日経平均株価が停滞しています。

8日連続で3万9000円台を維持するも、小幅変動が続き方向感がまだ出ていないように見えます。

一時は4万円を上抜けするような水準まで上昇しましたが、ボックス圏を以前として抜けきれていない状況が続いています。

一方で、一時はボックス圏の下値付近に進み、ボックス圏の水準が下がる可能性もありましたが、そこを脱して3万9000円台を維持し、今度はボックス圏の上値付近にきています。

良く言えば”崩れにくく堅調”、悪く言えば”方向感がなく難しい”というのが、今の日本株市場でしょう。

ただし、そのような中で、日経平均株価では読み取ることができない「好材料」も出てきました。

まだ、その好材料が株式市場を好転させる確率は低いですが、予兆になる可能性もあります。

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2025/1/20〜2025/1/30の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週までと状況が変化し、日経平均株価と株式市場全体が”連動していない週”でした。

つまり、日経平均株価だけを見て相場状況を判断すると、株式市場全体の本当の動きを捉えるのが難しく”判断を誤りやすい週”だったと考えられます。

一言で表現すると、今週の株式市場は「日経平均株価は停滞しているが、株式市場全体は上昇しかけている状況」です。

まだ本格的上昇トレンドが発生しているわけではなく、ダマシになる可能性もあります。しかし、今週の動きを見る限り、本格的上昇トレンドの入口になる可能性が出てきました。

これまで日経平均株価の水準は上がるが、株式市場全体が上昇しない状況が続いていましたが、ようやく株式市場全体に動きが出そうな状況です。

詳細を見ると、週初め1/27は先週末の流れを組み、上昇傾向を示す天井指数の水準が上昇しました。これにより、先週時点で発生した緩やかな上昇トレンドの勢いが少々強まってきました。

日経平均株価は0.92%下落しました。それをふまえると、日経平均株価の水準はそれほど変わらない状況でしたので、この日を起点に株式市場全体の動きに変化が出たと考えられます。

1/28は天井指数の水準が更に上がりました。日経平均株価は1.39%の下落を見せました。日経平均株価は前日と合わせると約2.3%下落です。

しかし、天井指数の通り株式市場全体は、この2日間とも上昇傾向に入っていることを示しました。

週の後半1/29は、天井指数の水準がわずかに上がりました。この日の日経平均株価は約1%上昇でした。

1/30は、天井指数の水準がわずかに下がりましたが、前日とほとんど変わらない水準を維持しました。日経平均株価は0.25%上昇を見せました。

このように今週は、日経平均株価だけを見ると約1%下落と、小幅変動があっただけで、ほぼ変わらない水準を維持していました。

よって、日経平均株価を基準に株式市場の動きを捉えると「ほぼ変わらない」「堅調」などそういった表現なり、株式市場全体が上昇しつつあることには気付けなかったでしょう。

一方、株トレンド指数を見ると、先週末と今週の週初めだけを見ても、展開が変化していることが分かります。

また日が経過するにつれ、日経平均株価の動向とは関係なく、少しずつ上昇の勢いを蓄積しているように見受けられます。

ダマシの可能性がありますので、ここから本格的上昇トレンドに入るか分かりませんが、もしここから本格的上昇トレンドに入ることがあれば、今週の捉え方の違いは差異を生むでしょう。

2021年10月移行、ほぼこのような状態がありませんでした。日経平均株価と株式市場全体の動きに差異はあるものの、トレンドの発生を余地するのではありませんでした。

あくまで、ボックス圏特有の方向感のなさが生じさせる両者の動きの違いにとどまっていました。

そのような状況もふまえると、仮にダマシであったとしても、今週の動きはポイントになるでしょう。

また以前と同じ状況に戻る可能性も否めませんが、この株式市場全体の状況と連動するように日経平均株価が上昇すると状況が変化するかもしれません。

日本株再上昇の可能性は?

日経平均株価を基準に見ると、引き続き約2ヶ月間変わり映えしない状況です。特に今週は約1%下落だったで、先週とほぼ同じ状況でした。

その点を考慮すると、引き続きボックス圏の上値付近を横ばいに推移していることが分かります。

なお、ボックス圏の範囲は、先週同様「上値:4万円・下値:38,500円前後」で考えて良いでしょう。

このように日経平均株価だけを見ると、今週の株式市場全体の動きを感じることはできないでしょう。

だから、日経平均株価を基準に相場状況を判断している人にとって今週は「ほぼ変わらない」「堅調」の判断になったと考えられます。

そうなると、特に次の展開を考えることなく、そのままの投資スタンスでいるか、特に何かを考えることなく過ごすことになるでしょう。

対して、株トレンド指数を見ると、先週時点で無風状態を脱しましたが、それが色濃く出てきたのが今週だと分かります。

まだ株式市場全体を牽引するような上昇トレンドが発生したわけではありませんが、この2ヶ月間では、最も上昇トレンドの可能性を感じる動きをしています。
これまでは天井指数が上昇しても偶然上昇しているか、なぜ上昇しているか分からない動きが続きました。

しかし、今週の天井指数の動きは「明日こうなる可能性が高い」という予測ができるような動きをしています。

そういった点を見ても、今週の動きはこの2ヶ月間で変化をもたらす可能性が出てきています。

こうなるとポイントになるのは「今週末」と「来週初め」の天井指数でしょう。本格的な上昇トレンドが発生する場合は、いったんこの上昇が止まり失速します。

その後、再上昇し失速前の上昇よりも勢いが続き大きく上昇していく傾向があります。反対に言えば、失速したあと再上昇がない場合は「ダマシ」だと考えるのが妥当でしょう。

ダマシになる確率は「60%」程度がセオリーです。その確率をふまえると、現時点では”可能性”という表現になります。

ですが、今週の上昇が失速し、再上昇の有無でダマシかを判断することもできますので、「今週末」と「来週初め」の天井指数には注目していきましょう。

このように先週時点では、緩やかな上昇が発生してきたという程度の小さな上昇でしたので、完全な「勢い不足」でした。

それが今週に入り、本格的な上昇トレンドに向け勢いは不足しているものの、上昇の勢いを少しずつ蓄積してきています。

この蓄積が再度起きれば本格的な上昇、起きなければ失速します。このような分岐点にきていますので、引き続き株トレンド指数を見逃さないようにしていきましょう。

需給バランスから見た週明けの日本株は?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:ほぼ中立 → 買い越しに変化
・個人投資家:買い越し → 売り越しに変化
・日本の機関投資家:わずかに買い → わずかに買いを維持

今週はデータに続き、三者をまとめると全体の需給バランスは「やや買い越し」です。タイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り、日本株は再上昇の下地があると考えられます。

また、今回のデータには特筆すべきことがあります。それは機関投資家と個人投資家の動きが反対方向になっていることです。

大まかに言えば「機関投資家は買い、個人投資家は売り」のバランスになっています。今回がそれに該当するか分かりませんが、この構図が続くと「プロ投資家に個人投資家がカモにされる」状況になる可能性が出ています。

しかし、機関投資家が現状を維持し、私たち個人投資家が「買い」に転換すると、株式市場全体は上昇トレンドに入るでしょう。

そういった意味では、今の日本株市場は私たち個人投資家がカギであり、個人投資家によって本格的上昇トレンドの発生が左右されるかもしれません。

このように株式市場全体の需給バランスを見ても、少々変化が出てきました。これまで三者三様であったり中立に固まったりしていたのが変わりつつあります。

株トレンド指数は、この需給バランスを細分化したような指数でもあります。バランス次第で、株トレンド指数の動きが連動するところもありますので、引き続きこういった指標も注目していきましょう。

このように今の日本株市場は、日経平均株価だけを見ると「ほぼ変わらない」「堅調」の判断になりますが、需給バランスや株トレンド指数を見ると、変化が出てきています。

しかも、2021年10月移行、なぜ日経平均株価の水準だけが上がっているのか不明な状態が続きましたが、ここにきて株式市場全体が動く予兆が出てきました。

もちろん、繰り返しお伝えしている通り「ダマシ」の可能性は否めません。セオリーから考えると、上昇する確率は40%です。

ダマシの可能性が60%ですので過度な期待はせず、今週末や週初めの株トレンド指数のデータを見ながら、その可能性を判断していきましょう。

もう一度お伝えします。久々に出た良い材料ですので期待したいところですが、現時点では「まだ予兆」です。この点だけは忘れずにいきましょう。