日経平均株価が大失速しています。
米国が世界経済の中心として君臨するものの、たった一人の米国大統領にここまで株式市場が左右されたことがあったでしょうか。
ここまでくると、まるで日本株市場つまり日本経済が米国大統領に人質に取られてしまった状態と言っても過言ではないでしょう。
直近の株式市場は、米国大統領からの発信があれば、株式市場本来の流れを強制的に断ち切られ、落ち着けば本来の流れに戻ることを繰り返してきました。
しかし、今回はそれとは違う展開になりそうな動きを株式市場も見せています。3/31〜4/3の期間で日経平均株価が6.5%下落しています。
これまで上昇はないものの、何とか水準を維持していた日本株市場だけに、ここからどうなるか不安な方も多いでしょう。
そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは3/21〜4/3の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週と同様日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。
そして、特筆すべきなのが”先週と今週で状況が急転している”という点です。
先週は一言で言えば、勢いは小さいものの「上昇傾向の週」と言えます。反対に今週は、まだ勢いは小さいものの「下落傾向の週」と言えます。
セオリーで考えると、このように全く反対の動きをすることはありません。上昇傾向から下落傾向に転換するのであれば、調整局面のようにどちらつかずの期間があります。
しかし、先週と今週は上グラフの通り急転しています。これはその場で見極めることが難しく、結果論になりますが、急転の境目になったのが先週末3/28だと考えられます。
この日に、先日までの流れが止まり、各指数の中で下落傾向を示す底値指数の水準が目立ちはじめました。まさに、日本株市場の流れが強制的ストップを受けたタイミングでしょう。
3/31以降は上昇傾向を示す天井指数がほぼ発生しない状況になり、そのまま底値指数の水準が段階的に上昇しています。
また、3/31時点では押し目買い指数が10以上の水準になり、今後の押し目買いの動きが期待できましたが、これも強制的ストップを受けました。
このように、株トレンド指数を見ると明確ですが、今週の日本株市場は、誰もが予測できないタイミングで急転させられたことが分かります。
まさに、これが米国大統領によって日本の重要経済指標である日本株市場を握られてしまった状態だと考えられます。
これは暴落か?いや…
ただし、ここで一つ注意点もあります。日経平均株価は、3/31〜4/3の期間で6.5%下落しました。円単位で見ると約2400円下落です。
たった4日間で6.5%下落、2400円下落と聞くと「暴落だ!」と考えてしまう人もいるかもしれません。
ですが、現状は「暴落ではない」と判断できます。上グラフの通り、下落傾向を示す底値指数の水準が、まだそれほど高くありません。20の水準を超えたのが4/3です。
日経平均株価が約1500円下落した3/31の底値指数は「13」、約990円下落した4/3の底値指数が「22」です。まだ50にも届かない状況が続いています。
ちなみに、8月の暴落時にはこのような水準になりました。

これは2024年8月上旬に発生した暴落時のグラフです。このときは底値指数の水準が、8/5に最大「352」まで上昇しました。
今週の最大が「22」ですので、今週は日経平均株価の下落率や円単位の変動幅ほど下落していないことが分かります。
一部の投資家たちは、今週の下落を「暴落」と捉えていますが、まだ暴落の水準には至っていないことが分かります。
むしろ、暴落が落ち着きはじめた8/14の水準にも届いていません。このように、日経平均株価では暴落と判断してしまいそうになりますが、まだ暴落ではなく「通常よりは多少強い下落」であると判断できるでしょう。
需給バランスから見た来週の見通しは?
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは以下の通りでした。
・外国人投資家:小さく買い越し → 大きく売り越しに変化(↘)
・個人投資家:売り越し → 買い越しに変化(↗)
・日本の機関投資家:わずかに売り越し → 売り越しが強まるに変化(↘)

三者をまとめると全体の需給バランスは以下のグラフのように「大きく売り優勢」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り日本株の下地は明確に「大きく売り越し」に変化しています。
また、この最新データで特長的なのが国内外の機関投資家と個人投資家で反対のポジションを取っていることです。
こうなると、残された個人投資家がどう動くかで株式市場の動きが変わることが想定されます。
万が一、個人投資家も「売り越し」になると、少なくとも直近1年間では見られない「特大の売り越し」になります。
もし、こうなった場合は、底なし沼のような暴落が起きてもおかしくないでしょう。「投げ売り」が止まらず「特大の売りが売りを呼ぶ状態」になることも考えられます。
現状の株トレンド指数を見る限り、そこまでは想定しにくい話ではありますが、非常に悲観的シナリオとして考えておくのは良いでしょう。
日本株市場が米国大統領に握られてしまった今、セオリー通りで動かなくなっているのが現状です。
そうなると「何が起きてもおかしくない」状況ですので、いつものような楽観・悲観・中間に加えて「非常に悲観」のシナリオの準備もあったほうが良いでしょう。
しかしながら、国内外の機関投資家が大きく売り越しているにも関わらず、底値指数の水準がそれほど高くありません。
需給バランスだけを見ると、非常に悲観的なシナリオの一つとして、今の水準が大暴落への序章の可能性もあります。
一方で、大きく売り越しをしているにも関わらず、底値指数の水準が上がらないということは「日経平均株価採用銘柄の一部だけが通常よりも下落している」可能性もあります。
日経平均株価は、採用銘柄の加重平均ではなく、単純計算の平均値ということもあり、一部の値がさ株により、このようなことが起きているとも考えられます。
このように、米国大統領によってセオリー通りに動いていない株式市場ということもあり、次の展開を非常に悲観的に見てよいのか、楽観・悲観・中間で見てよいのか微妙なところでもあります。
ですが、需給バランスと株トレンド指数を複合的に見る限り、今後はこのような展開になることが予測されるでしょう。
ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は、先週までの流れを米国大統領によって強制的ストップさせられ、次の展開も米国大統領次第になりそうな様子です。
また、日経平均株価だけを見ると「暴落」のように見えますが、現状では暴落水準に至っていないことが分かります。
セオリー通りに動かないことから何とも言えない状況ではありますが、今の状況を見る限り、今週の下落が「暴落」や「大暴落」の序章にある可能性もあります。
反対に、まだ暴落水準ではないことをふまえると、ここで下げ止まり再上昇する可能性もあります。
このように、次の展開は予測不能な状態です。ですが、1つだけ言えるのは、繰り返しになりますが、今が暴落ではないということは「ここから暴落・大暴落の可能性もある」ということです。
暴落が起きない可能性もありますが、米国大統領に握られたセオリー通りに動かない株式市場であることをふまえると、この悲観・非常に悲観的なシナリオを持っておくのが良いでしょう。
また、この予測不能の状況ですので、ここは攻めではなく「万が一暴落が起きたら…」と考え、リスク管理を中心に守りを固めていくのが良いでしょう。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は本記事は2025/3/27(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ3/28前場時点のデータも含みます)。予めご了承くださいませ。