日経平均株価 が今週に入り再び3万8000円台を回復しました。

ただし、一時3万8500円まで回復したものの、維持できずそこから3万8000円前半まで下落しています。

この水準まで上昇しているので、下落したと言っても小さな割合ではありますが、すっきり上昇できない状況が続いています。

日経平均株価の推移を見る限り、ジリジリと水準は上がっているものの、依然として「上値が重たい」展開が続いています。

また、ポジティブに捉えれば「底堅い」「下がりにくい」状況ですが、ネガティブに捉えれば「方向感なく次の展開を読みにくい」状況も続いています。

そのような状況ではありますが、来週の日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動

こちらをご覧ください。こちらは5/30〜6/12の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
今週の市場動向と日経平均株価の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長

今週の株式市場は、先週と変化し日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。連動しなかったのは6/12のみです。それ以外は全て連動しました。

そのようなこともあり、日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では、あまり差異がなかったでしょう。

ただし、上のグラフのように期間を短くすると日経平均株価もずいぶん上昇しているように見えますが、実際には、1.79%上昇して-0.65%下落しましたので、約1%の上昇です。

よって、このグラフで見ると連動していたと結果的に言えますが、実際には日経平均株価だけでは、上昇を実感するのは難しかったかもしれません。

このように細部を見ると、全体としてほぼ連動はしていましたが、日経平均株価だけを基準にしている人にとっては連動していない週だったとも言えるでしょう。

大まかに言えば、日経平均株価だけを基準にしている人にとっては、日経平均株価の小幅上昇が続いているが、結果的には1%程度の上昇であったと感じたかもしれません。

それに対して、日経平均株価と株トレンド指数を使って方向感を捉えている私たちは、天井指数の水準がある程度の水準を保っていたので、上値は重たいが上昇している週と捉えることができたでしょう。

日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較

詳細を見てみましょう。週初め6/9は日経平均株価が0.92%上昇しました。円単位で見ると346円上昇し、3万8000円台を回復しました。

この日は、メディアによっては円単位で上昇を強調し、大きく上昇したと錯覚するような表現も見られました。

3万8000円台には回復しましたが、上昇率は1%未満でした。そのようなこともあり、この日は回復は嬉しいことですが、大きな上昇はしていませんでした。

株トレンド指数は、先週半ばから天井指数の水準が下がり気味でしたが、この日から再び水準が上がりました。これにより引き続き上昇傾向を維持しています。

反対に下落傾向を示す底値指数の水準が先週から上がっていない状況もふまえると、先週に続き今週も株式市場全体は上昇しようとしていることが分かります。

6/10は、日経平均株価が0.32%上昇しました。円単位では122円上昇しましたが、変動率が示すとおり、ほぼ前日と変わりませんでした。

株トレンド指数も、前日ほぼ同水準の発生でした。株式市場全体を牽引するような水準ではないものの、引き続き上昇傾向を示す天井指数の水準が目立つ状態を維持しました。

週半ば6/11に入ると、日経平均株価は0.55%上昇しました。円単位で見ると209円上昇でしたので、それなりに上昇したように感じた人もいるかもしれません。

しかし実際は、変動率の通り1%未満の変動でしたので、ほぼ横ばいの推移でした。

これに対し、株トレンド指数は少々違う動きを見せました。上昇傾向を示す天井指数の水準が上がりました。

また、通常ではなかなか10には届かない押し目買い指数も10を目前にした9まで水準を上げました。

押し目買い指数は、その名の通り押し目買いの動きをしていることを示す指数ですので、天井指数との関連を考慮すると、株式市場全体はやはり上昇傾向であることが分かります。

週末6/12の日経平均株価は、今週初の下落でした。-0.65%の下落、円単位では248円の下落でした。

ですが、やはり1%未満の下落であったことから、ほぼ横ばいと捉えても問題ない変化です。

株トレンド指数は、わずかではありますが上昇傾向を示す天井指数の水準が上がりました。

株式市場全体を牽引するような大きな上昇ではありませんが、引き続き小さな上昇傾向を維持していることが分かります。

今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント

このように今週の株式市場は、日経平均株価だけ見ると、上昇はしていますが、1%未満の変動続きだったので、上昇はしているが実感のない上昇だったでしょう。

反対に株トレンド指数も加えてみると、日経平均株価の小幅上昇よりも、大きな上昇があると読み取れます。

6/11の押し目買い指数は10目前の水準まで上昇したこともふまえても、日経平均株価の変動率よりも株式市場全体は上昇していると考えられます。

ただし、繰り返しになりますが、その上昇は大きなものではありません。小さな上昇を先週に続き維持しているような状況です。

では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。

日経平均株価 の動向を徹底分析する

日経平均株価を基準に見ると、引き続きボックス圏を推移していることが分かります。そして、ようやくボックス圏の水準が暴落前の「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」に届きそうなところまできています。

まだ明確には言えませんが、先週よりも近づきました。6/13前場時点の日経平均株価が下落しましたので、この下落がどこで止まるかが分岐点になるでしょう。

もし、3万7000円前後で止まれば、暴落前の水準のボックス圏に戻ったと言えるでしょう。

ですが、反対に止まらなければ、先週の時点で想定した「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」のボックス圏になるでしょう。

今の時点では微妙なところです。楽観的に見れば暴落前水準「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」、中間・悲観でみると「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」でしょう。

一方、株トレンド指数を見ると、先週に続き株式市場を牽引するような上昇傾向ではありませんが、小さな上昇傾向を維持しています。

来週の日経平均株価の予想シナリオ

ただし、このように期間を伸ばすと天井指数も横ばい状態に近い推移が続いています。週単位で見ると上昇はしていますが、期間を広げると依然としてボックス圏を推移していることが分かります。

また、先週よりも底値指数の水準が下がっていることを考慮すると、小さい上昇ではありますが、先週よりも上昇しやすい環境に変化していることも読み取れます。

やはり、ここからも日経平均株価の横ばいの推移よりも、株式市場全体は上昇しようとしていることが読み取れます。

一方で、先週同様、上昇しようとしていますが勢い不足であることは否めません。良く言えば「底堅さを維持」、悪く言えば「上がりもしなければ、下がりもしない」状況です。

そのようなこともありますので、今週末と週明けの動向次第であることもありますが、日経平均株価の推移は念のため「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」を想定しておくのが良いでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグがあるデータではありますが、現状は以下の通りです。

・外国人投資家:買い越し → 買い越し弱まる(↘)
・個人投資家:売り越し → わずかに買い越しに変化(↗)
・日本の機関投資家:売り越し → わずかに売り越し弱まる(→)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」です。

ただし、それほど大きな買い優勢ではないので、上昇トレンドが発生するような状況ではないこともわかります。

5月5週の段階では外国人投資家のみが買いポジションでしたが、ここに私たち個人投資家が加わりました。ではここで、各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家の売買動向

まず、外国人投資家です。外国人投資家は5月5週よりも買いが弱まりました。

ただし、買いが弱まったものの、買いポジションを維持したことで「10週連続買い」状態になりました。これは2023年以来です。

それを考慮すると、本格的な上昇トレンドを起こすような買いポジションではないものの、外国人投資家にとって、今の日本株市場は期待できる市場だと判断しているのでしょう。

なお、2023年は「12週」連続でした。日経平均株価は2万8000円台から3万3000円台まで上昇し「3万4000円」に到達するのではないかという水準までいきました。

ですが、今回はそのときの買いの水準から見ると半分以下のようなイメージが続いています。

そのようなこともあり、買いが10週続いているものの、日本株市場の上昇には、なかなか直結していない状況といえるでしょう。

とはいえ、国内の投資家が外国人投資家に比べると弱気なポジションを維持していることから、引き続き今の日本株市場は外国人投資家によって支えられていると考えられます。

個人投資家の売買動向

次は、私たち個人投資家です。個人投資家は売り越しから、わずかに買い越しに転換しました。8週振りの買いポジションです。

外国人投資家が10週連続買いポジションですので、このまま維持するか分かりませんが、もし維持したまま、個人投資家が買いポジションを大きくすると、日経平均株価の上昇が期待できるでしょう。

日本の機関投資家の売買動向

日本の機関投資家を見ると、売り越しがやや弱まりました。細部を見ると多少違う部分もありますが、4月中旬以降外国人投資家と反対のポジションをとっている印象です。

5月4週に大きく買いポジションを取りましたが、その前後はいずれも消極的なポジションを維持しています。

この動きにはセオリーがないので確率が高い話とは言えませんが、日本株市場が動き出すまでは、このままのスタンスを継続しそうに見えます。


国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

このように三者の状況をまとめると、今の日本株市場は個人投資家がカギになりそうに見えます。

あくまで外国人投資家が買いポジションを維持することが条件ですが、日本の機関投資家は日本株市場を動かすようなポジションは取らないように推測されます。

そうなると、今の外国人投資家の動きに私たち個人投資家がどれだけ追随するかで買いポジションが膨らみ、株式市場が上昇に向かうかが決まりそうです。

この需給バランスは、テクニカル分析などができないので予測が難しい部分ではありますが、こういった可能性があることは把握しておくと良いでしょう。

また、悲観的なシナリオである外国人投資家の急なポジション転換がない限りは、今の日本株市場は需給バランスから見て底堅いと言えるでしょう。

それが今の日経平均株価の推移に現れているとも言えます。

一方で、外国人投資家だけがメインプレイヤーになっている状況ですので、誰かがここに加わらなければ株式市場が動き出すことは難しいとも考えられます。

そのような背景もありますので、引き続き株トレンド指数だけでなく、この需給バランスも見ながら次の展開を予測して行くと良いでしょう。

外国人投資家が維持し、個人投資家が追随すれば、日本株市場が上昇し日経平均株価も上昇する可能性が高まり、外国人投資家が転換すれば反対のことが起きる。

そのようなことを想定しながら、動向を見ていくと良いでしょう。

来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス

このように今週の株式市場は、日経平均株価で見ると多少上昇しているが、大きく見ると横ばいの推移でした。

株トレンド指数で見ると、先週に続き小さな上昇傾向を示していますが、上がりもしなければ下がりもしない状況が続いています。

また、その根底にある需給バランスは、タイムラグのあるデータではありますが、買い越しが優勢ではありますが、全体のポジションが小さいことで、株式市場を大きく動かすには至っていません。

先週に続き、これがボックス圏の典型的な動きといえばそうなりますが、引き続き次の展開を読みにくい状況が続いています。

ただし、天井指数の通り上昇の機運はあります。だから、ボックス圏の下値に向かって動くのではなく、上値に向かって動き、その水準も上がるのではないかと思うところまできています。

そのようなこともありますので、冒頭では「上値が重たい」と表現しましたが、どちらかといえば「勢い不足」のほうが妥当かもしれません。

株式市場全体は足を引っ張るものはなく、上昇勢いが高まればそのままついていきそうな環境です。

一方で、ボックス圏の水準が暴落前水準に戻らないこともありますので、動くに動けない状況とも見受けられます。

とはいえ、先週よりも上昇傾向が高まりつつある良い点もあります。もしかすると、今後の上昇の準備として少しずつパワーを蓄積しているのかもしれません。

そうなると、すぐに動きだすわけではありませんが、もう何週か進んだあと満を持して上昇のシナリオも考えられます。

これは楽観的かもしれませんが、ここからボックス圏の水準が上がるようなことがあれば、一つのシナリオとして考えておいても良いでしょう。

現状はこのようになっています。このようにまだ動きそうで動いていない状況を考慮すると、引き続き上下のどちらかに動いても対応できるように”中立状態”のスタンスを崩さずにいくのが最適かもしれません。

そのようなこともありますので、ここからは中立状態のスタンスを保ちつつ、株式市場全体の微妙な変化を読み取れるかがポイントになります。

その微妙な変化を読み取るには、例えば上のグラフにはないOVER指数やRISK指数を見るのが効果的です。

この2つの指数のバランス次第で、「上昇・均衡・下落」を読み取ることができますので、ぜひそういった指標も参考にしながら次の展開を予測しながら動向を見ていきましょう。

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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は本記事は2025/6/12(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ6/13前場時点のデータを含みます)。予めご了承くださいませ。