日経平均株価が再び3万8000円台に突入しました。
続落が始まった1/8から約4.2%下落し気がつけば3万9000円割れです。12月中旬にも6日続落がありましたが、そのときよりも変動幅は大きく、円単位でも今回が下回っています。
大発会から見て1/7、1/16以外は全て下落しています。12月の上昇分を年始から2週で帳消しにしてしまいました。
しかも、この年始からの続落は目立った下落がなく、最大でも1.8%程度の下落にとどまり、ダラダラと下落している印象です。
こうなると、私たち個人投資家にとっては、トレンドらしいトレンドが発生せず、短期売買が難しい状況にあるでしょう。
また依然としてボックス圏を推移しているので「買った瞬間下がる」「思った方向と反対方向に進む」など、予測と違った動きが続いているでしょう。
この1月は月単位で見ると上昇しやすい傾向がありますが、下旬に掛けてどのように推移することが予測されるのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/12/27〜2025/01/16の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。
ただし、厳密に言えば、急に”無風”に近い状態になりましたので、連動しようがない週だったと捉えられます。
大発会から1/8までは株式市場を牽引するようなトレンドの発生はなかったものの、1/9からそのトレンドが失速し今週の無風状態に近づいていきました。
また、先週半ばまでのデータでは押し目買い指数が優位ということもあり、今週に押し目の動きが期待されましたが、それも消されてしまったと考えられます。
その大きな理由としては、押し目買いの水準が10程度を維持しすぎたことが考えられます。
このように先週半ばまでは動きがありそうな動向が見られましたが、先週後半から流れが変わったと読み取れます。
詳細を見ると、週初め1/14は「無風状態」と表現して良いほどの状態でした。この中では、下落傾向を示す底値指数が目立ちましたが、株式市場を動かすような水準ではありません。
むしろ、無風状態の中で偶然水準が高いように見えただけで、各指数とも低水準になりました。同時に、ここでいったんトレンドがリセットされたと考えられます。
これまでは、ギリギリのところで上昇の勢いが残り、これにより下落方向への動きが止められていました。
しかし、この1/14を境目に完全にリセットされ、今後上下のどちらの勢いが強まるか分からない状態になったと考えられます。
1/15も、ほぼ無風状態でした。前日同様、各指数の中では底値指数が最も目立ちました。しかし、あくまで無風状態でのことであることもあり、日経平均株価は小幅下落にとどまりました。
そして、1/16も変わらずほぼ無風状態でした。この日は天井指数が上昇したことで、特定の指数が目立つことなく横並びの水準でした。日経平均株価も無風状態に即して小幅上昇しました。
なお、補足として先週後半1/9、1/10も見ておきましょう。1/9は無風状態とは言えないものの、今週の無風状態を作るきっかけになる日でした。
天井指数と押し目買い指数が目立ちましたが、全体的に前日よりも発生水準が小さくなりました。1/10はそこからさらに各指数の発生が低水準になりました。
このように今週の株式市場は、5日続落の日経平均株価と連動することはなかったものの「無風状態」に切り替わったことで、日経平均株価がそのような動きをしたとも考えられます。
また日経平均株価5日続落の下落幅は連日小幅だったこともあり、「5日続落」から連想するような下落トレンドはなかったと考えられます。
反対に言えば、下落トレンドがなかったので日経平均株価は、急落や暴落することなく、3万8000円台にとどまったのでしょう。
もし、ここで底値指数を中心とした下落トレンドが発生していたら、今の水準では収まらなかったでしょう。
いずれにしても先週後半から今週にかけて、トレンドがリセットされ無風状態になったことはポイントです。
引き続きボックス圏を推移していますが、ここからは中間や楽観的な視点ではなく、やや悲観的な推移になることを想定しておくと良いでしょう。
月末に向け日本株どうなる?
日経平均株価を基準に見ると、5日続落はありましたが小幅の続落ということもあり約2ヶ月間変わり映えしない状況です。
厳しめに見ると、先週後半から今週にかけて下落していますが、3万8000円前半まで届いていないこともあり、引き続きボックス圏を推移していることが分かります。
ボックス圏の範囲も、引き続き「上値:3万9500円・下値:3万8000円前後」と考えて良いでしょう。
なお、先週時点では楽観視の「上値:4万円・下値:38,500円前後」が考えられました。しかし、株式市場が無風状態になったことを考えると、楽観視はいったん外しておくと良いでしょう。
また、先週時点で考えられた「堅調な推移」も継続していると読み取れます。5日続落が小幅の連続ではなく、段階的に水準を下げるような下落でしたら状況は変わりました。
ですが、まだそこまでの下落ではなく、悲観的な側面がありつつも、下落リスクが出てきたわけではないので、ギリギリのところで堅調な推移を続けていると考えられます。
その堅調な推移が崩れるとしたら、3万8000円を割り3万7000円台半ばに到達した場合でしょう。
対して、株トレンド指数を見ると、今週に限らず1/9から無風状態に入ったことが分かります。上のグラフの期間内では最も発生水準が低い週です。
その点をふまえると、年末や大発会で多少発生したトレンドは偶然性が高く、日本株市場自体の動きではなかったと考えられます。よって、ここからも日本株市場がボックス圏を推移していることが分かります。
このように日経平均株価も株トレンド指数も、依然としてボックス圏を推移していることを示しています。
ただし、前述の通り日経平均株価5日続落をきっかけに、ほぼ「無風状態」になりました。これにより、これまで「上昇>下落」のバランスでの期待から「上昇=下落」のバランスに変化しました。
こうなると、次の展開が全く読めなくなってきます。発生水準は低いですが、万が一ここから底値指数の水準が高まると急落や暴落リスクが高まります。
また、日経平均株価が3万8000円を割り3万7000円台半ばに到達してくると、現状の中立状態から下落方向へ動くことが予測されます。
もちろん上昇の可能性もありますが、中立のバランスになったことをふまえると、念のため厳しめに見ておくのが良いでしょう。
需給バランスから見た週明けの日本株は?
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。
・外国人投資家:買い越し → ほぼ中立変化
・個人投資家:売り越し → ほぼ中立に変化
・日本の機関投資家:売り越し → ほぼ中立に変化
今週はデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「ほぼ中立」です。ただし、こちらのデータは年末最終週のものです。まだ今年のデータは含まれていません。
ですが、現状の無風状態をふまえて予測すると、今の中立は三者三様のポジションになっての中立ではなく、三者が固まっているように思えます。
そうなると、現在の中立は、ここから上下のどちらの方向に進むか予測がとても難しい状況にあります。
こうなると、やはり上でもお伝えした通り、厳しめに下落リスクを想定しつつ、基本スタンスとしては上下のどちらに進むか分からないと考えておくのが良いかもしれません。
このように今週は、先週からの日経平均株価5日続落と株トレンド指数の状況が示すように、ほぼ無風状態になりました。
そして、これまでのように再上昇の可能性のあるボックス圏の推移ではなく、下落リスクを気にかけなければならないタイミングにきました。
今年のデータがないものの需給バランスもふまえると、変に予測をしてしまうと反対方向に動いたときに慌ててしまう状況です。
大げさかもしれませんが、完全なる中立と言っても良いくらい次の展開が分からないのが現状です。
「買った瞬間株価が下がる」「思った方向に株価がいかない」など、こういったことも起きやすくなるのが現状です。
そのような状態ですので、決して楽観視することなく、厳しめを意識しながら今後の展開を見ていくと良いでしょう。