執筆者:高橋 佑輔|株式会社SAC Technologies ストラテジスト|プロフィール詳細
(【システム戦略専門家】トレード歴12年・11年利益達成。某証券会社の運用の根幹となるルール策定経験に基づき、個人投資家が陥る危険な心理と対策を解説します。)
あなたには「このタイミングが来たら買う」という明確なタイミングはありますか?
または「このタイミング来たら売る」という、利益確定や損切りの明確なタイミングがありますか?
一言でいえば、明確な売買のタイミングを示す「投資戦略」でしょう。ぜひ、ここであなたの投資戦略を思い浮かべてみてください。
利益を失う個人投資家に共通する「 投資戦略 」の誤解
投資戦略は、利益を狙おうとしている投資家であれば、個人投資家であっても、プロ投資家であっても関係なく「必須」のものでしょう。
しかし、現実的には、この投資戦略をプロ投資家だけが持ち、私たち個人投資家は持っていないことが多いものです。
もちろん、利益を上げることへの意識が高いあなたは「投資戦略」を持つ個人投資家でしょう。
ですが、私たちと違って、利益への意識が低く「利益を失いがち」な個人投資家は、この投資戦略をおろそかにしてしまう特長があるでしょう。
では、なぜ私たちと違って、彼らは投資戦略をおろそかにしてしまうのでしょうか?その理由は、非常にシンプルです。
万能な投資戦略は存在しない
なぜなら、私たちと違って、彼らは「全ての相場動向で利益を狙える売買ロジック(投資戦略)がある」と思い込んでいるからです。
彼らは、上昇相場でも、下落相場でも、ボックス相場でも、どのような相場でも利益を狙える魔法のような投資戦略があると思い込んでいます。
もしくは、私たちのような利益への意識が高い個人投資家やプロ投資家は、そのような魔法の投資戦略を運用していると思い込んでいます。
しかし、実際のところは、これは危険であり非常識とも言えるものです。日本の株式市場では、単一の売買ロジック(投資戦略)で、全ての相場特性を補うことは得策とは言えません。
「単一戦略への固執」が利益を失う原因
現実的には、万能型の投資戦略は存在せず、このように得意な相場と不得意な相場に分類されるものです。
- 上昇相場には強いが、下落相場には弱い
- 下落相場には強いが、上昇相場には弱い
もちろん、私たちのように意識の高い個人投資家は、これを理解しながら、継続的に運用を続けるでしょう。
一方、私たちとは違い、彼らの場合は「単一の売買ロジック(投資戦略)に固執するわりには、早く見限ってしまう」という行動に出る傾向があります。
彼らは魔法のような戦略を求めているので、1回でも損失が出たら、その戦略に疑いを持ちます。もし、連敗でもしたら、その戦略を捨ててしまいます。
そうなると、次はあの戦略…次はあの戦略…と次々と新しい投資戦略を試しては捨てを繰り返していきがちです。
その結果、上手く利益を上げることができず、失敗が続きますので、損失が積み重なってしまうのでしょう。
専門家が実践する「複数戦略の同時運用」
そこで私は、売買ロジック(投資戦略)を「1つではなく複数運用」するようにしています。どのような投資戦略にも、得意な相場と不得意相場があるので、最低でもこの2つの投資戦略を同時に運用しています。
- 戦略(1):「上昇相場」で利益を狙える売買ロジック
- 戦略(2):「下落相場」で利益を狙える売買ロジック
このように、相場のトレンドに合わせて「売買ロジック(投資戦略)を分ける」ことで、上昇相場でも、下落相場でも利益を狙えるように運用しています。
たったこれだけのことですが、どちらか一方のトレンドのときしか利益が狙えないことや、不得意なトレンドになったとき、それまで積み上げてきた「利益を失うこと」を回避できるようになります。
システム戦略が導く安定的な利益達成
だから、私はこのような「売買ロジック(投資戦略)の分散」を実践するために、株式投資やトレードを「株価のアルゴリズム」で考えるようにしています。私にとって、株価のアルゴリズムを知らずにトレードすることは、怖くてできない行為です。あえて危険な末路に飛び込むことだと考えています
「株価のアルゴリズム」で考えることが根本にある結果、リーマンショックがあった2008年からトレードで一度も退場する事なく、安定的に勝ち続けていくことができています。
もし、「システム思考による売買ロジック(投資戦略)の分散」で考えていなかったら、きっとこのような結果を残し続けることはできないでしょう。
このような「株価のアルゴリズム」を知ることで、個人投資家が難しいと感じる「売り(損切り・利益確定)のタイミング」や「買いのタイミング」を具体的に知ることができます。
最後に
このように万能型の売買ロジック(投資戦略)は存在しません。安定的な利益を狙うには”相場環境にあわせた売買ロジック(投資戦略)を複数運用する”というプロ投資家の思考が不可欠です。
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