日経平均株価の上昇を強制ストップさせられました。

今週は、この言葉が全てかもしれません。セオリーでは上昇する確率は40%程度ですので、ダマシにあったと言えばそれまでかもしれません。

しかし、今週はトランプ大統領の発言により、急に方向転換させれれたと言っても良いでしょう。

先週末までは、日経平均株価の推移の裏側で株式市場全体が上昇しようとする動きが見られました。

この状況であれば週初めの動き次第で上昇トレンドの可能性がありましたが、そこをトランプ大統領の発言により強制ストップを受けました。

2/3の日経平均株価が暴落になるほどの下落を見せず、その後も下落することがなかったことが今週唯一の救いかもしれません。

3万9000円を割り込む場面があるものの、引き続き堅調に推移していると言えば、そう言える状況でもあります。

このように唐突に株式市場の流れを止められてしまった日本株市場ですが、これからどのように展開するのでしょうか。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2025/1/24〜2/6の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週から変化し日経平均株価と株式市場全体が”連動している週”でした。

先週は日経平均株価だけで株式市場の動きを捉えると実態と差異が生じやすい週でしたが、今週は比較的差異が生じにくい週だったと考えられます。

ただし、細部を見ると差異があります。全体感で見れば差異は生じにくいが、細部では差異が生じやすいという珍しい週でした。

そこで詳細を見てみましょう。週初め2/3はトランプ大統領の発言により株式市場の動きが急転した日でした。

日経平均株価は結果的に2.66%下落ですので、約1000円下落の円単位での表示よりもそれほど下落していないことが分かります。

むしろ、売りが売りを呼ぶような状況を生み出すことがなく良かったというのが妥当でしょう。

そのような中で注目したいのが、各指数の動きです。日経平均株価の下落はトランプ大統領のことが原因だとしても、株トレンド指数は下落傾向を示していません。

先週までの勢いはないものの、一気に下落傾向に転じたのではなく「上昇の勢いが失速した」というのが、この日の状況でしょう。

もし、ここで底値指数の水準が上がるようなことがあれば状況は暴落へと変化したかもしれません。

しかし、結果を見てもお分かりの通り、急転はあったものの、それは「上昇トレンドのへの追い風がやんだ」ことによる下落だと読み取れます。それに連動して日経平均株価も下落したと考えられます。

2/4は日経平均株価は小幅上昇しました。株トレンド指数を見ても、天井指数と底値指数がほぼ同水準だったこともあり、株式市場全体が動きにくい日だったと考えられます。

これが週の前半でした。ですが、この流れが週の後半は変化していることが分かります。

2/5は日経平均株価は、ほぼ変化なしでした。2/3の唐突な下落の印象もあり、半値戻しのような動きにも見えるでしょう。

一方、株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数の水準が再び上がってきました。引き続き底値指数の水準もある程度あるものの、明確に天井指数が上昇しました。

そして、2/6になると、日経平均株価は小幅上昇を見せましたが、株トレンド指数は天井指数の水準がさらに上がり、再び先週のような上昇に近づいてきました。

つまり、この2/5と2/6は大まかには日経平均株価の動きが株式市場全体の動きと言って良いものの、厳密に見ると、再び日経平均株価の推移の裏で、株式市場全体が上昇してきていることが分かります。

2/3の下落が大きくなかったので、人によって印象は違うかもしれませんが、日経平均株価が半値戻しのような状態であることをふまえると、この2/5と2/6の動きには差異があったでしょう。

このように、2/3に強制ストップさせられた日本株市場ですが、大きなダメージはなく週の前半で修復し、後半から再び動き出しているように見受けられます。

日本株再上昇の可能性は?

日経平均株価を基準に見ると、引き続き約2ヶ月間変わり映えしない状況です。2/3に円単位では約1000円下落したものの、そこから約1.4%回復していることもあり、あまり変化がない状況です。

そういったこともありますので、引き続きボックス圏の上値付近を横ばいに推移し、その範囲も先週同様「上値:4万円・下値:38,500円前後」で考えて良いでしょう。

また、このように期間を広げて大きな変化が見られないということは、現状の日本株は崩れにくく底堅い状況だと考えても良いでしょう。

2/3の動きも、そもそも下落が大きくないということもありますが、あくまでボックス圏の中で動いている動きだと考えられます。

対して、株トレンド指数を見ると、先週から発生した上昇の勢いが今週前半で失速していることが分かります。

ただし、このように期間を広げて見ると、そこまでの失速にも見えません。上昇していく過程では、何度も上昇失速を繰り返していきますので、現時点ではその一部のように見受けられます。

もし2/3に日経平均株価が5%以上などそれなりの下落をしていたら話が変わっていたかもしれません。

このように両者を見ると、冒頭で「ダマシ」の言葉を使いましたが、実際には「まだダマシか判断できない」と考えられます。その判断は週明け以降になるでしょう。

言い換えると、先週の状況がまだ続いていますので、上昇トレンドが発生するかの分岐点にいます。

引き続き週明けの株トレンド指数に着目しながら、上昇に向かって動くのか、それともダマシなのかについて見ていくと良いでしょう。

需給バランスから見た週明けの日本株は?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:買い越し → 売り越しに変化
・個人投資家:売り越し → やや買い越しに変化
・日本の機関投資家:わずかに買い → ほぼ中立に変化

今週はデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「やや売り越し」です。外国人投資家の売り越しが強く、個人投資家や日本の機関投資家がそれに負けてしまったような印象です。

タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り、日本株の下地は上昇余地があった先週のデータから「中立」に変化したと考えられます。

こうなると考えなければならないのが「株トレンド指数」とのバランスです。株トレンド指数上では、まだ日本株には上昇余地があると考えられます。

しかし、その基礎となる需給バランスは中立です。両者の関係をふまえると、先週時点では上昇への期待がやや高まりましたが、その期待が下がったと捉えられます。

また、別の角度で見ると、トランプ大統領の発言により、国内の投資家よりも外国人投資家が過敏に反応したと思われます。

例えば、上記の外国人投資家のデータが買い越しから一気に売り越しに変化したことが、それを表しているでしょう。

そのようなこともふまえると、株トレンド指数は平常運転ですが、今後の需給バランスは外国人投資家がトランプ大統領の発言に対してどう動くかで右往左往することも考えられます。

もし、動き方が日本株の買い越しにつながると、需給バランスと株トレンド指数の状況が整い、上昇への期待が高まるでしょう。

通常であれば、需給バランスの上に株トレンド指数があるイメージの通り、需給バランスの詳細を示すのが株トレンド指数の動きでした。

ですが、トランプ大統領の発信する内容により外国人投資家が右往左往する可能性があることを想定すると、需給バランスがやや乱れることを考えておくと良いでしょう。

そして、このような状況になると、しばらくはイレギュラーな動きがあることも想定しておくと良いでしょう。

このように今の日本株市場は、もし2/3の印象が強く残っているのであれば、それは一時的なもので引きずっていないと考えられます。

ただし、需給バランスを見ても分かる通り、日本の投資家よりも外国人投資家がトランプ大統領に右往左往しているように見えます。

そうなると、今のところセオリーに近い動きをしていますが、再びトランプ大統領の発言などで急な動きをすることが想定されます。

そして、気がつけばその急な動きが続き、日本株市場の上昇への動きが止まってしまうことも考えられます。

今のところは、引き続き上昇余地を残した状態ですが、そういった急転が続くことによりダマシではなく失速になることも想定されます。

先週は多少楽観的に見ることができましたが、今週の出来事により楽観ではなく「中間」もしくは「多少悲観が入った中間」など、そういった視点で動向を見ていくのが良いでしょう。