慮すると、変動率の感覚では5万円ですが、円単位では+2000円程度の誤差が出ると考えます。

また、2ヶ月間の推移や次の展開を考えても、下値は底堅いと考えられますので、下値は水準をさらに1000円上げました。

来週の日経平均株価は、この範囲を推移すると分析します。ぜひ、この範囲を目安に動向を見ていきましょう。

【需給分析】日本の機関投資家が「異例」の大量買い越し

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。

・外国人投資家:わずかに買い越し → 買い越し強まる(↗)
・個人投資家:買い越し → 売り越しに転換(↘)
・日本の機関投資家:わずかに買い越し → 買い越し強まる(↗)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスは「買い越し」です。12月1週と比較すると、ポジション量が3倍以上になりました。その前がいったん1/3まで減りましたので、もとに戻ったと読み取れます。

また、これまで日本の機関投資家が三者の中で最も大きなポジションを持つことはありませんでしたが、最新週は最大ポジションを持っています。

では、改めて各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家の動きとその示唆

外国人投資家は、12月1週は中立に近いわずかに買い越しでしたが、買い越しに転換しました。ただし、それほど大きな買い越しではありません。

11月3週以降、目立った動きがありません。段階的に中立に近いポジションに移行し、年末に向けたポジション整理をしているのかもしれません。

例年12月上旬から中旬にかけて盛り上がり、そこからポジション整理に向かう動きが見られます。今年は暦のバランスから、先週頃からその期間に入っているのかもしれません。

個人投資家の傾向と注意点

次は、私たち個人投資家です。買い越しから売り越しに転換しました。ただし、まだ小さなポジションでの売り越しです。

このときは日経平均株価が5万円を回復したときでした。個人投資家は、「日経平均株価=株式市場」と捉える傾向があるので、5万円の節目で利益確定をした影響で売り越しになったのかもしれません。

それをふまえると、個人投資家は年末にかけて動きが活性化する傾向もありますので、再び5万円回復前は小さく買い越しになり、5万円回復したら売り越しの展開になることも想定されます。

そういった意味では、年末の個人投資家の動きは少々厄介でありつつ、株価が右往左往する原因になるかもしれません。

日本の機関投資家の今後

最後に日本の機関投資家です。わずかに買い越しから、明確な買い越しに転換しました。彼らが、ここまで明確なポジションを取るのは、11月以来です。

同じようなポジションをとったのは、年内にほかでは3回ほどしかありません。この点を考慮すると、彼らしか知らない良い材料があり、比較的長期で期待できる銘柄があるのかもしれません。

ただし、彼らも外国人投資家と同じように、そろそろ年末に向けたポジション整理をすると考えられます。

彼らは続けて明確なポジションを取ることがないので、ここからはその動きになると予測します。

年間を通じて動きが読みにくいのが、この日本の機関投資家です。その点もふまえ、今年の年末は、彼らの動きを慎重に見ていく必要がありそうです。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。全体としては買い越しですが、その要因が日本の機関投資家ですので、次週も彼らが買い越しになる可能性は低いです。

加えて外国人投資家はポジション整理に入ることが予測されます。そうなると、ここから年末にかけて需給バランスを動かすのは私たち個人投資家です。

個人投資家は、日経平均株価の動きに左右されやすい傾向があります。よって、ここからは方向感なく上下することを想定しておくと良いでしょう。

まとめ:年末相場は「均衡」をどちらが破るかに注目

このように今週の株式市場は、日経平均株価は下落基調のように見えますが、引き続きボックス圏を推移しています。株式市場全体も、下落基調に入ったとは判断できません。

しかし、これまではボックス圏の上値に向かう推移をしていましたが、今週からは上下どちらに進むか分からない均衡状態に変化しています。

今後は、ボックス圏の中心や下値に向かって推移することも想定しておくと良いでしょう。

この点を考慮すると来週の日経平均株価の範囲は、このようになると予想します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:上振れ5万2000円~下値:4万7000円

下値は水準を再び1000円上げています。2ヶ月間の推移を見ても、下落リスクは小さく、再び日経平均5万円を狙える水準を維持していることから、こう判断しました。

なお、ここからの日本株市場は年末に近づくにつれ国内外の機関投資家の動きが落ち着き、個人投資家の動きが活性化する傾向があります。

個人投資家は、日経平均株価の推移に左右されやすいので、日経平均もその動きに巻き込まれて5万円の節目をいったりきたりすることも想定されます。

今週はこれまでと違って、株式市場が上下のどちらにも引っ張る力が出てきています。その点を考慮しても、年末に向けそのような動きを想定しておくと良いでしょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼ ※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。 ※2.本記事は2025/12/18(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。