執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価6万円の大台を突破し、一時6万3000円台に乗せるなど、歴史的な高値更新が続いています。

しかし、連日1%未満の小幅な動きが続いていることで、『そろそろ天井ではないか?』『ここから買うのは危険か?』と、期待よりも不安を感じている方も多い時期かもしれません。

今週は空売り指数、押し目買い指数で異変が見られます。この2つの指数の異変は、今後の日本株市場の何を示しているのでしょうか。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、来週の日経平均株価の動向や株式市場の見通しについて考えていきましょう。

【異変】空売り指数が4日連続100超えの異常値。強烈な『急ブレーキ』の正体とは?

こちらをご覧ください。こちらは4/27〜5/14の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

【2026年5月第1週】市場動向と 日経平均株価 の変動
【2026年5月第1週】市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

日経平均株価と株トレンド指数が複合的に絡み合う複雑な市場

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が連動する週でした。同時に、空売り指数が異常値水準のとても珍しい週でした。

全体としては、日経平均株価の推移が示す通り、連休明けは連休前の押し目買い指数の影響で上昇しましたが、その後は空売り指数によって上昇が抑えられたと分析します。

特に今週の株式市場は、空売り指数が「4日連続100以上」を示す異常値水準でした。

2/9~2/13の期間にも4営業日連続で100以上を記録したとき以来です。それ以前は2021年2月まで遡っても見られる水準ではありません。

それが2026年に2度起きていることをふまえると、それまでの長期のボックス圏を抜けた影響だとも分析します。

また、異常値ではありませんが、今週は押し目買い指数の水準が週末に掛けて上昇しました。

加えて、天井指数は株式市場を動かす勢いではないものの、日経平均株価の高値圏維持の下支えをしたと判断します。

このように今週の株式市場は、日経平均株価と株トレンド指数が複合的に絡み合いながら推移していたと言えます。

次は今週の状況をさらに詳しく見て、分析を深めていきましょう。

空売り指数の異常値が示唆する日経平均の動き

今週の日経平均株価は以下のような推移でした。

  • 【5/11】0.47%下落:6万2000円維持 
  • 【5/12】0.52%上昇
  • 【5/13】0.84%上昇:6万3000円台到達
  • 【5/14】0.98%下落:年初来高値更新

今週の日経平均株価は、連休明けに6万2000円に到達してから、そのまま水準を維持しました。ただし、変動率は上下とも全て1%未満です。

これは、連休前に押し目買い指数が高水準だったことが影響していると分析します。連休明けは押し目の動きで一時的に約5.6%上昇したが、そこで止まったと考えられます。

また、円単位で見ると日経平均株価は高水準ですが、変動率で見るとほぼ勢いがないことが分かります。

株トレンド指数で分析を深めないと分かりませんが、日経平均株価を単独で見ると、直近の天井を付けたとも分析できます。

今の円単位の水準は、あくまでも株価水準が上がり、変動率に対する円の変動割合が大きくなったことで、結果的に到達している水準と判断します。

データ・アナリストの視点
日経平均株価の水準が6万円前後までくると、同じ変動率でも円単位の変動が大きくなります。これは上昇・下落のどちらにも言えます。

高値更新したと言っても、変動率が小さい場合は上昇したと錯覚しやすい状態です。反対に下落時はとても大きな円単位に見え暴落と錯覚しやすい状態です。

6万円台では「1%の変動=約600円」と錯覚を起こしやすい水準に到達しています円単位でみる額面の水準ではなく、「何%動いたか」の変動率も見て日経平均株価の推移を捉えていきましょう

次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。

  • 【5/11】空売り指数「101」異常値水準 / 天井指数「75」
  • 【5/12】空売り指数「114」異常値水準 / 天井指数「56」
  • 【5/13】空売り指数「125」異常値水準 / 押し目指数「15」まで上昇
  • 【5/14】空売り指数「110」異常値水準 / 押し目指数「31」まで急上昇

株トレンド指数を見ると、4日連続「空売り指数の異常値水準」状態でした。日経平均株価が伸び悩んだのは、空売り指数にブレーキを掛けられたからだと分析します。

もし、空売り指数が通常水準の発生であれば、天井指数も「75」「56」とトレンド発生まではいかないものの高い水準だったので、日経平均株価はもっと上昇したでしょう。

反対に言えば、空売り指数が「日本株市場は上がり過ぎだ」と急ブレーキを大きく踏んだ状態だったと判断します。

ただし、週の後半になると押し目指数の上昇が見られます。通常は1桁水準なので10以上になるだけでも違いますが、それが「31」まで急上昇しています。

このまま空売り指数が段階的に水準を下げ、押し目買い指数の水準が高水準を維持すると、再上昇があると分析します。

つまり、今の相場は、空売りという強烈なブレーキによって無理やり上値を抑えられている状態です。

しかし、水面下では『押し目買い』というアクセルが力強く踏み込まれ始めています。このブレーキが外れた瞬間、次なる上昇が始まると分析します。

日経平均株価は再上昇か下落かの分岐点

このように今週の株式市場は、日経平均株価だけを見ると連休明けの上昇から止まり、直近の天井をつけているようにも見えます。

しかし、株トレンド指数も加えて複合的に見ると、空売り指数によって無理に上昇を抑えられるが、天井指数が下支えしたことで高値圏を維持していると考えます。

さらに押し目買い指数がここに加わり、次の展開のキーになっています。ただし、空売り指数の異常値がどう作用するかで展開は変わります。

このまま異常値水準を維持すると、再上昇のエネルギーを消し、今週を天井にしてしまいます。反対に異常値水準が静かになると、再上昇のエネルギーによって上昇へ向かうでしょう。

つまり、今週の株式市場は日経平均株価6万円台の新しい展開になるか、それとも再び5万円台に戻るかの分岐点だと判断します。

【分析】空売り指数で展開を抑制された動き

日経平均株価を基準に見ると、引き続きほぼ順調に上昇しています。しかし、連休明けから今週にかけて踊り場になっています。

また、この連休明けの上昇を除いては円単位イメージほど順調に上昇していないと判断します。

やはり、変動率は小さいですが、6万円水準が影響して小幅変動にも関わらず、円単位では高値更新など好材料を印象付けるものがあったと考えます。

株トレンド指数を基準に見ると、空売り指数が異常値水準であることが分かります。

2月にも異常値水準がありました。しかし、このときは天井指数の水準も100以上または200以上の水準で短期的な上昇トレンドが発生していました。

その場合の空売り指数は、上昇トレンドの終焉を示す役割です。だから、上昇トレンド発生時は、この水準まで上昇すること自体は異常ではありません。

しかし、今週は天井指数の発生が100以下の水準での異常値水準です。それを考慮すると、今後の株式市場は、空売り指数によって抑制された週だと判断します。

【来週の予想レンジ】上値6万5000円~下値:5万7000円

このように今週の株式市場は、期間を広げて分析しても、空売り指数によって日経平均株価の上昇が抑えられたと分析します。

一方で、再上昇のサインである押し目買いの水準が上がっていることを考慮すると、ここから再上昇の可能性は、まだ残っていると考えます。

ただし、この空売り指数の異常値水準が、どう作用するか分からないので、今週がいったん直近の天井になるシナリオと、再上昇のシナリオの両面で考えるのが良いと判断します。

この状況をふまえて来週の日経平均株価のレンジを予測すると、以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万5000円~下値:5万7000円

前週から上値のみ一段水準を上げました。ただし、上値は1%未満の上昇でも500円以上上昇する水準なので、上振れも想定しておきましょう。

そして、今週から注意もあります。すでに1%未満の下落で500円以上の変動がある水準なので、ここからはこれまで以上に大きく上下します。

昨日は6万3000円台だが、今日は6万2000円台のように、1日で1000円以上の変動は通常モードに突入します。視点を変えると、5%下落で約3000円下落することもあります。

日経平均株価の水準が上がるほど、円単位の変動幅は大きくなりますので、常に上値と下値は広めに見ていきましょう。

【最新】投資主体別売買動向と需給バランス

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。

外国人投資家:買い越し → 大きく買い越し(↗)
個人投資家:買い越し → 売り越しへ転換(↘)
日本の機関投資家:買い越し → 売り越しへ転換(↘)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

最新週は、全体的にポジションが大きくなりました。これは連休前にポジション調整し、連休後に動き出したことが影響していると考えます。

国内外の投資家でポジションが分かれました。連休明け早々日経平均株価が高値更新したので、国内投資家は利益確定に動いたと予測します。

また、この国内外の投資家でポジションが分かれたことにより、需給バランスは「均衡よりはやや上昇でした。

この週の日経平均株価の上昇が連休明けだけで止まったのは、この需給バランスが影響している可能性もありそうです。では、各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家が日本株市場を買い支える

外国人投資家は、年に数回見られる大きな買い越しです。直近4月は大きく買い越していましたので多少小さく見えますが、通常であれば大規模の水準です。

この動きを見ると、外国人投資家は日本株市場のさらなる上昇を期待して大きく買い越しに動いたか、連休前に手仕舞いした銘柄を買い戻しをしたと考えます。

とはいえ、その内訳に関係なく、外国人投資家の大きな買い越しがなかったら、日本株市場は売り優勢でした。

その点を考えると、連休明けの株式市場は外国人投資家の買い支えの中で、日経平均株価6万2000円に到達したと考えるのが妥当です。

個人投資家は高値更新で利益確定売りの動き

次は、個人投資家です。売り越しに転換しました。個人投資家は日経平均株価の水準に影響を受けやすいので、外国人投資家の買い支えによる日経平均株価の上昇で利益確定売りに動いたと予測します。

そうなると、今週も高値を更新していますので、利益確定売りで動いているかもしれません。

大きく売り越しは想定しにくいですが、利益確定しつつ、次の銘柄に仕込みを入れる動きが予測されますので、次の最新データでは結果としてニュートラルポジションに近い動きになっているかもしれません。

国内機関投資家は利益確定売りから買い越しの可能性

最後は、国内の機関投資家です。小さく買い越しから売り越しに転換しましたが、通常通りの動きとも判断できます。

国内の機関投資家は、あまり大きく動きませんので、最新週で個人投資家のように日経平均株価の高値更新をきっかけに利益確定売りをしたと想定します。

そうなると、現金比率が上がりますので、最新データでは買い越しに転換している可能性もあります。

ただし、株式市場全体に影響するような動きではないので、通常通り小さく動いていることを想定しておくと良いでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。全体的なバランスは、均衡よりはやや買い越しの状況でした。内訳を見ると、日経平均株価の動きに影響を受けやすい国内の投資家だけが、ここで利益確定に動いたと予測します。

そして、ここから気になるのが外国人投資家の動きです。次のデータで買い越しが続くようであれば、日本株市場の上昇を支えることになります。

反対に、この大きな買い越しが一時的なものに終わってしまうと、日本株市場の流れを切り、これまでの分析で見た再上昇のパワーを消してしまいます。

どうやら、空売り指数の異常値の作用は、外国人投資家が握っていそうです。

株式市場自体の動きも重要ですが、需給バランスの中でも外国人投資家の動きはカギになりそうなので、引き続き注意して見ていきましょう。

まとめ:来週の予想レンジともみ合い状態の注意点

このように今週の株式市場は、需給バランスの予測を見ると、国内の投資家ではなく外国人投資家にシナリオが握られていると分析できます。

繰り返しになりますが、それが空売り指数の異常値水準の作用がどうなるかを決めるポイントになりそうです。ここからも、今週の株式市場は”分岐点”に突入していると判断できます。

それらの背景を踏まえて、来週の日経平均株価のレンジを予測するとこのようになります。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:6万5000円~下値:5万7000円

レンジの幅が広がっています。しかし、これは前述の通り、日経平均株価の水準が上がったことが影響しています。

なお、下値はもう少し水準を上げても良いですが、地政学リスクがないとは言い切れない状況が続いていますので厳しめに設定しました。

上値は緩めに見て、下値は厳しめに見るのが、今の状況にあった分析です。

そして、空売り指数の異常値は、一見ネガティブですが、『それだけ大きな圧力をかけないと止まらないほど、日本株の地力が強い』ことの裏返しでもあります

もしネガティブに作用しても、それは日経平均株価の水準が連休前のような水準に戻る程度だと分析します。

ネガティブに作用する場合は、日経平均株価が上がり過ぎなので一時的に調整を入れる意味合いでしょう。

今のところ下落トレンドに転換する要素は見当たらないので、調整が入ったら再び今週の水準を目指して上昇し、今度は6万5000円水準を狙う動きになるのではないかと考えます。

このように空売り指数がネガティブに作用しても、あまり悲観的なシナリオは描けません。

よって、この日本株市場は引き続き底堅い状態で、何度も高値更新を狙い続ける展開をしばらくは続けると分析します。

よって、一時的な停滞や調整は天井ではないかと焦ることなく、常に上昇にチャレンジする市場が続くという視点で、引き続き日本株市場を見ていくと良いでしょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/5/14(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。