執筆者: 秋山大介|データ・アナリスト| プロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)
日経平均株価 がついに5万7000円を突破しました。2/12前場時点では、場中ではありますが5万8000円にも到達しています。
これまで相場の重石となっていた衆議院選挙という不透明感が払拭されたことで、日本株市場は猛烈な勢いで動き出しました。「アベノミクス再来」を予感させる異例の展開です。
強気相場が続く中、投資家の皆様にとって最も気がかりなのは「この上昇はどこまで続くのか?」という点ではないでしょうか。
そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の振り返りと来週の予想レンジ、そして国内外投資家の最新需給バランスから今後の展望を詳しく解説します。
【株トレンド指数分析】記録的な天井指数「217」到達。今は天井か、大相場の序章か?
こちらをご覧ください。こちらは1/28〜2/10の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
・底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
・押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
・空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら
天井指数が初の217到達も、日経平均は天井か?
今週の株式市場は、先週から日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でしたが注目すべき点は上昇傾向を示す天井指数が「217」という、過去に例を見ない異常値を記録したことです。
これは、かつての大相場「アベノミクス」時ですら到達しなかった水準です。
ただし、まだ上昇トレンドに入ったと判断するほどの上昇になっていません。これを考慮すると「そろそろ天井なのでは?」と心配する部分もあるでしょう。
このまま順調に上昇するのか、それとも天井に到達するのか、その見極めが今週からの重要ポイントだと考えます。
2日間で6%超の上昇。選挙後の「空白」を埋める動き
では、この背景をふまえて詳細を見てみましょう。先週からの日経平均株価は以下のような推移でした。
- 【2/5】0.88%下落
- 【2/6】0.81%上昇:5万4000円回復
- 【2/9】3.89%上昇:5万6000円突破
- 【2/10】2.28%上昇:5万7000円突破
日経平均株価は先週後半2/5に1%未満の下落があったものの、そこから3日続伸しています。
2/6以降は水準を連日上げ、2/10には終値で5万7000円を突破しました。2/9と2/10で6.17%上昇しました。
これまで1%未満の変動が多かったのは、やはり衆議院選挙を控えた様子見だったと判断できます。
結果が出た後は、それまでボックス圏を推移していたこともあり、2日間で約6%上昇し一時的に上抜けしました。
同時に、更に日経平均株価の水準が上がり、2/12前場時点で5万8000円台の年初来高値を更新しています。
まだ、完全に勢いがあるわけではありませんが、少なくとも選挙前に蓄積されたエネルギーは、いったんここで上昇として現れたと判断します。
次は、株トレンド指数の推移を見てみます。以下のような推移でした。
- 【2/5】天井指数「120」で前日の100以上を維持
- 【2/6】天井指数「121」で前日の100以上を維持
- 【2/9】天井指数「217」に到達・空売り指数「113」まで上昇
- 【2/10】天井指数「164」に下がるも100以上を維持・空売り指数「145」まで上昇
2/5以降の株式市場全体は、短期的に上昇しています。天井指数が100以上の水準を維持するだけでなく、2/9には初の200台まで到達しました。
株トレンド指数の統計上の傾向から見ると、天井指数の上限目安は「170」です。170付近に到達すると、天井を迎え上昇が終演する傾向があります。
空売り指数も「50」付近に到達すると、株式市場全体の上昇にブレーキを掛け、上昇を止める動きをします。
しかし、今回に限ってはどちらの条件も当てはまるにも関わらず、2/9に引き続き上昇を維持しています。ここから判断できるのは次の2点です。
(1)一時的な噴き上がり:選挙前の沈黙の反動。ここで上昇が一旦止まる「短期天井」
(2)新トレンドの開始:過去の統計を塗り替えるレベルの「超大相場」の予兆
現状では、天井指数(170目安)も空売り指数(50目安)も過熱感を示しています。それでも上昇が止まらない「異常事態」です。
これが単なる異常値か、それとも新しい時代の幕開けかは、来週前半までの動きで明確になると私は分析します
【来週の予想】日経平均株価の予想レンジ(6万円~5万2000円)
来週の焦点は、ズバリ「節目の6万円」に到達するかどうかです。上値誤差を含めると、以下のレンジを想定します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万円~下値:5万2000円
「6万円」と聞くと驚かれるかもしれませんが、5万8000円付近まで来ている現在、わずか3〜4%の上昇で到達する数字です。
株価水準が上がったことで、同じ変動率でも円単位の動きが非常に大きくなっている(2/9は1日で2000円以上動いた)ことを忘れてはいけません。
もしアベノミクス初期のようなトレンドが再現されるのであれば、2月後半にかけてさらなる大相場となりますが、現時点では「一過性の爆発」の可能性も捨てきれません。
レンジの下限は5万2000円と、急落時のサポートラインを広く見ておく必要があります。
最新の需給バランス:個人が牽引した異例の週
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。
・外国人投資家:買い越し → 買い越しやや弱まる(↘)
・個人投資家:買い越し → 買い越し強まる(↗)
・日本の機関投資家:売り越し → 売り越し弱まる(↗)

最新週の需給バランスは、1月3週から全体的に大きくなりました。その中心は私たち個人投資家です。
国内外の機関投資家は小さいポジションを取っていましたが、個人投資家は大きなポジションを取りました。
この大きさは直近数年で見ると2024年4月3週以来の水準です。約1年後の2025年4月1週にも近い水準がありました。それくらい珍しい動きを個人投資家がしています。
国内外の機関投資家だけ見ると、ほぼ均衡していましたので、最新週は私たち個人投資家によって支えられた週だったと読み取れます。
個人投資家と国内外の機関投資家で比較すると、最新週は個人投資家が三者の中で大きなポジションを取っていました。
外国人投資家の動きとその示唆
外国人投資家は、1月3週と比較して買い越しの水準が下がっています。買い越しは維持しているものの、これで3週連続で水準が下がりました。
これまで政権のポイントになる出来事の際は、2週連続で大きく買い越して、3週目は買い越しに落ち着いています。
今回は、その動きが見られないことを考慮すると、選挙結果が出た今週から再び動き出しているかもしれません。
これまで今週の上昇は一時的なものである可能性が高いことに比重をおいていましたが、彼らの動き次第では(2)の展開も考えられます。
この3週目に当たるタイミングで、売り越しになっていないことを考慮すると、外国人投資家から見た日本株市場は、期待が高いと判断します。
個人投資家の傾向と注意点
次は、私たち個人投資家です。1月3週から買い越しが強まりました。これにより、最新週は個人投資家が株式市場を牽引しました。
ただし、個人投資家は、この買い越し水準が続くことがありません。前述の通り近い水準は直近では年に1回しか発生していません。
それをふまえると、これは選挙結果が出る前に、選挙後に上昇が期待できる銘柄を買い越しに大きく動いたのだと考えられます。
そうなると、やはりこれまで通り、選挙後は動きが落ち着くと予測されますので、個人投資家が引き続き株式市場を牽引する可能性は低いでしょう。
日本の機関投資家の今後
最後に日本の機関投資家です。1月3週の売り越しから、最新週では売り越しが小さくなりました。1月2週から、段階的に売り越しが弱まっています。
日本の機関投資家は年間を通じて、それほど大きく売り越しや買い越しにはならないので、これが通常運行といえば、それまでかもしれません。
ただ、これから3月の年度末を控え、利益確定売りが加速している可能性もあります。見栄えを良くするためのドレッシング買いもあるかもしれませんが、利益確定に押されるでしょう。
これをふまえて、ここからも売り越しが続くか、または売り越しが強まることを想定しておくと良いかもしれません。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
以上が三者の動向です。それぞれの状況を見ると、外国人投資家はこれから動く可能性あり、個人投資家はいったん動きが止まる、日本の機関投資家は売り越し継続と予測します。
この動きから考えると、日本株市場は今後「外国人投資家」に左右されると予測します。一時的に、個人投資家が加わるときもありますが、メインは外国人投資家です。
彼らが積極的に買い越しに回れば、需給バランスから株式市場を押し上げ、前述の(2)になり、大相場になる可能性があります。
反対に彼らが積極的に動かなければ、前述の(1)の通り、今週の上昇は一時的なものになるでしょう。
日経平均株価の動きだけでなく、外国人投資家の動きも見ることでより精度の高い判断になりますので、引き続き彼らの動きに注目しましょう。
まとめ:雰囲気で動かず「変動率」で冷静に捉える
このように先週から今週にかけての株式市場は、選挙前の停滞を吹き飛ばすような上昇を見せてはいるものの、一時的な上昇である可能性があります。
一方で、これが新しい傾向の始まりである可能性もあります。ここから4~5営業日見ないと判断できませんが、需給バランスから見ると一時的な上昇の可能性が強そうです。
ただし、外国人投資家がここから積極的に動くという条件が揃えば、ここから大相場を迎える可能性があります。
今の段階では、雰囲気や印象に乗ることなく、両面の展開があることを想定して動向を見ていくのが良いでしょう。
なお、来週の日経平均株価のレンジは、このように判断します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万円~下値:5万2000円
節目となる6万円が上値ですが、これは「ついに到達!」という意味合いのものではありません。
日経平均が5万円を超えた今、1日で2000円(約4%)動くことは、かつての1000円(約4%)動くことと同じ変動率に過ぎません。
円単位の大きな数字に惑わされることなく、常に変動率で冷静に相場を捉えることが、この歴史的相場を乗り切るカギとなります。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/2/11(水)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ2/12前場のデータも含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。


