日経平均株価 が一時3万8000円を回復しました。
しかし、依然として上値は重たく勢いが不足しています。日経平均株価3万8000円を回復した翌日5/30前場は再び3万8000円を割っています。
後場はジリジリと上昇しているので、もしかすると3万8000円ギリギリに到達して今週を終える可能性もありますが、微妙な展開が続いています。
また今週は3万8000円回復になった5/29は1.88%上昇しましたが、他の日は大きくても1%の上昇にとどまり勢い不足が否めません。
先週の短期の下落基調からは復調しているようにも見えますが、何とも微妙な展開が続いています。
はたして、来週の日本株市場や日経平均株価は、どのように推移することが予想されるのでしょうか。
そこで今回も「株トレンド指数」や先週の動向をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。
今週の市場動向と日経平均株価の変動
こちらをご覧ください。こちらは5/16〜5/29の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
株トレンド指数から見る今週の日本株市場の特長
今週の株式市場は、先週と変化し日経平均株価と株式市場全体が”連動している週”でした。
そして、ようやく「空売り指数」先行の週が終わり、通常の株式市場に戻ったと読み取れます。
それを考慮すると、さっそく結論のようになってしまいますが、これまで統計データとは違う動きをしていた株式市場が通常に戻り始めたので、来週以降に次の展開が望めるかもしれません。
前述の通り日経平均株価は上値が重たく勢い不足に見えますが、株式市場全体は次の展開に向けてジワジワと動き出しているとも読み取れます。
そのようなこともあり、今週の株式市場は日経平均株価だけを基準に方向感を捉える人と、株トレンド指数も使って方向感を捉える人では差異が出た週だったと考えられます。
日経平均株価だけで方向感を捉える人にとっては、ジリジリ上昇しているが、これは上昇していると捉えて良いか難しいという感覚だったでしょう。
一方、日経平均株価に株トレンド指数を使って方向感を捉えている人にとっては、日経平均株価の上昇は小さいが「株式市場全体が少しずつ上昇し始めている」と捉えたでしょう。
日経平均株価と株式市場全体の動きを比較
詳細を見てみましょう。週初め5/26はようやく空売り指数優位の状態から脱却した日でした。
先週末時点で空売り指数優位からほぼ転換していましたが、ここで完全に転換しました。
また、先週は短期の下落基調でしたが、先週末から短期の小幅な上昇基調に入ったのが、この日だと読み取れます。
トレンド転換するような大きな分岐点ではありませんが、先週末からこの週初め5/26はこれまでの流れから変化するポイントだったと考えられます。
5/27は日経平均株価が0.51%上昇しましたが、この水準であることを考えると、ほぼ変動ナシと考えて良いでしょう。
株トレンド指数は、天井指数が5月中旬の水準まで上昇しました。大きな上昇ではありませんが、日経平均株価が先週まで短期の下落基調に入った頃の水準まで回復しています。
日経平均株価では変動ナシでしたが、株トレンド指数を前日からの流れで見る限り、少しずつ上昇に向かって動き始めていることが分かります。
5/28は日経平均株価が2円に満たない変動であったことから、前日同様変動ナシでした。
株トレンド指数は水準は下がっているものの、天井指数の水準が20を超え前日からの上昇勢いを保っていると読み取れます。
微妙なところかもしれませんが、日経平均株価だけで方向感を捉える人にとっては、横ばいが続き疑問が残る日、株トレンド指数も使って捉える人にとっては、小さな上昇が保たれた人、違った読み取り方をしたでしょう。
5/29は日経平均株価が1.88%上昇しました。円単位で見ると710円の上昇なので大きな上昇と錯覚してしまうかもしれませんが、実際はそれほど大きくない上昇でした。
しかしながら、4月下旬以来の変動幅で。その点は良い材料だったでしょう。
株トレンド指数は上昇傾向を示す天井指数の水準が上がりました。30を超えたのは5/13以来です。
そのときは空売り指数優位の状態でしたので、通常の状態で考えると4/22以来の水準まで上昇しました。
まだ明確な上昇というわけではありませんが、このような動きから株式市場全体が少しずつ上昇に向かって動き出していることが分かります。
今週の市場動向と日経平均株価の変動のポイント
このように今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が連動していませんでした。
日経平均株価だけを見て方向感を捉える人の投資家心理としては「結果的に上昇しているから良いかな…」と明確に判断ができない状況だったかもしれません。
日経平均株価に株トレンド指数を加えて捉える人の投資家心理としては「日経平均株価の変動は少ないが、株式市場全体は少しずつ上昇に向けて動いている」とポジティブな状態だったかもしれません。
とはいえ、まだこの投資家心理の違いが損益に直結するような状況ではありません。時間軸を今週から伸ばすと、まだ方向感が出ていないのも悩ましいところです。
このような状況だからこそ、日経平均株価だけでは見えない部分を株トレンド指数で把握し、株式市場の変化をいち早く察知する必要があるでしょう。
では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。
日経平均株価の動向を徹底分析する
日経平均株価を基準に見ると、先週までは短期の下落基調でしたが、今週に入り短期の上昇基調に入っていることが分かります。
ただし、それは大きな流れではないことから、引き続きボックス圏を推移していると読み取れます。
また、ポイントとなる暴落前のボックス圏の目安「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」ですが、ここに戻るまであと一歩のところで止まっています。
日経平均株価は上値が重たいまま推移しているので、ここから目安のボックス圏に戻るには、勢いが必要でしょう。
なお、現在のボックス圏は引き続き「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」だと思われます。
今週は株式市場全体が少しずつ上昇しようとしているので、ここからボックス圏の水準が上がる可能性もありますが、それにはまだ勢いが不足しているでしょう。
一方、株トレンド指数を見ると、今週に入り空売り指数優位の状態から転換したことが分かります。
また、株トレンド指数の発生状況もまだ低い水準ではありますが、無風状態に近いわけではなく、次の展開に動き出しそうな水準まで来ています。
その展開が上昇するとは限りませんが、ようやく先週までの変則的な状況を抜けましたので、ここから新しい展開に動く準備ができたと考えられます。
来週の日経平均株価の予想シナリオ
このように今週の株式市場は、期間を広げて日経平均株価を見ると、動きがあったように見えます。
しかし、上値は重たく先週までと同じボックス圏を推移していることから、方向感を捉えるのが難しい状況です。
それに対して株トレンド指数で株式市場全体を見ると、ようやく通常の動きに戻り段階的に上昇に向かって動き出しているように見えます。
ただし、まだその水準は小さいので、日経平均株価の推移が示すように上値が重たい状況でしょう。
このように、株トレンド指数から予測の方向感はあるものの、確率が高いわけではないので、引き続き慎重に動向を見る必要があるでしょう。
そして、その動向は日経平均株価だけで読み取ることは難しいと考えられますので、併せて株トレンド指数の各指数を詳細に見ていく必要があるでしょう。
なお、具体的に日経平均株価は引き続き「上値:3万8500円付近・下値:36,500円前後」を変動すると予想されます。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグがあるデータではありますが、現状は以下の通りです。
・外国人投資家:買い越し → 買い越し弱まる(↘)
・個人投資家:売り越し → 売り越しが弱まる(↗)
・日本の機関投資家:売り越し → 買い越しに変化(↗)

三者をまとめると、全体の需給バランスは以下のグラフのように「買い優勢」です。
ただし、先週見たときと内訳が変化しています。先週は外国人投資家の買い越しのみで買い優勢でした。
最新データでは、外国人投資家と国内の機関投資家によって買い越しになりました。個人投資家は売り越しですが、その幅も小さくなっています。
外国人投資家の売買動向
それぞれ動きを見ると、外国人投資家とは買いポジションを維持していますが、ポジションが一気に半分以下になりました。
ただし、これはネガティブ転換ではなく、前週に買いポジションを増していたので、もとに戻ったと考えるのが妥当です。
4月下旬からこれに近い水準を維持していることから、今の日本株は上昇の勢い不足ではあるものの”崩れにくい”状況なのかもしれません。
個人投資家の売買動向
次に個人投資家を見ると、前週に続き売りポジションを維持しています。ですが、そのポジションは小さくなり、ほぼ中立に近い状況です。
そのようなこともふまえると、ここで何か悪材料が出ない限り、ここから買いポジションに転換する可能性もあります。
一方で、最新データのように国内外の機関投資家が買いポジションを大きくして株価が上昇すると、個人投資家は利益確定に入る可能性もあります。
そうなると、まだ買いに転換しない可能性もあるので、半々で想定しておいたほうが良いかもしれません。
日本の機関投資家の売買動向
最後に国内の機関投資家を見ると、前週は売り越しでしたが、最新データでは大きく買い越しに変化しました。これは4月中旬に一度あった水準に近いです。
これまでの機関投資家の動きを見る限り、この水準付近まで買い越すのはなかなかありません。連続で同水準までの買い越しはなく、いったん落ち着きます。
それをふまえると、次に出てくるデータのときは、仮に買い越しであったとしても水準が小さくなると予測されます。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
このように前週データでは、国内の機関投資家は、わずかに買い越しの状況であったところから、最新データでは明確に買い越しに変化しました。
ですが、国内の機関投資家は同水準を維持することがないことをふまえると、再び株式市場が閑散とする可能性もあります。
もしくは、個人投資家の売り越しが続いていますので、何かをきっかけに買い越しに大きく転換する可能性もあります。
外国人投資家が同水準を維持すると仮定すると、次の需給バランスは国内の機関投資家と私たち個人投資家がどのようなポジションを取るかで左右されるかもしれません。
通常は、ここまで需給バランスで左右されませんが、来週以降はこの需給バランスが根底にあることをふまえながら株式市場の方向感を捉えていくのが良いかもしれません。
来週の日経平均株価見通し:ワンポイントアドバイス
このように今週の株式市場は通常の動きに戻り、ここからの上昇が期待できるような動きになってきました。
ただし、日経平均株価のボックス圏が暴落前水準に戻りきらないことや上値が重たいこと、そして需給バランスに変化がありそうなことをふまえると、楽観視するような状況ではありません。
空売り指数優位の状態が変化したので、株式市場全体が上がり過ぎ状態ではないものの、ここから小さく上昇することもあれば、小さく下落することもありそうです。
このような背景を考慮すると、まずは日経平均株価が「上値:3万9000円付近・下値:37,000円前後」の暴落前のボックス圏の水準に完全に戻るかが色々と左右するかもしれません。
今はあと一歩届かずの状況です。もしここから戻ることがあれば、小さく上昇したり断続的な上昇が見込まれるでしょう。
反対に現状維持の場合は、引き続き上値が重たい展開が続きますので、上がりそうで上がらなかったり、下がりそうで下がらなかったりを繰り返すでしょう。
いずれにしても、ようやく今週で通常の株式市場の動きに戻りましたので、ここから新たな動きがあるでしょう。
ただし、その動きの予兆はまだ見極められないので、あくまで中立のスタンスで動向を見ていくのが良いでしょう。
なお、この予兆を読み取るには、例えば上のグラフにはないOVER指数やRISK指数も見るのが効果的です。
この2つの指数のバランス次第で、「上昇・均衡が続く・下落」を読み取ることができますので、ぜひそういった指標も参考にしながら次の展開を予測しながら動向を見ていきましょう。
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▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は本記事は本記事は2025/5/29(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ5/30前場時点のデータを含みます)。予めご了承くださいませ。