日経平均株価 が再び3万7000円を割りました。
まだ小幅な割り方ですのでリスクは小さいように見えますが、今週は5/20の0.08%上昇を除き下落が続き短期的に下落方向へ向かっています。
4/23~5/13は下落がたった1日だけで上昇が続き、好調に推移しているように見えました。
しかし、そこから一転して5/14以降は5/20除き下落が続き軟調に推移しています。
まだ上昇した分を下落してしまったわけではありませんが、続伸が続いていただけに、この下落方向への動きは気がかりなところでしょう。
はたして、来週の日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の市場動向と日経平均株価の変動
こちらをご覧ください。こちらは5/9〜5/22の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
今週の株式市場は、先週と同様に日経平均株価と株式市場全体が”あまり連動していない週”でした。ただし、見方によっては「連動している」とも言えます。
なぜなら、今週の株式市場も先週同様「空売り指数」が目立つ週だったからです。
株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長
先週よりは空売り指数の勢いがなくなりましたので、株式市場全体を牽引するような勢いではありませんでした。
しかし、依然として株式市場の上昇にブレーキを掛ける役割の空売り指数が他の指数よりも目立っていたことで、株式市場全体と日経平均株価に差異があったと考えられます。
一方で、前述の通り空売り指数の役割を考えると、日経平均株価が小幅に下落基調だったことから、連動していたとも読み取れます。
ただし、空売り指数は株式市場の動向を示すというよりも、あくまで補助的に「上昇にブレーキを掛ける役割」なので、連動しているとも言い難いのが今週でした。
曖昧な表現になりましたが、一言で表現すると今週の株式市場は、先週までの上昇勢いの終焉の週になったと考えられます。
そこで、改めて「日経平均株価と株式市場全体の動きを比較」しながら、各日の詳細も見ていきましょう。
日経平均株価と株式市場全体の動きを比較
週初め5/19は日経平均株価が0.68%下落しました。
株トレンド指数は先週からの流れを組み、上昇傾向を示す天井指数と空売り指数が、ほぼ同水準まで上昇しました。
先週の状況もふまえると、4月下旬から続いた上昇基調はここで終わりを迎えたと読み取れます。
また、これにより5/20以降はこの上昇基調が少しずつ消えていく過程に入ったと読み取れます。
そこで5/20を見ると、日経平均株価は0.08%上昇と横ばいでした。株トレンド指数は、上昇傾向を示す天井指数の水準が10まで下がりました。
この状況で空売り指数の水準が他の指数よりも高いことを考慮すると、前日で上昇基調が止まり、ここから失速する動きに転換したと読み取れます。
5/21は日経平均株価が0.61%下落し、株トレンド指数の発生も前日よりも弱くなりました。前日までは押し目買い指数の水準が比較的高い状況でしたが、ここにきて2まで下がりました。
5/22は日経平均株価が0.84%下落し、株トレンド指数の天井指数の水準が前日よりも上がったものの、発生が乏しく失速を表す動きをしました。
今週の市場動向と日経平均株価の変動のポイント
このように今週の株式市場は、大まかにみると日経平均株価と株トレンド指数が連動しているように見えますが、日経平均株価の小幅下落よりも株式市場全体のほうが失速していました。
しかしながら、株トレンド指数の通り失速したと言っても、下落傾向を示す底値指数が上昇しているわけではありません。
よって、今週の日経平均株価の下落基調は、先週まで続いた上昇が終わり、少しずつトレンドがゼロベースになるところに近づく過程に入ったと考えられます。
では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。
日経平均株価の動向を徹底分析する
日経平均株価を基準に見ると、今週から下落基調に入ったことが分かります。ただし、明確な下落基調ではなく、小幅に下落している程度であることも分かります。
また、下落が続いたと言っても暴落前水準を大きく割り込むことはなく、依然としてボックス圏を推移していることも分かります。
しかし、3万8000円をやや上抜けしたところで反落していることを考えると暴落前のボックス圏の目安であった「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」には、まだ戻っていないと判断できるでしょう。
先週の時点でも「戻りつつ」という状況でしたので、先走りして判断しないほうが良い状況です。
それをふまえると、直近の妥当なボックス圏は「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」と、やや下を推移する水準かもしれません。
一方、株トレンド指数を見ると、先週と今週の発生状況に違いがあることが分かります。先週の日経平均株価が上昇過程だったときは全体の指数の発生が上がりました。
ですが、今週に入り日経平均株価の下落基調に連動するように全指数の発生水準が下がりつつあります。
よって、ここからも先週までの上昇はここで終わり、今週は失速に向かったことが読み取れます。
また、株トレンド指数が表す通り、株式市場全体にトレンドがなくなりつつありますので、ここからは上値が重たかったり、方向感がなくなったりする展開になるでしょう。
このように今週の株式市場は、日経平均株価の動きのように下落したというよりは「株式市場全体にトレンドがなくなりつつある」と表現したほうが妥当かもしれません。
先週まで上昇基調できていましたが、その上昇が止まり失速していると言っても良いでしょう。
来週の日経平均株価の予想シナリオ
結果的に、先週の時点で読み取ったように上値は重たく、さらに上昇は難しかったことになりました。
そうなると、気になるのが次の展開です。いったん上昇の流れがなくなりましたので、セオリーで考えれば、いったんここでトレンドがリセットされます。
ただ、今週も発生状況は小さいながらも「空売り指数>天井指数」の状況が続いています。
その点をふまえると、セオリー通りのバランスになっていないので、ここから違った動きを見せることも考えられます。
もしくは、このセオリーとは違うバランスをセオリーに戻すために、いったん「調整局面」に入ることも予測されます。
調整局面に入れば、日経平均株価で考えると「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」のボックス圏に到達する可能性も出てきます。
今の時点では明確に予測できない状況ですが、このような複数のシナリオが想定できます。
そのようなこともありますので、ここからはいったん中立のスタンスに戻し、次の展開に動き出すまで様子見する期間になるでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
日本株市場の根底部分として注目すべき指標である投資主体別売買動向から株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグがあるデータではありますが、現状は以下の通りです。
・外国人投資家:買い越し → 買い越し強まる(↗)
・個人投資家:売り越し → 売り越しが弱まる(↗)
・日本の機関投資家:売り越し → 買い越しに変化(↗)

三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」です。
三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」です。
ただし、その多くのバランスを担っているのは引き続き外国人投資家です。日本の機関投資家や個人投資家は動きが活発ではありません。むしろ縮小しています。
外国人投資家の売買動向
外国人投資家は、買いポジションがさらに大きくなりました。しかも国内の投資家を合算した数字よりも上回っています。
しかもこの買い水準は過去1年間で最も高い水準に達しています。決算発表をふまえての動きかとも思いましたが、昨年の同時期は、ほぼ中立であることから関係ないようです。
米国大統領の関税のことがあり、国内では決算に影響を与える報道がありネガティブにも見えますが、外国人投資家には関係がないことが分かります。
この買いポジションの大きさは、米国大統領の関税発表後の暴落後の買い戻しのときよりも大きく、そこから段階的に買いポジションが増えていることを考えると、日本株には上昇の余地があると見ているのかもしれません。
個人投資家・日本の機関投資家の売買動向
これに対して、国内の投資家である個人投資家は消極的な動きが続いています。もしくは、日経平均株価が4月下旬から上昇したときに、焦って利益確定したのかもしれません。
また、日本の機関投資家も前週とほぼ変わらずですが、売り越しです。こちらも個人投資家と同様、ここで利益確定したのかもしれません。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
このように需給バランスは、外国と国内の投資家で明確に違っています。また、今の株式市場は外国人投資家が支えていることも明確に分かりました。
そういった意味では、連休前後から引き続き日本株市場は外国人投資家に左右される状態が続いていることになります。
そして、こうなると注目したいのが、今週の需給バランスがどうだったかです。引き続き外国人投資家が買いポジションを維持するならば、調整後は上昇が見込まれます。
反対に、外国人投資家のポジションが小さくなると、ここから国内の両投資家が一気に大きな買いポジションになるのも予測できないので、調整後は下落方向に進むでしょう。
この需給バランスの情報が出た段階では、すでに株式市場でどちらかの状況が起きている可能性もありますが、もし調整局面が続く場合はこの需給バランスがカギになるでしょう。
来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は4月下旬から続いた上昇が終わり終焉の週になりました。また、先週の段階で予測した上値が重たい展開になりました。
これにより、結果論ではありますが4月下旬からの上昇は「上がり過ぎ」であったことが分かりました。
そして、日経平均株価を基準に考えると「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」のボックス圏には届かず、「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」が妥当だと考えられます。
ただし、その根底になる需給バランスでは外国人投資家のポジションが、過去1年間の中で最も大きくなっています。
その点もふまえると、外国人投資家のポジションが急転しない限りは、ここからの調整後再上昇を見込めるでしょう。
ですが、このポジションは急転することもありますので、あくまでここからの展開は「中立」で見ておくとのがよいと考えられます。
また、もし再上昇があるとしても、ボックス圏の水準が「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」と多少上昇する程度だと想定されます。
そういったこともありますので、あくまで調整からどう進むか分からないと考え、上下のどちらの方向にも進む可能性を考慮しておくとよいでしょう。
なお、ここから予測される調整局面ですが、そこから次の展開を読み取るならば、例えば上のグラフにはないOVER指数やRISK指数も見るのが効果的です。
この2つの指数のバランス次第で、「上昇・均衡が続く・下落」を読み取ることができますので、ぜひそういった指標も参考にしながら次の展開を予測してみてみましょう。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は本記事は2025/5/22(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。予めご了承くださいませ。