日経平均株価 が4万円を上抜けしてから12営業日維持しています。
勢いのある上昇は見られないものの失速することなく、高値圏を維持しています。
一方で、ネガティブに見ると、上下はしているものの4万円を上抜けした7/23・24以降は1%前後の変動が続いているので方向感なく水平状態とも言えます。
こうなると、今の日本株市場には勢いがあるのか?それとも「ここが天井で失速するのか?」の迷いが出るところでしょう。
何とも判断が難しい日本株市場ですが、日経平均株価を含めて、これからどのように推移することが予測されるのでしょうか。
そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、来週の日経平均株価の動向や株式市場の見通しについて考えていきましょう。
そこで今回も相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動
こちらをご覧ください。こちらは7/25〜8/7の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長
今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。
ただし、日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では”差異”が生じた週だったと言えるでしょう。
なぜなら、日経平均株価と株式市場全体では「上昇勢いが全く違っていたから」です。
こういったタイミングは、日経平均株価だけを基準に方向感を捉えていると「利益のチャンスを逃す」ことにつながります。
これまで多数の解説を続けてきましたが、ようやく株トレンド指数を開発した理由の一つに該当する場面になりました。
大まかに今週の株式市場を言うと、日経平均株価だけを基準に方向感を捉えている人にとっては「横ばい=方向感なし」と捉え、株トレンド指数も含め方向感を捉える人にとっては「短期的な上昇トレンド」と捉えることができたでしょう。
片方は「横ばい=方向感なし」、片方は「短期的な上昇トレンド」これは大きな違いです。
ちなみに、なぜこのようなことが起きるかと言うと、日経平均株価は株式市場全体の「6%程度の銘柄動き」だからです。
日経平均株価は、緩やかには株式市場全体の動きを示しますが、たった6%程度の銘柄の動きなので、今週のような場面では連動性を失います。
「日経平均株価は動いていないが、株式市場全体は短期的に上昇している」
この方向感を捉えられるか、それとも捉えられないかが、利益を積み上げやすい投資家と利益を失いやすい投資家の違いとも言えるでしょう。
日経平均株価 と株式市場全体の動きを比較
では、詳細を見てみましょう。週初め8/4の日経平均株価は1.25%下落しました。円単位でみると508円の下落です。
円では大きく見えますが、変動率は1.25%であることから、小幅下落と判断できるでしょう。
株トレンド指数を見ると、日経平均株価の変動の通り、上昇傾向を示す天井指数の水準が下がりました。
この日の日経平均株価の下落は、あくまで先週末に発生した天井指数がいったん落ち着いたことによる下落だと考えられます。
8/5の日経平均株価は、0.64%上昇しました。1%未満の上昇ですので、ほぼ水平状態の推移と捉えられます。
一方、株トレンド指数を見ると、この日経平均株価の動きと連動はしていますが「上昇の大きさに差異」が生じてきました。
上昇傾向を示す天井指数が前日は29でしたが、それが約2倍の「68」まで上昇しました。先週後半7/31を超える水準まで上昇しましたので、引き続き上昇勢いが続いていると読み取れます。
このように8/5は日経平均株価だけを見ると横ばいですが、株トレンド指数を見ると、株式市場全体が上昇に向かって動き出していると読み取れます。
8/6の日経平均株価は再び0.6%程度の上昇でした。続伸ではありますが、あまりに小幅なので引き続き水平状態での推移です。
株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数が8/1に続き「100」以上まで上昇しました。この再上昇の動きをふまえると、8/1の天井指数の上昇は「短期的上昇トレンド」に入ったサインだと考えられます。
前日同様、この日も日経平均株価は横ばいに対して、株式市場全体は短期的トレンド中です。
8/7の日経平均株価は引き続き0.6%程度の上昇でした。3日続伸ではありますが、合わせても1.8%程度の上昇ですので、小幅上昇にとどまった状況です。
対して、株トレンド指数は、上昇傾向を示す天井指数が更に上昇し「130」まで上昇しました。これで完全に短期的上昇トレンドに入ったと判断できるでしょう。
今週の市場動向と 日経平均株価 の変動のポイント
このように今週の株式市場は、日経平均株価だけを見ると1%前後の変動しかしていないこともあり、水平状態でした。
しかし、株トレンド指数を見ると「株式市場全体は上昇中」と読み取ることができます。
より深く分析しないと分からない部分はありますが、現時点の分析を見る限り、日本株市場はここが天井ではないと考えられます。
天井指数がここまでの水準まで上昇すると、次の目安になるのが「170」です。この水準付近まで到達すると、ここが天井で失速する傾向があります。
もちろん、170まで上昇せずに勢いが途切れることもあります。しかし、現状は日経平均株価の状態ほど株式市場全体は大人しくないので、まだ上昇の余地があると読み取れます。
日経平均株価 の動向を徹底分析する
日経平均株価を基準に見ると、7/22頃まで続いたボックス圏を上抜けしました。
ただし、この上抜けは日経平均株価が上昇トレンドに入った上抜けではなく、現時点ではボックス圏の水準を押し上げた上抜けだと読み取れます。
よって、この動きだけを見ると、日本株市場は「ここが天井」に見えるでしょう。
ですが、前述の通り今週の株式市場は日経平均株価と株式市場全体が連動しているものの、上昇勢いが違っています。
そこもふまえると、日経平均株価だけが勢いなくボックス圏の水準を押し上げる上昇にとどまっているとも考えられます。
このあと、日経平均株価も株式市場全体に追従するのか、それとも株式市場全体が日経平均株価に追従するのかを見極める必要がありそうです。
株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の動きから短期的上昇トレンドの入口にきていることが分かります。
天井指数の目安から見ても、まだ上昇余地がありますので、ここからさらなる上昇を期待できます。
ただし、1点だけ気になるところもあります。ややセオリー通りの動きをしていないので、ここから思い描くような上昇トレンドに突入するか不明な部分があります。
通常よりは急激に上昇しているようにも見受けられますので、一つのリスクとして短期的上昇トレンドではなく「偶発的な上昇トレンド=突発的な上昇トレンド」の可能性があることも念頭においておきましょう。
来週の日経平均株価の予想シナリオ
このように今週の株式市場は、やはり日経平均株価は水平状態だが、株式市場全体は上昇していると読み取れます。
日経平均株価が水平状態なのはやや気がかりですが、天井指数の目安から見ても、まだ上昇の余地があると考えられます。
しかし、注意しなければならないのは「上昇余地の幅」です。8/7の天井指数は「130」です。そうなると、余力は「最大でも40」です。
今週の天井指数の上昇を見てもわかる通り、あと40程度は1日でも達してしまう水準です。
そのようなこともありますので、まだ上昇余地はありますが、青天井のように上昇するのではなく「もう一段上昇したら天井」と把握しておくと良いかもしれません。
また、これに関連して、上昇トレンドもアベノミクス相場のような本格的な上昇トレンドではなく、単発で終わる短期的上昇トレンドを想定しておくと良いでしょう。
もちろん、このあとも上昇が続き本格的な上昇トレンドに入るシナリオもあるでしょう。ですが、それは楽観的なシナリオだと思われますので、ここは中立に見ておきましょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。今週は、営業日が少ないので前週データと同じです。
・外国人投資家:買い越し → 小さく売り越しに転換(↘)
・個人投資家:大きく売り越し → わずかに買い越しに転換(↗)
・日本の機関投資家:わずかに買い越し → わずかに売り越しに転換(↘)

三者をまとめると、全体の需給バランスはグラフのように「わずかに売り越し」です。特筆すべきは7月4週と比較して、三者の一気にポジションが小さくなっていることです。
日本の機関投資家は7月4週と買いと売りが転換しただけですが、外国人投資家と個人投資家のポジションが転換しただけでなく、ポジションの大きさが急激に変化しました。
そして、外国人投資家については、4月1週より買い越しが続いていましたが、ついにここで売り越しに転換です。
では、各投資家の詳細を見てみましょう。
外国人投資家の売買動向
まず、外国人投資家です。ここまで続いていた買いポジションが売りポジションに転換しました。ただし、ポジションの大きさは、それほど大きくありません。
先週は上昇トレンドの入口ではありましたが、上昇勢いが途切れる場面がありました。そのまま上昇してもおかしくない動きをしていましたが、途切れたのはこの外国人投資家のポジション転換が理由だったのかもしれません。
ただ、最新週のポジションがここまで小さいことを考慮すると、次の展開にそなえてポジション調整をしているのかもしれません。
もし、このあと再び外国人投資家が買い越しに回ると、ここから天井付近まで勢いよく上昇するかもしれません。
流れ的には、ここから日本はお盆休みに入りますので、一時日本株市場が閑散とします。
そのタイミングに外国人投資家が買い越しに回り、一気に天井をつけるシナリオも想定されます。
投資主体別売買動向でないと把握はできませんが、引き続き外国人投資家の動きには注目でしょう。
個人投資家の売買動向
次は、私たち個人投資家です。大きな売り越しからわずかに買い越しにポジション転換しました。
売り越したタイミングは、日経平均株価が4万1000円台に入った頃です。その後4万円台まで下がりましたが、個人投資家は「ここが天井」「ここが利益確定のチャンス」と読んだのかもしれません。
内訳まではわかりませんが、一般的に日本株市場の動きとして使われる日経平均株価の推移をふまえると、そのようなタイミングだったと予測できます。
こうなると、やや予測を難しくするのが、次の展開です。ここが天井と判断する個人投資家が多いとなると、次の動きが買い越しになる可能性がなくなってきます。
今年はお盆休みが長くなる人もいますので、そこに向けてポジション整理をする人もいるでしょう。
そういったことを考慮すると、個人投資家は次の展開として「あまり変わらない動き」になるかもしれません。
仮に、売り越しになっても、ポジションの大きさは変わらないような状況が想定されます。
日本の機関投資家の売買動向
最後に日本の機関投資家です。買い越しから売り越しには転換したものの、ほぼポジションの大きさは変わりません。
日本の機関投資家は動きが読みにくいこともふまえると、これが通常運行なのかもしれません。
ハイリスク・ハイリターンは狙わず、ローリスク・ローリターンで運用しているなら、このような変化が通常なのかもしれません。
また、これからお盆休みに入ることを想定すると、ここからはポジション整理すると考えられます。そうなると、買い越しよりは最新週のような状況が続くかもしれません。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
以上が三者の状況です。今後の展開でポイントになるのはお盆休みです。お盆休みをふまえると、日本の機関投資家は動いてこないことが想定されます。
個人投資家も、一部はお盆休みを使って売買する人もいますが、その数は日本株市場を動かすほどにはならないと想定されます。
そして、この時期の日本株市場は日本の機関投資家不在、個人投資家もほぼ不在になり閑散としてしまう傾向があります。
そうなると、唯一日本株市場を動かすのは「外国人投資家」です。彼らの動き次第で、ここからお盆休みに向けて一気に天井まで進むかが決まるかもしれません。
加えて、もし外国人投資家が買い越しを維持したままお盆明けになると、そこに個人投資家や日本の機関投資家が追従し本格的な上昇トレンドに入るシナリオも考えられます。
もちろん、これは楽観的なシナリオですが、需給バランスだけで見るとそういったことも想定されます。
中立的なシナリオでは、お盆中に天井をつける可能性が高いですが、需給バランス次第では、こういったシナリオもあることを想定しておくと良いでしょう。
来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は、本格的な上昇トレンドには入っていないですが、短期的上昇トレンドには入っていると読み取れます。
ただし、この状況は日経平均株価だけの動きでは読み取ることができず、株トレンド指数を見ているから読み取れる動きです。
日経平均株価だけを見て方向感を考えると「天井」または「停滞」です。一方、株トレンド指数も見ると「短期的上昇中」「天井は近いが上昇余地あり」です。
すでに上昇してしまっていますが、このような株式市場全体の読み取り方の違いによって、あなたが得られる利益のチャンスは大きく変わってきます。
年に何回もあるわけではありませんが、トレンドが発生したときは頑張らなくても利益を狙える相場です。
頑張って利益を得ることも重要ですが、こういった波を逃さずに利益を狙うことが、さらに重要です。
私の知るある個人投資家で資産1億円を突破した方は「難しい相場では負けないこと、イージーな相場に確実に乗り利益を上げること」がマイルールだと述べていました。
やや突発的に発生した短期的上昇トレンドではありますが、おそらく彼はこういったときには一気に利益を積み上げているのでしょう。
年に何回もあるわけではありませんが、ここを逃したときの残念感は大きいはずです。そういった取りこぼしをしない意味でも、日経平均株価に加えて日々この株トレンド指数を見ていきましょう。
なお、週明けの日経平均株価は、ここから上昇余地に向かって動くことが予測されます。ただし、その余地は天井指数で「あと40程度」です。
8/8前場時点の日経平均株価が株式市場前提に追従してきているようにも見受けられますので、ここで一気に天井に行く可能性もあります。
「まだ天井ではないが、一気に天井まで上昇する可能性がある」というのが、今週と週明けの状況です。
このあたりは天井指数を見るのがベストですので、天井付近「170」にいつ到達するかを日々見ていきましょう。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2025/7/24(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。予めご了承くださいませ。