執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価 が節目の5万8000円に到達しました。

先週時点では天井圏への警戒感もありましたが、失速することなく年初来高値を更新しています。

しかし、直近の上昇率は3.36%に留まり、「サナエノミクス」への期待感の割に勢い不足を感じている投資家の方も多いのではないでしょうか。

「この沈黙は、間もなく天井の前触れか、それとも6万円へ上昇の予兆なのか――。」

判断が極めて難しい局面ですが、相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の振り返りと来週の予想レンジから今後の展望を詳しく解説します。

【株トレンド指数分析】空売りと押し目指数「高水準継続」が意味するもの

こちらをご覧ください。こちらは2/12〜2/26の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

【2026年2月第4週】市場動向と 日経平均株価 の変動
【2026年2月第4週】市場動向と 日経平均株価 の変動
今週の特長:空売り指数が高いことが「上値が重い原因」になった

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

「見えない重し」の正体は、高水準の空売り指数

今週の株式市場は、日経平均の「上昇」と市場全体の「重さ」が乖離(かいり)した週でした。株トレンド指数を見ると、その要因がはっきりと分かります。

その要因とは、上昇にブレーキを掛ける空売り指数が高水準を維持していることです。

日経平均株価は、5万8000円台に乗せ年初来高値更新もしたものの、どこか上値が重く勢いを感じられないのは、この空売り指数が上昇の芽を摘んでいるからだと判断できます。

日経平均は勢い不足も市場全体は押し目の動きを見せる

では、この状況をふまえて詳細を見てみましょう。今週の日経平均株価は以下のような推移でした。

  • 【2/24】0.87%上昇:5万7000円回復
  • 【2/25】2.2%上昇:5万8000円到達
  • 【2/26】0.29%上昇:3日続伸

日経平均株価は3日続伸しました。3日続伸は衆議院選挙を挟んだ2/6〜2/10のとき以来です。ただし、上昇幅は合計で3.36%に留まっています。

連日の上昇で、5万7000円回復、5万8000円到達と節目を超え、2/26の場中には年初来高値を更新しました。

しかし、上昇幅の通り、そこまで勢いのある上昇は発生していません。衆議院選挙後だけを見ても、変動率が小さいことから、引き続き膠着状態が続いていると判断します。

次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。

  • 【2/24】天井指数「94」まで上昇・空売り指数「82」/押し目買い指数「24」高水準
  • 【2/25】天井指数「83」/空売り指数「76」/押し目買い指数「22」全て水準維持
  • 【2/26】天井指数1/2以下に減少・空売り指数「66」・押し目買い指数「13」

今週の推移は、やや先週に近い状態で「空売り指数の高水準」が続きました。ただし、先週と違って、天井指数が空売り指数を超えるときもありました。

押し目買い指数は、先週時点でこれまで見たことがない高水準でしたが、それが「20台」や「10台」に落ち着きました。

ただし、押し目買い指数はなかなか2桁にいくことはないので、依然として高水準が続いていることが分かります。

つまり、日経平均株価には勢いがないものの、株トレンド指数の通り株式市場全体は、上昇しようとしていると分析します。

全体感としては、先週時点で押し目買いの動きが深くなり過ぎたので、今週から再上昇に向けた動きをしていると判断します。

一方で、押し目買い指数の高水準が続くと、蓄積している上昇のエネルギーが沈静化する傾向もあります。

その点をふまえると、もし週明けに再上昇がない場合は、株式市場全体が押し目買いの動きをすることなく沈静化するかもしれません。

日経平均株価だけを見ると、膠着状態に見えますが、株式市場全体は引き続き再上昇のエネルギーを蓄積していると分析できます。

よって、以前より考えている以下の2つのシナリオは、現時点では「(1)<(2)」の可能性で動いていると推測します。

もしくは楽観的に見ると(2)のシナリオに向けて動き、悲観的に見ると(1)と読み取れます。

これまでのデータ分析による傾向で見れば(2)のシナリオは消えます。しかし、株式市場全体の上昇勢いが潜伏していることから、まだ可能性が残っていると判断します。

ここは日経平均株価だけの推移では読み取ることができず、株トレンド指数も合わせることが読み取れる内容です。

日経平均株価 は足踏みも市場全体は押し目へ

次に、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、5万8000円の節目に到達したり年初来高値更新していますが、全体的に勢い不足だと分析します。

衆議院選挙の前のボックス圏を上抜けはしましたが、とても小さな上抜けだったと判断します。

むしろ、この水準では円単位の変動が大きくなるので、実質的には上抜けではなく、通常の流れの中の上昇と判断しても良いでしょう。

一方、株トレンド指数を見ると、今週も引き続き上昇のエネルギーが蓄積されていると分析します。

衆議院選挙前後から天井指数の水準が急に上がり、その後も膠着しているものの、上昇の機会を伺っているように見受けられます。

押し目買い指数の高水準が長期間続くと上昇の動きが沈静化する傾向もありますが、先週から今週に掛けて段階的に水準が下がっています。

この点を考慮すると、来週にさらに水準が下がれば、株式市場全体が押し目の動きをしていくと予測します。

【来週の予想】日経平均株価の予想レンジ(6万2000円~5万4000円)

今週の株式市場は期間を広げて見ても、日経平均株価を単独で見る場合と、株トレンド指数と合わせて見る場合で分析内容が違います。

日経平均株価だけ見ると「天井」を心配したり、停滞気味に見えたりして、次の展開を判断しにくいでしょう。

しかし、株トレンド指数も合わせて見ると、引き続き再上昇の機会を狙っていることが分かります。

もしそうなると、日経平均株価も株式市場全体に押し上げられ、再上昇すると予測します。

そのような予測も含め、来週の日経平均株価のレンジを整理すると、以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万2000円~下値:5万4000円

ついに、大台の6万円を超えることが予測されます。

今週の5万8000円水準までくると、1%上昇で580円上昇、3%上昇で1740円上昇、5%上昇で2900円上昇します。

このまま株トレンド指数の動きの通り「押し目」の動きを開始すると、来週は合計で5%程度の上昇し、6万円を上抜けすると予測します。

ただし、まだ勢いがある状況ではありませんので、今週の年初来高値更新のように、なだらかな上抜けです。

反対に言えば、これから期待される政策が発表されると、それが材料になり株価に勢いを与えます。

そこまでは、株式市場も政府の動きを様子見しつつ期待感を維持し、現状の推移が続くと分析します。

最新の需給バランス:週明けは様子見ムードの予想

今週は営業日の都合で先週と同じデータですが、補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。

・外国人投資家:買い越し → 大きく買い越し(↗)
・個人投資家:売り越し → 売り越し強まる(↘)
・日本の機関投資家:小さく売り越し → 売り越し強まる(↘)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

最新週の需給バランスは、2月1週から全体的に大きくなりましたが、国内外の投資家で買いと売りが分かれているのが特徴です。

最新週は衆議院選挙後ですので、外国人投資家が一気に買い越しを強め、その上昇によって国内の投資家が利益確定売りに動いたと推測されます。

外国人投資家の動きとその示唆

外国人投資家は、買い越しが今年1月1週を超える水準で、6週連続で買い越しです。現政権継続が決まり動き出した印象です。

ただし、この水準の買い越しを続けることは、過去の動向から見てありません。買い越したとしても縮小されます。

そうなると、日本株市場を動かすのが個人投資家が中心、または三者三様のバランスになり、需給バランスの均衡によって株価が膠着する恐れもあります。

個人投資家の傾向と注意点

次は、私たち個人投資家です。8月2週以来の「利益確定売り」による大きな売り越しがあったと分析します。

個人投資家は、日経平均株価の動向で動く傾向があります。そうなると、ここから大台の6万円に到達すると、再び利益確定売りが先行するかもしれません。

現時点では予想が難しいシナリオですが、もし勢い良く6万円に到達すれば、利益確定売りではなく買いに転換するかもしれません。

日経平均株価の動向で動くことを考慮すると、個人投資家はここからあまり積極的に動けない可能性があります。

もし動くとしても、利益確定売りが大きくなることを想定したほうが良いでしょう。

日本の機関投資家の今後

最後に日本の機関投資家です。2月1週から売り越しが強まりまったのは、個人投資家同様、利益確定売りだと推測します。

年間でもトップ3に入る大きさの売り越しですので、ここから再び買い越しに回る可能性もあります。

しかしながら、日本の機関投資家は、なかなか買い越しに回らないので、中立のスタンスで考えておくのが良いでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。先週のデータではありますが、今週の日経平均株価や株式市場全体の動きを考慮すると、次に発表されるデータでは、三者ともあまり動いていないかもしれません。

いったん様子見姿勢が強まり、均衡状態のバランスになっていると予測します。

ただ、それは様子見ですので、政策が打ち出されるなど政府の動きがあれば、外国人投資家と個人投資家が買い越しに回るのではないかと考えます。

もし、そうなれば株トレンド指数で見た通り、ここから押し目の動きになると分析します。

まとめ:5万8000円は天井ではなく、6万円への「静かな通過点」か

今週の分析を総括すると、日経平均5万8000円の水準は、決して「天井」を示す数値ではありません

むしろ、潜伏している押し目買いエネルギーに支えられ、大台の6万円が現実味を帯びてきた「通過点」である可能性が高いと分析します。

よって、来週の日経平均株価のレンジは、こうなると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万2000円~下値:5万4000円

ただし、注意点もあります。需給バランスでも見た通り、今は三者が均衡に近い状況であり、いったん利益確定売りや仕掛けが終わった段階だと読み取れます。

そうなると、新しい材料が出ない限り、勢いのある上昇は難しいと判断します。もし上昇するとしても、今の株式市場が蓄積している上昇のエネルギーを押し目の動きで発動する程度だと考えます。

よって、この上値6万2000円は、派手な大相場によって到達するものではなく「気づけば大台に乗っていた」という、なだらかな上昇によって達成されるものと考えられます。

すでに日経平均株価は5万8000円水準まできていますので、5%程度の上昇でこの上値には到達できます。

それくらい円単位での変動が大きくなり「大台」「節目」「高値更新」では、株式市場が反応しにくくなってきているとも考えます。まだ日本株市場は「買いが買いを呼ぶ」ような上昇はありません。

今後は、更に円単位での変動が大きくなり、勢いがなくても日々「高値更新」などの言葉が出ると予測します。

しかし、背景はこうなっていますので、決してそのような言葉や目の前の円単位の水準に惑わされることなく、冷静に動向を見ていきましょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/2/26(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ2/12前場のデータも含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。