執筆者: 秋山大介|データ・アナリスト| プロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)
日経平均株価 が下落前水準に戻りません。
一時5万2000円台へ突入し、その後5万4000円台まで回復したものの、長引く地政学リスクが重しとなり「先行き不透明感」が強まっています。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
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「このまま二番底へ向かうのか?」「それとも絶好の押し目なのか?」
本記事では、独自の「株トレンド指数」を用いて、今週の相場が「トレンドが強制リセットされたニュートラル状態」であることを数値で解説します。
そして、来週の予想レンジ(5万2000円〜5万8000円)と、最新の投資主体別売買動向から見える「意外な需給の均衡」について、データアナリストの視点で詳しく紐解きます。
【指数分析】日経平均株価の再上昇サインは点灯したか?
こちらをご覧ください。こちらは2/27〜3/12の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
・天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
・底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
・押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
・空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら
地政学リスクが日本株の「上昇トレンド」を強制リセット
今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。日経平均株価も株式市場全体もあまり大きな変化が見られず、横ばいのような動きをしていました。
週始め3/9の日経平均株価は円単位では2892円下落したものの下落率は5.2%にとどまりました。その後、下落する場面もありましたが、週単位で見ると週初め以外は変化が小さい状況でした。
むしろ、地政学リスクが発生する前までは、日本株市場の上昇待ちの状態を継続していましたが、それがいったん強制リセットさせられたような状態なのが今週でした。
日経平均株価も株式市場全体も下落へ明確な方向感が出ることはなく横ばいに推移していたのが今週です。
一時5万2000円台への急落は「中期3段型」暴落の序章か?
では、この状況をふまえて詳細を見てみましょう。今週の日経平均株価は以下のような推移でした。
- 【3/9】5.2%下落:5万2000円台まで下落
- 【3/10】2.88%上昇:5万4000円回復
- 【3/11】1.43%上昇:5万5000円回復
- 【3/12】1.04%下落:5万4000円台に再下落
日経平均株価は一時5万2000円台まで下落したものの、その後は5万4000円~5万5000円を維持しています。これはボックス圏の下値を維持していると分析します。
下落前水準の5万8000円には全く届きませんが、地政学リスクによる下落ということもあり、そのまま下落する動きも見られません。
一方で、今は原油の動きが日々変化していますので、ここからはイレギュラーな動きをして下落することも想定されます。
今週の動きを見る限り、セオリーで見れば「ボックス圏の下値を維持」、地政学リスクの視点で見れば「イレギュラーがまだある」と分析します。
特に後者の場合は、今暴落が起きているわけではありませんが、3回目の下落がイレギュラーに発生することも想定されます。
暴落のタイプで言えば、例えば「リーマン・ショック」に代表される「中期3段型(複数段型)」のものです。
このタイプの下落は3回大きな下落があります。直近は暴落ではありませんが、前後の期間の中では大きな下落といえる下落が2回起きています。
もしイレギュラーな動きが続くと、この3回目があり再び5万2000円台に一時的に推移すると分析します。
次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。
- 【3/9】底値指数「28」まで上昇/やや下落に方向感出る
- 【3/10】底値指数「13」/全指数が横並びになり方向感なくなる
- 【3/11】天井指数「18」空売り指数「18」まで上昇/下落が落ち着く
- 【3/12】天井指数「6」まで減少/押し目買い指数「12」まで上昇
これまでの流れが完全に強制ストップさせられました。地政学リスクによる下落があったものの、先週までは、日本株市場が上昇しようと動いている状態でした。
しかし、今週はいったんトレンドがリセットされました。全体を見ると、日経平均株価が大きく動いたように見えた3/9に多少下落への方向感が出ただけで、他は方向感が見られません。
週初めの日経平均株価が5万2000円台まで下落したときでも、下落傾向を示す底値指数の水準は「28」に留まっています。
その後も水準が上がることなく、通常発生する程度の水準を維持しています。
その他の指数も、横並びのような水準であることから、これまでの日本株市場の流れは途切れ、ここから新たな展開に入る前のニュートラル状態だと判断します。
ただし、イレギュラーな状態を引き起こす地政学リスクが背景にあるので、ニュートラル状態とはいえ、常に下落リスクを心配する必要はあります。
ポジティブに見れば、日経平均株価の下落ほど悲観的な状況ではないと判断します。
反対にネガティブに見れば、ニュートラル状態なので、次の展開は上下のどちらにでも進める準備が整っていると判断します。
日経平均は「方向感のないニュートラル状態」へ移行
次に、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、地政学リスクがなくなってないのでイレギュラーな展開があるかもしれませんが、現時点では下げ止まっていると判断します。
このように見ると分かりやすいですが、今週の日経平均株価の水準は衆議院選挙前の水準であることが分かります。
そこからも、日経平均株価は下落へ方向感が出ることなく、ボックス圏の下値付近を維持していると分析します。
ただし、ここから衆議院選挙後の上昇水準まで戻るには、時間が掛かりそうな推移をしていると判断します。
一方、株トレンド指数を見ると、今週の株式市場はニュートラル状態であると判断します。
衆議院選挙前も動きがありましたが、地政学リスク発生から上昇への動きがなくなっています。
特に今週は、株トレンド指数全体の発生水準が小さく、方向感を示すような動きが見られません。
日経平均株価は下げ止まっているように見えますが、株トレンド指数を見るとニュートラル状態であるので、次の展開は上下のどちらにいくか、まだ分からないと分析します。
【来週の予想レンジ】上値5万8000円〜下値5万2000円
今週の株式市場は期間を広げて見ても、日経平均株価は下げ止まり、株式市場全体はニュートラル状態であると判断します。
ただし、その背景には地政学リスクがあります。通常であれば、このニュートラル状態から再上昇と予測したいのですが、リスクの動き次第では再下落も考えられます。
よって、日経平均株価の下げ止まりを楽観視することなく、株トレンド指数のニュートラル状態の通り、上下のどちらに進むこともあると把握しておくことをオススメします。
なお、来週の日経平均株価のレンジを整理すると、以下の範囲を推移すると分析します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万8000円~下値:5万2000円
地政学リスクが残っていますので、全体の水準を下げました。また、ニュートラル状態を考慮すると、下落前水準に戻るには時間がかかるでしょう。
そのような理由から、一時は上値を6万円突破で見ていましたが、いったんこの水準まで下げます。
最新の需給バランス:個人と外国人の「買い」VS 国内機関の「売り」
補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。
・外国人投資家:買い越し → 買い越し弱まる(↘)
・個人投資家:売り越し → 買い越しに転換(↗)
・日本の機関投資家:大きく売り越し → 売り越し弱まる(↗)

最新週の需給バランスは、2月4週から少々変化し「均衡」です。ただし、この均衡の内訳は特殊です。
外国人投資家と個人投資家は買い越しでしたが、この両者のポジションと同じだけ日本の機関投資家が売り越しています。3週連続の大きな売り越しです。
反対に言えば、外国人投資家と個人投資家のいずれかが売り越しに回っていたら、株式市場全体が下落方向へもっと勢いよく進んだ可能性があります。
その場合は、暴落が想定されましたので、この需給バランスによってリスク回避できた側面もあると判断します。
外国人投資家は9週連続買い越し、日本株への信頼は不変?
外国人投資家は、年初から9週連続買い越しです。地政学リスクのあった最新週でも買い越しを維持しました。
最新週は、ちょうど日経平均株価が3日続落で約8%下落したときです。しかし、外国人投資家は買い越しを維持していることをふまえると、日本株にはリスクが小さいと判断しているのでしょう。
地政学リスクは先行き不透明ですが、この動きを見ても暴落や急落を引き起こす原因にはならないと考えられます。
個人投資家は「逆張り買い」に転換。地政学リスクをチャンスと見るか
次は、個人投資家です。売り越しから一気に買い越しに転換しました。前回は買い越しから売り越しでしたので、直近は大きく動いています。
日経平均株価の年初来高値更新での利益確定売りが出たと思ったら、地政学リスクの下落を狙って仕掛けをしているような動きに見えます。
このように個人投資家は国内外の機関投資家と違って、日々ポジションが変化する動きが見られます。
特に今回は不確定要素の地政学リスクが絡んでいますので、次の展開が読みにくい状況です。
国内機関投資家の「お化粧売り」ピークアウトの兆し
最後は日本の機関投資家です。1月2週から8週連続売り越しです。売り越し規模が、ようやく1桁減りました。
しかし、依然として外国人投資家と個人投資家の合計と同じくらいの規模で売り越しています。
地政学リスクもありますが、やはり3月は年度末ということもあり、銘柄の入れ替えをする「お化粧買い・売り」が発生する時期に入りました。
そのピークが2月4週に入り、ようやく売り越しが和らいできたのかもしれません。
ただし、注意もあります。彼らは3月下旬に向けて例年売り越しを強める傾向があります。
その点を考慮すると、ここから更に売り越しが強まることも想定しておくのが良いでしょう。
国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し
以上が三者の動向です。最新週は外国人投資家と個人投資家が買い越し、国内の機関投資家が売り越しというバランスで均衡しました。
日本の機関投資家はこのまま売り越しが継続されると予測します。そうなると、今後の日本株市場は外国人投資家と個人投資家がどのような動きをするかで状況が変化しそうです。
特に今は、地政学リスクがあり、日々状況が変わりそうです。外国人投資家は、それほどポジションを変えませんが、個人投資家は週単位で変化します。
リスクが収まるまでは、変化が大きい個人投資家の動きによって日本株市場は左右されるかもしれません。
まとめ:来週は「押し目期待」と「イレギュラー下落」の背中合わせ
今週の株式市場は、地政学リスクの影響でトレンドが強制リセットされ、ニュートラル状態になりました。
それに伴い、来週の日経平均株価のレンジは以下の通りだと分析します。
▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万8000円~下値:5万2000円
本来は下値は5万4000円で見ても良いでしょう。ただし、今週のように一時的に5万2000円台に到達することや、ニュートラル状態なので下落することも考慮して5万2000円にしました。
上値については、いきなりここまで上昇するわけではありませんが、現状を分析する限り、下落前水準が当面の目標と見る意味で設定しました。
なお、小さな兆しではありますが、株トレンド指数の押し目買い指数が、依然として2桁に到達していることがあります。
ニュートラル状態なので、これが上手く押し目の動きに作用するか判断が難しいところですが、次の展開は下落よりは上昇になるのではないかと思われる兆しです。
しかしながら、今は地政学リスクがあり、その先行き不透明な分、あらゆる方向に進むことを考えておく必要があります。
セオリー通りであれば、ここから上昇に向け少しずつ動き出すところですが、地政学リスクによりイレギュラーな展開もあると考えておくと良いでしょう。
この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます。
▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/3/12(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。
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