執筆者: 秋山大介|データ・アナリスト| プロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)
日経平均株価 がついに大台の6万8000円に到達し、終値でも年初来高値を更新しました。
しかし、まだ上昇の勢いが不足していることもあり、一部では日本株が「上がり過ぎでは?」という声も見えつつあります。
このような情報を目にすると「ここが天井」ではないかと心配になるタイミングかもしれません。
ですが、今週は先週に続き「空売り指数」と「押し目買い指数」を分析することで、この表面上の動きでは見えない日本株市場の実態が見えてきています。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
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そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、来週の日経平均株価と株式市場全体の見通しについて分析します。
空売り指数が重しになるも、押し目買い指数が再上昇を示唆
こちらをご覧ください。こちらは5/22〜6/4の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
・底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
・押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
・空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら
日経平均株価は上昇したいが空売り指数が重しになる
今週の株式市場は、先週に引き続き、日経平均株価と株式市場全体が「空売り指数」に連動するような動きをみせた週でした。
なぜなら、先週同様、日経平均株価は上昇しようとしていましたが「空売り指数が重し」になり、上昇にブレーキが掛かっていたからです。
日経平均株価は6/3に年初来高値を更新したものの、それほど大きな変動がありません。6/3に2.5%上昇も6/4に1.36%下落しました。この動きからも、株式市場全体の上昇が抑えられていると分析します。
また、先週同様、「押し目買い指数」に動きがありました。先週時点でも高水準でしたが、それがさらに上がり「20」付近を維持しています。
両者の状況を考慮すると、今週の日経平均株価や株式市場も「もっと上昇したいが空売り指数の重しで上昇できなかった」と判断できます。
次は今週の状況をさらに詳しく見て、分析を深めていきましょう。
投資家心理としては「上がり過ぎ」だが日経平均は上昇エネルギー蓄積期間
今週の日経平均株価は以下のような推移でした。
- 【6/1】0.91%上昇:6万7000円台目前まで上昇
- 【6/2】0.3%下落:前日とほぼ変わらず
- 【6/3】2.5%上昇:6万8000円到達し高値更新
- 【6/4】1.36%下落:6万7000円台下落
今週の日経平均株価は、この推移を見ても年初来高値更新の言葉ほど、上昇に勢いがないことが分かります。
あくまでも、小幅上昇を重ねる過程で、偶然的に達成した水準だと判断します。
ただし、株トレンド指数を見ることなく、日経平均株価だけを見ると、勢い不足の印象だけが残り「天井」を意識してしまう推移とも読み取れます。
先週に続き、投資家心理としては「上がり過ぎ」の心配の中、「なぜか日経平均株価は高値更新している」という状況だったかもしれません。
このように、日経平均株価だけを見ると、高値更新をしているものの、素直に受け入れられない週だと考えます。
しかし、株トレンド指数を見ると、全く違った見解が見えてきます。
次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。
- 【6/1】天井指数<空売り指数/押し目買い指数「19」/底値指数「20」まで上昇
- 【6/2】天井指数<空売り指数を維持/押し目買い指数「21」/底値指数「23」
- 【6/3】天井指数<空売り指数を維持/押し目買い指数「14」/底値指数「24」
- 【6/4】天井指数<空売り指数を維持/押し目買い指数「22」/底値指数「26」
改めて株トレンド指数を見ると、今週は「空売り指数」と「押し目買い指数」の2つを中心に推移していたことが分かります。
結論から言うと、「空売り指数」によって上昇にブレーキを掛けられているものの、「押し目買い指数」の動きによって、再上昇のエネルギーを蓄積している過程だと読み取れます。
「空売り指数が天井指数を上回る状態」は、その後、突発的な上昇を控えていることを意味します。その状態が今週はずっと続きました。
それと平行して「押し目買い指数」は、再上昇を狙って20付近の水準を維持しました。6/3は「14」まで水準を下げていますが、同指数は2桁に到達した時点で高水準です。
その点も考慮すると、今週は突発的な上昇を控えつつ、今が上昇中の一時的なエネルギー蓄積期間として踊り場状態になっていると分析します。
また、ここで付け加えたいのが「底値指数」の推移です。今週の底値指数は「20~26」を推移しています。
直近2ヶ月間の中では水準が上がってきました。ですが、これにより株式市場全体に動きが出てきたとポジティブな分析ができます。
株式市場は上昇と下落のどちらに進むにも、ある程度の上下がないとトレンドを発生させて推移することができません。
その点、この底値指数の動きで、上昇だけでなく下落の動きも出てきました。これで上下に動き出し、次の動きで大きく動く準備ができつつあるとも判断できます。
つまり今週は「空売り指数」「押し目買い指数」「底値指数」の3つの指数から、再上昇に向けた上昇エネルギー蓄積期間だったと分析します。
日経平均株価は「まだ上昇余地あり」と言える理由
このように今週の株式市場は、日経平均株価だけの推移を見ると上昇の勢い不足から「天井」を意識してしまうでしょう。
しかし、株トレンド指数でその裏側を見ると「まだ上昇余地がある」と判断します。
「空売り指数」「押し目買い指数」「底値指数」の3つの指数が、今週は再上昇のエネルギー蓄積期間であることを示しています。
ただし、上昇トレンドの前兆ではないので、先週から今週と同じように、押し目買いの動きのように「足踏み状態→一時的な上昇」を繰り返す動きになると予測します。
この状況をより鮮明化することを目的に、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。
【分析】今週は上昇エネルギーを蓄積し、再上昇を狙う
日経平均株価を基準に見ると、6万8000円の大台に到達したものの、勢い不足が否めない推移をしています。先週と同じように、上昇したら足踏みするような推移が見られます。
また、この期間で見ても「上昇トレンド」と判断することは難しいです。超長期的見れば、右肩上がりに推移していると思われます。
しかし、それは分析者目線での上昇トレンドであり、私たちのような利益を目的にした投資家目線からすると「旨味のない上昇」だと考えます。
それを現すのが「変動率の小ささ」です。もし、ここで勢いがあると、日経平均株価は二次曲線のような急上昇を見せます。
それがなだらかな推移だということは、小幅上昇の積み重ねの結果、今の水準に到達しただけで、日本株市場に勢いがあるわけではないと判断します。
別の視点で見ると、経済原理上で上昇した結果だと考えるのが妥当です。
次に株トレンド指数を基準に見ると、今週も空売り指数が目立っています。水準も先週とほぼ同水準を推移しました。また、押し目買い指数は先週よりも一段水準を上げていることが分かります。
底値指数は、この2か月間で比較的高い水準を維持していますが、まだ下落傾向に転換するような水準ではありません。通常の範囲です。
これらを考慮すると、まだそれほど動きがないように見えますが、「空売り指数が天井指数を上回る状態」を維持と、「押し目買い指数」の状況から引き続き再上昇を狙えると分析します。
【来週の予想レンジ】上値7万円~下値:6万3000円
このように今週の株式市場は、期間を広げても同じような分析結果が出ます。
日経平均株価だけを見ると、天井を意識するネガティブな投資家心理になりそうです。しかし、株トレンド指数で見ると、そこからは見えない株式市場のポジティブな実態が見えてきます。
この状況をふまえて来週の日経平均株価のレンジを予測すると、以下の範囲を推移すると分析します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:7万円~下値:6万3000円
さらに強気水準に変化しました。上値は大台の「7万円」です。これまでの分析を見る限り、7万円台を定着ではなく、一時的に到達だと思われますが、上値は7万円です。
やはり、日経平均株価がこれほど高値の水準(6万〜7万円台)になると、同じ1%の変動であっても、実際の「円単位」での動く幅が非常に大きくなります。
以前の感覚では10%上昇くらいの円単位の変動でも、この水準では2~3%で到達してしまいます。
これまで以上に加速度的に円単位の変動が激しくなりますので、下値も含めて上下ともに大きく変動することに備えておきましょう。
なお、今後の上昇の流れは先週からと同様「一時的な上昇→足踏み状態→一時的な上昇」を繰り返すと分析します。
上値7万円を見ると、大きな上昇に感じてしまう場合もありますが、引き続き小幅上昇を続ける過程で到達する水準だと予測します。
そのような推移が予測されますので、引き続き楽観的になることなく「中立」または「厳しめ」に推移を見ていきましょう。
【最新】投資主体別売買動向から見える「様子見」モード継続
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。
・外国人投資家::買い越し → 売り越しへ転換(↘)
・個人投資家:わずかに売り越し → わずかに買い越し転換(↗)
・日本の機関投資家:小さく売り越し → 買い越しへ転換(↗)

最新週は、前週と比較して全体のポジションが大きくなりました。ただし、個人投資家は売り越しと買い越しが変わっただけでポジション量には、ほとんど変化がありませんでした。
国内外の機関投資家が最新週は動き出しました。ただし、それほど大きな動き出しではなく、前週よりは動き出したという程度です。
前週同様、三者とも活性化する状態ではなく、様子見よりは多少動き出したというのが妥当な表現の状態です。
外国人投資家は売り越し転換も「様子見モード」継続
外国人投資家は、前週の買い越しから売り越しに転換しました。ポジション量も同程度ですので、それほど大きな変化はありません。
外国人投資家は、あまり日経平均株価に影響を受けませんが、最新週まで上昇も上昇したことで、利益確定の売りに入ったと予測します。
ただし、小さな売り越しであることを考慮すると、保有銘柄の一部に今がちょうど良いタイミングというものがあった程度だと推測します。
ここから再び買い越しに転換することもできる売り越し水準です。ただし、ここから動きが小さくなる傾向のある6月に入りますので、それほど大きな転換はないと考えておくと良いでしょう。
個人投資家は天井を意識した動き
次は、個人投資家です。わずかに売り越しから「わずかに買い越し」転換しました。
様子見というより、ほぼ「静観状態」です。ポジション量は、前週も最新週も売りと買いが変わっただけで変化が見られません。
個人投資家は、日経平均株価の影響を受けやすい傾向があり高値圏での利益確定売りが出た一方、一部の活況なテーマ株への後追い買いも活発でした。
その買い越しと利益確定売りが相殺して、この小さなポジションになったと考えます。
よって、引き続き様子見というより「ここが天井では」という不安な投資家心理から、積極的に動けない静観状態が続いていると分析します。
国内の機関投資家は様子見モードへ転換
最後は、国内の機関投資家です。静観状態が続くと思われましたが、最新週では「買い越し」に転換しました。
国内の機関投資家は、めったに買い越しに回らないので、その珍しいタイミングがここできました。
ただし、買い越しのポジションがそれほど大きいわけではないので、これで動きがあったとは言い切れません。
あくまでも、彼らの傾向の通り、珍しいタイミングが最新週だったと考えるのが妥当でしょう。
よって、次週は再び売り越しに転換することを想定しながら動きを見ていくと良いでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
以上が三者の動向です。全体的なバランスを見ると、やや買い越し優勢です。しかし、均衡と読み取ってもよいくらいのバランスです。
直近の日経平均株価は、高値更新が続いてはいるものの、上昇に勢いは見られません。需給バランスが、ほぼ均衡であることをふまえても、上値が重たい直近のような推移になると分析します。
また、これだけ全体のポジションが小さいのは「押し目買い指数」の動きを示唆しているとも考えられます。
今、これだけポジションが小さいと、次のタイミングでポジションが大きくなり一時的に上昇方向へ進む可能性があります。
多少過度に読み取りすぎかもしれませんが、そういったことも想定されますので、やはり株トレンド指数で読み取った展開を想定しながら次週を見ていくのが良いと考えます。
まとめ:日経平均は大台の7万円射程圏も一時的にとどまる
このように今週の株式市場は、需給バランスも連動し、次の一時的な上昇前の足踏み状態であることが分かります。
上昇エネルギーを蓄積しているのは、外国人投資家と個人投資家が買い越しに転換するのを待っている状態とも読み取れます。
改めて、来週の日経平均株価のレンジ予測をまとめましょう。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:7万円~下値:6万3000円
需給バランスを見ると、この水準は想定しにくいと思われます。しかし、株トレンド指数の状況もふまえると、前述の通り、ポジションがいったん小さくなっている分、再度動くことができる状態です。
そうなると、今週は次の押し目の動きによる再上昇までの一時的な足踏み中であると分析できます。
ただし、この上値の大台7万円は、上昇トレンド中に到達するものではなく、今週のような動きを繰り返して到達する水準です。一時的に到達することはありますが、そのまま定着するには至らないと判断します。
よって、この上値を見て楽観視するのではなく、そういった上昇勢いのないまま到達するので、引き続き「中立〜厳しめ」に見ていく必要があります。
また、上値が大台ということは、投資家心理としては心配される天井はまだ迎えておらず「上昇余地あり」と判断します。
天井は、あくまでも心理的なものであり、日経平均株価は何円までしか上昇してはいけないという上限規制はありません。
その点を考慮しても、日経平均株価では見えない裏側の状況を株トレンド指数が示す限り、上昇が続くと考えて良いでしょう。
繰り返しになりますが、だからといって楽観視してはいけません。何円だから天井というのは不安な心理状態だけで原理上は関係ない話だということです。
引き続き「一時的上昇→足踏み状態→一時的上昇」が繰り返されると予測しますので、注意深く日経平均株価の推移と株式市場全体の動きを見ていきましょう。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/6/4(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。
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