執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価 がついに5万円の大台を回復しました。しかし、足元では膠着状態が続いています。

週初めの12/22には1.8%の上昇を見せたものの、その後は1%未満の微増減にとどまり、市場全体に「突き抜けるような勢い」はまだ感じられません。

来週には大納会を迎えることもあり、このまま静かに1年が終わるのか、それとも最後の一伸びがあるのでしょうか。

本記事では、相場の動きを数値で見える化した「株トレンド指数」をもとに、今週の振り返りと来週の日経平均株価の予想レンジ、そしてそして最新の需給バランスから見た市場の見通しを徹底解説します。

【株トレンド指数で分析】日経平均は「水平」も、市場全体には上昇の兆し

こちらをご覧ください。こちらは12/12〜12/25の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

【2025年12月第4週】市場動向と 日経平均株価 の変動
【2025年12月第4週】市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

株トレンド指数の分析:日経平均と市場全体の「小さな連動」と「細部の違い」

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が変化し”あまり連動していない週でした。

日経平均株価は膠着の水平状態、株式市場全体は小さな上昇を維持する状態でした。

読み方によっては、株式市場全体は小さな上昇が継続していたので、日経平均株価の水平状態に連動しているとも捉えられます。

この小さな上昇維持が背景となり、日経平均株価が下落することなく水平状態を保ったと考えると、両者に乖離はなく連動していたとも分析できます。

ただし、この読み方の違いは、それほど問題ではありません。それよりも、日経平均株価だけを見ると膠着の水平状態で、全く方向感を捉えることができませんでした。

一方、株トレンド指数を見ると、小さな上昇が継続していることから、日経平均株価の水平状態とは違い、株式市場全体は上昇を待っているような状態だと分析します。

よって、今週の株式市場は、どちらの指標を見ても乖離が小さいこともあり差異はありませんでしたが、細部の変化には違いがあった週だと判断します。

日経平均株価は水平状態も、株トレンド指数は小さく上昇

では、この背景をふまえて詳細を見てみましょう。今週の日経平均株価は以下のような推移でした。

  • 【12/22】日経平均株価:1.81%上昇
  • 【12/23】日経平均株価:0.02%上昇=前日と変化なし
  • 【12/24】日経平均株価:0.14%下落=前日と変化なし
  • 【12/25】日経平均株価:0.13%上昇=前日と変化なし

日経平均株価の推移を見る限り、週初め12/22以外は、ほとんど株価が変動せず、水平状態で推移しました。

ただし、ここで注意したいのが12/22を円単位で見た場合です。895円上昇しました。日経平均株価の動きを円単位で捉える投資家にとっては、とても大きな上昇に感じたかもしれません。

しかし変動率は1.81%と、小幅上昇にとどまっています。繰り返しお伝えしているように、日経平均株価は、この水準までくると同じ1%でも円単位の変動が大きくなります。

これにより実際の変動を錯覚する恐れがあります。まさに、それが出たのが、この日だったと言えます。

それ以外は、変動率・円単位ともに変動がなく「前日と変化なし」が続いています。先週の下落分だけ上昇し、そこからは上がり切りませんでした。

次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。

  • 【12/22】上昇傾向を示す”天井指数”の水準が「小さな上昇」を示す
  • 【12/23】前日と同じ
  • 【12/24】前日と同じ
  • 【12/25】前日と同じ

今週の株式市場全体は、株トレンド指数の推移が示す通り「小さな上昇を維持」していました。上昇傾向を示す天井指数以外は、目立った動きはなく低水準のままです。

また、先週ギリギリのところで短期的下落トレンドにならなかったことが表すように、今週は小さな上昇を維持し、下落リスクがなくなったと判断します。

それに伴い、先週は下落傾向を示す底値指数の水準が、他の指数よりも上昇していましたが、それも低水準に変化しました。

連動するように、空売り指数も12/24には「9」、12/25には「10」と上昇したことで、下落の流れを断ち切ったと判断します。

むしろ、空売り指数の上昇と共に、天井指数も維持されたことで、大納会に向けて上昇の兆しが多少出てきていると読み取れます。

今週の市場総括:ボックス圏を推移しつつ12月の傾向通りに展開中

このように今週の株式市場は、株式市場全体が小さな上昇を維持したことで、日経平均株価が下がらず水平状態を維持できたと考えます。

一方で、日経平均株価は水平状態、株式市場全体は小さく上昇と判断できますので、両者は乖離していたとも分析できます。

反対に言えば、もし今週に天井指数が小さく発生しなければ、先週の流れから短期的下落トレンドに入ったまま、12月最終週を迎える可能性がありました。

しかし、今週でそのリスクを断ち切り、場合によっては大納会に向けて上昇の可能性を残しています。

12月は日本株市場全体や日経平均株価が上昇しやすい傾向があります。残り期間が少ないので、急上昇というわけにはいきませんが、今年はその傾向通りになりそうです

【来週の予想】日経平均株価の予想レンジ(52,000円~47,000円)

では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。

日経平均株価を基準に見ると、今週は水平状態に推移し、株価が膠着していることが分かります。

先週までに懸念された短期的な下落トレンドへの突入も回避され、引き続きボックス圏の中心付近を推移中です。

日経平均株価のボックス圏の範囲は、急上昇時の上値誤差も含めて、引き続き「上値:5万2000円~下値:4万7000円」と判断します

下値は4万8000円まで水準を上げても良いとの見方もありますが、変動率に対する円単位の幅が大きいので、慎重にこのままの水準で見ていきたいと考えます。

株トレンド指数を見ると、無風状態ではありませんが、そこに少し足したような小さな上昇が続いていることが分かります。

天井指数が途切れることなく小さく発生していることで、株式市場全体は下落方向に進むことなく、どちらかと言えば上方向へ進む兆しを見せながら推移しています。

ただし、株式市場全体を牽引するような目立った指数がないことから、株トレンド指数からもボックス圏を推移していると判断します。

来週の日経平均株価の予想シナリオとレンジ

このように、今週の日本株市場は、先週に続きどちらの指標を見てもボックス圏を推移していると分析します

ただし、先週と状況が違う部分もあります。先週はボックス圏の中心や下値を目指す推移になる可能性が出た週でした。

今週は、そこから多少状況が変化し、下値付近に向かうことなく、中心を水平状態で推移していきました。

もう少し株トレンド指数の発生が強ければ、ここから再びボックス圏の上値付近に上昇すると予測します

しかし、ファンダメンタルズ要素を抜きに、これらの指標だけを見ると、現状では上下のどちらに進むか分からないでしょう。

そこで、そのボックス圏の範囲を改めて整理すると、日経平均株価は誤差を含めて以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万2000円~下値:4万7000円

直近2ヶ月間の推移を見る限り、下値は引き続き底堅い状況が続いています。株トレンド指数の状況を見ても、ここから下抜けするような動きは想定しにくいです。

ただ、ここから難しいのが、年末年始にファンダメンタルズ要因が、ここに絡んでくることです。

日本株市場は12月に上昇傾向があり、年明けはご祝儀相場で上昇傾向があります。

株式市場は、株トレンド指数の通りの動きを見せていますが、この2つの傾向が外部要因として入ってくると、ボックス圏の中心よりは上方向に進むと分析します。

場合によっては上抜けになるような上昇も考えられるでしょう。

このように来週の日本株市場と日経平均株価は、両者の内部要因ではなく外部要因で動き出すことが想定されます。

その場合、年内の日経平均は、ボックス圏の上値付近を目指す上昇になり、そのまま今年を終えると、年明けのご祝儀相場でボックス圏の上抜けもあると予測します。

最新の需給バランス:外国人投資家の「整理」と個人の「駆け込み」

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。

・外国人投資家:買い越し → 売り越しに転換(↘)
・個人投資家:売り越し → 買い越しに転換(↗)
・日本の機関投資家:買い越し → わずかに売り越しに転換(↘)

投資主体別売買動向
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

今回の三者は珍しく、三者ともポジションを転換しています。また、国内外の機関投資家と私たち個人投資家でポジションが反対になっています。

そのような三者をまとめると、全体の需給バランスは「売り越し」です。ただし、大きな売り越しではありませんので、株式市場を下落トレンドに導くようなものではありません。

機関投資家と個人投資家で違う動きをしていることと、個人投資家がここで買い越しに転換していることを考慮すると、年末の大納会に向けた傾向の通りの動きをしています。

機関投資家は休暇に備えポジション整理をし、個人投資家は年末の休暇を活かして短期売買をする傾向通りの需給バランスになっています。

では、改めて各投資家の詳細を見てみましょう。

外国人投資家の動きとその示唆

外国人投資家は、12月2週はわずかに買い越しでしたが、最終週では売り越しに転換しました。ただし、それほど大きな売り越しではありません。

よって、この売り越しは年末年始の休暇前のポジション整理の一環だと予測できます。次にでる最新データでも売り越しが予測されます。

個人投資家の傾向と注意点

次は、私たち個人投資家です。外国人投資家とは反対に、売り越しから買い越しに転換しました。

個人投資家は、年末年始の休暇を使って売買する人がいるせいか、大納会まで動きが活発化する傾向があります。また、近年ではNISA枠が理由で、駆け込み保有もあると耳にします。

最新週は、まだ終盤ではないので、場合によってはここから買い越しが加速するかもしれません。

ただし、国内外の機関投資家が売り越してくると予測しますので、個人投資家の買いによって株式市場全体が上昇するには至らないでしょう

日本の機関投資家の今後

最後に日本の機関投資家です。買い越しから、わずかに売り越しに転換しました。12月2週は明確な買い越しでしたが、一気に変化しました。

やはり、これも年末年始の休暇を意識したポジション整理だと予測します。例年、ここから大きく動くことはありませんので、このまま「わずかに売り越し/買い越し」のような状況で大納会を迎えるでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。全体としては、やや売り越しが勝っています。しかし、全体のポジション量が小さいので、株式市場を動かすような売り越しにはなっていません。

また、機関投資家と個人投資家で全く違う動きをし、今後も買い越しのポジションを取るのは、個人投資家のみだと予測します。

そうなると、株式市場全体は12月の上昇傾向があるものの、このまま少しずつ沈静化するように、大納会を迎えるかもしれません。

それに伴い日経平均株価も大きく変動することなく、想定されるボックス圏を推移すると分析します。

まとめ:年始の「ご祝儀相場」を見据えた戦略を

このように今週の株式市場は、全体的に大納会に向けた動きになっているようにも見えます

需給バランスを裏付けとして、今週の株トレンド指数を見ると、大きな上昇はないが、小さな上昇を維持したまま終わそうです。

この点を考慮し、改めて来週の日経平均株価の範囲は、このようになるでしょう。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:上振れ5万2000円~下値:4万7000円

ただし、現状を見る限りでは、このボックス圏はポジティブだと分析します。今週は、株トレンド指数の通り小さな上昇が続きました。

このあと大納会の次は、年明けのご祝儀相場が待っています。そのときに下落リスクのほうが強い状態では、ご祝儀相場の上昇は勢い不足になるでしょう。

しかし、現状のようにジワジワと小さな上昇が続いたまま年始のご祝儀相場を迎えれば、想定以上に上昇勢いがつくことも想定されます

そのような想定もありますので、ここからの日本株市場や日経平均株価は、大納会に向けて小さな上昇を維持しながら静かに動いていくと分析します。

そして、その流れを組んだままご祝儀相場を迎え、ボックス圏の上値5万2000円を上抜けするような上昇があると予測します。

ここから大納会に向けては、年始につながる上昇のパワーを維持できるかがポイントです。

ぜひ、そのような視点で年内残りの株トレンド指数を見て、年始の相場を予測していくと良いでしょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼ ※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。 ※2.本記事は2025/12/25(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。