執筆者: 秋山大介|データ・アナリスト| プロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)
日経平均株価 が怒涛の5日続落によって一時6万円の大台を割り込む局面がありました。
突如として訪れた急落劇。しかし、そこから底力を発揮して3.14%の反発を見せ、すぐさま6万円台を回復。
5/22の場中には再び6万3000円台まで一気に買い戻されるなど、非常にボラティリティの激しい乱高下を演じています。
この激しい値動きの裏で、独自の「株トレンド指数」では押し目買い指数が異常値を記録し、下落傾向を示す底値指数の水準もじわじわと上昇する異変が起きていました。
「これだけ激しく上下すると、ここが本当に天井ではないか不安…」と、今後の戦略に迷う投資家も多いはずです。しかし、データが示す相場の本質は、本格的な下落トレンドへの転換ではありません。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
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そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、来週の日経平均株価の動向や株式市場の見通しについて考えていきましょう。
【異変】押し目買い指数の異常値と底値指数の上昇が意味する「相場の内幕」とは?
こちらをご覧ください。こちらは5/8〜5/21の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
・底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
・押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
・空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら
日経平均株価と株トレンド指数が全く連動せず捉えどころのない市場
今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が全く連動していない、非常に珍しい1週間でした。同時に、押し目買い指数が急上昇の異常値になり、底値指数も直近2ヶ月間ではじわじわと水準が上げてきています。
これほど日経平均株価の見た目の数字と、市場全体の需給がバラバラに動くことは滅多にありません。
日経平均株価は5日続落で5.6%下落したかと思ったら、5/21に3.14%上昇しました。5/22場中でも上昇が続いているので、5日間の下げ幅を一気に取り戻さんとする猛烈な動きも見られます。
一方で、株トレンド指数は押し目買い指数が異常値「50」まで上昇し、底値指数が週末にかけてじわじわと水準を上げています。
主役の日経平均株価は下落から回復していますが、株式市場全体は週の後半に掛けやや下落傾向が強まり、下落リスクも混在しています。
このように表側の数値と裏側のデータで全く違う動きをしているので、今週の株式市場は「全く捉えどころのない週」だったと判断します。
次は今週の状況をさらに詳しく見て、分析を深めていきましょう。
押し目買い指数の異常値が示唆する日経平均の動き
今週の日経平均株価は以下のような推移でした。
- 【5/18】0.97%下落:3日続落
- 【5/19】0.44%下落:4日続落
- 【5/20】1.23%下落:5日続落・6万円割れ
- 【5/21】3.14%上昇:6万1000円台回復
今週の日経平均株価は、5/14から始まった下落を引きずったままスタートしました。5/20には5日続落で6万円割れまで下落し、投資家心理の節目である6万円を一時的に割り込む場面もありました。
この続落で円単位では3467円下落しました。一気に下落しなかったことや、そろそろ慣れてきた投資家が多いのか、円単位でこれだけ下落しても株式市場に悲壮感はありませんでした。
下落率も合計5.6%だったことから、冷静に踏みとどまった投資家が多かったのではないかと予測します。
そのようなこともあり、5/21に続落が止まり3.14%の上昇を見せ、5日続落の半分少々を取り戻すことができました。
ですが、もし5/21の上昇がなければ6万円割れのままでしたので、そのままズルズル下落し、先週時点の下値目安5万7000円に近づいたとも考えられます。
そのまま続落していたら短期的な下落トレンドに入る入口になっていたかもしれません。
しかし、ここで踏みとどまったことを考慮すると、依然として日経平均株価は底堅く高値圏を推移していることが分かります。
次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。
- 【5/18】押し目買い指数「52」まで急上昇/底値指数「23」まで上昇
- 【5/19】押し目買い指数「56」まで上昇/底値指数「25」まで上昇
- 【5/20】押し目買い指数「56」を維持/底値指数「37」まで上昇
- 【5/21】押し目買い指数「15」まで急落/底値指数「29」
株トレンド指数は先週から変化し「押し目買い指数」が異常値「50台」の前代未聞ともいえる数値を示しました。押し目買い指数は通常2桁(10程度)に届くか届かないかの水準でも高水準と判断します。
それが50台まで上昇したのは、市場全体に一時的な強烈な歪み、あるいは猛烈な「下値での買い需要」が凝縮されていたことを意味します。
同時に、今週は直近2ヶ月間ではあまり動きがなかった下落傾向を示す底値指数の水準が、週の後半に掛けて上昇しました。
下落リスクがあるような水準ではありませんが、日経平均株価の5日続落もふまえると、今週の株式市場は弱気も混在していたと判断します。
押し目買い指数は、上昇中の一時的下落から再上昇の可能性を示す指数ですので、底値指数のこともふまえると、その一時的な下落が少し深くなったと分析します。
一方で、押し目買い指数の異常値を除けば、他の指数で目立った指数がありませんでした。まさに混戦状態の発生状況でした。
これをふまえると、今週は「各指数により方向感の奪い合い」だったと判断します。
通常であれば、こういったことは無風状態の中で起きますが、今週はある程度の発生水準がある中で起きました。
そのようなこともあり、株式市場全体は、これからどの指数が株式市場全体を牽引するかの主導権争いをしていると分析します。
日経平均株価は「まだ天井ではない」と言える理由
このように今週の株式市場は、日経平均株価だけを見ると「そろそろ天井では」と心配する側面がありました。
一方、株トレンド指数を見ると、押し目買い指数が異常値の中、各指数が主導権争いをし、次の展開が発生するまでの踊り場になっていると分析します。
ただし、押し目買い指数がここまで高水準になるということは、今週の日経平均株価の下落は、一時的な下落で、再上昇も期待できます。
万が一、株トレンド指数の競り合いの中で底値指数が勝ってしまうとシナリオが変わりますが、押し目買い指数の動きを見る限り、さらなる上昇があってもおかしくないと考えます。
よって、日経平均株価は「まだ天井ではない」と判断します。しかし、株トレンド指数の主導権争いに決着がつかないと次の展開に迎えません。
これが来週も続くと日経平均株価の再上昇はお預けになります。反対に、今週で決着が付けば、今のところ優位性のある押し目買い指数に牽引されて、再上昇するでしょう。
【分析】全指数が複雑に絡み合う「エネルギーの混戦市場」
日経平均株価を基準に見ると、連休空けの上昇から狭いボックス圏を推移しています。5日続落でボックス圏の下値に向かいましたが、再上昇により踏みとどまりました。
この動きを見る限り、依然として底堅く推移し、再び年初来高値を射程圏にしていると分析します。
ただし、前述の通り、来週に下落が強まると状況が変わるかもしれません。そのときは先週時点の下値目安5万7000円が抵抗線になるかがポイントでしょう。
株トレンド指数を基準に見ると、先週は空売り指数が異常値水準でしたが、今週は押し目買い指数が異常値水準になっていることが分かります。
また底値指数も直近2ヶ月間の中では、高水準になっていることが分かります。
さらに天井指数や空売り指数が絡み合っているので、次にどちらの方向へ進むか各指数が競っている状態でもあります。
この期間では「最もぐちゃぐちゃとエネルギーが錯綜した、先が読みにくい週」だとも言えます。
ただし、無風状態で起きていることではないので、次の大勝負に向けて株式市場全体が動き出すことを期待できます。
【来週の予想レンジ】上値6万5000円~下値:5万7000円
このように今週の株式市場は、期間を広げて分析しても、日経平均株価は何とか踏みとどまり堅調な推移を続け、株式市場全体は混戦状態だと判断します。
一方で、押し目買い指数が異常値水準まで上昇していることと、底値指数が直近2ヶ月間の中では水準が上がっていることを考慮すると、一時的に通常よりも下落が強まったとも判断できます。
異常値水準なのでセオリーから外れる可能性もありますが、押し目買い指数の通り、この混戦状態を抜けるときは再上昇すると分析します。
この状況をふまえて来週の日経平均株価のレンジを予測すると、以下の範囲を推移すると分析します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万5000円~下値:5万7000円
先週と同じ水準です。年初来高値再更新も射程圏に推移していますので、ここから再上昇する場合は一気に6万4000~5000円まで上昇することを想定すると良いと判断します。
反対に、この混戦を抜けたとき下落傾向が勝ってしまうと、今週のような続落でこの下値目安まで下落すると分析します。
ただし、今の状態を見る限り、この下値目安が抵抗線となり、下落を踏みとどまれると考えます。
このように今週の混戦状態を、どう抜けるかがポイントです。押し目買い指数優位で抜けるとは思いますが、万が一に備え下値に向かうシナリオも想定しておきましょう。
【最新】投資主体別売買動向から見える、一時の「お祭り騒ぎ」の終わり
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。
・外国人投資家:大きく買い越し → 買い越し(↘)
・個人投資家:売り越し → わずかに買い越しへ転換(↗)
・日本の機関投資家:小さく売り越し → 小さく売り越し維持(→)

最新週は、全体的にポジションが小さくなりました。前週データは連休明けということもあり、やはり買い戻しの動きだったと分析します。
反対に最新週は、全体のポジションが一気に小さくなり、国内の投資家のポジションは僅かなものでした。
とはいえ、外国人投資家も大きなポジションを取っているわけではないので、全体的に弱気な相場になったと判断します。では、各投資家の詳細を見てみましょう。
外国人投資家の動きが止まり「通常モード」へ
外国人投資家は、買い越しは維持しましたがポジションが一気に下がりました。連休明けの買い戻しが完了し、通常運行に戻ったと予測します。
ポジティブに見ると、4月1週以降買い越しが続いています。ここから材料がないと大きく盛り上がる可能性は低いですが、買い越しが続いていることは良い点です。
例年の動きを見ると、この5~6月は材料があったときだけ大きく動き、材料がないとニュートラルポジションに近い水準を維持する傾向があります。
それもふまえると、外国人投資家が大きく動き出すのは、日本株市場の材料の有無に左右されると考えるのが妥当です。
当然のことに聞こえるかもしれませんが、反対に言えば材料なしの不明な動きはないと言えます。
そのようなこともありますので、しばらくは静観のような状態が続くと考えておくと良いでしょう。
個人投資家は節目の買い越し転換も、依然として慎重姿勢
次は、個人投資家です。わずかに買い越しに転換しました。しかし、4月1~2週以降目立った動きが見られません。
どちらかと言うと、積極的に日本株を買いに行くよりも、高値更新など節目の水準に日経平均株価が上昇すると、利益確定売りへ慎重に動いているように見えます。
もし、外国人投資家が積極的に動かなくなると、株価の変動は小さくなりますので、個人投資家はそれに釣られて弱気に動くでしょう。
そうなると、日本株を積極的に売買することはないので、日経平均株価が節目に到達したら利益確定売りをする場面が続くかもしれません。
国内機関投資家はニュートラルポジションで静観
最後は、国内の機関投資家です。売り越しを維持しています。引き続き、通常通りの動きとも判断できます。
もし日本の機関投資家も買い越しであれば、ポジション量は小さいですが株式市場は小さく上昇していたかもしれません。
しかし、実際はそうではなかったことから、株式市場が動きにくくなっています。
こうなると、日本の機関投資家は今後さらに動くことなくニュートラルポジションに近い状態で売り越しと買い越しを繰り返すでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
以上が三者の動向です。全体的なバランスは、買い越しでした。しかしポジション量が小さかったので、株式市場にトレンドが発生するほどの影響はありませんでした。
ここから日本の機関投資家は積極的に動く機会は少ないと予測されますので、今後は外国人投資家と個人投資家がどう動くかで日本株市場の動向が変化すると分析します。
ただし、ここから材料がない限り、何となくの動きやチャートを見た心理戦でトレンドが発生するようなことはないと想定します。
そうなると、しばらくは需給バランス面においては、株式市場を動かすような目立った動きはないかもしれません。
もちろん、急変や急な材料が発生すれば状況は大きく変わります。そういった場面を想定しつつ、しばらくは需給バランスが均衡状態に近い状態が続くと考えると良いでしょう。
まとめ:日経平均は「天井」ではなく、この踊り場は次へのエネルギー充填
このように今週の株式市場は、需給バランスの予測を見ると、ポジション量が減り需給バランスでは株式市場が動きにくくなっていると分析します。
一方で、今のところは株トレンド指数を中心に株式市場の混戦が見受けられ、押し目買い指数が好影響をもたらすと、混戦を抜けたときには上昇の可能性が高まっています。
しかし、混戦をマイナス方向へ抜けることもないとは言い切れない状況です。楽観はできませんが、悲観的でもないので、来週は中間で動向を見る必要があると判断します。
それらの背景を踏まえて、来週の日経平均株価のレンジを予測するとこのようになります。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万5000円~下値:5万7000円
先週と同じレンジです。混戦の話や需給バランスの話をふまえると、日経平均株価は「ここが天井では」と心配になるかもしれません。
しかし、それは混戦をマイナス方向へ抜けた場合の話です。マイナス方向へ抜けず、押し目買い指数の影響で株式市場が動けば、まだまだ上昇余地はあります。
高値更新も射程圏の水準を推移しています。そうなると、大きな材料ではないものの高値更新が材料になり段階的に上昇していくと予測します。
上昇トレンドが発生して上昇というよりは、高値更新後は踊り場に入り、再び高値更新し踊り場のように上昇するでしょう。
反対に下落する場合は、今週の続落のように暴落や急落のような下落ではなく、小幅に下がり続けるが止まり、再上昇して、また小幅に下落するようなシナリオが想定されます。
このように今は、どちらのシナリオになるかの分岐点にいます。そのようなこともありますので、この目安はどちらか一方ではなく両方の目安を把握しながら動向を見ていきましょう。
そして、どちらに進むかの動きが見えてきたら、それぞれの目安の値を目標に株価が動くことを想定しながら、あなたのスタンスを決めていくのが良いでしょう。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/5/21(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ5/22場中のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。
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