執筆者: 秋山大介|データ・アナリストプロフィール詳細
(独自の「株トレンド指数」を開発・運用。需給バランスに基づく分析で定評あり。)

日経平均株価 一時5万2000円の大台を割り込み、投資家の間に緊張が走った2026年3月第4週。

この急落を受けて「さらなる暴落」を恐れる声も上がっていますが、冷静にデータを見ると全く異なる景色が見えてきます。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

本記事では、独自の「株トレンド指数」をもとに、今回の下落が「暴落」ではなく「絶好の押し目」である根拠を詳しく解説します。

地政学リスクに揺れる相場の中で、投資家が今取るべきスタンスと、来週の予想レンジ、そして最新の投資主体別売買動向を紐解きます。

5万1000円割れは「暴落」ではないと言える根拠

こちらをご覧ください。こちらは3/11〜3/25の日経平均株価と株トレンド指数の状況です(株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら)。

【2026年4月第3週】市場動向と 日経平均株価 の変動
【2026年4月第3週】市場動向と 日経平均株価 の変動

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

天井指数|相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向を示す(目安:「170」付近)
底値指数|相場全体が底値に近づき適正株価まで回復する傾向を示す(目安:「220~420」付近)
押し目買い指数|押し目買い戦略が機能しやすい傾向を示す(目安:「30」に近い水準)
空売り指数|相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向を示す(目安:「50」付近)
>>株トレンド指数の算出ロジックと運用実績はこちら

「方向感の喪失」地政学リスクが相場の羅針盤を狂わせる

今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が”やや連動している週”でした。

日経平均株価は下落から再上昇、株式市場全体は、横ばいから一時的に下落する状況でした。

細部を見ると、3/24は日経平均株価は上昇したものの、株式市場全体は前日の下落の余波を残し下落傾向気味でした。

また、日経平均株価は先週末から円単位で見ると大幅下落のように見えますが、下落率では7%以内にとどまり暴落などの水準ではありませんでした。

その際、株式市場全体も同様の水準を示していましたので、今週は株式市場の傾向で動いたというよりは、そのリスクによって動いた週だったと判断します。

一気に5万1000円台も再上昇は回復の兆しか

では、この状況をふまえて詳細を見てみましょう。今週の日経平均株価は以下のような推移でした。

  • 【3/23】-3.48%下落:5万1000円台突入
  • 【3/24】1.43%上昇:5万2000円回復
  • 【3/25】2.87%上昇:5万3000円回復

今週の日経平均株価は、円単位で見ると乱高下のような状況でした。

先週3/18から3/23に掛けて続落し、5万5000円台から一気に5万1000円台まで下落しました。そこから今度は2日続伸により再び5万3000円台まで回復です。

しかし、変動率で見ると、そこまでの変動がないことが分かります。先週3/18から3/23に掛けて約7%の下落でした。

一日で10%の下落があった場合は暴落の可能性を含むインパクトがありますが、続落で約7%ということもあり、それほど下落していないと判断します。

ただし、今週は誰にとっても先行き不透明な状態での推移でしたので、この推移にストレスを感じてしまうことは否めません。

依然として、この変動は外部要因なので、その要因である地政学リスクがなくならない限り、このような変動があることを予測しておくと良いと分析します。

次は、今週の株トレンド指数の推移を見てみます。今週は以下のような推移でした。

  • 【3/23】底値指数「54」まで急上昇/突発的下落押し目買い指数「12」まで上昇
  • 【3/24】底値指数「19」に減少し下落傾向弱まる
  • 【3/25】天井指数「13」空売り指数「10」まで上昇/下落が止まり再上昇

週初め3/23は下落傾向を示す底値指数が「54」まで急上昇しました。暴落や大幅下落の水準には至っていませんが、地政学リスクによる突発的な下落が発生しました。

同時に、押し目指数が「12」の2桁まで上昇しました。押し目指数は通常なかなか2桁に到達しません。

その点をふまえると、この日の地政学リスクによる突発的な下落は、下落傾向に入る下落ではなく、押し目の一時的な下落と分析します。

よって、この突発的な下落は、地政学リスクの不確定要素はあるものの、悲観的な下落ではなく、再上昇を期待できる下落だったと判断します。

ただし、3/24はすぐに上昇傾向に入らず、下落の余波が残りました。底値指数の水準が「19」まで下がり、通常よりは下落傾向という程度になりました。

そこから3/25は、まだ押し目の動きに入ったとは言い切れませんが、上昇傾向を示す天井指数が「13」まで上昇し、小さな上昇傾向になりました。

それに伴い空売り指数も「10」まで上昇したことで、ここでいったん下落が止まったと分析します。

このように株式市場全体は、週始めに突発的な下落があったものの、悲観的ではなく、再上昇の期待ができる状況だと判断します。

まだ地政学リスク左右される株式市場が継続

次に、直近2ヶ月間の状況もふまえて、現状をより詳しく見てみましょう。

日経平均株価を基準に見ると、地政学リスクが続く限りイレギュラーな展開も想定されますが、現時点では下げ止まったと判断します。

ただし、先週も同じように下げ止まったと思ったら、地政学リスクにより突発的な下落が発生しました。引き続き、こういったリスクは念頭に置いておきましょう。

とはいえ、今週の下落も下げ止まっています。この点を考慮すると、地政学リスクに左右されているだけで、日経平均株価自体は底堅く推移していると分析します。

一方、株トレンド指数を見ると、今週の株式市場は3/23の突発的な下落がとても目立ち、一時的な下落傾向に突入したと判断します。

しかし、それはあくまでも一時的なので、再びニュートラルに近い状態に戻っていることも確認できます。

今週に限っては週単位で見た通り、地政学リスクに一時的にやられた状況です。

【来週の予想レンジ】上値5万8000円〜下値5万2000円

このように今週の株式市場は期間を広げて見ても、週初めに突発的な下落があったものの、そのまま崩れることなく底堅く推移していることが分かります。

特に、今週は下落と同時に押し目の可能性も発生していたので、これも底堅さを後押ししたと考えます。

ただし、まだ地政学リスクがなくなったわけではありません。このリスクが続く限り、再び日経平均株価や株式市場全体が左右されることは十分に考えられます。

そのようなこともありますので、来週の日経平均株価のレンジは、引き続き以下の範囲を推移すると分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万8000円~下値:5万2000円

先週と同水準です。いきなり上値に到達するのは難しいですが、地政学リスクがなくなったときは勢いよく上昇する可能性があります。

先週時点ではそこまで考えていませんでしたが、地政学リスク発生からのボックス圏が約1ヶ月になろうとしています。

ボックス圏は長ければ長いほど、抜けるときに勢いが増します。その点を考慮すると、リスクがなくなった途端、下落前水準まで戻ることも予測します。

やや楽観的に見えるかもしれませんが、3/23に底値指数と押し目指数が同時に発生していることが、その根拠でもあります。

地政学リスクに左右され変動することは前提ですが、リスクがなくなったときは、このようなシナリオになると分析します。

【最新】投資主体別売買動向と需給バランス

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の最新の需給バランスも見ておきましょう。今週はまだ最新データが発表されていないので先週と同じデータです。

外国人投資家:買い越し → 売り越しに転換(↘)
個人投資家:買い越し → 買い越し弱まる(↘)
日本の機関投資家:大きく売り越し → 売り越し弱まる(↗)

投資主体別売買動向 2026年3月 外国人投資家 買い越し
『投資主体別売買動向 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブ』をもとに筆者作成

最新週は日経平均株価が5万3000円台まで下落したタイミングです。3月1週は地政学リスクにより下落が始まったタイミングです。

これらのタイミングの需給バランスは、どちらも「ほぼ均衡」でした。ただし、最新週はポジションが小さくなっています。これは地政学リスクの長期化を懸念してのことだと予測します。

また、3月1週と最新週を比較すると、外国人投資家だけがポジションを転換しています。しかし、まだ大きな売り越しではないので、株式市場全体にはそれほど影響が出ていません。

このように、地政学リスクによってポジションの大きさは変わりましたが、需給バランスの均衡状態には変化がない状況が続いています。

外国人投資家の買い越しストップが意味すること

外国人投資家の年初から9週連続買い越しが止まりました。ただし、売り越しの規模が小さいことを考慮すると、一時的なポジション転換だと予測します。

とはいえ、これまで積極的に日本株を買っていた外国人投資家の動きが止まると、株式市場には悪影響です。

今のところは影響が出ていませんが、もし地政学リスクがなくなったのにも関わらず、買いに転換しなければ、それは不穏な話になるでしょう。

悲観的ですので可能性は低いと思いますが、一人のシナリオとして想定しておくと良いでしょう。

週明けは個人投資家が重しになる可能性

次は、個人投資家です。規模は小さくなりましたが買い越しを維持しました。しかしながら、年間を通じた買い越しの大きさとしてはそれなりを維持しています。

この動きから、個人投資家はこの地政学リスクによる下落をチャンスとして見ているのかもしれません。

一部の個人投資家は「暴落だ」と慌てているかもしれませんが、一部の個人投資家は地政学リスクの背景をふまえて、再上昇のある下落と見ているのでしょう。

そうなると、次に動き出すタイミングは、やはり地政学リスクがなくなったときです。このとき、いま仕込んだ個人投資家が利益確定をするかもしれません。

そうなると、思ったよりも日経平均株価が上昇しないなど、上昇の重しになる可能性があります。

楽観的にみたいところではありますが、今後このような点には注意が必要です。

国内機関投資家の9週連続売り越しが意味することは?

最後は日本の機関投資家です。1月2週から9週連続売り越しです。ただし、売り越し規模は小さくなりました。ニュートラルに近い規模です。

彼らは3月下旬に向けて例年売り越しを強める傾向があるので、このままのポジションでいくとは言い切れません。

万が一、例年の傾向通り、ここから売り越しが続き、そこに個人投資家の利益確定の売りが入ると、思わぬ下落を引き起こすかもしれません。

年間を通じて、売り越しが多いのは彼らの特徴ですので、他の二者にネガティブな影響がないか、引き続き見ていく必要があるでしょう。

国内外投資家の売買動向から見た来週の見通し

以上が三者の動向です。最新週は個人投資家が買い越し、外国人投資家と国内の機関投資家が売り越しのバランスで均衡しました。

全体のポジションが小さくなっていることを踏まえると、三者とも地政学リスクの先行きを様子見しているようにも見受けられます。

前週までの流れもありますが、地政学リスクが続くと、ニュートラルポジションが続くことも十分に考えられます。

そうなると、株価が動きにくくなるか、反対に今週の日経平均株価のように下落するが、すぐに回復するような動きになるかもしれません。

やはり、ここでも地政学リスク次第で、どうなるかが決まるでしょう。もし沈静化した場合は、外国人投資家と個人投資家がどう動くかがポイントになりそうです。

外国人投資家が再び買いに回り、個人投資家の利益確定売りが出て、結果的には均衡に落ち着くことも想定されます。

ぜひ、そういったシナリオも含めて、この需給バランスに注目していきましょう。

まとめ:来週は底堅さは残るものの上下の動きを予測

このように今週の株式市場は、日経平均株価の突発的な下落があったものの悲観的ではない状況が続いています。そこで、来週の日経平均株価のレンジは以下の通りだと分析します。

▼来週の日経平均株価の予想レンジ
上値:5万8000円~下値:5万2000円

今週の推移を見る限り、底堅い状況が続いています。ただし、今週のように地政学リスクによって下落することを想定すると、下値は引き続き5万2000円と判断します。

反対に上値は、先週時点ではなだらかに時間を掛けて回復を想定していましたが、ボックス圏の期間を考えると条件付きで、5万8000円と判断します。

その条件とは地政学リスクがなくなることです。繰り返しになりますが、今はこのリスクによって株式市場が動かされていますので、これがなくならない限り、現状は変わりません。

つまり、リスクがあるうちは底堅いが、下値目安まで下落することを想定し、リスクがなくなったら、下値よりも上値を見ていく流れになります。

このリスクだけは、誰にとっても先行き不透明です。予測ができないので、リスクがなくなるまでは、流動的に株式市場の流れに乗っていくしかないと分析します。

ただし、その中でも下落する場合は上記の下値を基準に考え、リスクがなくなれば上値基準で考えるなど、そういった視点を持つことをおすすめします。

それまでは流動的に合わせつつ、様子見するような日々が続くと判断します。いつリスクがなくなるか分かりませんが、このような目安や基準を持って週明けの株式市場を見ていきましょう。

この記事は、独自の株トレンド指数を用いた分析レポートの一部です。すべての予測実績検証は過去の分析レポート一覧からご覧いただけます

▼ご注意▼
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2026/3/25(水)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ3/19前場時点のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

最終的な投資判断について】

当記事は、特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。当記事によって生じた損害等について、当社は一切の責任を負いかねます。