あの強制ストップで日経平均株価が再び3万9000円を割りました。

まだ3万9000円付近を推移していることもあり、悲観的になるような水準ではありませんが、一時は上昇を期待できただけに悔しい気持ちもあるでしょう。

日経平均株価は、あの上昇の強制ストップからちょうど半値戻しのような水準を維持し、1%未満の変動が続いていました。

しかし、そこから2/13に約1.3%の上昇を見せ再び3万9000円半ばまで上昇しています。

良く言えば「底堅く崩れにくい状況」、ネガティブに見ると「次の展開が全く読めない状況」というのが今の日本株市場でしょう。

引き続きアメリカ大統領の発言により動きそうな雰囲気もある中ですが、来週の日本株市場はどのように推移するのでしょうか?

そこで今回も「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向や、今後の動向について考えていきましょう。

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは1/30〜2/13の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

今週は営業日が少ないので参考データにはなりますが、これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週同様に日経平均株価と株式市場全体が”ほぼ連動している週”でした。

ただし、こちらも先週同様、細部を見ると差異がある状況でした。全体感で見れば差異は生じにくいが、細部では差異が生じやすいという珍しい週が続いています。

詳細を見てみましょう。週初め2/10は日経平均株価は0.04%の上昇ですので、ほぼ横ばいでした。

株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数が先週末2/7よりも上昇しています。

つまり、日経平均株価がほぼ横ばいであるものの0.04%上昇したことをふまえると、株トレンド指数と日経平均株価は、ほぼ連動していました。

2/12は日経平均株価が0.42%上昇しました。ほぼ横ばいと言っても良い水準ですが、前日同様上昇と言えば上昇です。

株トレンド指数を見ると、上昇傾向を示す天井指数がわずかに上昇しました。これにより、前日の上昇を維持していることが分かります。

2/13は日経平均株価が1.28%上昇し、今週の最大幅の変動を見せました。株トレンド指数も連動し、天井指数の水準が上がりました。

このように全体感としては、日経平均株価と株トレンド指数が連動しているように見受けられます。

しかし、細部を見ると差異がありました。それが2/10です。この日は、日経平均株価だけを見ると、ほぼ水平で推移しています。

もしこの推移だけで株式市場の状況を判断するなら「単なる横ばい」と捉えるか、「一時の上昇の勢いが止まった」と捉えることになるでしょう。

ですが、株トレンド指数を見ると天井指数が上昇していることから、実際には先週末から今週に掛けて上昇の勢いが増していることが分かります。

そして、そのまま2/12,2/13と天井指数が順調に上昇しましたので、上昇の勢いは消えることなく、まだ維持していると読み取れます。

一方、日経平均株価だけをみると、錯覚を起こしやすかったのが2/13でしょう。直近の中では、あの強制ストップをくらった2/3以来の1%以上の変動です。

1%未満の小幅変動が続いていたところから、このような変動があると感覚的に「大きく上がった!」と判断してしまうこともあるでしょう。

ですが、実態は株トレンド指数を見ての通り、それほど大きな上昇ではなく、あくまで先週末から段階的に上昇してきている流れだと読み取ることができます。

つまり、日経平均株価だけを見て株式市場の状況を捉えると「横ばいから急に上がった」となり、株トレンド指数も見ると「先週末から順調に上昇が続いている」と捉えることができます。

全体感としては、それほど差異はないですが、2/13の日経平均株価の上昇を急な上昇と捉えるか、段階的に上昇してきたものと捉えるかで株式市場の捉え方が違ったでしょう。

もう少々踏み込んで言えば、日経平均株価だけを見ると「一時の上昇の勢いが消え、方向感なし」と捉え、株トレンド指数も見ると「上昇の勢いはまだ消えず、再上昇を狙っている可能性がある」と捉えることができます。

全体感は「ほぼ連動」であるものの、細部を読み取ると違いがあるのが今週の株式市場でした。

日本株来週の見通しは?

日経平均株価を基準に見ると、引き続き約2ヶ月間変わり映えしない状況です。

2/3に円単位では約1000円下落し、半値戻しのような状況が続いたものの、2/13の上昇でより変わり映えのない状況になりました。

改めて、このようなグラフを見ると、日経平均株価は小幅なボックス圏を推移していることがよく分かります。

よって、引き続きボックス圏の範囲は先週同様「上値:4万円・下値:38,500円前後」で考えて良いでしょう。

また、こちらも先週同様このように期間を広げて大きな変化が見られないということは、現状の日本株は崩れにくく底堅い状況だと考えても良いでしょう。

対して、株トレンド指数を見ると、失速には至らなかったものの、分岐点であった先週を耐え抜き、再び上昇の勢いが戻りつつあることが分かります。

1月下旬から上昇トレンドの発生が期待され、そこから失速しダマシになる可能性もありました。

しかし、失速することなく先週末から段階的に天井指数が上昇していることをふまえると、まだダマシとは判断できないでしょう。

ただし、そのような中でリスクとして気がかりなのが「空売り指数」の状況です。上昇するときは、空売り指数も上昇する傾向があるとデータ分析から出ています。

一方で、空売り指数が上昇し過ぎると、その役割の通り上昇にブレーキを掛けるので、上昇を止めてしまう可能性が高まります。

今の時点では、どちらのパターンになるか分かりません。とはいえ、このようなパターンの分岐点にきたことを想定すると、来週の株式市場が「上昇とダマシの分岐点」になるかもしれません。

そのまま現状が続くシナリオもありますが、週明けの株式市場の動き次第で、1月下旬からの上昇の勢いがどうなるかが決まる可能性があると把握しておきましょう。

なお、もしダマシになる場合は、ここから「空売り指数>天井指数」の関係が発生します。そして、その関係が継続すると、いつの間にか上昇の勢いがなくなるというのが一つの傾向です。

ぜひ、そういった視点を持ちながら、週明けの株式市場がどうなるか見ていくと良いでしょう。

需給バランスから見た来週の見通しは?

補足としての日本株市場の根底部分である株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。先週と同じデータですが、需給バランスは、以下の通りでした。

・外国人投資家:買い越し → 売り越しに変化
・個人投資家:売り越し → やや買い越しに変化
・日本の機関投資家:わずかに買い → ほぼ中立に変化

三者をまとめると全体の需給バランスは「やや売り越し」です。先週のデータのままですので、よりタイムラグがあるデータではありますが、このバランスを見る限り、日本株の下地は「中立」状態になっています。

しかし、先週と今週の株トレンド指数の動向を見ると、この中立のバランスが崩れてきているかもしれません。

まだ、明確な買いにはなっていませんが「やや買い越し」など、そういったバランスになっているかもしれません。

もし次のデータが更新されたとき全体のバランスとして「やや買い越し」になっていたり、三者が買い越しに近い状況になっていると、週明けの上昇が期待できるでしょう。

ここから上昇するかダマシになるかは、こういった需給バランスの視点も重要な材料になります。

ぜひ、こちらの最新のデータがどうなるかについても、注目していきましょう。

このように今週の株式市場は営業日が少ないので参考データにはなりますが、先週末からの流れを見ると、上昇余地があると読み取れます。

そして、強制ストップからも段階的に回復し、再び株式市場全体が上昇しようと動き出しているようにも見受けられます。

ただし、そのような中で気がかりなのが空売り指数の動きです。空売り指数の上昇が天井指数を上回るのか、それとも現状維持しながら天井指数と連動して上昇するのかはポイントです。

その動き次第で、ある程度の精度で上昇トレンドに向かうのか、それともダマシになるのかが判断できるでしょう。

その分岐点になるのが週明けの日本株市場と想定されますので、ぜひそのような視点で週明けの動向を見ていきましょう。