日経平均株価が再び4万付近まで上昇しました。

5日続落で3万9000円割れし、3万8500円付近まで下落したと思ったら、今度は4日続伸で4万円付近まで上昇しています。

よく言えば、日本株は崩れにくい状態が続いているのでしょう。一方で、依然としてボックス圏を推移し、全く方向感が掴めない状態が続いています。

ボックス圏のセオリー通りとも言える動きをしています。先週時点では5日続落でボックス圏の下値付近まで進み、今週は4日続伸でボックス圏の上値付近に到達しています。

まさに今の日本株市場は「底堅く崩れにくいが、短期的に見るとどうなるのか予測不能」という表現が適切かもしれません。

そのような状況の日本株市場ですが、続落からの続伸で再び4万円を上抜けし、そのまま日経平均株価4万円が定着することはあるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2025/1/9〜2025/1/23の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週と違って日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。

また先週まで無風状態への急転が、再び急転し緩やかにトレンドが発生してきました。

日経平均株価が5日続落したときは無風状態、4日続伸したときは緩やかにトレンドが発生と、先週と今週では全く状況が違っていると読み取れます。

詳細を見ると、週初め1/20は先週からの無風状態が続いたような状況でした。しかし結果論にはなってしまいますが、この1/20が日経平均株価4日続伸のきっかけになったと読み取れます。

この日は、日経平均株価は約1.2%の上昇を見せました。対して株トレンド指数は、どの指数も発生水準が先週と同じような状況でした。

しかし、内訳を見るとここが転機になったことが分かります。先週末までは無風状態の中で下落傾向を示す底値指数が、わずかに目立ちました。

そのような状態が続いたこともあり、無風状態の中では下落傾向が続き、日経平均株価も5日続落し、そのままボックス圏の下値付近に定着したと考えられます。

その流れを断ち切ったのが、この1/20でした。発生水準は低いものの、各指数の発生バランスに変化がありました。

これまで目立っていた底値指数が下がり、上昇傾向を示す天井指数と、上昇にブレーキをかける空売り指数が上昇しました。

これにより、それまでボックス圏の下値付近に定着させる原因になった底値指数の動きがいったん消されたと考えられます。

その動きが消されたことで、1/20のバランスになり、株式市場全体の動きが下落方向への動きから、ゆるやかに上昇に向かって動き出す転機になったのでしょう。

1/21は、株トレンド指数の各指数の発生状況が完全に先週までと変化しました。全体の発生状況は無風状態に近いものの、上昇傾向を示す天井指数が最も高い水準になりました。

そして、この流れで1/22、1/23と週の後半に入りました。1/22の天井指数は12月末の上昇のときの水準には届かないものの、1月では最も高い水準になりました。

続いて1/23は前日よりも天井指数の発生水準は下がりましたが、引き続きゆるやかな上昇を維持する発生水準を維持しています。

それに連動するように日経平均株価も上昇し、4日続伸につながったと考えられます。

このように今週は、先週までのボックス圏の下値付近に定着する動きから、再びボックス圏を上値付近に向かって動き出した週だと言えるでしょう。

また、先週の段階ではボックス圏の下抜けまでは想定できないものの、リスクの一つとして考えておかなけばならない状況でした。そこを今週の変化で脱したと考えて良いでしょう。

日本株どこまで上昇する?

日経平均株価を基準に見ると、5日続落や4日続伸がありましたが約2ヶ月間変わり映えしない状況です。ここからもボックス圏を推移していることがよく分かります。

変化があるとすれば、先週はボックス圏の下値付近に定着していたので、範囲を「上値:3万9500円・下値:3万8000円前後」と見ていた点でしょう。

今週の上昇により、先々週時点で考えていた「上値:4万円・下値:38,500円前後」に戻して良いと考えます。

このように今週だけでみると、ゆるやかな上昇傾向に短期的に入ったと読み取れますが、時間軸を伸ばすと、依然として変化なく推移していることが分かります。

まさに、これが冒頭でお伝えした、よく言えば崩れにくく、違う言い方をすればボックス圏を抜け出せず方向感がないという状況です。

対して、株トレンド指数を見ると、今週に限らず1/9から入った無風状態を今週をきっかけに脱したことが分かります。

ただし、これが一時的なものか、このまま脱して株式市場を牽引するようなトレンドが発生するかは分かりません。

今週は先週と比較すると変化がありましたが、日経平均株価と同様、まだここをきっかけに何かが起きるかは全く分からない状況であることが分かります。

つまり、今週の上昇で注意したいのは、今週だけ見ると日本株市場が好調に見えるかもしれないが、依然としてボックス圏を推移していることです。

もし、このまま日経平均株価が4万円を上抜けし、そのまま上昇したとしても基本的にはボックス圏を抜けきれていないと考えるのが良いでしょう。

日本株そのものの要因ではなく外部要因などで偶然的に上昇し、その外部要因がなくなると、またいつものボックス圏に戻ってくるようなイメージです。

つまり、ここから更に上昇するには、今の時点では「勢い不足」というのが端的な表現になるでしょう。

需給バランスから見た週明けの日本株は?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:買い越し → ほぼ中立変化
・個人投資家:買い越し → 買い越しを維持
・日本の機関投資家:売り越し → 売り越し → わずかに買いに変化

今週はデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「やや買い越し」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り、日本株は再上昇の下地があると考えられます。

しかし、「やや買い越し」の需給バランスですので、株式市場全体を牽引するようなトレンドの発生の見込みは小さいでしょう。あくまで、今週のようなゆるやかな上昇で考えておくのが妥当でしょう。

このように今の日本株市場は週単位で見ると状況が変化しているものの、まだ決め手となるような変化がありません。

ボックス圏のセオリー通り、行ったり来たりを繰り返しています。その中で偶然的に外部要因で上抜けに見えるような動きをしても、それも勢い不足で元に戻る可能性が高いでしょう。

そのような状況をふまえると、引き続き中立のスタンスを崩すことなく、場合によっては先週と今週のように週単位で状況が変化することも想定しておくのが良いかもしれません。