執筆者: 秋山大介|データ・アナリスト| プロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)
日経平均株価 は、歴史的な高値圏である5万7000円台を維持しつつも、足元では神経質な展開が続いています。
2/12から始まった4日続落では、一時5万6000円台まで押し戻される場面もありました。しかし、下落幅は合計1.89%と限定的。2/18には反発し、再び5万7000円台を回復しています。
衆院選後の「お祭り騒ぎ」のような急騰は一段落し、現在は次の大きな潮流を待つ「嵐の前の静けさ」とも言える膠着状態です。
「サナエノミクス」への期待感はあるものの、実態としての買い材料はまだ見え隠れしています。
投資家の皆さまが最も懸念しているのは「ここが天井になのか、それともさらなる爆騰への踊り場なのか?」という点でしょう。
そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の振り返りと来週の予想レンジ、そして国内外投資家の最新需給バランスから今後の展望を詳しく解説します。
【株トレンド指数分析】空売りと押し目指数の「異常な高水準」が意味するもの
こちらをご覧ください。こちらは2/5〜2/19の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
・底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
・押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
・空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら
表面的な「停滞」の裏で、再上昇のエネルギーが蓄積中
今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。
ただし、日経平均株価だけを見ているか、それとも株トレンド指数も加えて株式市場を見ているかでメンタル面では差異があったと読み取れます。
日経平均株価だけを見ると、単なる「停滞」「膠着状態」にしか見えない週でした。下落率は小さいものの、先週から4日続落し、小幅上昇で5万7000円台回復です。
一方、株トレンド指数も見ると、株価が動きにくい状況ではあるものの、押し目買い指数が40台まで上昇するなど、再上昇を狙った停滞だと読み取れます。
日経平均株価の推移だけでは、再上昇を狙った停滞までは分析できませんので、株トレンド指数も判断材料に入れるかどうかで、今週の相場状況の捉え方は違っていたと考えます。
空売り指数「90」超えを記録。売り方の踏み上げを狙えるか?
では、この背景をふまえて詳細を見てみましょう。先週からの日経平均株価は以下のような推移でした。
- 【2/16】0.24%下落
- 【2/17】0.42%下落:4日続落
- 【2/18】1.02%上昇:5万7000円回復
- 【2/19】0.57%上昇:5万7000円突破
日経平均株価は前半は続落、後半は続伸と展開が変わりました。
前半の続落は先週2/12から始まり、2/17で4日続落になりました。ただし、合計の下落率は1.89%にとどまったことから小幅下落だったと判断します。
2/18には1.02%の上昇したことで、すぐに5万7000円台に回復しました。2/19も0.57%上昇したことで、5万7000円半ばまで到達し高値圏を推移しています。
ただし、株価があまり変動していませんので、膠着状態になっています。衆議院選挙後は2~3%台の変動が見られましたが、そこからは大きくても1%台です。
この点を考慮すると、日経平均株価は一時的に上抜けはしたものの、次の展開に動き出すような動きはしていないと判断します。
次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。
- 【2/16】空売り指数「89」高水準維持・押し目買い指数「37」高水準まで上昇
- 【2/17】空売り指数「87」高水準維持・押し目買い指数「43」まで上昇
- 【2/18】空売り指数「88」高水準維持・天井指数「85」に到達
- 【2/19】空売り指数「91」高水準維持・天井指数「92」まで上昇
週の推移は、全体的に空売り指数が株式市場全体を牽引する、非常に珍しいものでした。
合わせて、押し目買い指数が「37」「43」と、なかなか到達することがない水準まで上昇するのも珍しいものでした。
全体的には、このような動きがあったことで、株式市場全体は引き続き「再上昇を狙っている」と分析します。
日経平均株価だけを見ると、停滞や膠着状態に見えますが、株式市場全体はしっかりと再上昇のエネルギーを蓄積していると判断します。
ただし、ここで難しいのが前回想定した以下の2つの、どちらのシナリオになるかです。
(1)一時的な噴き上がり:選挙前の沈黙の反動。ここで上昇が一旦止まる「短期天井」
(2)新トレンドの開始:過去の統計を塗り替えるレベルの「超大相場」の予兆
まだ、どちらになるか判断が難しいです。今週の推移を見ると(2)が有力に見えます。
一方で、空売り指数が株式市場全体を牽引したり、押し目買い指数の水準がとても高くなるなど、イレギュラーな状態だとも分析できます。
その分析や、上昇が選挙後だけに留まっていることを考慮すると(1)も十分に考えられます。
先週時点では、今週の動きで方向性を決められそうでしたが、まだ決められないのが正直なところです。
これまでのデータ分析では、空売り指数の牽引が長く続くと、上昇勢いが沈静化する傾向があります。
もし来週前半も、この状況が続く場合は、いったんここを天井と見て(1)のシナリオになると想定するのがよいと判断します。
反対に、来週がイレギュラーな動きではなくなった場合は(2)の通り、大相場の予兆になる可能性が高まります。
悲観的に見れば「ここが直近の天井」と判断、楽観的に見れば「大相場の前兆」と判断、このような捉え方をして週明けの動向を見ると良いでしょう。
日経平均株価は直近の天井を付けた可能性
では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、選挙後に上抜けしましたが上昇トレンドの発生なく、一時的なものだったと分析します。やはり、勢い不足でした。
先週は選挙前に蓄積されたものが一時的に爆発し、今週は沈静化したと考えられます。
よって、日経平均株価の来週のレンジは、急上昇時の上値誤差も含めると、先週と同様「上値:6万円~下値:5万2000円」と予測します。
上値6万円は順当に上昇トレンドが発生して到達する水準ではなく、突発的な上昇で一時的に到達する水準のイメージです。
株トレンド指数を見ると、今週は空売り指数が目立っていることが分かります。また、押し目買い指数も、このグラフの期間ではとても高い水準に至っていることが分かります。
先週の動きも加えて見ると、まだ上昇を開始していませんが、アベノミクス初期のような断続的上昇の動きに入っているようにも見えます。
【来週の予想】日経平均株価の予想レンジ(6万円~5万2000円)
今週の株式市場は、日経平均株価と株トレンド指数で分析結果が違うことが分かります。
日経平均株価だけで見ると「ここが天井」と判断できます。一方、株トレンド指数を見ると「断続的上昇の過程」と判断できます。
この2つの見解をふまえると、週単位で見たときと同様、先ほどの(1)と(2)のどちらになるかの判断は難しいです。
ただし、イレギュラーな空売り指数の高水準が続いているので、これが週明けにどうなるかで、(1)と(2)のどちらになるか判断できるでしょう。
改めて日経平均株価の来週のレンジを整理すると、急上昇時の上値誤差を含めて以下の範囲を推移すると分析します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万円~下値:5万2000円
先週と同様です。ただし、上値6万円は、通常の上昇トレンドが発生して到達する水準ではなく、突発的な上昇で一時的に到達するイメージです。
ここからは、5万円台前半よりも更に値動きが激しくなります。円単位でのレンジはできるだけ大きく見ておきましょう。
最新の需給バランス:外国人投資家の「買い」vs個人投資家の「利確」
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。
・外国人投資家:買い越し → 大きく買い越し(↗)
・個人投資家:売り越し → 売り越し強まる(↘)
・日本の機関投資家:小さく売り越し → 売り越し強まる(↘)

最新週の需給バランスは、2月1週から全体的に大きくなりました。ただ、国内外の投資家で買いと売りが分かれています。
最新週は衆議院選挙後です。その点をふまえると、外国人投資家が一気に買い越しを強め、その上昇によって国内の投資家が利益確定売りに動いたと推測されます。
外国人投資家の動きとその示唆
外国人投資家は、2月1週と比較して買い越し水準が大きく上がりました。この水準は今年1月1週を超える水準で、6週連続で買い越しです。
選挙後の週であることをふまえると、現政権継続が決まり、一気に動き出した印象を受けます。
ただし、こうなると心配なのが今後です。この水準の買い越しを続けることは傾向的にないので、今後は買い越しであったとしても縮小されます。
そうなると、日本株市場を動かすのが個人投資家が中心になったり、三者三様のバランスになり、需給バランスの均衡によって株価が膠着する恐れもあります。
個人投資家の傾向と注意点
次は、私たち個人投資家です。8月2週以来の大きな売り越しです。ここから推測されるのは「利益確定売り」です。
8月2週も、日経平均株価が4万3000円を突破し高値更新したタイミングでした。今回も選挙後に大きく日経平均株価が上昇したタイミングですので、同じ動きをしたと分析します。
こうなると、次はいつ買い越しに戻るかがポイントでしょう。外国人投資家は、恐らくポジションを減らします。
一方、個人投資家は利益確定売りをしたことで、再び買い越しに回ることが予測されます。
ただし、直近の日経平均株価が膠着状態であることをふまえると、すぐに買い越しに回ることは予測しにくいでしょう。
もし買い越しに回ったとしても株式市場を牽引するようなものではなく、小さな買い越しに留まると考えます。
日本の機関投資家の今後
最後に日本の機関投資家です。2月1週から売り越しが強まりました個人投資家同様、利益確定売りだと推測します。
年間でもトップ3に入る大きさの売り越しですので、ここから再び買い越しに回る可能性もあります。
ただし、株式市場を牽引するような大きな買い越しは、これまで見られません。そういった意味では、個人投資家と合わせて大きな買い越しになるなどが想定される動きでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
以上が三者の動向です。国内外で全く反対の動きをしました。しかし、このデータは週単位のものですので、外国人投資家が選挙後に買い、日経平均株価が上昇したタイミングで個人投資家や国内の機関投資家が利益確定売りをしたと予測します。
よって、最新週の需給バランスは時間差によってできたバランスだと判断します。
ただし、国内の投資家が利益確定売りをした後は、株価が動く要因がなくなってしまったことで、均衡状態になったと分析します。
そして、その流れのまま今週に入り、続落しても続伸しても、あまり株価に変動がない膠着状態になったと分析します。
今後は、いったんここまで大きく動きましたので、外国人投資家は買い越しが落ち着き、個人投資家がやや買い越しに回り、日本の機関投資家は中立に近い動きになると予測します。
そうなると、日経平均株価は引き続き膠着状態になります。ここから日本株市場を考えると、ここがいったん天井になる可能性もあるでしょう。
ただし、これはあくまでも需給バランス上の話です。日経平均株価は上昇しても、需給バランスは売り越しということもありますので、参考として考えておきましょう。
まとめ:突発的な「6万円」に備え、変動率でリスク管理を
このように今週の株式市場は、イレギュラーな状態であることもあり、なかなか次の展開を読みにくい状況が続いています。
見る視点によっては、アベノミクス初期のように断続的な上昇が続いていると分析できますが、違う視点では、このまま上昇勢いが沈静化すると分析します。
このどちらになるかは今の時点では判断が難しいです。ただ、空売り指数が株式市場を牽引する状態が1週間以上続くと、そのまま沈静化する傾向があります。
それをふまえると、週明けに新しい展開を迎えない限り、ここでいったん上昇勢いが止まると判断します。
一方で、押し目買い指数が高水準だったこともありますので、週明けに再び突発的な上昇をし、株価水準が一段上がったと思ったら、再び停滞することも想定されます。
現状ではどちらのシナリオになるか分かりませんが、これら複数のシナリオを想定して動向を見ていくと良いでしょう。
なお、来週の日経平均株価のレンジは、引き続きこのように判断します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万円~下値:5万2000円
節目となる6万円が上値ですが、これは上昇トレンドに乗って「ついに到達!」という意味合いのものではありません。
あくまで、日経平均株価の変動率に対して円単位の変動が大きくなるに伴い、突発的な上昇が発生したときに到達する水準です。
引き続き、円単位では上にも下にも大きく動きます。必ず変動率と合わせて円を見るようにして、目の前の円の動きに惑わされないようにしましょう。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/2/19(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ2/12前場のデータも含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。


