執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価年初来高値を更新し一時6万6000円台の大台に乗りました。

しかし、終値では維持できず6万4000円台まで下落し、そのまま水平状態で推移しています。

週明け5/25は2.87%上昇し勢いが出てきたように見えましたが、まだ勢いを感じられる上昇がありません。

高値更新の一方で、勢い不足を目にすると「やはり、ここが天井なのでは」と心配してしまうのが投資家心理でもあります。

はたして、ここから再上昇し、高値更新だけでなく勢いある上昇も発生するのでしょうか。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、来週の日経平均株価と株式市場全体の見通しについて分析します。

空売り指数が重しになるも、押し目買い指数が再上昇を示唆

こちらをご覧ください。こちらは5/15〜5/28の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

2026年5月第4週の 日経平均株価 と株トレンド指数(天井・底値・押し目買い・空売り)の推移グラフ
【2026年5月第4週】市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

日経平均株価と株トレンド指数が示す天井ではない理由

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体があまり連動していない週でした。ただし、空売り指数を基準にすると、やや連動していたとも判断できます。

なぜなら、空売り指数水準は週末にかけて下がっていますが、同指数の継続的な発生により日経平均株価や株式市場に上昇のブレーキがかかったと分析できるからです。

つまり、今週の日経平均株価がほぼ水平状態に推移しているのは、空売り指数が重しになり、上昇勢いを止めていたからだと言えます。

ただし、ここで注意しなければならないのが5/27、28の押し目買い指数の動きです。

同指数は2桁水準まで上昇しています。よって、今週の株式市場全体や日経平均株価は、空売り指標が重しになっていましたが、週の半ば以降は再上昇を狙う動きに転換しています。

上昇勢いは無い中での上昇ではありますが、日経平均株価や株式市場全体は、まだ天井ではなく、再上昇に向けすでに動き出していると判断します。

次は今週の状況をさらに詳しく見て、分析を深めていきましょう。

空売り指数が天井指数を上回る状態と、押し目買いが示す日経平均株価の今後の展開

今週の日経平均株価は以下のような推移でした。

  • 【5/25】2.87%上昇:3日続伸で6万5000円台到達
  • 【5/26】0.25%下落:前日とほぼ変わらず
  • 【5/27】0.01%上昇:高値更新も終値は前日とほぼ変わらず
  • 【5/28】0.47%下落:6万4000円台維持

今週の日経平均株価は、週初め5/25は3日続伸で2.87%上昇し、節目となる6万5000円台に到達も失速し、ほぼ変動のないまま週末を迎えました。

5/27には年初来高値を更新しましたが、終値で維持することができず、結局6万4000円台に落ち着きました。

この動きから、今週の日経平均株価は先週末からの上昇勢いは多少あったものの、本格的な上昇にはならず失速していると分析します。

そうなると、投資家心理として考えてしまうのが「やはり、ここが天井ではないか」という心配です。

日経平均株価の推移だけ見ると、そう見えてもおかしくありません。しかし、株トレンド指数を見ると、全く違った見解が見えてきます。

次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。

  • 【5/25】空売り指数が天井指数を上回る状態維持のまま両指数の水準上昇
  • 【5/26】空売り指数が天井指数を上回る状態を維持
  • 【5/27】空売り指数が天井指数を上回る状態を維持/押し目買い指数「14」まで上昇
  • 【5/28】空売り指数が天井指数を上回る状態を維持/押し目買い指数「19」まで上昇

冒頭で触れた通り、株トレンド指数は空売り指数優位の状態が続き、これが日経平均株価の上昇を抑える重しになりました。

ただし、これは単なる重しではないことも今週の推移から判断できます。

なぜなら、空売り指数優位状態が続きましたが「空売り指数が天井指数を上回る状態」が続きつつ、「押し目買い指数の再上昇」が見られたからです。

「空売り指数が天井指数を上回る状態」は、空売り指数が重しになり上昇を抑えているように見えますが、裏側では上昇エネルギーを蓄積している状態です。

株式市場全体は、重しの空売り指数が外れ次第、上昇する準備が着々と進んでいます。

そして、その蓄積が進む中、今度は「押し目買い指数」が5/27から2桁水準に入りました。

押し目買い指数は、10程度の2桁になると、株式市場全体が再上昇の動きを見せる傾向があります。

つまり、今週の株式市場全体は、上昇エネルギーを蓄積し、再上昇の準備ができている状況だと分析します。

日経平均株価は上昇して、そのまま止まったように見えますが、裏側ではこのようなことが起きていました。

日経平均株価は「やはり天井ではない」と言える理由

このように今週の株式市場は、日経平均株価の推移だけを見ると「ここが天井では」と心配になる動きをしていましたが、裏側では再び上昇する準備を進めていると分析します。

だから、ここは天井ではなく、また上昇する可能性が高いと判断します。

ただし、上昇のエネルギーがそこまで大きく蓄積されているわけではないので、先週から今週に掛けてのような一時的な上昇に留まると考えます。

日経平均株価の重しになっている空売り指数が外れた瞬間、上昇を我慢していた分だけ一時的に上昇し、再び今週のような足踏み状態になると予測します。

また、違う視点で見ると「ここが天井」と断定するデータが見つからないという要因もあります。

「天井指数>空売り指数」の関係が続いた中で、その関係が逆転すれば上昇の終わりと判断しますが、今はそうではありません。

反対の視点から見ても、今は天井ではなく、足踏み状態はあるものの、小さく上昇を続けていくと分析します。

この状況をより鮮明化することを目的に、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。

【分析】今週は上昇エネルギーを蓄積し、再上昇を狙う

日経平均株価を基準に見ると、今週は上昇したものの、やはり上昇が止まっているとよく分かります。

長期的に見ると、4月以降なだらかに上昇していますので「上昇トレンド」と判断することもできそうです。

しかし、これまで見てきた通り「勢い不足」です。変動率を見ても、ほとんどが1%程度の変動にとどまり、3%以上変動することはあまりありません。

もし、これが勢いのある上昇であれば、変動率の増加に伴い、円単位の値動きも大きくなります。

そうなると、グラフがこれまでは見ることがなかった二次曲線のような急上昇のラインを描くはずです。

そうならず、なだらかに上昇を描いているということは「勢い不足」であったり、日経平均株価自体の要因ではなく、外部要因で小刻みに上昇しているに過ぎないと判断します。

日経平均株価の水準は、5万円か6万円台に上昇していますが、日本株に勢いがあるのではなく、経済原理上で上昇した結果だと考えるのが妥当です。

よって、期間を広げてみても、週単位で見たときと同じような状況だと考えられます。

株トレンド指数を基準に見ると、今週は空売り指数が最も目立ち、次に天井指数が目立っていることが分かります。

ただし、どちらの水準も5月中旬のものには届きません。4月中旬ごろの水準に類似しています。

ここからも、今週の株式市場は、まだ勢いがないことが分かります。

一方で、先週に続き「空売り指数が天井指数を上回る状態」が維持されているうえ、押し目買い指数も2桁水準であることから、再上昇への期待が高まります

5月中旬と比較しても分かる通りトレンドが発生するほどの状況には至っていませんが、再上昇を狙う状況は引き続き保っていると分析します。

【来週の予想レンジ】上値6万8000円~下値:5万8000円

このように今週の株式市場は、期間を広げても同じような分析結果が出ます。

日経平均株価だけをみると、上昇が止まっているのでネガティブに見えるかもしれません。しかし、株トレンド指数も見ると、次の上昇に動き出していることが分かります。

先週は混戦状態で、上下のどちらに進むか分かりませんでしたが、これまでの分析を見る限り、混戦状態を「上昇方向」へ抜けようとする意思が株式市場から見られます。

この状況をふまえて来週の日経平均株価のレンジを予測すると、以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万8000円~下値:5万8000円

先週から強気水準に変化しました。下値は、万が一のリスクを考慮しての水準です。上値は、上振れも考慮した水準です。

日経平均株価は足踏み状態ですが、株式市場全体は、本格的なトレンドではありませんが、一時的な上昇の準備をしています。

次に期待される上昇では、まず年初来高値に終値で到達すると分析します。その後は、更に上昇し、取引時間中(場中)に6万8000円を射程圏にするような推移があると予測します。

ただし、注意しなければならないのは、繰り返しお伝えしている「勢いがない」ことです。来週予測される上昇も勢いはありません。

引き続き、先週から今週に掛けてのように、上昇したら足踏み状態を繰り返すでしょう。

そのようなこともありますので、再上昇のシナリオを想定しつつも、一時的なものであることをふまえ、楽観的にはなることなく「中立や厳しめに」見ていきましょう。

【最新】投資主体別売買動向から見える「様子見」モードへの転換

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。

外国人投資家:買い越し → ほぼ同水準の買い越し(→)
個人投資家:わずかに買い越し → わずかに売り越しへ転換(↘)
日本の機関投資家:小さく売り越し → 小さく売り越し維持(→)

投資主体別売買動向
投資主体別売買動向

最新週は、さらに全体的にポジションが小さくなりました。連休明けの買い戻しが完了し、その後は様子見ムードになっていると判断します。

国内の投資家はポジションが、とても小さく、ほぼニュートラル状態です。外国人投資家も、国内の投資家から見れば動いているように見えますが、動くときよりは、ほとんど動いていません。

このように日本株市場は、いったん需給バランスがニュートラルに集まりつつあります。

こうなると、例えば今週のように上昇はしているが「値動きが小さい」推移になることが今後は予測されます。では、各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家は「様子見モード」へ

外国人投資家は、5月2週の段階でポジションが一気に下がりましたが、そのまま水準を維持しました。

例年の動きを見ると、この5~6月は材料があったときだけ大きく動き、材料がないとニュートラルポジションに近い水準を維持する傾向があります。

先週時点で、このように分析しましたが、やはり今年もこの傾向に合致する動きをしていると考えます。

三者の中では最もポジションが大きいですが、外国人投資家も日本株市場に対して「様子見」を強めてきたと判断します。

個人投資家は消極モードへ

次は、個人投資家です。わずかに買い越しから「わずかに売り越し」転換しました。

高値更新など節目の水準に日経平均株価が上昇すると、利益確定売りが進む個人投資家ですが、今回のデータでは、そこまでの動きが見られません。

それをふまえると、連休明けに比較的大きく売り越しましたので、そのときにほぼ利益確定してしまったと考えます。

こうなると、個人投資家はしばらく様子見というよりも「消極的」に動くでしょう。

ここからは決算発表が多く出てきますので、その事前情報が分かるまで潜伏するような動きになるかもしれません。

国内機関投資家は静観モードへ

最後は、国内の機関投資家です。5月2週よりは売り越しが弱まり、ほぼニュートラルポジションになりました。ただし、これも通常通りの動きと判断します。

彼らの動きだけは、何をきっかけに動いているのかが、とても読みにくいです。

ただし、前週から今週の動きを見ると、通常通りの動きに近いと言えば近いですが、しばらくニュートラルポジション付近で「静観」してくるでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。全体的なバランスで見ると、外国人投資家の買い越しの影響で「買い越し」です。

しかし、その買い越しのポジションもそれほど大きくなく様子見の中で、偶然買い越しになったと考えます。

国内の投資家は、様子見または静観です、先週時点でも、ここから需給バランス上は株価が動きにくいと分析しましたが、最新データでそれがより鮮明になりました。

日経平均株価や株式市場は、これから再上昇が期待されるものの、上昇の勢い不足であることは、この需給バランスが根底にあるのかもしれません。

もし、それが要因であれば、今後本格的トレンドが発生するには、まずこの三者がそれなりの規模でポジションを持つことが条件にもなると考えます。

まとめ:日経平均は「天井」ではなく、この水平状態は再上昇に向けた動き

このように今週の株式市場は、需給バランスの予測を見ると、やはり株式市場全体が動きにくくなっていることを示唆しています。

一方で、株トレンド指数を見ると、日経平均株価は今週停滞しているものの、再上昇の動きに向けて準備していると分析します。

それらの背景を踏まえて、来週の日経平均株価のレンジを予測するとこのようになります。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万8000円~下値:5万8000円

前述の通り強気水準です。需給バランスを見ると、この水準は妥当ではないかもしれません。

しかし、ここまででお伝えした通り、株トレンド指数を見る限り再上昇の準備をしています。

もし、この上昇が発生すると、今の日経平均株価の水準では、すぐにこの上値目安まで到達します。

ただし、上値の6万8000円は上振れを考慮しての水準です。日経平均株価が終値で年初来高値66,428円に到達すると、更に上昇すると予測します

その場合は、一時的に勢いがつくか、利益確定の売りに押された後に、再上昇するなどしながら、この水準に近づくと分析します。

ただし、需給バランスの通り株式市場の根底がよくなっているわけではないので、楽観的な動きではなく「中立〜厳しめ」に見ないといけない動きになるでしょう。

このように日経平均株価は、今週が天井ではなく「まだ上昇余地がある」状態です。

しかし、その上昇余地は、大きくあるのではなく「上昇したら停滞」を繰り返しながら、段階的に上昇余地を上げてくると判断します。

そのような状況がしばらく続くと予測しますので、上昇しても決して楽観的に見ることなく、常に中立または厳しめに推移を見ていきましょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/5/28(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。