執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価 がついに史上最高値を更新しました。

依然として 地政学リスクは続いているものの、解決に向かうだろうという期待感から日経平均株価は3日続伸しています。

一方で、 まだ完全に 地政学リスクが沈静化したわけではないので、再び 急展開ということもあるかもしれません。

しかしそのような中でも日経平均株価が史上最高値を更新したことは 好材料です。 日本株市場はこれをきっかけに本格的な上昇トレンドに入っていくのでしょうか。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、来週の日経平均株価の動向や株式市場の見通しについて考えていきましょう。

日経平均株価の上昇ほど市場全体は盛り上がっていない?

こちらをご覧ください。こちらは4/3〜4/16の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

【2026年4月第3週】市場動向と 日経平均株価 の変動
【2026年4月第3週】市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

日経平均上昇も株式市場全体は上昇にブレーキ

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が連動しない「デカップリング(切り離し)状態」でした。 

日経平均株価が今週4.51%上昇し、史上最高値を更新した一方で、株式市場全体には非常に強い「ブレーキ」がかかっていました。

その証拠に、独自の株トレンド指数では空売り指数が「83」という異例の高水準に達しています

加えて少々判断が難しい部分があります。 株式市場全体に上昇のブレーキがかかっている状態ですが、先週時点では「上値が重たい展開」と判断しました。

しかし、今週は 同じブレーキがかかった状態でも上値が重たい展開とは言い切れません。  なぜなら、日経平均株価が上昇し史上最高値を更新しているからです。 

一方で 詳細の数字を見ると、 引き続き上値が重たい状態で上昇しているとも判断できます。この判断を明確にするためにも、ここから詳細を見ていきましょう。

日経平均は史上最高値更新も上昇トレンドには突入せず

今週の日経平均株価は以下のような推移でした。

  • 【4/13】0.74%下落: ほぼ横ばい 
  • 【4/14】2.43%上昇:5万7000円台回復
  • 【4/15】0.44%上昇:5万8000円台回復
  • 【4/16】2.38%上昇:5万9000円台 突入/  3日続伸で史上最高値更新

今週の日経平均株価は、 地政学リスクは依然として残っているものの解決に向かうだろうという期待感から順調に上昇しました。

合わせて日経平均株価 採用銘柄の一部の銘柄の上昇により、上昇が加速しました。

この2つが要因となり日経平均株価は史上最高値を更新しました。

ただし、このように上昇したからと言って上昇トレンドに突入したかと、 まだ 突入していないと判断します。

史上最高値更新などの材料はありますが、今週の上昇率を見ると全体でも5%程度にとどまっています。

上昇率も大きくても2.43%と1日あたりの上昇率もそれほど大きくなっていません。

このような動きから見ても、 地政学リスク発生により下落した分を、取り戻すような上昇にとどまっていると分析します。

その過程で、偶然に日経平均株価 採用銘柄の一部が上昇したことで史上最高値更新に至ったと判断します。

よって、株価水準が地政学リスク発生前 水準に戻ったことはとても良いことですが、これをきっかけに本格的な上昇トレンドに入ると判断するのは時期尚早だと考えます。 

次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。

  • 【4/13】空売り指数「58」まで減少も高水準を維持
  • 【4/14】空売り指数 再び「71」まで上昇/ 天井指数「32」まで上昇
  • 【4/15】空売り指数「68」高水準を維持/ 押し目買い指数「9」まで上昇
  • 【4/16】空売り指数「83」まで上昇/押し目買い指数「3」まで減少

株トレンド指数を見ると、日経平均株価が緩やかに上昇していたのに対して、株式市場全体は、それほど上昇していないことが分かります。

そして、市場全体が盛り上がりきれない最大の要因は、空売り指数(83)が天井指数(32)を圧倒している異常事態にあります

通常、空売り指数がこれほど優位な状態が続くと、どこかで「買い戻し」による急騰が起きるのがセオリーです。しかし、今回は7日連続でこの状態が続いています。

これは、解決の兆しが見える地政学リスクへの「期待」と、万が一の急展開への「恐怖」が入り混じった、投資家の深刻な「迷い」の表れであると分析します。

データ・アナリストの視点
4/15に押し目買い指数が「9」まで微増しました。わずかな変化ですが、これが週明けの「小さな反発」のトリガーになる可能性を秘めています。

このように今週の株式市場は、日経平均株価「史上最高値更新」を更新したものの、その言葉ほど上昇していないと分析します。

また、日経平均株価も円単位で見ると連日大きく上昇しているように見えますが、先週に続き通常の上昇よりはやや大きい程度にとどまっていると判断します。

ただし、先週のような重しがある状態ではないので、 先週よりは上昇を期待できる状態になりました。

 しかし、まだ地政学リスクが完全に沈静化せず重しになっているので、この重しがなくならない限り上昇の基盤が整わないでしょう。

【分析】株式市場は上昇したいが「迷い」の投資家心理が重し

日経平均株価を基準に見ると、地政学リスクは残っているものの順調に上昇していることが分かります。

そして、地政学リスク発生前の水準に戻り、さらに上昇していることが分かります。

ただし これまで見た通り円単位での変動幅で見ると大きく上昇したように見えますが、期間を広げてみると、なだらかな上昇にとどまっていることがより見えてきます。

また先週はすっきり上昇できていない展開でしたが、 今週は緩やかな上昇とはいえ 先週よりも良い状態で上昇していることが分かります。

地政学リスク解決の期待感からこのような動きをしていることを踏まえると、日経平均株価はリスクがなくなったとたん上昇する可能性があると考えます。

しかし、株トレンド指数も踏まえるとそうならない可能性があるので、あくまでも可能性の一つとして捉えておきましょう 。

そこで株トレンド指数も見ると、やはり日経平均株価の上昇と同じように、株式市場全体は上昇していないことが分かります。

この2ヶ月間の中でも高水準で空売り指数が発生していることが分かります。 

こうやって2ヶ月間で見ると分かりますが、この動きは地政学リスクが関連しているのかもしれません 。

株式市場は、地政学リスク解決に動くと期待していますが、解決しなかったことを考えるとここで全力で動くことは難しいでしょう。

まさに「解決を期待はしているが、解決しなかった場合のことを考えると動ききれない」という心理状態が この空売り指数高水準状態を作り出していると分析します 。

一言で言えば「迷い」です。つまり、この迷いが消えれば空売り指数よりも天井指数が 優位になり、そのまま上昇に向かうと予測します。

【来週の予想レンジ】上値5万9000円~下値:5万5000円

このように今週の株式市場は期間を広げて見ても、週単位で見たときと同様に、日経平均株価も株式市場全体も、まだ上昇しきれていないと判断します。

下落前水準を回復し、さらには日経平均株価史上最高値更新をしているので、順調に日本株市場が上昇しているように見えるかもしれません 。

しかし実際は、そこまでの上昇は見られず、「そろそろ地政学リスクが沈静化し、上昇に向かって動いて欲しい」という投資家たちの心理状態が表面化していると分析します。 

ただしリスクがなくなっているわけではないので、上昇を期待しつつも動くに動けず、それが小さな重しになっていると判断します。 

そこで来週の日経平均株価のレンジを予測すると、以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万9000円~下値:5万5000円

先週から水準を上げました。本来であればさらに水準を上げて良いところですが、地政学リスクが沈静化していないことを踏まえての予測です。

リスクがなくならない限り、上値は今週のように空売り指数がブレーキをかける可能性が高く 、下値は万が一リスク再燃となると再び下落すると分析するからです。

なお、リスクがなくなった場合、重しがなくなるので上昇することが想定されます。 その時の上昇ですが、 今のところ本格的な上昇トレンドになるか判断するのは難しいです。

やはり今週の株トレンド指数の状況を見ると、イレギュラーな状態が続いているのでセオリー通りに株式市場や日経平均株価が動くとは限りません。 

この部分は実際に地政学リスクが完全に沈静化するときに、株トレンド指数の状態がどうなるかを見ないと判断は難しいでしょう。

言い換えると、今の時点で次の展開を予測してしまうのは時期尚早と考えます。できるだけ早く動きたい気持ちもあると思いますが、ここは一旦待つことをおすすめします。

【最新】投資主体別売買動向と需給バランス

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。

外国人投資家:大きく買い越し → 大きく買い越しを維持(→)
個人投資家:小さく売り越し → 売り越し強よまる(↘)
日本の機関投資家:小さく買い越し → 小さく売り越し(↘)

『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

最新週は、国内外の投資家でポジションが分かれました。全体のバランスとしては、日本の機関投資家が売り越しに転換した分、先週よりも買い越しが弱まりました。

ただし、外国人投資家の大規模な買い越しは維持された状態です。これが要因となり日経平均株価は上昇し、株式市場全体も上昇の機運が 続いているのでしょう。では、各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家の2週連続「大規模買い越し」が意味すること

最新の投資主体別売買動向を紐解くと、現在の相場の「支配者」が誰であるかは明白です。外国人投資家は、直近の歴史的水準であった2024年4月をも上回る、2週連続の大規模買い越しを敢行しました。

個人投資家が昨年7月以来となる3週連続の売り越し(利益確定)、国内機関投資家も動きを止める中で、日経平均株価を史上最高値まで押し上げたのは、まさに外国人投資家のパワーだと分析します。

こうなるととても気になるのが次の週の動きです。先週のデータも含めると外国人投資家は 地政学リスクが沈静化することをつかんでいるのかもしれません。

 もしそれが本当であれば、規模は分かりませんが3週連続で買い越しになると予測します。

今の時点では上昇の見込みは難しいですが、外国人投資家の動きに国内の投資家の動きも 追随してくると、突如本格的な上昇トレンドを迎える可能性もあるでしょう。

予測の範囲ではありますが、彼らの動き次第ではそのようなことが想定されます。ぜひ最新データでどのような動きをするか注目しておきましょう。

個人投資家は昨年7月以来の3週連続売り越し

次は、個人投資家です。4月1週よりも売り越しが強まりました。これで3週連続 売り越しです 。3週連続売り越しは昨年7月以来です。

しかも3月1週をピークに買い越しから右肩下がり 状態のまま売り越しに至っています。

個人投資家は年間を通じて、外国人投資家と反対のポジションを取る動きが見られます。 

同じ動きをする場合はニュートラル状態の時が多く、同じポジションを取っても量が全く違います。この点を踏まえると売り越しが続くのは通常の流れかもしれません。

今のところ外国人投資家の買い越しが大規模なので気になりませんが、万が一これが止まると個人投資家の動きが株式市場に影響してくるかもしれません 。

今後は外国人投資家の動きを踏まえながら、個人投資家がどのような動きをするか見ていく必要があるでしょう。

国内機関投資家は通常通りの動き

最後は、国内の機関投資家です。小さな買い越しから売り越しに転換しました。ただし、まだニュートラルに近い状態の売り越しです。

この点を踏まえると、国内の機関投資家はあまり大きく動かないので、これは通常の動きと考えるのが妥当かもしれません。

ただし彼らは、年間を通じて売り越しが多いのでこのまま売り越しが続くと、外国人投資家の動きが変わったときに悪い影響を与えることも想定されます。

また、日経平均株価が上がった時に利益確定の売り越しをする動きも見られますので、最新データではより売り越しが強まることも想定されます。

個人投資家と同様、今は外国人投資家の大規模な買い越しによって気にならない動きに見えています。

よって 今後は外国人投資家の動きを踏まえながら、国内の機関投資家の動きも見ていく必要があるでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。今週も国内外の投資家で動きが分かれました。外国人投資家は2週連続の大規模買い越しです。対して国内の投資家は、売り越しが強まりました。

日経平均株価が上昇したことを踏まえると、国内の投資家はネガティブな 売り越しではなく、利益確定の売り越しの動きをしたと想定します。

ただし、外国人投資家の買い越しがなければ株価は再び下落したと考えます。そのような意味では国内の投資家は 外国人投資家の恩恵を受けたとも考えられます。

また今週の動きからもやはり 地政学リスクに関して取れる情報が国内外で違っている可能性があります。

先週も同じ動きが外国人投資家に見られましたので、彼らはすでに地政学リスクの完全沈静化を見越して動きはじめていると予測します。

一方で、今週の動きの通り国内の投資家たちがこの動きに乗っていると考えますので 今の日本株市場は 外国人投資家に握られている状態でしょう。

そのようなこともありますので特に外国人投資家の動きは重要です。そして彼らの動きに加えて、国内の投資家の動きも一緒に見ていく必要があるでしょう。

なお、データにタイムラグはありますが、この需給バランスの通り日本株市場はまだ上昇の基盤ができていないと判断します。

今は期待感で日経平均株価が上昇していますが、 基盤がない状態で上昇していますので 過度にここからの上昇を期待しないほうが良いでしょう。

まとめ:来週の予想レンジともみ合い状態の注意点

このように今週の株式市場は、需給バランスから見ても上昇の基盤が整っていないことが分かりました。 

外国人投資家は大規模の買い越しですが、それに乗って 国内の投資家が 利益確定の売り越しをしている可能性が高いです。

そうなると、直近の上昇は継続的なものではなく、一時的な上昇 だと分析できます。

また、需給バランスを踏まえると、外国人投資家は上昇を期待しているが、国内の投資家が 利益確定で上昇を止めてしまっていると分析します。

そういった背景を踏まえて、来週の日経平均株価のレンジを予測するとこのようになります。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万9000円~下値:5万5000円

先週よりは水準が上がっていますが、まだ完全に 地政学リスクがなくなったわけではないので、この水準を予測しました 。

上値は、外国人投資家が上昇を期待しているものの、国内の機関投資家が上昇を止めてしまっていることを踏まえ、この水準を選択しました。

下値は、地政学リスクが万が一再燃した場合を考えて、この水準を選択しました。楽観的な水準ではなく 中間からやや 悲観的な水準で考えた結果がこの範囲です。

今週は、下落前水準を回復し、そのまま 日経平均株価が史上最高値を更新しました。

しかし、ここからさらに上昇する材料がないことや、これまでの分析を踏まえるとここを一時的な天井と考えるのが妥当です。

このまま上昇を続けるには、やはり地政学リスクの完全鎮静化が必須です。反対に言えば このリスクが天井の要因です。

もちろん まだまだ上昇する余地はあります。しかし、地政学リスクがある限り再下落の可能性があるので、今週のような 日経平均の水準に届いても、もみ合い状態になると予測します。

そして、地政学リスクが再燃すれば 一気に下落方向へ進み、沈静化すればこのもみ合いを抜け再上昇していくでしょう。 今はその分岐点にいると判断します 。

ただし、上昇については騙しの可能性もあるので、ここは慎重に判断する必要があります。

ここからは日経平均株価の水準が上がるような 株価変動ではなく、今週のような水準を上下する変動が予測されます。

その場合、同じ1%の変動でも 円単位での変動がとても大きくなりますので 日々上下することも想定しておきましょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/4/16(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。